概要
長い歴史を持ち子供から大人まで幅広い世代に愛されているTCG「デュエル・マスターズ」。そしてその長い歴史の中で多くのクリーチャーが誕生していった。特に「無双竜機ボルバルザーク」や「アストラル・リーフ」などは多くのプレイヤーに使われ、殿堂入りといった輝かしい称号を与えられ歴史に名を残してきた…
…しかし、光があれば闇も存在するのが世の常。大活躍するカードもあれば、反対に全く使われない産廃クラスのカードも存在するのだ。
例えば、当時最高レアリティのSRにもかかわらず能力が条件付きドローのみ、コストも7と重い「アドラス」、同じく7コス、SRにもかかわらず能力が1コスの呪文「ドリル・スコール」と同じ「激震闘士スカイ・クラッシャー」…他にも同じくらい酷い性能のカードは多数おり、基本的にプレイヤーからは忌み嫌われている。
だがそんな彼らの中にも愛されるカードも存在している。ある者はファンデッキが作られ、ある者はプレイマットやスリーブとなり、またある者は再録されたり…そんな風に多くのプレイヤーや公式から愛される7体のクリーチャーが存在する。
人は彼らをこう呼んだ。
――デュエル・マスターズ七英雄、と。
解説
デュエル・マスターズ七英雄とは、デュエル・マスターズにおいて弱いながらもみんなから愛されてる7体のクリーチャーの総称である。七英雄に選ばれる条件として、スペックに合わないフレーバーテキストとイラストのカッコよさが挙げられる。
それでは七英雄のメンツを紹介していこう。
シザー・アイ(水文明)
火の領域の海岸線は、上陸した水の軍勢で真っ青に染まった。
4コスでパワー3000という所謂バニラと呼ばれる能力を持たないカード。
この時点でイマイチだが登場したのが第2弾と早かったため次々と上位互換が登場するという憂き目にあってしまう。
だが、その後、2000年代前半に、インターネット上の小規模なコミュニティで発生した誤変換がきっかけで、何故か固定ファンができるほどのカードに変化していた。
そのフレーバーテキストのインパクトから愛されているカードであり、クロスギアを大量に積み込むことでシザー・アイを強化しまくる「シザー・愛」と呼ばれるデッキも誕生している。
またこのカードがモチーフであろう「シザー・ラヴ」というカードや性能そのままGRクリーチャーになった「シザー・アイGR」も登場している。
ちなみにシザーアイGRは「バニラオーラ」と呼ばれるデッキには採用される。
メテオレイジ・リザード(火文明)
燃えさかる業火ですら、その闘争本能の激しさには及ばない。
6コスでパワー5000の能力なしというバニラカード。
6コスのバニラという唯一無二の性能を持っているがコイツよりコストが低かったりパワーが高いクリーチャーは同じバニラでもいるため使う価値はほぼ無く、最初期のカードであるボルシャック・ドラゴンにすらスペックが劣る始末である。
何よりも酷いのが数弾前にコイツの完全上位互換がいること。
後で上位互換が出るのはわかるけど前の弾の下位互換って…
残虐覇王デスカール(闇文明)
ドラゴンとも拳で語り合える。
ゼニスとも拳で語り合える。
いつ何時誰とでも、拳で語り続ける!
8コスでパワー4000、タップトリガーで相手の手札2枚を墓地に置く能力を持つがそもそも8コスあればもっと強力なクリーチャーを召喚でき、7コスで相手の手札を全て墓地送りにする「ロスト・ソウル」が撃てる。
フレーバーテキストではドラゴンと拳で語り合えると豪語しているが、2022年時点でこのクリーチャーが勝てるドラゴンはわずか10枚程度(デュエル・マスターズwikiより引用)と大言壮語が過ぎる。
またブラック・ボックス・パックに収録された際には「ゼニスとも拳で語り合える」と豪語していた。(ちなみにゼニスはどれもパワーが10000以上あり、デスカールが普通に殴り合える相手ではない。)
そして双極篇にて「ロスト・ソウル」とツインパクトカード化し評価を見直されることとなった。
クリーチャー回収のカードを用いても手札に加えることができ、「ロスト・ソウル」を唱えた後にデスカールを出し更にハンデスを決めることも可能になるなど格段に使い勝手は増していると言える。
…「ロスト・ソウル」が本体だろとは言ってはいけない。
封滅の大地オーラヴァイン(自然文明)
その力、その姿に誰もがあこがれるぅぅぅ!!――千舌実況ミラクル・ショー
その名を聞けば、誰もが震え上がる。
6コスでパワー6000、場に出たとき3コスの進化ではないクリーチャーを2体までマナゾーンに送る能力を持つ。
このカードが出てくる中盤は3コス以上のクリーチャーがバンバン出てくるのであまり意味をなさず、下手に使うと相手のマナを2つ増やすだけになってしまう。
これが3コス2体ではなく合計6コスだったらどれほどマシだったか…(デュエル・マスターズ_プレイスでは実際にその能力に変更された)
まぁこんなスペックでも七英雄の中ではかなり使えるほうである。七英雄内で比べることが無駄とか言うな。
後にオーラヴァインから取ったパロディカード「死滅の大地ヴァイストン」が登場。こちらは優秀な効果を持ったシールド・トリガーで、「フシギバース」や「黒緑ドルマゲドン」に採用される。
ちなみに再録時は下のフレーバーテキストで収録されたが、このカードがパックから出てしまったプレイヤーの反応ともとれると考えると中々興味深いと言える。
暗黒の騎士ザガーン(闇文明)
「つまらん。やつを戦場に出したら、一方的に勝つに決まっている。」――覇王ブラックモナーク
6コスでパワー7000のWブレイカー。それだけである。
最初期の環境ではフィニッシャーとなり得ていたものの、進化クリーチャーなど強力なカードが出てくるにつれ上位互換などが出始め、遂に七英雄行きとなった。
そのせいで「(相手が)一方的に勝つに決まっている」とフレーバーテキストがよくネタにされている。モナークは何でコイツを高く評価していたのだろうか…
ちなみにこちらもブラック・ボックス・パックに再録されたのだが、その時のフレーバーテキストが、
「つまらんやつを戦場に出したら、戦場がどうなるか知っているか?」――究極の覚醒者デビル・ディアボロスZZ
とだいぶ皮肉られたものとなっていた。だがその性能が(ネタ的な意味で)プレイヤーたちに愛され、スマホアプリのデュエル・マスターズ_プレイスではなんと初期デッキのキーカードとなり、プレイマットやスリーブもゲーム内で売られておりバーチャルライバーの加賀美ハヤト氏も愛用している。
そしてデスカール同様、双極篇にて相手クリーチャーを一体破壊+相手の墓地に20体以上クリーチャーがあれば勝利する、闇文明初となる特殊勝利カード「一方的に勝つに決まっている」という呪文を引っさげて帰ってきた。
その後デュエプレ内でのカード人気投票(1位になったカードはリメイクされる)で見事1位を勝ち取りリメイクが決定される。戦国編中盤の頃についにリメイク版が登場したのだがその効果は……
暗黒の騎士隊長ZAGAAN 闇文明 (7)
クリーチャー:デーモン・コマンド 8000
バトルゾーンに出た時、自分の他のクリーチャーを好きな数破壊してもよい。こうして破壊したクリーチャー1体につき、自分の山札、墓地または手札から暗黒の騎士ザガーン1枚をバトルゾーンに出す。
自分の暗黒の騎士ザガーンはすべて「ブロッカー」を得る。
W・ブレイカー
自分のクリーチャーをブロッカーを得たザガーンに変換する強力な効果を持ったカードとなった。いくらザガーンとはいえWブレイカーの大量展開はなかなかの脅威となる。
デーモン・コマンドを大量展開できるため「漆黒戦鬼デュランザメス」や「超神星ネプチューン・シュトローム」等とも相性がよい。
その他、名前が似ている「古の騎士ガザーン」と「迷宮の騎士 サンザーン」、ディスペクター化した「浄黒接続 ウルガーン」、GRクリーチャー化した「暗黒の騎士ザガーンGR」がある。
特にGRクリーチャーの方は実質ノーコストでデメリット無しのWブレイカーが出てくるようなものなので、かなり実戦向きな性能となっている。
アクア・マスター(水文明)
己の弱さが敗北させるのだよ!――アクア・マスター
6マナでパワー4000、相手プレイヤーを攻撃してブロックされなければ相手のシールド1枚を表向きにする能力を持つ。
…表にしたカードのS.トリガーを防ぐわけでもなく、そのカードを自分が使えるわけでもなく、本当にただ見るだけである。しかもこんな使いづらい能力をしているにもかかわらずコイツのレアリティはなんとSR。
そのため長らくデュエマ最弱のスーパーレアカードとして扱われることとなった。
そしてコイツもブラック・ボックス・パックに収録されている。フレーバーテキストも、
相手が強かったのではない。己が弱かっただけだ!――アクア・マスター
と自虐的なものとなっている。
「20周年超感謝メモリアルパック 裏の章 パラレル・マスターズ」では、派生カードとして「Disマスター/「己の弱さが敗北させるのだよ!」」が登場した。
ちなみにアクア・マスターが最初に登場した闘魂編初期の環境では水文明が猛威を振るっており、そのせいか闘魂編の水SRは全体的に酷い性能になっている。
しかも、このアクア・マスターに本来与えられる予定で合った能力は「攻撃してブロックされなかったらターンを追加する」というものであった。この能力があったなら…
偽りの名_イーサン(光文明、火文明)
ハンターも、エイリアンも、我らにとってはただのゴミと同じだ…。――偽りの名 イーサン
七英雄唯一の光文明かつ多色クリーチャーであり、ファンからはそのインパクトのあるフレーバーテキストに敬意を払い「イーサンさん」と呼ばれる。
7マナでパワー7500でブロッカー持ちというスペックを誇るが、イーサンさんの真の強さはそこではない。なんとイーサンさんはバトルゾーンに6体以上いれば、タップトリガーでそれら全て破壊できるのである。
これは呪文「アポカリプス・デイ」と同じ能力であるが、イーサンさんはクリーチャーなので実質5体いれば能力を使うことができる。更に相手はタップトリガーを警戒してクリーチャーを出しづらくなる「イーサンロック」を行うことができる。またブロッカーなので「ヘブンズ・ゲート」で呼び出すことができる。
イーサンさんが2体も出てきてしまえば、もう相手は迂闊にクリーチャーは出せないだろう。
だがこんな素晴らしいスペックにもかかわらず、イーサンさんは決して出しゃばらない。それは環境を荒らさないようにという私たちプレイヤーへの配慮であり、 こうしてデュエル・マスターズをプレイできているのはイーサンさんのおかげなのである。
しかし人気者にはアンチがつきもので、イーサンさんに様々な罵倒を浴びせてくる。
「コストが重い」、「除去耐性がないのにどう生き延びろと」、「相手の数が多ければ攻めきられて終わるし、味方が多いと能力が発動しにくい」…
本来ならば万死に値するような言葉ばかりだが、イーサンさんならきっと許してくれるだろう。
ちなみにブラック・ボックス・パックにはでんぢゃらすじーさんとのコラボイラストで収録されている。
どっからつっこめばいいものやら…。――まご
D2G ゴッドファーザー(火文明)
クハハハハハ、ワシがなぜ燃える炎闘士と呼ばれているか知っているか?ならば、その眼に焼きつけろ!デンジャラスイッチ、オン! ――D2G ゴッドファーザー
インフレが進むデュエマ界に突如彗星のごとく現れた七英雄幻の8人目。
7コスでパワー8000、スピードアタッカーを持ち、自分の場にD2フィールドがあれば何度でもアンタップができる。
D2フィールドがあれば相手のバトルゾーンのパワー7500以下のクリーチャーは全て倒すことはでき、D2フィールドを用いてパワーを上げればミルザムやシリウスといった強力なブロッカーやタップしている相手のエースモンスターも葬ることができるため場を一掃してからWブレイクという流れも可能である。
…自分のD2フィールドが無いとき?ただの召喚酔いしないWブレイカーです。
D2フィールドの張り替え合戦が日常茶飯事な昨今に自分の場になければパワー不足で、D2フィールドがあったとしてもこのカードが出てくる7ターン頃には既にパワー10000超えのクリーチャーがわんさか出てくる。
それならもっと強いクリーチャーを出したほうがよっぽどマシである。
更にこんな性能ながらレアリティはスーパーレア。救いようがない。
後にパワーが1000低い以外はほぼ完全上位互換の「ロビンソン・ジャングルーソ」が登場するのだがこちらはベリーレア。
他の代表的なカスレア達
超神星ブラックホール・サナトス(闇文明)
不死鳥編のストーリーにおけるラスボスのクリーチャーであり、8コストでパワー13000、グランド・デビル、ティラノ・ドレイク、ディープ・マリーン、ブレイブ・スピリットのいずれか3体から進化する進化GVを持つ。
能力は登場時すべての進化クリーチャーの進化元を墓地に置くものと、破壊される際に墓地の進化元と同じ種族のクリーチャーを好きな数手札に戻せるG・L・ゲートを持つ。
絶望を司るという設定を持ち背景ストーリーではそれに恥じない活躍を見せ、イラストも威厳たっぷりなもののその性能は残念の一言。
進化元を墓地に送る効果はメテオバーンなど進化元が必要になる効果には有力だが、逆に言えばそうでない相手にはほとんど効果がない。
G・L・ゲートに関しても進化元を回収できるのは悪くないが、破壊しか対応していないためやや物足りない。更に他のフェニックスはどれもこのクリーチャーよりコストが低く、わざわざこのクリーチャーを使う理由が薄い。
またデュエプレではなんとラスボスの座を剥奪されるという憂き目にまであった。
白騎士の神羅エターナル・ムーン(光文明)
降り注ぐ聖なる光の中から、完全不敗の化身が現れた!
神化編で登場した新種族、ルナティック・エンペラーの一体。8コストでパワー11000、光の進化クリーチャーから進化する究極進化クリーチャーであり、タップされているときに自分のシールドが一枚もなければ自分はアタックされない効果を持つ。
要はタップされていれば相手のダイレクトアタックを受けないのだが、基本的にはタップするために攻撃を行わなければならず、シールドを攻撃すればS・トリガーでの除去や相手の手札を増やすなどピンチになる可能性が増え、クリーチャーを攻撃しようとするとあまり高くないパワーがネックとなってしまう。
また、進化できるのが光の進化クリーチャーからのみと範囲を限定してしまっているのも汎用性に欠けている。
そもそも相手からすればこのクリーチャーを倒してからダイレクトアタックすればいいわけで、抑止力としても力不足である。
おまけにこのクリーチャーが属する白騎士はターン終わりにアンタップさせるサポートが多く、タップ状態でいたいこのクリーチャーと噛み合っていない。
総じてコストが重いのに弱いという悲しい仕上がりとなっており、その残念な性能から一時は七英雄に入っていたこともある経歴の持ち主。今後他の七英雄のようにリメイクや強化に期待したいところである。
ザオヴァナイン・カイザー(水文明、光文明)
2019年のクロニクルデッキ「アルティメット・クロニクル・デッキ 2019 必勝!! 闘将ブレードオーガ」で収録されたカード。
光、水文明の9コスト、パワー9000のWブレイカー。キング・コマンド・ドラゴンとハンターを種族に持ち場に出たときと攻撃時にガチンコ・ジャッジ(お互いの山札の一番上を表向きにし、自分のカードの方がコストが大きければ特定の能力が発動する)を行い、勝てばそのターン相手の呪文を封じることができる。
そもそも同じ9コスト、パワー9000のドラゴンにガチンコ・ジャッジをしなくとも場にいるだけで相手の呪文を封じられる「偽りの王 ナンバーナイン」、「光神龍スペル・デル・フィン」がおり、このカードの居場所はほぼ無かった。
一応ガチンコ・ジャッジに勝てば場を離れても効果は持続する、ハンターのサポートを受けられるなど差別点はあるが、やはりそれでも厳しい点は多い。
また上記のクロニクルデッキが初登場なのだが、そのクロニクルデッキにはこのカードのような新規のカードを入れるためか強力なカードが何枚か収録されていなかったということもあり、貴重なデッキの枠を奪ってしまったという意味でも不満の声も多い。
ちなみにフレーバーテキストが無いため七英雄行きとはならなかった。
しかし不確定要素はあるが呪文ロックは決まれば強力で、「『必勝』の頂 カイザー『刃鬼』」と組み合わせれば、「無双の超越者ファイナル・ストームXXNEX」の追加ターン獲得の条件を満たすことができるなど、使い道が決してないわけではないのが幸いか。
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絶望神サガ・蒼き団長ドギラゴン剣…上記の殿堂入りの中でも、カードパワーやえげつないコンボ性の高さにより、環境を破壊し尽くした為、悪夢の象徴か畏怖の対象。