「……それは宝の山だ…」
概要
風都探偵第8巻「bたちの宝物」のゲスト怪人。
くず鉄やプラスチック、樹脂やゴム手袋などで構成されたロボットの様な左半身と、コードリールや折れた鉄パイプを真っ黒なヘドロ状の液体で接着させた右半身を持ち、宛ら使い古された器物を汚れた油で無理やり繋ぎ合わせたプラモデルやフィギュアを思わせる。
詳細は不明だが、廃棄場に積み上がった大量のゴミを「宝の山」と特別視しており、土足で踏み入る生ゴミ=人間の始末をしている。それ以外では鉄屑などを貪っている模様。
能力
右半身を構成する油やヘドロのような黒い物体は触れた有機物を急速に腐食・溶解させ吸収してしまう性質を持つ。その溶解性はかなり強く、体のヘドロ部分を斬りつけたファングジョーカーのアームファングの刃のほうも傷んでしまうほど。
ただ、この性質は永続ではないようで、ヒートメモリの力などの高熱で焼き潰すこともでき、犯行現場に遺留品と共に残留したヘドロは、翌日の現場検証のころには有害性を失ってただの黒い泥になっていた。
また、溶かした生物の身体や周辺のゴミを食べたりかき集める事で自らの身体の一部に取り込むことも可能。
マキシマムドライブ級のダメージを受けても、ゴミが多くある環境下なら即座に再吸収・再合成を行い再生することが可能で、環境か能力のどちらかを封殺しない限りほぼ不死身となっている。
その正体(ネタバレ注意)
「みんなの事、好きだったのはホントさ。会ったばかりだけど…フィリップくんのことだって…」
「君が…敵でさえなければっ…!」
変身者は吹き溜まりの変人集団「ベイサイド・バッド・ボーイズ&ガールズ(bbb)」の一員、ビリー佛田。
実は5年前にカーレースの事故で半身不随となっており、bbb結成時点で既にメモリを持っていた。
車や乗り物関連のメモリではなく、トラッシュ(ゴミ)を選んだのは、かつて所属していたカーレースチームのメンバーに「走れなくなったレーサーはゴミ同然」と言われたからとのこと。
トラッシュメモリを買ってその力でチームメンバーに復讐した後、後述するある理由から自分に合ったゴミを探すため風都湾岸特別廃棄場を根城にしていた。
そこに千葉秀夫が現れ、「裏風都が隠しておきたい機械を守る代わりに、廃棄場は自分のもの」という取引に応じ、廃棄場の守護者として振る舞い、調査にやってきた一般人を"処理"していた。
そんなある時、廃棄場から見る夕日に惚れ込んで廃棄場の側に住んでいた弁財天源十郎と偶然出会い……、というのがbbb結成の原点である。
そのときに咄嗟にゴミ捨て場にいる理由としてついた「スクラップ車のまだ使える部品たちをかき集めて、走れるオート三輪を一台復元したい」という嘘が、いつの間にか本当に彼の夢になっていたというのは、上記の彼の境遇や体についての思いも少なからず反映されているようである。
探偵としてbbbメンバーの来歴を調べた翔太郎とフィリップの推理により事情を看破され、源十郎たちの前でメモリを使おうとし、正体が露見。
それでもbbbのメンバーやフィリップとの絆で改心しかかっていたが、秀夫が介入したことでドーパントに変身。
CJXと交戦するも、ビッカーシールドに挿し込んでいたヒートメモリから高熱の力を上乗せしたプリズムブレイクで、有機物を溶かす能力を封殺される。
さらにアクセルメモリを装填して放たれたビッカーファイナリュージョンで再生を上回るスピードで焼きつくされ、メモリブレイクされた。
その後は改心の兆しを見せていたが、オーロラ・ドーパントの光線からWを庇い、わずかな骨だけを残して消滅・死亡した。
bbbはフィリップにとって初めてのフィリップの方から自発的に友情を築きにいった友人たちであったため、その一員だったビリーの死はフィリップの心に深い傷を残すこととなった。
尚、ビリーが廃棄場に足を踏み入れたのは自分の身体を早く回復させるためのゴミや部品を探していたから。ゴミを食べて身体を回復できるのは本来ドーパントの身体だけなのが、彼の場合は人間体のほうにもこの治療効果は及んでおり、半身不随から回復している(ときめは変身者であるビリーのハイドープ能力と予想している)。
この能力を裏風都の者たちからは高く評価されある可能性を期待されていた様子である。
この巻ではフィリップは秀夫に「仲間たちが乗り越えさせてくれた結果、自分の運命への憎しみが消えた」と語っており、事故の境遇を仲間に蔑まされ復讐に走ったビリーはある意味フィリップの対照とも見れる。