巽マツリ「父さんが私たち兄弟の生体ウェーブに合わせて作ったシステム・・・」
巽ダイモン「これが、最後の希望・・・!」
巽マトイ 「信じ合う力こそ、俺たちの絆だ!!」
概要
ゴーゴーファイブが災魔一族との最終決戦に際して投入した、「最後の切り札」ともいうべき超巨大ロボ。商品展開においては「ブラック マックスビクトリーロボ」の呼称が用いられることもある。
その名の通り、マックスビクトリーロボと同型の機体ではあるものの、そのボディは黒と金を基調としたカラーリングに改められている他、変形合体機構の排除、集合式コックピットの導入など、その内部機構にも大幅な改修が加えられている。
そして本機の最大の特徴として挙げられるのが、「搭乗者の精神波(生体ウェーブ)をエネルギーに転換する」というシステムである。これはマックスビクトリーロボに備わっていたエネルギー吸収・転換システムをさらに発展させた、「究極のMAXシステム」とも言うべきものでもあり、操縦時にはコックピット内より下がるコードを首に接続することで、これを介して搭乗者の精神波を機体へと伝達させるようになっている。
言ってしまえば、搭乗者が決して諦めない限り本機が発揮できる力は理論上無限である、ということでもある。
巽モンドによる「Max Victory Robot B-Version Σ Project」、即ち本機の開発計画自体は以前から秘密裡に進められ、最終決戦の時点までに一応の完成は見ていたようで、マックスビクトリーロボを始めとするゴーゴーファイブの巨大ロボが全て戦闘不能に陥るという未曾有の危機に際し、速瀬京子を通じて計画のデータファイルがダイモンとマツリに託され、初めてその存在が明らかとなったという経緯を持つ。
そして初投入となった二大破壊神との戦闘においては、鍔が赤いブレイバーソードを武器に激闘を展開。「剣よ、光を呼べ!」の口上に続けてブレイバーソードによるすれ違いざまの一閃と、✕字を描くような斬撃(「マックスビクトリープロミネンス」)を決め、二大破壊神を撃破するとともにエネルギー体として両者に力を与えていた大魔女グランディーヌをも、完全消滅に追いやってみせた。
後にも先にも作中における本機の活躍は、災魔一族との死闘に終止符を打ったこの一度きりであり、TVシリーズの後日談に当たるOV『未来戦隊タイムレンジャーVSゴーゴーファイブ』においても、ゴーゴーファイブの巨大ロボの中で唯一、最終決戦を生き残った本機が使用可能・・・というよりそもそも現存しているのかどうかについて、一切言及されることはなかった。
設定上では使用可能であった各種装備も、作中では前出のブレイバーソードとマックスキャノンのみが使用されるのみに留まっている。
備考
登場の経緯
「進化合体 DX大獣神 ブラックバージョン」(『恐竜戦隊ジュウレンジャー』)以来、玩具オリジナルとして度々展開されてきた戦隊ロボ玩具のブラックバージョンであるが、実際に作中へと登場したケースはこのマックスビクトリーロボ ブラックバージョンが初である。
本作にてメインプロデューサーを務めた日笠淳は、この作中への登場が「最後の盛り上がりを考えているギリギリで、急に思いついた」ものであることを、放送終了から20年あまりが経過した2020年に自身のTwitterにて明らかにしている。
最終回ゆえにスーツを塗り替えても原状復帰を考慮せずに済むことや、商品が先行している分唐突でも視聴者に受け入れてもらいやすいかもという希望的観測から登場に踏み切った結果、実際に視聴者にも多大なインパクトを与え、狙い通り最後の盛り上げの一助となった・・・のだが、ブラックバージョンの発売元であるバンダイとしては別の意味で衝撃を受ける格好となったようで、後に「こんなの最後に出すなら早く言っといてよ!」と、日笠もかなりのお叱りを受けたという(参考リンク)。
実際問題、作中への登場が事前に分かっていれば、限定ではなく一般販売に切り替える形でさらなる売上機会の確保にも繋がったであろうことなどを考えると、バンダイ側からの苦情も当然といえば当然とも言える話ではあるのだが・・・。
海外版
『ゴーゴーファイブ』の英語版ローカライズ作品『パワーレンジャー・ライトスピード・レスキュー』にも、「ライフフォースメガゾード」の名でマックスビクトリーロボ ブラックバージョンが登場している。
最終決戦用のメガゾードとして開発されたという点、それに基本的なシステムは原典とほぼ同様。本作では初登場が最終回の2話前に前倒しされており、原典通りの活躍を披露した。
だがジンクサー(呪士ピエール)によりカードを仕込まれ、帰還した際に本作の拠点であるアクアベース内部に大量のバットリング(使い魔インプス)を呼び込むことになる。さらにはバットリング達によって操られ、アクアベースを壊滅状態へと追い込むも、パワーレンジャー達が乗り込んだ潜水艦の魚雷により破壊されてしまった。原典では最後の切り札として登場したロボが敵に操られ基地を壊滅させるという、日本では考えにくい意外な展開となっている。
その他
それまでの科学的な路線から、最後の最後で精神力をエネルギーにするという、どちらかと言えばファンタジーな方向性に走った感のあるマックスビクトリーロボ ブラックバージョンであるが、長谷川裕一著『もっとすごい科学で守ります!』ではこれについて、「OV『救急戦隊ゴーゴーファイブVSギンガマン』に登場した超装光ビクトリーマーズのデータを反映しているがゆえにこのような操縦方法になったのではないか」と考察している。
言うまでもなく、同書の内容についてはあくまでも非公式な解釈の域を出ないことに留意すべき必要はあるが、仮にこの解釈通りであるとすれば、このブラックバージョンは間接的ながら星獣達の力を受け継いでいるとも言える。
前述の通り限定版としての商品化の他、2020年にはスーパーミニプラとしても、プレミアムバンダイ限定受注生産という形で商品化がなされている(2021年2月発送)。元のマックスビクトリーロボの色変えであったDX版と同様に、スーパーミニプラ版についてもその仕様は先行して発売された「ビクトリーロボ」「ライナーボーイ」の各商品と、カラーリングを除けばほぼ同様であるが、唯一とも言えるオリジナル要素として、合体後のスケールに対応してサイズアップしたブレイバーソードが、通常のブレイバーソードとは別個に付属している。
関連タグ
ゼンカイオーブラックジュラガオーン ブラックオニタイジンムラサメ:いずれもスーパー戦隊シリーズの他作品に登場する、実際に作中に登場したブラックバージョンの戦隊ロボ達
アメイジングマイティ:『仮面ライダークウガ』に登場するヒーロー、およびその形態の一つ。こちらも黒を基調としたカラーリングが特徴で、なおかつ「登場に当たってスポンサーと制作サイドとの間で一悶着が発生した」という点で共通項が見られる一方、こちらはあくまでも「登場自体はスポンサーにも了承を得た上でのことである」という点で相違している
ブラックゴッドライディーン:『超者ライディーン』に登場する巨大戦力の一つ。「最終回において作中に登場したブラックバージョン」という点で共通している一方、こちらはマックスビクトリーロボ ブラックバージョンとは逆にラスボスという立ち位置となっている