概要
四聖勇者が最初に仲間たちに選ばれる時からいた人物。
口元の髭が印象的で騎士のような甲冑に身を包み、両手剣と盾を持ったまさに前衛そのものな男。メルロマルク国内でも結構な貴族の生まれらしい。
だが「力なき正義は無力である」事を履き違えたような歪んだ正義感を抱いており、その態度も傲慢かつ尊大で常に勝ち馬に乗ろうとする、仕えている者に媚び諂いながらも内心では見下している、何より無力な者を悪と見なして踏みにじるなど卑劣な人間性を持っており、それ故か後述するような様々な問題を起こしている。
盾の勇者の成り上がり
最初に仕える勇者を決める際には、一番人気であった剣の勇者である天木錬の仲間となっており、しばらく行動を共にしていたようだがソロプレイヤー気質の錬は堅物で利用し辛く、そこまで優遇をされるわけでもないからか少ししたらいつの間にか離脱しており、槍の勇者である北村元康の仲間になるが元康の女癖の悪さに引いたのか直ぐにパーティを離脱し、弓の勇者である川澄樹の仲間となって、最終的にそこに落ち着いた模様。
メルロマルクの貴族であるというその出自ゆえに、盾の勇者である岩谷尚文や亜人の事ははなっから馬鹿にしており、不快感を持たれた彼からは見た目の印象で「鎧」と呼ばれている。カルミラ島でのパーティ交換でもその態度は改めず挙句の果てには勝手に抜け出した始末。
書籍版では「格下相手に払う礼など無い」と尚文のみならず錬をも「さん」付けで呼び、樹に「勇者としては同格なのですから敬意は払って下さい」と注意されても、「善処します!」と言った舌の根の乾かぬ内に尚文のことは呼び捨てにしていた。
漫画版では、自己紹介しようとしたラフタリアを「どうせ(名前を)覚えない」と遮ったり、彼女にビッチとの言い争いを宥められたときに亜人であるラフタリアや盾の勇者である尚文への嫌味を言ったりしていて、亜人蔑視が強調されている。
樹の序列制度(召喚前の日本で異能力をランク分けされていた、樹のコンプレックスの産物と思われる)によって、肉壁として一番活躍をしている上に世直しの旅として悪へ正義の鉄槌を下す!と言う目的で自由に出来ることもあってか、樹の信頼が高いこの時はマルドにとって良い環境であり、ある意味一番合っている場所だった。(樹としては遠距離を主とする戦闘スタイルの面でマルドのような前衛が必須なため。ただし「勇者の仲間」であることを笠に着て陰で色々とやらかしていたのもこの時期)
その一方で後から入ってきたリーシア=アイヴィレッドを序列最下位に据えてパシリにし、他の仲間と共に虐めていた。カルミラ島では彼女に物品破壊の冤罪を擦り付ける事で追放している。
しかし、霊亀にむざむざと敗北した上に霊亀の封印を解いたのに加担しているのも樹……
と、樹の評判が落ちてきたところで威光を笠に好き勝手やれなくなったことから樹を縛り上げ見捨て、同じように元康を見捨てたマルティ=メルロマルク、基ビッチと共に行動をし、ゼルトブルへと姿を隠した。
樹がゼルトブルへと逃げてきた際に合流したが、そこでも樹に強く当たり樹の自尊心やら何に至るまでを叩き折って、カースシリーズへと目覚めさせる。
樹をカースシリーズに目覚めさせてからはコロシアムで金を荒稼ぎさせて、自分たちは豪遊しつつも国へのクーデターを企て、ビッチ……基ヴィッチと共に装備の調達や三勇教の残党と共に手を組んで、自分を差し置いて成り上がった尚文と女王であるミレリア=Q=メルロマルクを殺害することを目標に樹を操り始めた。
その後、樹の弓から作り出された洗脳の短剣を部下に配布して尚文の村の奴隷やフィロリアルを奪って戦力を増強しつつ国へ徐々にダメージを与えていき、自身はゼルトブルのオークション品であり、かなりの名剣である霊亀剣を奪い取り聖剣と称して武装し、更には武器屋の親父とイミアの叔父が試行錯誤して作り出した霊亀素材を鍛えて作り出された霊亀甲の盾を強奪、盗賊に扮した部下を使ってイミアの叔父に重傷を負わせた件と併せて尚文を激怒させることとなった。
呪いがあまり回復していない状態の錬と手を合わせたのか、錬と尚文がやってきても錬は戦力外、尚文に対しては今の自分の武装なら勝てるだろうとタカを括ったものの、終始一方的にボコボコにされて剣も盾も取り返され、無様な格好で三勇教の研究施設に逃げ出し最深部で樹に懇願して錬、尚文、リーシアを殺すように仕向けさせるも、その前に自分が洗脳されると言う仕返しを食らっている。
その後はカース状態の樹とリーシアが激戦を繰り広げている中、尚文に素手で殴りかかってくるもアトラとフィーロに気絶させられ、樹とリーシアの戦いが終わったところで目覚めた。
目が覚めると同時に「ぐ……正義!」と口走ったり、樹が敗北したのを見て「弓の勇者! まさか倒されたと言うのか! なんと情けない」とどこぞの王様のように言い放つなど様々な迷言を残して尚文が笑いかけたりキレかけたりと感情を忙しくさせていた。
その後は樹の元仲間の連中共々ファラリスの雄牛で焼かれて処刑。燻製のような姿になったことから処刑の様子を見ていた元康に「燻製」と渾名された。
自身がカースへと追い詰めた樹がファラリスの雄牛を模したスキルを使用していたことを考えると、まさに因果応報としか言いようがあるまい。
余談だが、ファラリスの雄牛は煙で燻し殺す処刑器具ではなく熱で焼き殺す器具なので、厳密に言うと燻製呼ばわりは間違い。
しかし、彼が無残な末路を辿ったことを端的に表し、呼びやすさやインパクトにも優れた仇名であることには違いないためどうでもいいだろう。
何より、元康がやり直しで燻製燻製呼びまくっているのですっかり定着してしまっている。
書籍版では
異世界の鎌の眷属器の勇者・ラルクから、三勇教が世間に流布した極悪人としての盾の勇者と勘違いされるどころか「自己満足に満ち溢れ、他者を蹴落とす事に躊躇しなさそうな顔つき、自分こそが正しいと思い込んでいる顔をしていていずれ問題を起こす」と上述の人間性を一目で見抜かれてボロクソに評された。
リーシアの冤罪では自分や樹を差し置いてカルミラ島の波で活躍した事が気に食わなかったからという理由が追加された。
web版とは違いクーデターを起こしておらず、樹に金を稼がせるだけ稼がせてからヴィッチと豪遊しまくり、貰える金が少なくなってくると思った所でヴィッチと共に多額の借金を背負わせてから姿をまたも晦まし、絆の異世界で再登場した時にはいつの間にかセインの宿敵勢力に加担しており、波の尖兵らに同調したせいもあってか自分にとって不都合・不利益な物事はすべて悪と決めつけるなど、言動は以前にもまして支離滅裂なものとなっていた。
斧の眷属器を強引に従わせる形でヴィッチと共に登場、多少なりとも本来の伝説の武器の強化を施している上に様々なトラップと武器を制限させたことで尚文と樹を苦しめ、更にはタクトのようにノーリスクでカーススキルを使えるようになっており、強欲のカーススキルを発動させたことで一時的ながら尚文が本当に死の危険を感じる程に優位に立っていた。
が、乱入してきたリーシアに一方的にボコボコにされ、味方であるはずの波の尖兵の一人「宮地秀正」が、アクセサリーの呪縛から解放された楽器の眷属器が樹の手に渡ったことで、自分の斧を奪おうとしてきた所を殺し、ヴィッチとも仲間割れをしたりとチームプレーが全然出来ていないところを尚文たちに突かれて撤退。セインを甚振っている最中のセインの姉にも助けを要求したが「都合が悪くなったら他の人間に頼るのが正義の味方のやる事か」と正論で返されている。
その後は宮地殺しのかどによって斧の眷属器を没収され、普通の斧でもう一度樹に挑みかかるも、楽器の眷属器の勇者となった樹に完敗した挙句今までの仕返しとしてゼルトブル仕込みの拷問をかけられ、様々な情報を吐かされてから元の世界に戻され処刑される予定。
因みに樹がギルドで貰うはずだった報酬を横取りしたのはコイツで他の仲間もグルになっていた事も、ちょっと猛毒の状態異常にしたらあっさり白状した。事実序盤に樹が報酬の件で尚文に問い詰めた際に「僕の仲間が報酬を受け取りに行っていたがすでに支払い済みになっていた」と言っておりこの時からネコババされていた模様(web版でも同様の事を訴えており、明言こそされていないが同じ事が起こっていたと思われる)。道理で三勇教事件の折から、やたらと尚文に対して敵愾心と殺意を剥き出しにしていたわけである。
(真)槍の勇者のやり直しでは
元康から上述の仇名で(燻製になってない書籍版では、元康が何故か燻製にしてやりたいという理由で)呼ばれ、シルトヴェルト編の終盤に引き起こした凶行から殺害対象に指定されており毎回のごとく殺害される。
シルトヴェルト編では戦争で負けが確定した際に逆上、樹を偽勇者呼ばわりして仲間と共に襲いかかった末に殺害、尚文・元康達に取り入ろうとしたがエクレールによって取り押さえられた。
メルロマルク編では家柄を盾にベッドが硬いことに文句を言っていたり、城内の酒を勝手に飲もうとしたところを潜伏中の元康に発見され、前周のループの原因として爆殺される。(漫画版ではカット)
しかし樹の仲間が一人減っただけで、大斧使いの戦士・ロジールが一位の序列が出来上がっていたため全くといっていいほど影響がなかった。
フォーブレイ編ではクズや赤豚、そして勇者の仲間一行共々元康に皆殺しにされる。
ゼルトブル後編での同場面では(元康が女王から「自分が来るまではできるだけ穏便に」とお願いされたため)パラライズランスを受けて殺されはしないもののその際に情けない悲鳴をあげている。
程なくして赤豚と共に脱獄するも、元康に行動を先読みされ命乞いするも口封じに殺害される。
真・やり直しの伝承のフィロリアル編ではフレオンとの接触で正義感が変化した樹から正義の陰で悪を成していた事が発覚したのと「音楽性の違い」を理由に決別されており、どさくさに紛れて三勇教に与するも教皇諸共殺害される。
尚文一行を追いつめた際にその場にいない樹の代わりにメルティと接触したが、彼女を一方的に子供扱いして話を聞かないそぶりを見せた。
スキル
本当に一部だけのものを挙げる。
ギロチン
錬も使用していた強欲のカーススキル。
無理矢理眷属器を従えていただけのマルドにはデメリットは発生していない模様。
使用の際には「チェーンバインド」「チェンジチェーン→チェーンニードル」と前提スキルを必要とする。
ジェイソンマーダー
かの有名な某殺人鬼のようなマスクを顔に被った状態から強力な斬撃を放すスキル。
後に登場した過去の斧の勇者が普通に使っていたため、カーススキルではないと思われる。
気に入っているのか、それとも威力が高いからなのかやたらと連発している。
このスキルを使っている間だけなのか台詞もワンパターンになる。
チマチマした出来事
書籍版、漫画版では三勇教教皇撃破後のパーティでは、勇者会議の裏でビッチやラフタリアと言い合いをしていたり、アニメ22話では酒に酔った状態からラフタリアの目の前で尚文を散々馬鹿にした上に樹以外の勇者をいらない、と言ったことでラフタリアにキレられ、仲間と共に襲い掛かるも終始ボコボコにされており、取り押さえられて地面に這いつくばっていた。
パワーレベリングに胡坐をかいて基礎鍛錬など全くしなかったせいで尚文言うところの「レベル上昇に実質が伴ってないヘッポコ(そのくせ「レベルが高い=偉い」と勘違いしているのだからタチが悪い)」に成り果てており、アニメ23話では後ろ歩きでぶつかった相手がラフタリアだと見るや派手に舌打ちし、「文句があるなら腕相撲で勝って見せろ」と挑発したのか、腕相撲をしたもののレベルの上昇に驕らず鍛錬も欠かさなかったラフタリアの腕を全く動かせずに簡単に敗北している。
書籍版6巻の番外編「弓の勇者の世直し」にて「自分の家系の領地に悪などいない」などとのたまい、樹を必死になって止める辺り、この男の故郷が如何なる土地柄かは推して知るべし、である。
上述のweb版におけるパーティー交換にてマルドが抜けたその直後、今度は戦士ロジールが横暴な行動を始め、それを尚文が注意したら彼も抜け、次は魔法使いウェレストが…といった負の連鎖を繰り返し、最終的にはリーシアしか残らなかった事から、上から下まで(リーシアを除いて)似たり寄ったりの性格であった事がわかる。こんな連中だったので書籍版でも捕縛された端からあえなく見捨てられた(そもそもロジール達「最初に樹の仲間に付いた三人」視点で言えばマルドなど「後から紛れ込んで来て口八丁で取り入りデカイ面し始めたヨソモノ」でしかない)。かつてリーシアを追い出させ樹を捨てた自分にツケが回って来るとは全く思っていなかったというのだからおめでたい限りである。
漫画版でのカルミラ島の波においては「海に投げ出されていた人々を救助し、ボートに襲いかかる魔物を一刀の下に斬り捨てる」という、この男本来の性格を思えば何とも“らしくない”一幕が見られる。これに前後して仲間の一人である槍使いの女が「何か」を聞いていたのだが、実はその「何か」こそルコル爆樽の不発弾にしがみ付いて泣いてるリーシアの声であり、のちに彼女に冤罪を被せる事へと繋がるその端緒がわかり易く描写されている。もっとも、仮にコイツ等がルコル爆樽を先に目に留めていたとして「こんな物が何の役に立つ!」と足蹴にするのがオチだったろうが。
日常スピンオフ漫画『盾の勇者のとある一日』では樹とセットで登場し、泣いている子供にキレて抜刀しようと構えるもその子供を泣き止ました樹に便乗して仲間と共に親切を押し売りしたり、通りかかった冒険者に樹の素晴らしさを一方的に説こうとしたり等相変わらずの狭量さと独善性を見せている。