「いつまで社長気取りでいるつもりだ? アークを生んでおきながらコントロールできずに、余計な損害を被った。お前は本日付で社長解任だ」
演:丸山智己
概要
仮面ライダーゼロワン第42話「ソコに悪意がある限り」より登場。48歳。
ZAIAエンタープライズ本社から来た男。本社では開発部に所属しており、刃唯阿とも面識があった模様。
アークゼロの撃滅後、ZAIA日本支社に現れると天津垓を解任して「サウザー課」課長に降格させ、代わって日本支社長に就任する。
並行して密かに迅に指令を出し、次なるアークの媒介となりかねない滅を破壊するよう命じるが、アークの意志は誰もが予想だにしなかった最悪の形で再臨することになった。
また天津が『与多垣さん』と呼んでいた事から、彼より格上なのは勿論、ZAIA本社の中でもかなりの地位にいると思われる。
アークが天津によって作られたこと自体は黙認していたものの、そのやり方には反対であったらしく、天津がアークを利用して飛電インテリジェンスの買収工作を進める裏で、天津の障害になるであろうことが予想できながらも、わざわざ迅を復元し、密かに製作していた新たな変身デバイスを渡してまでアークの破壊を目論んでおり、仮面ライダーアークワンの出現以降は、不破諫・刃唯阿の二人に必要物資の提供も望むだけ与えることを明言するなど、天津の尻ぬぐいに奔走している。
劇中での活躍
第42話で登場して以降、天津の後釜に納まる形でアークの完全消滅の為に動き始める。
滅が人類滅亡の為にヒューマギアへの煽動を行い、各地で暴動を起こそうとしている様子から、迅に滅がアークに取り憑かれる可能性があるとして、破壊を命令する。
第43話では或人が仮面ライダーアークワンへと変身した報告を受け、不破と刃の両名にZAIAが全面的にバックアップする代わりにアークを破壊するように命令するが、二人から「ZAIAからは指図を受けない」と拒否されるものの、アークの破壊そのものは了承され、サウザー課長として不破と刃の二人について行く形でアークワンへの調査に向かう天津の行動を了承する。
その後、アークワンによって変身不能にされた三人からの報告を聞き、或人がアークに操られているのではなく、自らの意思でアークに変身していることを知る。
第44話では、迅が破壊されたことで完全に憎しみから人類と敵対することを選んだ滅により、各地のヒューマギアが暴動を起こすようになっており、人類とヒューマギアの戦争が起こることになったとしても人類を守るために行動をする。
ヒューマギアの破壊が人類に対する開戦理由に成りうることを承認した上で、ヒューマギアを破壊してでも人類を守ることを決意し、A.I.M.S.を出動させる。
その後、暴動を起こしていた一般ヒューマギアに対して暴動を停止しなければ破壊することを明言した上で、ヒューマギアを破壊するように命令するものの、以前から天津によってA.I.M.S.はZAIAの管轄から正式に国の組織として復帰するように働きかけられており、これによりA.I.M.S.の指揮権を失い、天津の働きによってA.I.M.S.隊長になった刃によりA.I.M.S.の隊員は与多垣の命令を拒否して武装を解除する。
こうして、天津から横やりを入れられる形になり、それを見てこの争いを止めるのは「力」でなく「心」であると理解したのか、それ以上強引な手段には出ず、ひそかに回収していた迅のバックアップデータを天津に渡しており、迅を復元して滅の悪意を止める様に刃、不破、天津に指示した。
人物評
多少高圧的な言動や強引なやり方が目立つものの、前任者たる天津と比べると、上司としてはかなり真っ当な人物。
それどころか、ヒューマギアと人類の全面戦争という最悪な状況が目前に迫る中で、来るべき事態に向けてZAIAとして人間側が取り得る最善の手段を考え、その弊害もある程度理解したうえで全責任を背負いながら行動する様子は人類側の総責任者の姿のようでもあり、上に立つ人間として果たすべきことをきちんと果たす善意的な人物と言える。
このように、本編中では基本的に心の底から人類の為に行動しており、アークの消滅・再臨と前後して急速に悪化するヒューマギアと人類の間の信頼関係を憂慮して、人類滅亡という最悪の事態を避けるために行動している。
また暴動を起こそうとするヒューマギアに対しても、破壊命令の前にはしっかりと「暴徒は取り締まる、それが人間社会のルールだ」と彼らを対等に扱った上でかなり真っ当な通告をしている。
反面、性急に事を進めようとする行動や裏工作が目立つために、ヒューマギアと人類の関係悪化には歯止めを掛けられておらず、結果「人類とヒューマギアの全面戦争を以てあらゆるものの心に宿り、すべてを滅ぼす」というアークの「最後の結論」の通りに動かされてしまっている節もある。
良くも悪くも、人間の味方と言ったところか。
迅との関係
初登場からまもなくして、第25話にて突如復活した迅は与多垣に復元されたのではないかと言われていた。
第35.5話の迅の通話相手だった可能性が高く、少なくとも初登場の第42話では腕時計型のデバイスを使って迅と連絡を取っていたが、第43話で彼の口から復元したことが明言された。
劇中でも根拠として、
- 迅が天津や刃ですら知らなかったザイアスラッシュライザーを使用していた事(劇中では「スラッシュライザー」としか出ていない為、ZAIA本社が独自に制作した可能性がある)
- アーク等の情勢に詳しく、その破壊を迅に命令し、亡が不破の中にいる事を迅が知っていた。(迅と連絡を取り情報を入れていたと思われる)
- 天津の独断で作られたサウザーについて知っており、その重要性を理解して新たに『サウザー課』を立ち上げた事(少なくとも情報を仕入れていないと不可能)
等の描写がされている。
外伝作品では
仮面ライダーサウザー誕生の裏側を描いたスピンオフ「プロジェクト・サウザー」にも登場。
こちらでは12年前のアークの開発に彼も関与していたことが判明。つまり、天津や飛電是之助と並びアークの生みの親ということになる。
ZAIAでの経歴は天津より彼の方が長く、本社上層部に意見具申する力を持つなど相応に重役の立場にあるようだが、開発部に所属しているだけあって根っからの技術者であるらしく、あるヒューマギアを特殊な形で復元するようある人物から依頼された際には「久しぶりに血が騒ぐ」とつぶやいている。
とはいえ、いわゆるマッドサイエンティストなどの類では決してなく、アークを開発していた当時は「ZAIAと飛電が手を取り合う子供みたいな明るい未来を本気で信じていた」らしい他、亡の「ヒューマギアを解放する」という目的に興味を持ちそのための計画に力を貸すなど、本編同様かなり良識的で真っ当な人物として描かれている。
12年前のデイブレイクの一件から天津を警戒しており、進行中だったザイアサウザンドライバーの開発計画を独断で凍結させようとするやや強引な行動も見られる。
一方、「アークの意志を顕現させたうえでその器ごとアークを破壊する」という亡の計画を知りそれに手を貸した際には、「今度はうまくやれよ」という忠告とともにあっさり天津に対し計画の再開を了承したり、さらにその裏で唯阿に接触して滅亡迅雷.net壊滅後の滅の復元を依頼したりするなど、利用価値を見込んだものに関しては柔軟に立ち回っている。
また、不破諫の脳内に仕込まれたチップに亡の人格が仕込まれていること、さらにシンギュラリティに到達していることを見抜いており、洞察力にも優れている様子。
Vシネマ「ゼロワン Others」では、上司でCEOのリオン=アークランドに反発したことで、長期休暇として退場させられてしまい、消息も不明となった。
余談
苗字の由来は、国際単位系におけるヨタ(yotta、日本語では一𥝱もしくは秭)と推測される。10の24乗を意味し、10の20乗である「垓」の1万倍にあたる。
こうして見ただけでもかなり重要な立ち位置である筈のキャラクターなのだが、本編では物語の最終盤に差し掛かった頃にやや唐突に登場し、且つたったの3話しか登場しておらず、物語で死亡した訳でもないのに他のメインキャラと違い最後の出番以降は作品内で彼がどうなったのかは最終話でも語られる事も無かった。
かと言って少ない出番で全て持っていくような人物として描かれている訳でも無い為、全体的にやや影の薄い人物と化している。
こうなった理由はコロナ禍によって一時的に38話以降の全ドラマパートの撮影が不可能になり、そしてその分を5週に渡って総集編に割き、放送スケジュールの延期が出来なかった為、出番を大幅に減らされてしまった事が原因だと思われる。
その代わりと言ってはなんだが、本編の裏側を描いたプロジェクト・サウザーの後編でメインキャラとして登場しており、こちらでは上述の通りアークの復活それ自体が彼や亡、そして計画を引き継いだ迅の「アークを滅ぼしヒューマギアに自由をもたらす」計画の一端であったことが判明。本編での影の薄さを覆し大きな存在感を放っている。
物語終盤では或人や滅と言ったメインキャラがかつての過ちや悪意に翻弄され、悩み苦しんで迷走する最中、冷静に的確な指示を下し続けた姿に「作中屈指の常識的かつ大人な人物」として短い出番ながらも好感を抱いたファンも少なからずいた模様で、「滅亡迅雷」にてリオンに長期休暇を言い渡された際には「ホントにタダの『長期休暇』なのか…?」「生きていて日本に戻れたとしても、ザイア自体が倒産した今、彼はどうなるのか…?」と不安視する層も。また「バルカン&バルキリー」でも触れられることがなかった為、依然として消息不明である。