はっきりいうと、この作品のテーマはありふれたテーマ─────「生きること」です。
対照的なふたりの主人公を通して、ふたつの生き方を見つめたいと思います。
「人間」と「人間以外のもの」との闘いを通して、人間賛歌をうたっていきたいと思います。
この作品がみなさんに喜びを与え、気に入ってもらえますように。
─────それでは、どうぞ。
概要
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の登場人物で、第1部「ファントムブラッド」の主要キャラクターであるウィル・A・ツェペリのセリフ。
ジャック・ザ・リパー戦にて、波紋法を用いた戦いの思考をジョナサン・ジョースターに伝授する際、「人間讃歌」の用語を用いた。
原作者の荒木飛呂彦先生は、この件についてコミックス第1巻のコメントで「思いつきで書いたもの」と述べていたが、第2部以降も展開される肉体と精神の戦いや作品独自の世界観から、シリーズ・作品を貫くテーマとして「人間讃歌」の表現が用いられることになった。
全文
ノミっているよなあ……
ちっぽけな虫ケラのノミじゃよ!
あの虫は我我巨大で頭のいい人間にところかまわず攻撃を仕掛けて、戦いを挑んでくるなあ!
巨大な敵に立ち向かうノミ……
これは『勇気』と呼べるだろうかねェ
ノミどものは『勇気』とは呼べんなあ
それではジョジョ!『勇気』とはいったい何か!?
『勇気』とは『怖さ』を知ることッ!
『恐怖』を我が物とすることじゃあッ!
呼吸をみだすのは『恐怖』!
だが『恐怖』を支配した時!
呼吸は規則正しくみだれないッ!
波紋法の呼吸は『勇気』の産物!!
人間讃歌は『勇気』の讃歌ッ!!
人間のすばらしさは勇気のすばらしさ!!
いくら強くてもこいつら屍生人は『勇気』を知らん!
ノミと同類よォーッ!!
解説
ジョジョの世界では「吸血鬼」・「柱の男」・「殺人鬼」・「ギャングのボス」・「暴走神父」など、人間性を超越した悪役が登場する。
しかし、主人公やその仲間たちによって受け継がれ続けた、「勇気」「友情」「愛」などの人間の尊い感情の前に巨悪は打ち負け、滅ぼされている。
人間の素晴らしさ「人間讃歌」を描き讃える、それが『ジョジョの奇妙な冒険』という壮大な物語である。
なかには「(イギーやアーノルドたちはいいのか?)」と疑問符を浮かべる読者もいるようだが、彼らは「覚悟」を持って闘い抜いた勇者であるほか、シリーズでは微生物の集合体にして人と遜色ない感情と知性を持つ超生命体というグレーゾーンなキャラクターもいる。何より、主人公と仲間と同じように人間の美しい善性を持っているため許されていると言えよう。
その血の運命
第1部OP曲『ジョジョ 〜その血の運命〜』の2番に、この台詞を思わせるフレーズがある。
すべての始まりである第1部で謳われた「人間讃歌」は、シリーズを通しての「黄金の精神」へと繋がっているのである。
関連タグ
友情・努力・勝利:漫画雑誌『週刊少年ジャンプ』の掲載作品の基本となる三つのテーマ。