秋元「いいねぇ、面白いじゃん。じゃあ、地獄へボンボヤージュするかぁ?」
「世の中というのは、上には上がいるものだ」
「おはよう。今のが人生最後の眠りだ」
「人間として最低以下のクソ女に、言われたくねぇな」
「下衆が。テメェに奥歯なんて要らねぇ。フンッ!」
「ガタガタ騒ぐな。本番はこれからだ」
「どうだ? 歯神経に直接電流を流される気分は? 気絶すら出来まい」
「なら、自分でネジを全部抜いてみろ。電流がなければ助かるかもしれんぞ」
「根性なしが…… テメェが歯を植え替えた水田少年はな、自分で全部の歯を折ったんだ」
「出来ねぇなんて絶対許さねぇ。生ゴミはテメェだ。何の価値もない」
「消毒だ、コノ野郎」
対象
身寄りの無い人間を債務者に轢き逃げさせて、救急隊に偽装した手下を使い病院に拉致。怪我の手術と同時に下の歯を全て「GPS発信機兼拷問具」のインプラントに取り替えることで事実上の監禁を行い、死ねば臓器を抜き取るという方法で違法に大金を稼いだ悪徳女医「岩本」に執行。
概要
古来から続く拷問の一つである「抜歯刑」をアレンジしたもので、ペンチで歯を引っこ抜きドリルで奥歯に穴をあけて電極付きのネジをねじ込み、スイッチを入れることで口の中に高圧電流を流すというもの。
歯神経に直接電流を流されることになるため、対象は激しい痛みと苦痛に襲われることとなる。
経過
伍代から水田少年を紹介された伊集院は、彼から事の顛末を聞くと、即刻岩本の病院にカチコミをかけた。そして護衛に雇われていた秋元もズタボロになる程叩きのめされ、「こんなヤバイのが来るって事は相当悪い事をしている証」として依頼を放棄。岩本はそのまま流川に絞め落とされた。
拷問室で拘束した岩本を流川がぶん殴って叩き起こした。すると岩本は「女の顔を殴るとは、どういう教育を受けてきた。この最低男」と伊集院を指差しながらほざいたが、伊集院は「テメェみてぇな最低以下のクズに言われたくない」と言い放ってその爪の一つをペンチで剥ぎ取り、悔恨の念を問うた。だが、微塵も救いようのない外道である岩本は、「社会から見捨てられたカスどもを私の役に立てただけ。それの何が悪い」と自己正当化の腐れ暴言をほざき散らかした。これにキレた伊集院と流川は、刑を実行に移した。
電極付きネジを歯にねじ込まれ、電流で直に歯神経を苛まれるという苦痛の前に、これまでの外道の中でもとりわけ自らの痛みに弱かった岩本は、すぐに命乞いを開始した。
そこで伊集院は助命の条件として、歯に挿さったネジを全て自力で抜き取るよう命令。しかし根性無しの岩本は12本のネジのうち3本を抜いたところで音を上げ、命乞いを繰り返すばかり。
それに対し伊集院は「水田少年は自力で下の歯を全て折った。だから出来ないとは言わせない」「社会から見捨てられたカスはテメェだ」と意趣返しをした。
もはや何も言う事は無いと、流川から劇薬であるフッ酸のボトルを受け取り、中身を「消毒」と称して丸ごと菌以下の外道女の口内にぶち込んだ。その危険性を知ってはいたが為す術のない岩本は、体内が腐食する激しい苦悶の末、白煙と臙脂色の涎を撒き散らかして豪快に絶命。地獄以上の苦しみを味わわせる事は出来たがすぐに死なせてしまった為「一本まるまるは多すぎたかもな」と伊集院はコメントした。
登場人物
- 岩本(いわもと)
今回の断罪対象の悪女。いわゆるヘルスケア・シリアルキラーであり、医者の立場を利用し天涯孤独で身寄りのない人たち(捜索願が出されるなど発覚するリスクが極めて低い)を事故に合わせ、「患者」として自分の病院に「収容」。
保護・治療すると思わせておいて、その実は秘密裏に臓器を売却して処分するというやり口で違法に私腹を肥やしていた腐れ外道。
臆病かつ自分本位な性格で、他人の痛みには全くの無頓着であるが反比例的に自らの痛みや恐怖には極めて弱く、生業から人の恨みを買うと踏んだか、自分の保身のために秋元を金で雇っていた。
最終的に伊集院からフッ化水素酸の原液をボトル一本丸ごと口内に流し込まれ、菌以下の汚物として消毒された。
ちなみに現実のインプラント治療は歯科医師しか行えないはずであり、それを踏まえた場合岩本は医師と歯科医師のダブルライセンスを持っているのではないかという疑惑が生じる。歯学部も医学部も六年制であり、編入制度を利用したとしても卒業までに最短でも10年かかるため、こんな外道な商売を行う為だけにおよそ12年も大学に通っていた(私立の場合は医学部・歯学部ともに学費が高額であり、国公立だとしても相当勉強しないと入学できない)のだとすれば、彼女は伊集院に裁かれた外道の中で最も時間と金を無駄遣いしたと言えるだろう。こんな悪行に手を染めて寿命を縮めるよりは、真っ当に医者として生きた方が良かったのでは無いだろうか。
- 水田(みずた)
今回の依頼主。親を亡くし、他の親族にも引き取りを拒否されたため、施設に入っていた。
野球を生きがいにしており、プロ野球選手を目指していたが、岩本の仕組んだ事故にあってしまい、彼女の経営する病院に入院する羽目に。
そこで親くなった重松氏から真実を打ち明けられ、当初は逃げ出す踏ん切りがつかなかったが、その重松氏が岩本達の手によって死んでしまったことで、病院の悪事を世に知らしめることを決意。
仕掛けが施してあった下の歯を下顎ごと全て折ることで病院から脱出し、五代の元に辿り着く。後にちゃんとしたリハビリを受けた事で回復傾向に向かう事になった。
- 重松老人(しげまつろうじん)
水田氏に岩本の真相を伝えた老人。孫同然の彼を逃がそうとしたが脱走がバレて殺害されてしまった。無論、事件解決における影の功労者である。
- 児童養護施設の先生
水田少年にとって、親代わりと言っていい人物の初老の男性。
仕事柄あまり見舞いに行けなかったことと、水田少年が病院の本性を明かせないよう細工されていた事から、様子のおかしい彼を心配するも一連の陰謀には全く気付けなかった。
依頼完遂後は、リハビリに励む水田少年を温かく見守っていると思われる。
現在京炎戦争で戒炎の援軍として京極組と戦っている半グレ組織・羅威刃の副将。
羅威刃の再建・拡大のためもあり、月200万円で岩本の身辺警護を引き受けていたが、自分を「犯罪者のクズ」と見下す態度が漏れ出ていたため、ハッキリ言ってモチベーションは極めて低かった。また意図してかは不明だが、患者の話し相手にもなっていた模様。
カチコミしてきた伊集院が噂の拷問ソムリエである事に気づき、激闘でセンスとポテンシャルを認められるがボコボコにされた。元々命を張る義理や好意など皆無だった事もあり「200万じゃ割に合わねぇ。こんな奴が来るなんてよっぽど悪いことしてんだろ? 手ぇ引くわ羅威刃」と岩本を見限り、去っていった。
モデル?
今回の外道は医療従事者であることや歯を使った拷問方法、最期はフッ化水素酸を飲ませてトドメを刺すという点などから恐らくモデルとなった事件は八王子市歯科医師フッ化水素酸誤塗布事故であると思われる。
余談
今回は久しぶりに伊集院が外道の歯を意図的に破壊した回となった。前回は極悪政治家の毒殺回で大鳥親子の歯を破壊した時で半年以上ぶりとなる。また、殴り起こされた女外道は岩本が初であったりする(今まで裁かれた女外道は、だいたいが「伊集院や流川に起こされる前に目が覚めて喚く」パターンであった)。なお、惰眠を貪っていたところを叩き起こされた女外道としては二人目となる(一人目はじゃぱにーず魔女裁判回の外道である水谷千鶴子)。ちなみに伊集院が拷問本番前に指を指した外道には、爪剥ぎの付加刑を与える事も発覚もした。
また仮に岩本が口内のネジを抜ききれたとしても、例の如く「外道との約束なんざ守るわけねぇだろ」と一蹴されていた事だろう。
今回の依頼者である水田少年は登場当初は悲痛な姿で現れたものの、最終的には下顎の怪我やへし折った歯は適切な治療を受け、適切なリハビリを受けて回復傾向にあり笑顔で再起を目指す姿で物語は締められた。
数多くある伊集院シリーズのエピソードで清々しく前向きな姿で終われた依頼者とも言える。同時にこの話を境に被害者が肉体的もしくは精神的及びその両方が前向きに回復傾向で締められる話が増えていくのだった。
今回は秋元の登場に焦点が充てられる事になったが、秋元の担当声優である遠山春氏が伊集院シリーズに出るのは三度目である(一度目はタイの拷問ソムリエサーマート、二度目は獅子王組の最高戦力の一角である犬亥鳳太郎である)。
秋元が敵対する相手に向かって屠る際は「地獄へボンボヤージュ」と言う決め台詞を言っているが、自分自身が「(相手も相手だが)地獄へボンボヤージュしかけたよ」と呟いたのも初めてである。
関連タグ
魔女 人種差別 自作自演 マジキチ ヘルスケア・シリアルキラー
駿河問いと燻し責め→地獄の歯医者→昆虫責めと外道ぶっ殺しヒーロー
蓮見紀次による二重昆虫拷問:こちらは秋元が副将として所属している羅威刃の現トップである東雲竜政が登場、こちらも伊集院とやり合って同じくボコボコにされている。
羽柴と如月:愛天雄のツートップ。初登場となった簑踊り回では金の為に女性の外道の護衛をしていたこと、伊集院に敗北したこと、途中で外道を見限ったところなど行動や経緯が今回の秋元と類似している。
佐伯・ゼッターランド・博子:姉妹チャンネルに移動した鬼頭丈二の旅仲間で、岩本と中の人が同じ。かつ歯を無くしたという共通点がある。但しゼッターはこの話の数ヶ月後にアップされた動画で鬼頭と米国に行った際、Jリーガーのホームランボールが当たって上で前歯を無くしてしまったという相違点がある(大ショックを受けたゼッターを見かね、鬼頭が治療費負担することでインプラントに差し替えた)。