ゼイハブ「ギンガマン、てめぇ等には返しても返しきれねぇ3,000年分の借りがある。これがその礼だ、遠慮無く受け取りな!」(最終章)
概要
物語最終盤より登場する「魔獣」の一体。
その名の通り、ギンガマンとの死闘の末に敗れ去った魔獣ダイタニクスの破片が地球に染み込み、惑星の中心を汚染した影響で誕生した生命体である。ダイタニクスが如何にも正統派な怪獣然とした姿であったのに対し、地球魔獣は前足に備わった鋭利な鉤爪、それに後述する幼体のフォルム等からも窺えるように、より刺々しいクリーチャー的な出で立ちが特徴である。
とある事情からダイタニクスを切り捨てたバルバンにとって、この地球魔獣は新たな「船」となり得る存在でもあり、物語最終盤における彼等の作戦行動も「地球魔獣を確保し、これを成体へと急成長させる」ものへとシフトしていくこととなる。
幼体
第四十四章「地球の魔獣」で初登場。
誕生当初の状態で、ワームのような細長い身体に長い前足、そして花のように放射状に広がった形状の頭部が、幼体時の特徴となっている。また未成熟とはいえ、この状態でも既に数メートルクラスの巨躯を有しており、人間大の生命体程度ならば容易に丸呑みにしてしまえる他、口からは強酸性の体液を吐き出すこともできる。
口に限らず、全身から強力な毒素を分泌しており、さらに何らかの外的な働きかけがない限りは基本的に地中奥深くを絶えず移動しては各地を転々とするため、存在しているだけでも地球そのものを汚染していく、正しく「星を滅ぼす」ことを宿命付けられた存在と言える。
ダイタニクスが滅んだ後、10日間に亘って地球魔獣の発生を待ち続けていたバルバンは、その存在が確認されると満を持して活動を再開し、バットバス特殊部隊による「急成長エキス」の投与作戦が展開されていくこととなる。
例によってギンガマンからの妨害もあり、作戦自体は失敗に次ぐ失敗を余儀なくされるものの、それでもギンガマンが阻止できているのはあくまで「地球魔獣の急成長」だけに過ぎず、地球魔獣はその間にも徐々にではあるが成長と汚染を続け、やがて地球の表面にまで広がった汚染はアースさえも蝕み、ギンガマンの転生すら阻むという悪影響を及ぼすまでに至った。
モークの犠牲もあり、どうにかアースを行使できる状態には持っていけたとはいえ、このままでは遅かれ早かれまた同じ状況に陥ることは確実であり、ギンガマンは一刻も早い地球魔獣の根絶を期して、星獣達からその存在を教えられた「おたけび山の仕掛け」を利用し、地球魔獣を誘き出すことに一縷の望みを賭けることとなる。
これは3,000年前のバルバンとの戦いでも、初代ギンガマンと星獣達がダイタニクスを封印する際に利用したものでもあり、リョウマの命がけの行動でこの仕掛けが作動したことにより、目論見通り地球魔獣をおたけび山へと誘導することに成功する。
一方のバルバンも、配下全員を喪って自ら作戦行動に打って出たバットバスがおたけび山へと赴き、地球魔獣を滅ぼさんとするギンガマンと交戦状態に陥るのだが・・・そこへ姿を現した地球魔獣が、携えていた急成長エキス入りのタンクごとバットバスを丸呑みするという事態が発生。
急成長を阻むべく、ギンガマンはレッドにアースを集中させる形で「炎のたてがみ」を繰り出し、地球魔獣を焼却せしめんとするものの、一歩及ばず地球魔獣はついに成体へと急成長を遂げるに至るのであった・・・。
成体
第四十九章「奇跡の山」で初登場。
急成長エキスの作用により、幼体から変貌を遂げた状態。
成長に伴ってその体躯もダイタニクスを凌ぐほどに巨大なものとなり、新たに生えた両脚も含めてよりがっしりとしたフォルムへと変貌。また口も顎が横に裂けるようにして大きく開閉するようになり、山一つ程度なら軽く飲み込んでしまうことすら可能となっている。
その巨大な顎による噛みつきや、口から吐き出す火球、身体から放射する電撃等を武器とし、さらに荒くれ無敵城が頭頂部に合体することで、より巨大化した前足の鉤爪も強力である。
成長を遂げた後、おたけび山を一呑みしてその圧倒的な実力の一端を示してみせた地球魔獣は市街地へと向かおうとし、これを阻もうとする超装光ギンガイオー達を一蹴。さらには荒くれ無敵城とも合体してゼイハブからのコントロールを受けることで、さらなる猛威を振るってみせた。
前述の通り、幼体に対して炎のたてがみを繰り出したことからも窺えるように、地球魔獣をただ撃破しただけでは「その破片から新しい魔獣が産まれる」ことに繋がるため、ギンガマンは超装光ギンガイオーの攻撃にレッドの炎のアースを加えることで、地球魔獣を破片一つ残さず焼き尽くそうと試みるのだが・・・「銀河獣王火炎斬り」や「火炎流星弾」といった技はことごとく地球魔獣に跳ね返され、炎のアースを行使するレッドも著しい消耗を引き起こすばかりであった。
しかし事態の打開を期し、ブルタウラスがナイトアックスを振るって繰り出した「野牛烈断」で無敵城が破壊されると、その一撃で怯んだ隙にギンガマン全員、超装光ギンガイオー、そしてギガライノスとギガフェニックスが全力を振り絞る形で最後の大技・「ギンガ大火炎」を発動。
前述の通り、超装光ギンガイオーの技を次々打ち破ってみせた地球魔獣も、この渾身の一撃には耐えきれず全身を跡形もなく焼き尽くされ、ここに完全消滅の時を迎えた。
地球魔獣はこうして消滅するに至ったものの、手に入れようとしていた「船」も本拠も、そして配下達全てを失いながらも、なおもしぶとく生き延びていたゼイハブとギンガマンとの間で、いよいよ最後の戦いが繰り広げられることとなるのである・・・。
備考
前身ともいうべきダイタニクスが、一度は星獣達を戦闘不能にまで追い込んだのに対し、それを凌ぐ力を持ちながらも地球魔獣はそこまでの実力を発揮できず、ともすればダイタニクス以上に呆気ない幕切れを迎える格好となった。これについては「誕生したてで戦闘経験が少なかった」「本来の操舵士であるシェリンダが戦死していた」といった要因が影響しているのではないか、と指摘する向きもある。
デザインは野崎明が担当。制作サイドからの「ダイタニクス以上に凶悪な、禍々しさの象徴のような魔獣を」とのオーダーを受ける形で、両肩の後方から鎌状の角を生やしたり、若干の抽象的な要素を織り交ぜたりもしつつ、ダイタニクスとシルエットが被らないよう試行錯誤を繰り返したことを後年のインタビューにて述懐している。最終的に荒くれ無敵城との合体を考慮し、顔の位置を低くするとともに頭部に宮殿状のスペースが設けられるに至っている。
関連タグ
メタル忍者テッコツメーバ:『忍風戦隊ハリケンジャー』に登場する敵怪人の一体。再生能力を有し、全身を焼き尽くさないと完全には倒せないという、地球魔獣に近い特性の持ち主である