――異世界の美食。ドラゴンのステーキ、不死鳥の卵、世界樹の果実。
二年前、不幸な事故で異世界に転移してしまった桂木俊一郎は、
第二の人生での退屈な日々に飽き飽きしていた。
テレビもゲームもない異世界での彼の唯一の楽しみは、美味しいものを食べること。
ただ、その食事すら異世界では満足のいくものは少なくて――
金と権力で解決する、メイドと過ごす異世界生活。
今宵の食事は、メイドの日給~日分です。
概要
小説家になろうでのタイトルは『幻想グルメ〜健康で文化的な最低限度の異世界生活〜』。
ガンガンコミックスONLINEよりコミック化されている。(漫画版での原作者名義は「天那光汰」氏)漫画はおつじ氏が担当。
漫画は全7巻で完結。小説家になろうでは2018年12月現在連載を中止している。
異世界に転移した主人公が仕事のために異世界を旅しながら、異世界ならではの珍しい食べ物を堪能するストーリー。魔法と科学が融合した世界が舞台で、時代設定的には中世や近世よりも近代に近い。また多種多様な種族が共存しているが「人間」は主人公以外登場しない。
あらすじ
日本のビジネスマン桂木俊一郎は不慮の事故でこの世を去った…筈だったが、気が付けば異世界で目を覚ます。運よく事業に成功しそれなりの地位を手に入れた桂木俊一郎は、お供にメイドのシルフィンを連れ、仕事のために、そしてまだ見ぬ美味しい食べ物に出会うために、異世界をあちこち旅して回る。
登場人物
- 桂木俊一郎(シュンイチロー・カツラギ)
本作の主人公。日本のビジネスマン。不慮の事故によりこの世を去った筈だったが、目を覚ますと異世界に転移していた。当初は貧民街で詐欺まがいな手段を用いて生計を立てていたが、その実力をバートに見いだされ、成功をおさめ上流階級にも匹敵する富裕層になる。作中では「カツラギ」または「シュンイチロー」と呼ばれる。
美食家で、常にお腹を空かせている。富裕層向けの高級料理も好きだが、庶民向けのレストランや露店などで提供されている大衆料理にも目がない。特に異世界ならではの食材を使った料理には興味津々だが、物珍しさを優先するあまり失敗することもしばしば。
当初は異世界(食事は除く)やその住人たちのことを嫌っていたが、様々な人と出会い、色々な経験を積んでいくことで徐々に意識も変わっていき、「世界を変える」という大きな夢を持つようになる。
- シルフィン
シュンイチローの屋敷で働くメイド。仕事はテキパキとこなすが愛想は良くなく、いくつかの屋敷を転々としていたところを雇用された。普段は表情一つ変えないが、シュンイチローと共に様々な人と出会ったことで徐々に感情を表に出すようになり、特にシュンイチローの仕事や旅行の共をしたときは驚愕したり怯えたり呆然としたりと表情がコロコロ変わる。
友だちがいないことを気にしていたが、リュカやセシリア、シャロンらと身分を超えて友人となるなど、ある意味ではシュンイチロー以上に人生が変わった人物。
種族はWEB版ではエルフだったが、コミック版では獣人(銀狼族)に変更されている。
オスーディア王国
「魔法」が発達した国家。アキタリア皇国との戦争時には多数の魔法使いが戦力として駆り出された。平和になった今では、魔法を使った発電や列車の動力といったエネルギー源としての利用方法が着目されており、インフラの近代化が著しい。
- セシリア・オスーディア・オスーディエルト
オス―ディア王家第一王女。王女の誕生会にて偶然に知り合う。次期女王としての責務を感じつつも、女の子らしく遊びたい年頃。シルフィンとは身分を超えて友人となる。
- バート・サキュバール
4大貴族の1つサキュバール家の当主。先代当主の死後に没落したサキュバール家を復興させるため、貧民街で燻っていたシュンイチローを見いだし急成長する。シュンイチローとは上司でもあり、気さくに話し合える親友。珍しい食べ物や酒、そして厄介な仕事を持ってくる。
- シャロン・エルダニア・ロプス
4大貴族の1つロプス家の当主。数多のリゾートホテルを経営する「ホテル王」。若い令嬢ながらシュンイチローやバートを出し抜く強かな辣腕の持ち主で、その権力と財力は王家にすら影響を与える。
公の場では支配者然とした態度を取っているが、オフの時はだらけている。友達や恋人がいないことを気にしており、シルフィンと友人になってからは、電話を使って個人的な相談を楽しむようになる。
- リュカ
リザードマンの女性。ドラグリュード航空社の経営者。アイジャの弟子で、オスーディア学院を首席で卒業した4大魔法の使い手。学院ではシャロンとも親交があったが、今はどちらとも疎遠となっている。ノーブリュードとは恋仲で、彼のことをノブと呼ぶ。
- ドラグ・ノーブリュード
ドラゴンの男性。公の場ではドラゴンらしい尊大で古めかしい言葉遣いをするが、親しい相手には多少砕けた物言いになる。リュカの恋人で、普段は彼女と共に物資や人員の空輸を行っている。
- アイジャ・クルーエル
エルフの女性。先の大戦で活躍した十傑の一人。魔導機関を利用した鉄道や自動車、魔力を使った発電などを次々と生み出したことから「発明王」の異名を持つ。その技術力を持って異世界の文明レベルを一足飛びで加速させているだけでなく、彼女だけにしか使えない雷の魔法を編み出すなど魔法分野でも抜きんでた天才であり、彼女もまた「世界を変える」という夢を持っている。
無類の酒好きで酔いが回ると服を脱ぎだす。また大変な酒豪でもありシュンイチローどころか酒場の男たちが束でかかっても歯が立たない。
アキタリア皇国
数多くの精霊が住まう国で、精霊の力を借りる「法術」が発達した、神秘と伝統が息づく精霊大国。貴重な食料品の数々の生産地でもある。オスーディア王国と戦争し敗北した。
- サリア・キュリオシテ・アキタリア
アキタリア皇国の第3皇女。皇族の中でも変わり者として知られる親オスーディア派の人物。
自国の強大化のためには王国との交流が必要だが、講和後も民間レベルではいまだに隔たりがあることを憂慮している。
用語
- 4大貴族
オスーディア王国に古くから君臨する貴族の頂点。「リューオー家」「ヴァルホルン家」「ロプス家」「サキュバール家」の4つ。
- オスーディア大戦
オスーディア王国とアキタリア皇国の戦争。近代史上最大とも言われる戦争で7年間続いたが、最終的には十傑の活躍によりオスーディア王国が勝利し、講和が結ばれている。
- 十傑
オスーディア大戦で英雄的な活躍をした10人の魔法使いのこと。そのうちの1人は実は魔法使いではなく魔法じみた剣技を使う武芸者。
- 4大魔法
火、風、水、土の4つの元素の魔法のこと。世界に普遍的に存在する魔力を形にすることが魔法という技術である。基本的には1人1元素だが、稀に2つ以上使える魔法使いが存在し、4つ全てを操れる魔法使いは数少ない。またアイジャは自身オリジナルである雷の魔法を会得している。
- 魔導機関/魔力発電
アイジャが発明しオスーディア王国を一気に近代化させた技術。魔法により動力機関を動かすことで、列車や自動車または発電機を運用している。この技術により魔法使いは単なる「軍事兵器」から「高給取りの代名詞」にまで地位を向上させたが、一方で魔法そのものの可能性よりも、どれだけ魔道機関や魔力発電を効率的に行えるか、という研究のみが盛んに行われるようになり、魔法使いは単なる「燃料」だと揶揄されるようになる。
関連タグ
小説家になろう:2018年12月連載を中止している。シルフィンの種族をはじめとして、ストーリーの展開、キャラクターの性格や設定などが一部異なる。
孤独のグルメ:著名なグルメ漫画。
異世界料理道:なろう出身の作品。その異世界特有の食材が登場する共通点がある。
ダンジョン飯:モンスターを食べる点などが類似する。
外部リンク
小説家になろう版 2018年以後更新停止中