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森は生きている

もりはいきている

藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』のエピソードの一つ。または童話・児童劇『十二月』の邦題。
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ここでは主に『ドラえもん』のエピソードについて解説する。『十二月』については下記の「童話・児童劇『十二月』」を参照。

童話・児童劇『十二月』編集

北国の幼い女王の命令によって、のさなかに4月の花である待雪草(マツユキソウ、スノードロップ)を探しに行くことことになった少女が、で12ヶ月の季節を司る12人の精に出会う物語。

ロシア人の作家サムイル・マルシャークが、スラブ民話『マルーシカと12の月』を翻案して、子供向けの劇の戯曲として書いた。児童文学の形にした出版や、絵本化、映像化等もされている。


概要(ドラえもん)編集

藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』(およびそれを原作としたアニメ)のエピソードの一つ。TC26巻収録。

のび太の自然を愛する優しい気持ちが強調されて描かれたエピソードであり、一方で裏山に依存してしまい、そのまま裏山に籠ることで辛い現実から逃れようとするのび太の心の闇や、彼を心配し、必死に家へ連れ戻そうとするドラえもん友情も描かれている。


ストーリー編集

のび太の帰りが遅いことを心配したドラえもんは「タケコプター」で裏山へ向かう。するとドラえもんの予想通り、のび太が裏山で昼寝していた。

ドラえもんが「そんなに裏山が好きなの?」と尋ねると、のび太は「大好き」と答える。のび太曰く、ママや先生に叱られたり、ジャイアンやスネ夫にいじめられた時はここに来て、温かい陽だまりに寝ころびながら小鳥のさえずりや葉ずれの音を聞くと心が安らぎ、嫌なことを忘れられるのだという。


そのままのび太は起き上がり、裏山に捨てられているゴミの掃除を始める。「自分の居場所を汚されたような感じがして嫌なんだ」と言いながらゴミを片付けるのび太を見て、ドラえもんは「偉い!自然を愛するのは良いことだ!」と感心する。そしてドラえもんはのび太と裏山を仲良しにしてあげようと考え、ポケットから「心の土」を取り出す。


のび太が心の土を砕いてばら撒くと、のび太の目の前に木の葉のベッドが現れた。のび太と心を通わせた裏山が、彼の為に作ったのだ。そのままのび太は木の葉のベッドで昼寝を始める。ドラえもんは「出来るだけ早く帰って宿題をやりなよ」といいながら一度山を下りるが、のび太はそのまま眠り込んでしまう。結局、夕方にドラえもんがのび太を迎えに来ることになった。


数日後、学校が終わったのび太はジャイアンとスネ夫からの野球の誘いを無視し、にランドセルを投げるとすぐに裏山へ向かった。すると裏山はのび太を歓迎し、高い木の上のベッドに案内する。それだけでなく美味しい木の実を落としたり小鳥のさえずりによる子持ち歌を流したりと、のび太が快適に過ごせるよう尽くす。結局この日ものび太は裏山で過ごし続け、夕方にドラえもんが迎えに来ることになった。


そして更に数日が経ち、のび太が野球の誘いを断り続けた為についにジャイアンとスネ夫が怒り出し、彼を追いかけ回す。のび太がそのまま裏山へ逃げ込むと、裏山が彼を守る為に落とし穴を作ってジャイアン達を落としたり、蜂でジャイアン達を追い払う。

のび太は裏山にお礼を言い、雨が降らなかったせいで水不足になっている裏山の為に、ドラえもんから借りて来た「どこでも蛇口」を使用して裏山にたっぷりと水を飲ませてあげた。


その頃、いつも1人で裏山へ向かうのび太を心配したしずかは、ドラえもんにそのことを相談していた。当然ながらドラえもんものび太のことを気にかけており、裏山に夢中になり過ぎている彼を心配し、様子を見に行く。


ドラえもんが裏山に着くと、のび太はキノコのベッドで昼寝をしていた。ドラえもんは「山にばかり籠ってちゃダメだよ」と言うと、のび太は「放っておいてよ。僕は山が好きだし、山も僕のことが好きなんだ」と反論する。

それに対し、ドラえもんは「山より友達と遊ぶんだ!昼寝ばかりしないで勉強もしなきゃ!」と説得しようとするが、のび太の心情を察した裏山がドラえもんを追い払ってしまう。


その夜、夕食の最中そんなのび太を見かねたパパは「ちょっとわがままが過ぎるんじゃないか?」と言う。ママも「今度という今度は徹底的に叱ってやるわ」と言い、帰宅したのび太に説教をする。するとのび太はママの説教に嫌気がさし、そのまま裏山へ引き返してしまう。それを見たママが「これっ!どこへ行くの!?」と言ってものび太は聞く耳を持たなかった。


のび太は「もう家へ帰らない。学校へも行かない。このままずっと裏山で暮らす」と言い出してしまう。しかし裏山はそんなのび太の言葉を聞いて喜んでしまい、ハート型の葉っぱを落としてのび太に気持ちを伝える。

その頃、のび太を追いかけて裏山に来たドラえもんは「のび太君に心の土を貸したのは間違いだった」と考え、ポケットから「心よびだし機」を取り出す。道具を裏山に設置し、起動させると山の心が姿を現した。


ドラえもんは山の心に「のび太君をこれ以上山に近付けないでほしい」と頼むが、山の心は当然「嫌よ。あたし、のび太君が好きだもん」と言い返す。しかしドラえもんがめげずに説得を続け、ついには山の心と言い争いになってしまう。

山の心が「帰りなさい!さもないと恐ろしい目に遭わせるわよ!」と怒り出すも、ドラえもんは決して引かず「やるならやってみろ!どうしてものび太君を連れ戻すんだ!」と言い放つ。すると騒ぎを聞きつけたのび太がやって来た為、山の心は咄嗟に姿を消す。


ドラえもんは「山を下りよう」と言いながらのび太を説得する。しかしのび太は「嫌だ!ここにいれば誰にもいじめられないし、食べ物も山が出してくれる!」と反発する。それでもドラえもんは絶対に諦めず「食べて生きてるだけでいいのか!?このままじゃ君は絶対にダメになっちゃう!」と説得し、のび太は「必ずダメになるぞ!」と言い返す。


しかし、裏山はドラえもんがのび太に投げかけた言葉を全て聞いていたのだ。のび太が「ドラえもんを追い払え!」と言うが、裏山はのび太を落とし穴に落とし、蜂でのび太を裏山から追い払ってしまう。

その様子を見ていたドラえもんは優しく微笑みながら「ありがとう。君、本当にのび太君のことが好きだったんだね」と、姿を消した山の心にお礼を言う。


その後、自宅へ戻ったのび太は優しかった裏山が自分を追い払ったことにショックを受けていた。ドラえもんは「夢を見ていたと思えば良いんだよ。僅かな間だったけど楽しい夢を」と言い、のび太を優しく慰めるのだった。



登場人物編集

ドラえもん編集

自然を愛するのび太の姿に感心し、ひみつ道具でのび太が裏山と仲良くなれるようにする。

しかしそれが原因で裏山に依存してしまったのび太を心配し、彼を元の生活に戻すべく奮闘する。


のび太編集

裏山に捨てられていたゴミを片付けたり、ひみつ道具の力で自我を持った裏山と心を通わせる。

しかし学校や家で過ごすより裏山で遊んでいた方が楽しいと感じ、そのまま裏山に依存してしまう。


しずか編集

のび太が裏山で過ごしてばかりいることを心配し、ドラえもんに相談する。


ジャイアンスネ夫編集

いつものようにのび太をいじめようとしたが、裏山に追い払われてしまう。2008年版ではしずかにのび太を探すのを手伝って欲しいと頼まれて、最初は追い払われたことを根に持って断ろうとしたが、やっぱり心配ではあったようで協力することに。


パパママ編集

のび太の両親。

のび太のことを心配していたが、それ故に厳しく叱りつけたことでのび太は一層裏山に依存してしまう。


山の心編集

裏山に宿っている心で、女神のような姿をしている。

ゴミを片付けてくれたり、いつも自分のことを気にかけてくれるのび太のことが大好きで、ジャイアンとスネ夫からはもちろん、ドラえもんからものび太を守ろうとした。

しかしドラえもんがのび太に投げかけた言葉を聞き、自分の行いが間違っていたことに気が付いて…


ひみつ道具編集

ご存知空を飛ぶことが出来るひみつ道具。

今回はドラえもんがのび太を探す為に使用した。


  • 心の土

これを砕いてばら撒くと、その土地一帯が自我を持つようになり、心を通わせることが出来る。

ドラえもんはこの道具をのび太に渡し、彼と裏山が仲良くなれるようにするつもりだったのだが、結果としてのび太が裏山に依存してしまい…。


これを取り付けると、どこからでも水を出すことが出来る。


  • 心よびだし機

これを取り付けた物の心を呼び出し、目の前に出現させて会話することが出来るようになる。上記のエピソードでは「心の土」の効果で自我を持った裏山に対して使用しているが、水田わさび版アニメオリジナルエピソード「しずかちゃんとおじいの木」に登場した際は、古い大木に宿る心を呼び出していた(この大木には心の土を使用していない)。

ドラえもんはこの道具を使用して山の心を呼び出し、のび太を家へ帰すよう説得しようとしたのだが…。


考察編集

日頃のび太はジャイアンやスネ夫からいじめられてバカにされ、学校では先生に叱られ、家に帰ればママからも怒鳴られ、そのやり場の無い憤りやストレスを発散させることが出来ない日々が続いていた矢先にそれ苦しみを全て受け止めてくれる森の妖精が現れ、それまでの地獄から天国の日々に続くという、正に地獄に仏の幸運を得る。


だがそれが仇となり、森の妖精はのび太の森に対する想像以上の愛や優しさに依存し、のび太も森の妖精の慰めや優しさに依存してしまうという共依存状態に陥ってしまい、のび太は以前よりますます素行が悪化してしまう。


この話は、現代でもでも全く同じ様な実例が挙げられており、一人の人物が赤の他人を助けた結果、その他人は助けた人物に恩義を抱き、あらゆるお礼を返してしまい、同時のその人物もなんでもしてくれるという有難さを抱いてしまい、双方とも何かしらの怒りや絶望感を得た時には互いに慰め合い、結果的に互いが依存し合い離れなくなり、次第に現実をも捨て去り、後にどちらかが死ねばもう片方も心の拠り所を失った末、廃人になってしまったという実例がある。


本作の場合は第三者のドラえもんの介入のおかげで、なんとかのび太と森の精霊を引き離すことが出来たが、もしドラえもんが彼らを見放していればそのままのび太は森に依存し続け、辛い現実世界をも捨て去り、そのまま成長もしないまま子供の性格のまま大人となり、他の人間や社会からも見捨てられ、森が消えれば自力で生き抜くことが出来ない廃人となり、同じく森の精霊ものび太以外の人間を受け入れなくなり、森はのび太を独占し、他の人間たちを拒絶し、やがて森は人間から見捨てられ衰退し、何かしらの大災害が起ても復興させられる事なく、のび太が居なくなればそのまま自然消滅し、共に哀れな末路を迎えるという悲劇的な最後を待ち受けていただろう。


そんな共倒れすら危惧していたドラえもんはのび太や森の精霊を守りたい一心で助け出し、どんなに辛いことや悲しいことがあってもそれを慰めるばかりでは無く、その現実に立ち向かい、受け止めながら成長しなければこの世界では生きて行けないという道徳を彼らに教えたかったのだろう。そして、現実というのは辛いものばかりでは無く、必ずいいこともあることを伝え、その繰り返しを乗り越えた先には幸福が待っていると伝えたかったかもしれない。


この様に、作者は現実社会において職場や学校で辛いことや悲しみを抱いた際に同じ境遇を持った者同士が支え合うのは素晴らしいものだが、それが次第にエスカレートした結果、依存し合い、共にそれ以外の現実等が眼中に無くなり、相方無しでは生きて行けないという事態の可能性もあり、どんなに辛くても決して現実から背かず向かい合って生きて欲しいという人生論を伝えたかったかもしれない。


余談編集

上記のエピソードは大山のぶ代版及び水田版アニメで映像化されており、大山版は1981年及び1991年、水田版は2008年及び2017年に放送された。


  • 1991年版

サブタイトルが「森は呼んでいる」に変更されている。


こちらではドラえもんやしずかだけでなく、ジャイアンやスネ夫、先生ものび太のことを心配する様子が描かれている。また、ドラえもんが山の心を説得する際、原作版では山の心は言葉で脅しをかけるだけだったが、こちらは本当に実力行使に出ており、ツタでドラえもんを締め上げている。


そして特筆すべきは、原作版及び下記の水田版よりも厳しい口調で、尚且つ大山版アニメとは思えないほどに辛辣な言葉を投げかけるドラえもんである。上記の裏山でのび太を説得する際の言葉は「食べて生きてるだけで良いのかよ!?誰だって、たった1人で生きられる訳ないんだぞ!こんなことを続けていれば、君は必ずダメになっちゃう!それでもいいのか!?」という、厳しくものび太を心配する気持ちが読み取れるものになっている(尤も、のび太はたった1人で10年間無人島で生き延びた実績があるのだが)。


帰宅したのび太はやはり両親に叱られたのだが、ママがおにぎりを作ってくれていた。落ち込むのび太に対し、ドラえもんは「裏山君は君のことを思ったからこそ突き放したし、のび太君だって自分が間違っているって、本当は分かっていたんでしょ?」と語り掛ける。のび太はその言葉を聞いて涙を流し、その様子を見たドラえもんは優しく微笑んだ。それだけでなく、のび太がジャイアンやスネ夫と仲直りし、その様子を見たドラえもんが裏山にお礼を告げる場面が追加されている。


  • 2008年版

のび太を叱る際にママだけでなくパパも加わっており、のび太は2人からの説教に耐えきれず、大泣きしながら裏山へ引き返す展開になっている。また、ドラえもんだけでなくしずか、ジャイアン、スネ夫も加わり、4人で裏山へ向かいのび太を説得するという展開になっている。更に、1991年版同様、山の心がドラえもん達に対し実力行使に出ている


また、のび太が裏山から家へ戻った際も、原作版とは違いのび太と両親が仲直りする場面が描かれている。それだけでなく、後日ドラえもんとのび太が裏山から渡されたドングリを庭に植え、「成長したら裏山に持って行こう」と言いながら微笑む場面が追加されている。


  • 2017年版

2008年版と比べて原作版通りの展開になっている。しかし、細かいアレンジが施されており、ママだけでなくパパものび太を叱る展開は2008年版と同じだが、説教の内容や叱り方がかなりマイルドになっており、2008年版同様、のび太と両親が仲直りする場面も描かれている。


それだけでなく1991年版及び2008年版と同様に、山の心がドラえもんに対して実力行使に出ており、ツタでドラえもんを締め上げるだけでなく、ネズミを呼び出してドラえもんを怖がらせていた。更に、山の心はドラえもんに対し「どうしてのび太君に厳しくするのよ!」と問いかけるが、ドラえもんは「それはのび太君に逞しくなってほしいから!辛くても心を鬼にしなきゃいけない時もあるんだ!」と言い放っている。


また、裏山へ引き返したのび太も、原作版及び上記のアニメ版とは違い「僕だって分かってるけど仕方ないじゃないか。勉強も運動も、頑張ったって出来ないんだもの」と言いながら、涙を流して落ち込むという展開になっている。


そして特筆すべきは、1991年版と比べて説得の仕方がマイルドになっているドラえもんである。「このままじゃ君はダメになるぞ!」と警告するところまでは原作版や上記のアニメ版と同じだが、その後は優しい表情で「そりゃ毎日良いことばかりじゃないかもしれないけど、嫌なことばかりでもないだろう?さぁ、一緒に帰ろう?」と続けている(それでものび太は「うるさいうるさい!」と聞き分けなかったが)。



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