「よう 神(オレ)だぜ」
プロフィール
概要
『忍者と極道』に登場するヤクザ。
講男會傘下長澤組若頭。『破壊の八極道』の一人。
男女共に好かれる魅力と絶世の美貌を持つ美中年(イケオジ)。セブンスターが大好きな愛煙家である。
実家は生花店。母子家庭に育っていたが、中学時代母親を病気で亡くして天涯孤独となる。
その後、同級生の友人α(有羽汰駆)とΣ(詩隈殴偉人)、いじめられっ子だったΩ(逢魔賀広偉)と共に暴走族『聖華天』を結成。
気づけば10万人の兵隊を抱え、暴走族神<ゾクガミ>と称されるヤンキーたちのカリスマ的頭目となった。
彼にとっての暴走行為とは「日々の辛さや退屈をブッ飛ばしてくれる夢の世界」であり、黄金時代(オウゴン)であった。
その為ならば、「暴走(ユメ)を邪魔する全部(すべて)」を破壊し尽くすことも辞さない。
聖華天が忍者によって「半殺し」と称し5万人のメンバーを殺害された後、チームは解散し極道ドラフトによって暴力団入りした。当人にとって組に入ったのは就職であって、極道になることに抵抗もなければ拘りも無く、どこかふわふわした心地で大人の世界に足を踏み入れた。
極道としては順風満帆な人生を歩み、やがてなし崩し的に結婚し、娘の花奈が生まれた時には涙を流し歓喜。自分の命に代えても惜しくないとして溺愛するが、いつまでも少年のように浮ついた生き方をしていることを妻に責められ、関係が壊れて離婚。
彼女は後に所属していた組の組長と再婚し、運悪くそこで忍者のカチコミを食らう。その際、反撃しようとした暴力団員の流れ弾によって、偶然事務所に居合わせた花奈が犠牲となってしまった。
結果、「親」として「家族」を守れなかった自分に絶望する。今までは「暴走族(ゾク)卒業し(やめ)て大人になった」ことに対して「悪かねぇ」と感じられていた「大人の生き方」に、なんの魅力も感じられなくなる程に無気力となり、ホームレスにまで落ちぶれていた所を輝村極道・夢澤恒星両名と出会い、破壊の八極道入りを果たす。
同じ八極道であるガムテには「殺島のニイチャン」と慕われている。
現在でもそのカリスマ性はまったく失われておらず、彼が一声かけるだけで地球全土から聖華天の悪童(ワルガキ)たちを瞬く間に招集する。
きわみからの資金援助を受け、3万台の極道車を揃える。そして子供(ガキ)の頃の暴走(ユメ)を忘れられず、大人でいることを苦しむ悪童(ワルガキ)に救済(すくい)を与えるため、大爆走(と周囲数百軒の民家への目くらまし放火)を敢行。
帝都高速道路に屍の山を築くが、しばらく後にしのはと遭遇。極道技巧【狂弾舞踏会】により一度は彼に銃弾を叩き込むが、しのはは頭蓋骨を揺らし弾丸を受け流し無効化、さらに【狂弾舞踏会】を真似したオールレンジ暗刃連撃の前に敗れ、片腕を吹き飛ばされる。
最期に自らのこめかみに銃を突きつけながら死闘の最中に言われた通り
「大人の日々に、困難の日々に心折れた負け犬、それが俺たちだ」
「困難に耐えきれず、暴走(ユメ)に逃げて、人様踏み躙る迷惑な手段でしか幸福(しあわせ)感じられねー、世間の誰からも理解されない"孤独な者"、それが聖華天(おれたち)だ」
「そんな奴らを少しだけ肯定してやりたかった」
と自分達の非や自分勝手さを認めつつ心情を吐露。
その直後、拳銃自殺に見せかけた、自らの頭蓋を利用した文字通り捨て身の跳弾攻撃「世界の終わり」を放つも、その決死の反撃を見切られ、引導を渡された。
死後、花奈の待つ上り階段と、地獄へと向かう下り階段の前に立っている事に彼は気づく。
『どっち行ってもいいのかよ…』
思わず上り階段に向かいかけた殺島だったが、悩んだ末に「人に迷惑を掛けた」事へのケジメとして花奈に「そっちには行けない」と謝り、地獄への階段を下ってゆく。
そこには彼に先んじて散った聖華天のバカヤロウたちが総結集し、彼の号令を待っていた。その期待に応え、殺島は叫ぶ。
ッッしゃぁああオメーラァ!!!
これが最後だ!!!
ビッと気合入れろやァァァァ!!!
暴走師団聖華天!!! 地獄の底まで“出発(デッパツ)”だァ!!!
そうして彼は、自分の『家族』をひとり残らずしっかり地獄に送り届けたのであった。
ちなみに聖華天時代、チ○コに『暴走族神』の刺青をセルフで入れている。
マジパネッス。
能力
リボルバー二挺拳銃の使い手。複数の拳銃を上着の裏地に仕込んでいる。
極道技巧は〝【狂弾舞踏会】<ピストルディスコ>〟。
0.01mmの誤差もなく射抜く射撃力、跳ねた弾丸がどう飛ぶか予測する観察力により実現するオールレンジ攻撃である。
タングステン合金製の高熱にも耐える特殊な銃弾を跳弾によって自在に曲げる腕前を持つ。
しかしながら、要は射撃と観察が卓越していれば誰にでも真似できる技巧であり(実際に初披露時は「地獄への回数券」なしで放っている)、実際ノウハウを教わった輝村極道は後に【狂弾舞踏会】を模倣している。
最後の手段として自らこめかみを撃ち抜き、頭蓋内で反射した弾丸を眼から射出して相手を仕留める奥義【世界の終わり】を披露したが、僅かな迷いを見切ったしのはには通用しなかった。
実力は八極道中七位。あくまで「暴走族」としては強力であった聖華天であっても、極道としてはアマチュアの軍団であった。
なお、拳銃の弾丸すら「バレンタインのチョコ」のごとく溶かす陽日相手では絶対に勝てなかったのではと言われたことがあるが、前述したようにタングステン合金製の弾丸を使用しているためむしろ殺島の方が有利。
ある意味、殺島の最大の能力は鶴の一声で5万人もの暴走族(ヘイタイ)をかき集められる天与のカリスマにあり、数の暴力で大規模暴動をいくらでも引き起こせる社会的影響力こそが彼の異能とも言えよう。
余談
ネット広告で本作が宣伝される際、彼の極道技巧初披露やかつての暴走族仲間を招集したなどのシーンが複数切り取られて流された。結果、彼が主人公クラスと感じてしまうかもしれないが実際は悪役である。
聖華天編は本作の知名度が向上した長編であり、作者も「殺島のおかげ」と語っている。