概要
元々はゆうさみ・ゆらだちという、それぞれの二次創作ネタから派生したカップリングである。即ち、「共に白露型駆逐艦を愛でる者同士」として、(時に時雨とのカップリングが存在する山城も交えつつ)互いに応援しあったりからかい合ったりする仲であったのが、後に史実が明らかになるにつれ、「研究熱心で艤装いじりに没頭すると寝食を忘れる兵装オタク夕張」と「それを叱ったり蹴りを入れたりしながらもその面倒を見る世話焼き幼馴染由良」という関係性が描写されるようになった。
ゲームにおいて
二次創作では根強い人気のある組み合わせだが、ゲーム内やアンソロジーコミックを除くメディアミックスにおいては長らくこの2人の関係について描写されることが無かった。
他の主要なカップリングの内、非姉妹艦の組み合わせについては、
- ゲーム内の台詞でいずれか一方又はお互いに言及する(赤賀・島津風・あぶきた・木曾まる等)
- ゲームシステムの一つである「編成任務」で組まされる(西村艦隊編成任務でのやましぐれ・三川艦隊編成任務での古鷹青葉等)
- アニメ・漫画等のメディアミックスで共演する(アニメにおける瑞加賀・公式4コマにおけるゆきしま等)
と、両者の関係について多かれ少なかれ「公式見解」が示されているのだが、こと由良と夕張についてはそれが全く無い状態が続いていた。
互いの呼び方すら長らく二次創作者の想像に委ねられていたという自由度の高さ故か、二次創作の手法としては二人の関係性について自身の見解を提示しやすいSSの方が、イラストよりも好まれる傾向がある。
2016年秋のローソン×艦これコラボにて、由良と夕張がそれぞれ店内放送を担当した。
公式において由良と夕張が一緒に取り上げられるのはこれが初めてとなる。また、そのコラボで浴衣姿の夕張がお目見えしたのとほぼ同時期に、本家ゲームのほうで由良も浴衣グラフィックが実装されている。この一連の動きは、もちろん「公式由良張」と見るには微妙なラインだが、組み合わせとして運営側が認識している……とは考えてもいいのではないだろうか。
なおこれまで二人の互いの呼び名は全くの不明であったが、今回の店内放送において、由良が夕張のグッズに言及した際「夕張さん」という呼び方をしている。
これに対しては「さん付け=距離が遠い」とする見方もあれば、「お仕事だからさん付けで呼んでいる」という見方もあり、以後の創作においても特に呼び方の統一などは起きていない。
※由良改二実装と同時に由良に時報も実装されたのだが、その中で【夕立以外は相手が誰であろうと(駆逐艦でも)『さん』付けで呼ぶ】事が判明(時報中に確りと『夕立ちゃん』『村雨さん』『秋月さん』『川内さん』『夕張さん』とある)。「さん」付けは単なる由良の癖で他人行儀とか全然そんな事ではなかった。
そして2017年春に実装された夕張の期間限定ボイスにて、由良へ呼びかける台詞が登場した。
内容は少しはしゃいだ調子で由良と四水戦を花見に誘うものであり、由良の口癖である「ねっ」で締めるという非常に仲の良さを感じさせる台詞となっている。もっとも「四水戦も一緒しない?」と言っているあたり、お目当ては史実で由良率いる四水戦に所属していたあの子かもしれないが。
徐々にではあるが「公式由良張」と思われる展開が続いてきた最中「コンプティーク2017年6月号」の表紙を2人で飾るという、由良提督・夕張提督大歓喜の事態が、更にそのコンプティーク6月号のCMを由良と夕張が担当。夕張から由良への呼びかけは「由良」と呼び捨てである事が確定。何よりも由良改二のフィッティングを夕張が手伝っているという内容に色々と想像の翼が広がった(そして実装された由良改二の性能は……夕張、どんな魔改造を施したんだよ……)
そしてエイプリルフールネタと思われた1/1瑞雲が眩しい、瑞雲ハイランドでのイベントでは夕張の中の人と由良の中の人によるとても濃厚な由良張をなされた模様。
※画像はイメージです
そして2018年春。「艦これ」五周年を記念するローソンとのコラボキャンペーンにおいて由良と夕張、2人の組み合わせは正式に「ゆらばり」の呼び名で運営鎮守府公認となった模様
また第三次瑞雲祭り、ズイパラのスタンプラリーでも「夕張のスタンプ台の隣に浴衣姿の由良スタンドがセットされる」という、他のスタンプ台では見られなかった処置をしたことから(初週でスタンプ台とスタンドを取り違えるアクシデントを除いて)、公式でもかなり狙っていた配置となっていた。
さらにHIROTAとのコラボシューアイスの一つである由良シューはみかんアイスに夕張メロン(と佐世保みかん)をブレンド、いわば公式ゆらばり商品と言える代物に。
上記のスイパラのステージイベントにてタニベ氏とブリドカット氏が出演した回では、由良による由良シューの宣伝があったのだが、夕張メロンのくだりで突然夕張が反応するという出オチをしていた。
さらにさらに、2020年1月に実装された夕張改二は、火力・雷装・対空・対潜・回避の最大値が由良改二と全く一緒という、まさかのステータスを使ってのペアルックが実現。
おまけに、新規収録された母港放置ボイスでは由良とちょっかいを掛け合う様が描写されるという公式による大サービスが振る舞われ、ファンを歓喜させた。
史実
計画
帝国海軍の軍備増強計画である八八艦隊計画の第一段階となる八四艦隊案において、軽巡洋艦9隻の建造が計画された。それは八六艦隊案による見直しを経て、5,500トン型軽巡洋艦の球磨型5隻とその改良型である長良型4隻となり、その内8隻目までは予定通りに建造された。
しかし、長良型の4隻目については平賀譲造船大佐の提案(及び頑固な主張・説得)により、3,000トン級の船体に5,500トン級と同等の武装を施した試作艦建造の為に予算を流用されることとなり、八六艦隊案で新たに予算のついた5,500トン型軽巡3隻が長良型四~六番艦として建造されることとなった。
即ち、もしも海軍が平賀氏の主張・説得に折れていなかったら、夕張は他ならぬ長良型四番艦として生まれていたのである。
建造~開戦前
由良と夕張の関係性を語る上で外せないのが、「ほぼ同時期に同じ工廠で建造された」という史実である。
艦名 | 由良 | 夕張 |
---|---|---|
起工 | 1921年5月21日 | 1922年6月5日 |
進水 | 1922年2月15日 | 1923年3月5日 |
就役 | 1923年3月20日 | 1923年7月31日 |
上表の通り、起工・進水は1年違いで就役日に至っては4ヶ月少々しか違わない。
そしてこの2隻は就役早々、1923年9月1日に発生した関東大震災のため東京湾へ急派される。由良と夕張は共に品川方面に配置され、霧島・比叡・北上・名取・木曾等と救援活動を行った。
1932年に発生した第一次上海事変の際には、由良・夕張・大井の3隻で揚子江警備に出動し、1月~3月末まで共に活動している。
この史実から、由良張は幼馴染、又は(しばしば大井を加えた3人で)気の置けない友人同士、という設定が現在のところ主流となっている。
尚、1934年には演習の際に互いに衝突事故を起こし、夕張の艦首が損傷しているが、衝突事故から発生したカップリングであるあぶきたや妙初に比して、この史実がピックアップされることは少ない。
開戦後~沈没
1935年の日中戦争開戦以降、この二隻の関係は途切れることとなる。1941年の対米開戦を経て、1942年10月に由良が沈没するまで、一度も同じ戦隊に所属することがなかったのだ。
ただ、この二隻の戦歴には一つの共通点がある。「最期を白露型駆逐艦に看取られた」という点である。その詳細はそれぞれの個別記事を参照して頂くが、前述の通り由良張という組み合わせは元々この二つのカップリングの狭間から誕生したものであり、ゆうさみ・ゆらだちを前提とした由良張というパターンも根強い。
ただ、五月雨は由良の部下・僚艦であり、由良沈没にも立ち会い乗員救助等もしているが、夕立と夕張の間には直接の面識は無いことから、ゆうさみ+由良という組み合わせは多いが、ゆらだち+夕張という組み合わせは少ないようだ。
二代目
いずれも海上自衛隊にその名を継いだ艦がいた。輸送艦「ゆら」と護衛艦「ゆうばり」である。
艦種は違えど、共に昭和54年度計画で建造された艦であり、地方隊向けの小型自衛艦としていずれも2010年代まで活躍した。
余談だが、「ゆら」と「ゆうばり」はいずれもネームシップであるが、「装備の割に船体が小さすぎるという理由で同型艦の建造が2隻目で打ち切られた」という共通点がある。