レッドキーパーは俺以外ありえない
概要
春場ねぎの漫画『戦隊大失格』の登場人物。単行本の単独表紙は第14巻。
同作に登場する戦隊組織「大戦隊」のトップである。同組織の所属部隊と位階で言うところではレッド部隊の正一位であり、戦隊ヒーロー「竜神戦隊ドラゴンキーパー」のリーダーである(戦隊レッドに相当する)レッドキーパーに変身する。
レッドキーパーとしての活動はレッドキーパーを参照。
人物
戦隊全体の顔役であり、一般市民からの人気も高く、素顔で広告塔としても活躍しており、「理想の上司ランキング」10年連続1位になるほどである。
黒髪でツーブロックの髪型に麻呂眉のような短い眉毛、左目の下に泣きぼくろがある、一見しただけでは好青年に見える容姿。
悪を許さず、自身が正義の戦隊であることに誇りを持っている。かつて犯罪に手を染めていた青嶋庄吾を大戦隊に勧誘し更生の機会を与えた人物でもある(青嶋は後にブルーキーパーとなったが戦死している)。
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赤刎創星の実態
※注意:以降、『戦隊大失格』のネタバレ箇所あり。
表の顔こそ爽やかに見える赤刎だが、裏の顔はおよそ好漢と言い難いものである。
日曜決戦時の戦闘員Dに対する台詞「空気を読め 立場を弁えろ 俺達が正義だ」に代表されるように、(戦隊である以上当然にせよ)怪人に対してはとことん侮蔑的であり、また人間に対しても概ね同様で、観客の子どもについても陰で「そこらじゅうガキだらけ」とこぼしている。これらのこともあってか、後記「戦保談議」において、冒頭10分間の取材の入った時間はどこかで見たような「×」の付いたマスクを付けて沈黙を余儀なくされている(リーダーなのに)。
また、サイコパスで暴力的な気質があり、以下のような行動が見られる。
- Dが行方不明となったため地上に探しに出た戦闘員Fに対し、日曜日でないのに出現したのは日曜決戦の協定違反であることを理由に「正義の名の下粛清」と称して末端の戦闘員相手に明らかにオーバーキルとなる、神具・赤竜サラマンドラの必殺技八岐大蛇(やまたのおろち)で消滅させている(神具は怪人を死に至らしめることができる唯一の武器である)。
- Dに神具を盗られた後に開いた全一位隊員大直会(戦隊たる正一位と従一位による会議)で、そのことを説明する発言が開口一番「ミスっちまった。俺の神具盗られたっぽい」と反省の色がないものである。そして、それを詰問し譲位を迫った従一位の緋村仁に対し、反省して譲位してもいい風に言いながら次の瞬間力任せで壁に押し付け(アニメ版ではこの時に緋村の首を絞めている)、息も絶え絶えになった緋村をタコ殴りにしている。その後明確に殺害した場面こそないものの、血痕に塗れたレッド部隊の戦隊員の体が打ち付けられた壁を背に、自らの手も血に染まったまま平然と食事をしていることから、撲殺の形で粛清した様子が見て取れる(画像は作者の前作の五人組の赤担当による再現)。
- 青嶋庄吾の後任のブルーキーパーを選定する大直会で、会議終盤にお茶を運びに来た従一位代理(緋村を粛清した結果、従一位は空位になった)の小豆大粒に対し、小豆が転倒してお茶をこぼして赤刎に引っ掛けてしまったことから粛清している(これも明確な描写はないが、小豆を睨みつけた後に赤刎が血痕の付いた壁を背にする場面がある)。
- 「戦保談議」にて、オフレコ時間に遷移した後、協会代表理事の薄久保薬師との会話で、薄久保が批判、面罵したことに激怒し、握手した薄久保の右手を握ったままちぎり落としている。この時、従一位代理の梅沢松竹(小豆の後任)になりすまして潜入していた「午」の怪人幹部フワリポンによって作者の前作、前々作、短編集で見たような背面にパイナップルマークの付いたスマートフォンで動画の撮影・配信をされてしまい、これが拡散した結果大戦隊の信用失墜となり、更にスポンサーの逸走から12年続いた日曜決戦の打ち切りにまで至っている。
- アニメでは第4話に登場する2.の粛清に加え、第12話で青嶋庄吾の戦死後、神具の情報をイエロー部隊従一位の錫切夢子(大戦隊の造反分子とも言える存在で、神具の回収を目論んでいる)にリークしていたレッド部隊の男性隊員を発見し、そのまま粛清した後(同様に明確な描写はないが、積み上げられた箱に血痕が付いている)、血の付いた足跡を残しながら歩いてきて大直会に出席している(ちなみに、2.の粛清の対象になった緋村も錫切に神具の情報をリークしている)。
その行動は暴君の独裁者と言ってもいいものであり、小豆を粛清した3.の大直会の後でグリーン部隊従一位翡翠かのんが上官である正一位の千歳(グリーンキーパー)に「どうしてあんな奴の独裁を許してんだ(略)皆でやっちまおうぜ」とこぼすもこれを受けた千歳が「それができたら苦労しないんだよねー」と返す程である。
赤刎創星、転身
※『戦隊大失格』第14巻所収の第125話「戦保怪戦㉕」以降のネタバレを含みます。
戦保怪戦にて怪人保護協会とフワリポンら怪人幹部に勝利し、自らおこなった勝利宣言で市民に大戦隊の必要性を再認識させることに成功した赤刎だったが、その後急転直下の運命をたどる。
戦保怪戦が終わったしばらく後、リュージン君に橋上(明らかに幹線道路の吊り橋である)に一人で呼び出された。リュージン君は戦保怪戦での大戦隊側の被害、またグリーンキーパーとピンクキーパーが消息不明となったことを話し、それに赤刎が「早急に代役を選ぶべきだな」と応えると「今日だけでドラゴンキーパーの半数が入れ替わりか 寂しくなるのぅ」とつぶやいた。
赤刎はその時、橋の支柱の上にピンク部隊の黒子がいることを不審に思ったが、そこへイエローキーパーである黄理谷真夜が現れ、黒子の役割がトラブルの事後処理と隠蔽工作であることを説明すると、リュージン君は赤刎にこう告げた。
「寂しいと言ったのはな グリーンとピンクにだけではない」
「 レッド お前にもだ 」
まさかのリーダーである自分を交代対象の「半数」に含めるという、自分の存在を全否定するかのような配下メンバーによる更迭の宣言に激昂した赤刎に、黄理谷はこう言った。
「だから君自身になってもらう 君の代わりにね」
自身とそっくりの男がレッド部隊のスーツを着て現れたのに驚愕した赤刎に、黄理谷はさらにこう告げた。
「こちらで用意した架空の過去を入れ込む 自分がクローンだなんて知ったら哀れだろう?」
前記の赤刎の過去の行状から、その記憶を引き継がせずに新たなるクローンにすげ替えるというものである。作中具体的な描写こそないものの、赤刎がクローンで、必要な記憶だけ与えられた存在であることを示唆された瞬間である。
そして黄理谷は最後にこう言い放った。
「それじゃ いらなくなったお古は… 新しい顔と交換で」
これに赤刎は再度激昂するが、次の瞬間橋が爆発し、水底に転落した。
これまでの暴虐の報いを受けたかの如き、爆殺による粛清となった。
水中に沈んだ赤刎だったが、記憶を失いながらも命は取り留め、天ノ川市外縁部のスラムに近い川岸に流れ着いた。そこを特撮版『竜神戦隊ドラゴンキーパー』脚本家であった緑川早苗およびその娘の椛(もみじ)と邂逅し、早苗の元で療養していくうちに消された記憶である昔の事を思い出していく。自身が初代レッドキーパーである赤刎創士であったこと、ドラゴンキーパーをリアルで再始動する計画を起こし、僚友であった初代グリーンキーパーで早苗の夫となった緑川貞治を暴力で巻き込み、挙げ句自殺に追い込んだこと…
赤刎が記憶を取り戻したことを知った早苗はこの機に、自らが手がけた特撮版最終回の脚本が世に出せなかったこと、また貞治の一件の恨みから、復讐のため両方の元凶である赤刎を刺殺した。そして赤刎は早苗に恨まれていた事を知り、自らの運命を悟って復讐により死ぬ覚悟をする。
ところがその後スラムに巣食うチョップマンに襲われ、早苗を探索していた黒子の登場により早苗・椛母娘が攫われてしまう。助けに向かうが早苗が自殺していた事を黒子に聞かされるとその理由が「幻の脚本」であると気づき、そして椛の願いに呼応するように黒子部隊を殲滅した。赤刎は大戦隊に怒りを覚えた新戦隊に合流し、自らの地位を取り戻すための戦いを決意するのだった。