解説
第二次世界大戦後期の1943年に実用化した、ソ連最高指導者ヨシフ・スターリン(Iosif Stalin)の名を冠するソ連赤軍の重戦車。
小型設計・強固な重装甲に加え、ドイツ重戦車「ティーガーI」に対抗しうる85mm砲を搭載。
1943年9月時点では赤軍最強の戦車だったが、直後に「T-34-85」や「IS-2」が登場したことで、IS-1の存在価値は一気に失われた。
それでも、IS-1は後に世界の戦車開発を揺るがすこととなるスターリン重戦車シリーズの祖であり、ソ連の重戦車開発において重要な位置を占めている。
開発
ソ連重戦車の祖、KV-1 | 2か月後の発展型、IS-2 |
1942年、ドイツは赤軍戦車を圧倒すべく、8.8cm砲搭載・最大装甲厚10cmの「VI号戦車ティーガーI」を戦線へ投入。
あらゆる赤軍戦車はティーガーに火力・防御力でまったく対抗できなかった。
この脅威に対処すべく、赤軍はティーガーの正面装甲を貫くことのできる85mm戦車砲の実用化を急ぐとともに、それを搭載する新型戦車として「ヨシフ・スターリン戦車」の開発を開始。
1943年半ば、「IS-85」あるいは「IS-1」の試作車が完成。同年夏には試験を通過し、10月から量産が開始されることとなった。
しかし、12月にはより強力な122mm砲を搭載する発展型「IS-2」の量産が開始。
IS-1の生産ラインは1944年1月までに全てIS-2のものに置き換えられていった。
特徴
火力
IS-1の搭載する85mm戦車砲「D-5T」は強力ではあったがティーガーの8.8cm砲には性能で劣った。
このため、IS-1がティーガーを撃破するためには、自身がティーガーに撃破されうる距離まで近づく必要があった。
防御力
正面の全範囲で100mm以上の装甲厚が確保されておりティーガーよりも強固で、1,000m以遠の戦闘ではIII号突撃砲やIV号戦車の長砲身7.5cm砲を無力化しうる程度の防御力を発揮した。
ただ、新型ということが災いし、溶接の強度不足で被弾時に装甲の接合部が取れるという初期不良を抱えていた。
機動力
大戦後期の重戦車としては軽量であり、最高速度こそT-34に劣ったが走破能力では同等だった。
その他
生産開始から3か月間で全ての生産設備がIS-2のものに置き換えられたため、総生産数は107輌に終わった。
登場作品
- 独立機関銃隊未だ射撃中
ソ連軍戦車として本車あるいはIS-2に似た戦車が登場。劇中ではBT戦車と呼称されている。
ソ連の重戦車として登場。
ソ連および中国の重戦車として登場。122mm砲を搭載しIS-2仕様に改造することも可能。
PS2「新コンバットチョロQ」のみ登場。「JS-1重戦車」表記。
「秘密基地潜入!」で主人公を包囲する敵タンクとしてIS-2とともに登場する。同ステージをクリアすると使用可能になる。
同軸機関銃タイプ「T」カテゴリーの武装を装備できる。