もう一つの完成形
IS-6(ИС-6)は、第二次世界大戦末期の1944年11月ごろに試作されたソ連重戦車、時のソ連最高指導者ヨシフ・スターリン(Iosif Stalin, IS)の名を冠する「ヨシフ・スターリン戦車」の一つ。4人乗り。
従来のIS-2の後継として計画が開始され、第100試作工場における開発時の呼称はオブイェークト252/253(Объект 252/253)だった。
同時期にチェリャビンスク・キーロフ工場が手掛けたオブイェークト701・IS-4とはライバル的な関係にあったが、1944年12月にIS-3試作車やIS-4試作車との比較試験で敗退、更に翌年1月には独ティーガーIIが搭載する長砲身8.8cmに対しての防御力不足が判明するなどし、開発計画は中止された。
ただし、既に試作されていた2輌の試験運用に関してはそれ以降もしばらく続けられている。
P虎の後追い
IS-6の開発時の目標はIS-2以上の大火力・重防御だったが、それらの実現には50トンにもなる車重を伴っても十分な機動力が発揮可能で、それでいて信頼性が高いという革新的な駆動系が要求される。
そこで参考とされたのが、ドイツのポルシェが開発したポルシェティーガー駆逐戦車・フェルディナント/エレファントが有するガソリンエンジンで発電・電動モーターで駆動という方式、すなわちハイブリッド駆動方式(ガス・エレクトリック方式)だった。
オブイェークト252が通常の機械式を採った後、オブイェークト253でこれが採用されることとなるが、1945年中の機動試験中にエンジン過熱が原因とみられる火災を発生。
1947年までにドイツの超重戦車マウスから回収したトランスミッションを使うなどして修理されたが、同年中に試験運用は打ち切られた。
登場作品
参考
・【ゆっくり解説】競争に揉まれ消えていった試作重戦車【IS-6】 - ニコニコ動画