概要
見た目は人間と変わらないが、捕食や戦闘を行う際、その目が赫々とした赤色に変わり(赫眼)、感情の昂ぶりによって赫包の種別に応じたタイプの捕食器官「赫子」が赫包からうねるように出現する。
食人は単なる「嗜好」ではなく、本能に根差した「食性」であり、水とコーヒーは飲めるが、固形物では人肉しか摂取する事ができない。
一応、同族の肉も食えるがあまり美味しくはないようで、カネキがレストランに出店された際はセレブ層の多い客人は若干引いており(中には野蛮という者もいた)、カネキ自身も食った際に「腐りかけの魚の腸」と評するほど。
量や戦闘の有無にもよるが、一度の人肉の摂取で一ヶ月ほどは何も食べなくても支障はない。
逆に長期間摂取しないでいると薬物禁断症状に似た飢餓状態に陥り、人肉を欲して暴走する。
人間が食べるような食物も口に含むだけなら可能だが、喰種の感覚では吐き気を催すほどおぞましい味覚と食感を伴い、消化・吸収することができないため無理に食べようとすると体調を崩してしまう。
そのため人間社会に溶け込む喰種は「人間の食べ物を美味しそうに食べるフリ」を習得することになる。
喰種には人間の四倍から七倍の筋力と内臓を潰されても完全再生できる強靭な再生力を持つ。
嗅覚をはじめとする感覚器官も優れており、赫子が与えるさらなる戦闘能力も相まって、生身の人間にはなすすべもなく対人用程度の武器では致命傷を与えることはできない(行動を制限する程度)。
その為、喰種捜査官は、同族が持つ赫子を加工して製造される対喰種武器「クインケ」によって喰種に立ち向かう。
ただし、赫子をうまく扱えない喰種が相手であれば生身の人間であっても常人の数倍のパワーを発揮できる者ならば対抗することが可能。しかしこれはあくまで理論上の話であり、それが出来る人間は全人類の0.01%にも満たない。(例:亜門、黒磐親子)
明らかに生存競争に不利な食性、同族同士で殺し合うように適した赫子の相性など、生き物として不自然な要素が多い種族だが、連載が完結した後もどのように彼らが生まれたのかハッキリ語られる事は無かった。
(一応、ある人物の推測という形で説明はされているが)
漫画のタイトル及び作中の舞台が「東京」という事から勘違いされがちだが、一応日本各地や海外にも生息している。
ただし、作中に登場する海外に生息していた喰種の殆どが迫害されて東京に逃げ延びてきた事や、日本でも一部の地域では喰種が根絶されている事から、東京以外の地域は非常に住みにくくなっていると考察できる。
亜門曰く喰種の真似をする人間もいるようだ
Rc細胞
喰種が持つ特殊な細胞であり、特に赫包はRc細胞の塊と言える。因子(Rc因子)そのものは人間にも存在し、数値にすると200から500、喰種の場合は1000から8000となる。
CCGではRc因子を検出する技術が確立しており、高額ながら検知用のゲート型装置も開発されている。
喰種が人間を捕食する事でRc細胞は赫包に蓄積され活性化される、そのため人肉をきちんと食べていれば赫子の性能を発揮しやすい。
人間との関係
その食性から「人類の天敵」と呼べる存在であり、ヒトからは古代より敵視・迫害されてきた。
日本においては喰種対策局という組織が設置され、そこに属する喰種捜査官が同組織で製造されるクインケを用いて日夜喰種の捜査及び討伐を行っている。
喰種は人肉を食べなければ生きていけないため、人間社会に溶け込みつつ、ひそかに人間を殺害して捕食したり、狩りを行えない者は、自殺者の遺体を探したり、他の喰種から人肉を買い取って食料としている。
また、人間社会に溶け込んだ喰種にとって捕食時や戦闘時に目撃され面が割れてしまうことは死活問題であるため、喰種捜査官と対決したり狩りなどに出る場合は基本的にマスクを装着する。
喰種の精神構造は人間と殆ど変わらず、人を捕食する事に対して罪悪感を覚えたり、仲間が殺害された事を嘆き悲しむ社会的感情を持ち、なかには知り合った人間に対して友情や愛情を抱く者もいる。
一方でその生態上、人間を単なる食べ物と割り切って考え無秩序に捕食を繰り返す者や、迫害された事で人間を憎悪するようになる者、下等生物と見下してペットのように飼育したり、惨たらしく殺すショーを愉しむ者も存在する。
喰種社会
喰種は人間社会の裏で喰種独自の社会を形成しており、地区ごとに定期的に会合を開き、規則を定めたりしている他、自殺者の遺体を回収して力の弱い喰種に分配したりする。
喰種独自の組織も存在し、『レストラン』、『アオギリの樹』、『ピエロ』、『赤舌連』などが該当する。
中でも『アオギリの樹』は人間に対して非常に敵対的であり、CCGの手を焼かせている。
赫子ごとの分類・相性
赫子は羽赫、甲赫、鱗赫、尾赫に分類される。
基本は一人に付き一種類の赫包が原則だが、笛口雛実やナッツクラッカーのように複数のタイプの赫包を持つ者もいる。
羽赫
肩付近に赫包を持つタイプ。赫子は羽か翼のように展開し、四種類の中でも非常に俊敏。
射撃攻撃を行えるため遠近両方に対応できるが、常に放出しながら使用するため、消耗しやすい。
基本的にRc細胞をガス状に展開するタイプが殆どだが、不知吟士の様に固形化した赫子をミサイルの様に打ち出す変わり種も存在する。
甲赫
肩甲骨下付近に赫包を持ち、放出される赫子は金属質で頑丈な性質を帯びる。耐久力に優れるが、その装甲の重さゆえスピードが殺されやすい。
鱗赫
腰付近に赫包を持ち、鱗に覆われた触手か触腕のような赫子を展開する。しなる赫子から繰り出される一撃の威力はピカ一。さらにRc細胞の結合力に優れ、再生力に優れるが、結合のしやすさは脆弱さにも繋がっており、再生力を超えたダメージを負えばひとたまりもない。
代表的な喰種:神代利世、金木研、大守八雲、カナエ=フォン・ロゼヴァルト
尾赫
尾てい骨辺りに赫包をもち、尻尾のように伸びる赫子を展開する。ミドルレンジでの戦闘を得意とするが、その他は突出した長所も短所もない。決め手には欠けるがバランス面において優れ、尾赫タイプの赫包から作られたクインケは新米の喰種捜査官に持たされることも多い。
相性
これらの赫子にはそれぞれ戦闘における相性が存在する。
簡単にまとめると
- 羽赫は甲赫に弱い:威力に劣る羽赫は甲赫の防御を貫けず、持久戦に持ち込まれると圧倒的に不利になる。
- 甲赫は鱗赫に弱い:重くて動きの遅い甲赫では、装甲を貫く威力をもつ鱗赫の的になる。
- 鱗赫は尾赫に弱い:赫子が脆い鱗赫は尾赫の攻守バランスに容易く崩されてしまう。
- 尾赫は羽赫に弱い:器用貧乏の尾赫は羽赫のリーチとスピードに追い付けない。
治癒力の高い喰種といえど、赫子によって負わされた傷は放たれたRc細胞が毒素として伝わり治癒が遅れ、特に相性の悪い赫子は更に強力な毒として作用する。
なお、あくまで「相性」であり、実力次第ではひっくり返すことも可能。作中では羽赫のトーカが甲赫の月山に対して辛勝したケースもある。
亜種・変異種
赫者(かくじゃ)
同族を喰らう喰種の中からまれに現れる強力な個体。「覚者」とかけたネーミングである。
元々持っていた赫子のほか、全身を包むように発現する赫子を獲得しており、その戦闘力は極めて高いが力を制御できず暴走する場合が殆ど。
全ての喰種が共喰いを繰り返せば赫者になれる訳ではなく、作中では過剰な共喰いによって赫子の制御ができなくなって命の危機に陥った喰種も登場した。
隻眼の喰種
喰種と人間とのハーフ、名前は赫眼が片目のみに発現することに由来する。
人間の血が入ってはいるが、人の食物をとることはできないなど生態は通常の喰種とほぼ同一。
喰種が母親の場合は吸収され、人間が母親の場合は喰種に必要な養分(人肉内のRc細胞)を得ることが出来ず餓死する事や、仮に誕生したとしても大抵は後述の半人間として産まれる為、非常に稀な存在。
雄の馬と雌のロバから生まれるラバが両親よりも優れた能力を持つように、隻眼の喰種は通常の喰種を超える圧倒的な力を持つ。
半人間
喰種と人間とのハーフのうち、喰種の力を受け継げずに誕生した者達。
通常の人間よりも身体能力は高いが、寿命は極端に短い。
人工喰種(半喰種)
人間が赫包を移植された事で、後天的に喰種に変異した存在。
通常は赫包が人間の身体に適合しないので、肉体が肥大化して理性を失うだけでなく、赫子を使う事もできずに死亡すると自分の赫子に食われるのだが、まれにRc細胞が人間の身体に適合して隻眼の喰種と同じ特性を得る者もいる。
後にこの技術は体系化された事で成功率が格段に上昇し、「クインクス」や「オッガイ」という様々なバリエーションの人工喰種が登場した。