寿司
すし
概要
現代において「寿司」と言う時、酢飯を使った日本料理を指す事がほとんどであるが、その原型は魚(おもに淡水魚)の保存方法の一つである「なれ寿司」という発酵食品(米の乳酸発酵を利用したもの)であると言われており、米を漬け床として使い、熟成後に米を捨てて魚だけを食べるものであった(現代に残るなれ寿司の一種であるフナ寿司では、漬け床の米を食べる人もいる)。
ちなみに延喜式(10世紀頃の本)には、「鹿すし」「猪ずし」が作られていたと書かれている。
資料がないので確実な事は言えないが、この形のスシは弥生時代から作られていた可能性がある(中尾佐助『料理の起源』)。
安土桃山時代頃から酢飯を使った寿司が現れる。
この時期に現れた寿司は押し寿司であるといわれ、江戸時代には日本各地でさまざまな寿司が誕生する。
握りずしが現れたのは、江戸時代の江戸での事。華屋与兵衛が発明したとされている。
ただ、その握りずしも現在のものとは全く違い、まず酢飯が一口サイズのものではなく、どちらかといえばおにぎりに近い大型で、町民・庶民が銭湯上がりにつまむ、庶民的なものであった。
伝統的な江戸寿司ではネタに生物を使わず(使ってもしっかりと醤油に漬け込んだ「ヅケ」)、しっかりと下味をつけ、煮たり焼いたりと調理を加えるのが作法であった。
現代のように生魚を使い、握りのサイズが一口サイズに小さくなったのは明治時代後期から大正時代頃の事である。
関東大震災後、被災した職人が各地に移り、江戸前寿司が全国に広がった。
カリフォルニアロールはアメリカ合衆国で日本人の寿司職人が開発し、1980年代以降、世界中で食べられるようになっていった。
SF・サイバーパンク作品においては、天然食材が希少で高価な物として扱われている事を示すために登場するケースが多い(ニンジャスレイヤーなど)。
お寿司アレコレ
- 握り寿司:小さく握った酢飯の上にネタを載せたもの。本来は東京の郷土料理だが、関東大震災後これが全国に広まり、寿司の主流になっている。
- 巻き寿司:海苔に酢飯を敷き詰め、具材を芯にして巻いたもの。関東では具材が一つだけの細巻きが主流だが、関西では恵方巻きに代表される太巻きが主流。
- 押し寿司:木枠に酢飯を敷き詰め、その上にネタを置いて押し固めたモノ。握り寿司や巻き寿司よりも古い形態で、北陸地方の鱒寿司(笹寿司)、岐阜県の朴葉寿司、北海道の松前寿司、福岡のかます寿司、京都の鯖の棒寿司、奈良の柿の葉寿司など、各地に伝統的な郷土料理としての押し寿司がある。
- 箱寿司:上記の押し寿司に似ているが、押し寿司とは違い具材を数種類使ったカラフルな大阪の寿司。古くは持ち帰りのお寿司はこの箱寿司を指したが、近年握り寿司にその地位を奪われ、職人が激減してしまっている。
- なれ寿司:魚を米に漬けて発酵させたもの。米は食べない。寿司の原型に近い姿を残す。長期間漬けて液状になったものもある。鮒寿司はなれ寿司の一種で、フナのエラを取り除き米麹や野菜と共に漬け込んだ滋賀県の郷土料理。
- 早寿司:なれ寿司の発酵時間を短縮したもの。なれ寿司とは違い米も食べる。
- ちらし寿司:桶に敷き詰められた酢飯に、錦糸卵や桜でんぷなどの具材を満遍なくちらした寿司。ひな祭りに良く出てくる寿司。細かく切った魚介類をちらすとバラちらしになる。地方によって製法や具材が変わる、ある意味最もポピュラーな寿司とも言える。岡山県の郷土料理「ばら寿司」もちらし寿司の一種。
- 稲荷寿司:甘辛く煮た油揚げに酢飯を詰めた寿司。酢飯にゴマや細かく刻んだ甘酢生姜を混ぜ込んだり、袋をとじずに口に錦糸卵などをあしらうタイプもある。巻き寿司同様東西で形が異なるのが特徴。
- カリフォルニアロール:カニカマ、アボカド、マヨネーズなどを裏巻き(酢飯の内側に海苔を巻き込み、海苔が外から見えないようにする)にして白ゴマなどをまぶした巻き寿司の一種。生魚や海苔に抵抗感を持つ外国人でも食べやすく、海外の人はこれから寿司になじんでいく事が多い。
関連イラスト
寿司
オリジナル
版権