概要
中央・総武緩行線のカナリアイエローよりは濃いめの黄色一色塗りという単純極まりない塗色である。イメージは「瀬戸内の太陽」だそうな。
よって、真っ黄色→末期色。
あまりといえばあまりなインパクトに、鉄道ファンからの評判はよろしくない。
塗り分けや帯が一切入っていない一色塗装には、
- 機械らしさがよく出た、旧型電車の茶色と濃緑色
- 新性能車とともに登場した、国鉄(当時)山手線のうぐいす色
- 時代を超越した高級感あるイメージを保つ、阪急電車の栗色
- パノラマカーの塗装から企業そのもののイメージになった、名鉄電車の緋色
- 言わずと知れた、統一感のある鉄道デザインによるJR九州の鮮やかな赤色
などのように、どちらかといえば好評なイメージの物もあるのに、
- 垢抜けないデザインで性能も自慢できない国鉄気動車の、ただ塗っただけ感漂うたらこ色
- 両数が増え過ぎたうえに性能も陳腐化しつつある通勤電車と、それでも引退せず残っている半鋼製車に東武鉄道が塗った微妙なクリーム色
の方にイメージが近いのは、手入れの悪いまま使い倒した旧型車に「安直に既成の色を使い」「ただ塗っただけ」という、デザインとサービス不在のやり方に対する冷たい眼差しも影響しているのだろう。
…ところが地元の若い衆のなかには「幸せの黄色い電車」なんて言う者もいるらしい。
感覚なんて本当に人それぞれである。
まあ、警戒色になるといえばなるよね(棒読み)。
なお山陽地区の黄色電車に限らず、JR西日本の単色塗装(末期色、終色、海坊主、厄満色、おーしゃん、あかんね色)の総称としてもこの語を用いる場合もある。
コスト削減のために単色塗装を実施したというのは、まさしく国鉄末期の首都圏色と同様である(ちなみに気動車に関しても順次首都圏色への塗り替えが進行しており、キハ40系ならまだ「国鉄色のリバイバル」とも取れるため抵抗はあまり無いが、JR以降の車両であるキハ120の鋼製車にも実施されてしまった)。
ただしこの単色化、網干総合車両所の保有車両数が網干本所・支所含め2016年の時点で1800両を超えており(JR九州の全車両を管理する小倉総合車両センターが約1600両)、要件(全般検査など大規模な工程を組む必要のある検査)施工件数が年間1000両を超える事態にも直面していたこと、将来的にはJR世代の221系にも体質改善工事を実施するとなると運行に回すだけの車両が尽きるという危機に瀕していた背景があった。
単色化はまさに危機に直面したJR西日本のウルトラCともいえ、これによって塗装に要する日数の削減(=工場の回転効率改善)ができ、同時に単色化による塗装費削減によって新車導入の資金捻出にも繋がっていることは否定できない。(225系・521系追加増備、広島地区の227系もこのコスト削減によって生まれた資金が利用されている。)
まさかの終了?
2012年11月7日、下関総合車両所からとある115系1編成が出場した。それはR-04編成である。この編成は旧F-07編成先頭車と旧G-03編成の中間車を合わせたものである。しかし問題は塗装である。
F-03編成は広島更新色、G-03は瀬戸内色であった。当然塗り替えがされたのだが・・・なんと瀬戸内色となって出場したのだ。これが意味するものとは末期色終了のお知らせなのだろうか?
だが、その後も元カープ電車や103系など、続々末期色に塗り替えられた車両が出てきたため、中止した訳ではない模様。
なおこれは広島支社の話であってお隣岡山支社はガンガン末期色に塗り替え中。と思われたが、乗客からクレームがきたのか115系D26・27編成は湘南色のまま維持している上、2017年の塗装塗り替えの際に湘南色で出場している。
しかし、広島支社に約30年ぶりの新型車両である227系が投入されることとなり、それに伴い末期色の車両は老朽化が著しい車両から順次置き換えられていくものと思われる。
ちなみに
西隣の会社にも新製時から真っ黄色一色な気動車がある。
だが、こちらは末期色扱いはされていない。
デザインというものがいかに大事かよく分かる例であろう。
またJR西日本と東海の新幹線には真っ黄色で塗られた編成も存在し(ただし、黄色一色ではなく青い帯入り)、時折広島県内も走行するが、こちらも末期色扱いはされておらず、むしろ小さな子供から大きなお友達や果ては一般人からも「見ると幸せになる黄色い新幹線」として親しまれている。
また私鉄でも、前述の阪急や名鉄のほかに、古くから真っ黄色一色な電車を運用している会社があるが、こちらも末期色扱いはされていない。そもそも完全な黄色一色ではなく、先頭車に銀色の飾り帯が付いている。
近年は新型車両の増備で黄色の電車は減りつつあるが。
また、名鉄のお膝元名古屋を走る地下鉄も古くから真っ黄色一色の電車を走らせているが、あれは名鉄の緋色を提案した画家・杉本健吉氏による「地下では明るい色の方が警戒色になる」という提案から来たものであり、また地元では「黄電」と呼ばれむしろ親しまれたことから末期色扱いはされていない。というか、そもそも日本どころかアジア最古の地下鉄やその手本となったヨーロッパの地下鉄でも同じ理屈から屋根以外真っ黄色な電車が走っていたのだから、地下鉄に関しては真っ黄色の方が相性が良かったのかもしれない。
名古屋では黄色の電車は消えてしまったものの、他の2例では(前者は黄色が濃くなりすぎてオレンジ色になったり銀色に取って代わられていたりしたが)現在でも全電車が大部分真っ黄色の電車で運用されている。
山陽電気鉄道では5000系5008Fが別の意味で末期色と呼ばれた時期がある。普段はアルミ無塗装に赤帯テープの組合せだが、該当編成は2018年にカードキャプターさくらクリアカード編のスタンプラリー開催に合わせ、一時的にアルミ無塗装+白に近いピンク色の帯の組合せで運用されていた。しかし、帯変更の際に車体洗浄をサボったのが災いし、汚れた車体と帯の色(赤帯が経年劣化で色褪せたように見える)の組合せが図らずも廃車寸前の末期状態を演出してしまい、悪い意味でマッチングしてしまった。
関連イラスト
関連タグ
「犠牲車」たち
その他の単色塗装の「犠牲車」たち
例外
キハ40系…これらはそもそも新製時が単色塗装(首都圏色)だったため、元に戻されたとも取れるので例外とする。また後藤総合車両所所属車はJR発足時からも首都圏色のままだった。
103系…これらもそもそも新製時が単色塗装であるため例外とする。
同類
JR東日本キハ110系(小海線のリバイバル企画ではあるものの首都圏色に塗られた車両が存在する)