概要
映画ドラえもんの第11作目の作品。
童話のように言葉を話す動物たちが住む星での冒険というメルヘンチックな作風だが、その一方で自然環境の保護と人間による環境破壊の批判が物語のテーマとなっており、原作者の藤子・F・不二夫は「少し露骨だったかもしれない」と語っている。
後に舞台化されている。
ストーリー
ある夜、のび太は不思議なピンクの靄を通って不思議な森に辿り着いた。そこで人間のように立って言葉を話す動物たちを見たのび太は夢の世界だと思い込んだが、翌朝目を醒ますと夢の中で拾ったはずの花が枕元に落ちていた。
翌晩、家の中に靄が発生している事に気付いたのび太はドラえもんと共に靄の先を探検し、川で流されかけていた犬の少年・チッポと出会う。靄の先の世界は動物たちが平和に暮らす、アニマル惑星というべき星だったのだ。
後日、裏山でゴルフ場開発を進める業者を追い払ったドラえもんたちはそこで再び靄を見つけ、しずかと共にアニマル惑星へ向かう。ジャイアンとスネ夫も後を追うが、靄をさ迷った挙句、荒れ果てた廃墟の世界に辿り着いてしまう。
アニマル惑星での生活を堪能したのび太たちはジャイアン達と合流し、地球に戻るが、チッポからの連絡で大昔に動物たちを虐げた種族・ニムゲが攻めて来たことを知り、再びアニマル惑星へ向かう。
レギュラーキャラクター
当初はのび太の夢の話を幼稚だと笑っていたが、彼を追ってアニマル惑星へと向かう。動物ごっこ帽子を被って猫耳を得るが、相変わらずタヌキ扱いされてしまう。
偶然にもアニマル惑星に辿り着き、チッポと友達になる。
動物ごっこ帽子を被って熊に変身したが、特に能力は使っていない。
動物ごっこ帽子でうさぎに変身する。高い聴力を活用する。
動物ごっこ帽子でゴリラに変身する。廃墟の世界がトラウマとなり怯えるシーンが目立つが、自分も体力が尽きかけていたのに溺れたスネ夫を助けようとしたり、ニムゲの襲来を知った時には躊躇わずアニマル惑星に向かう事を決断するなど男気は今作でも健在。
動物ごっこ帽子でキツネに変身。嗅覚を活用する。
裏山が強引にゴルフ場にしようという業者に町民達と抗議に乗り出す。その過程で環境問題を勉強し、のび太とドラえもんによく言って聞かせた。
ゲストキャラクター
好奇心旺盛な犬の少年。アニマル惑星に伝わる伝説を調べるため無茶な冒険をして父親に叱られている。のび太たちと友達となり、彼が異星人でも構わないと思っている。
チッポのパパ(CV.キートン山田)
町内唯一の警察官。無茶なことをする息子に気苦労が絶えない。
チッポのママ(CV.佐々木るん)
ロミ(CV.西原久美子)
チッポの従姉妹。コックローチ団に連れ去られて人質にされたが、のび太に救出される。
ウータン(CV.川久保潔)
町長であるオランウータン。神への信仰心が特に強く信託を受けてニムゲへの対抗策を練る、
ゴリ郎の父(CV.広瀬正志)
ゴリラの船長。近眼のためか、ジャイアンのことを何度も自分の息子と間違えていた。
ゴリ郎(CV.峰あつ子)
連邦警察の職員。コックローチ団に潜入捜査をしており、のび太に協力した。
警察隊長(CV.加藤正之)
連邦警察の隊長。コックローチ団逮捕の指揮を執った。
コックローチ団
ニムゲ総長(CV.森功至)
秘密結社「コックローチ団」の指導者。各組長を配下に置く。その素顔は若い美青年。
ニムゲ組長(CV.小杉十郎太)
コックローチ団の一グループを率いる組長。
ニムゲ団員(CV.西尾徳)
舞台
アニマル惑星
人間のような二足歩行と五本指の手を獲得している動物たち(魚や完全水棲の亀も知能を持ち合わせている)が暮らす平和な惑星。自然エネルギーによる発電や水・光・空気による合成食物の生成、汚水処理施設など自然に配慮した科学技術を持ち、これについてはドラえもんも22世紀の地球以上かもしれないと驚くほど。
その一方で神の争いを禁ずる教えにより平和が基本であったため戦争も武器もなく、国という概念もなく、そのためにニムゲの攻撃には何の抵抗もできなかった。宇宙船の技術も同じ理由で実現されていない。
かつてはニムゲが暮らす星にいたが、星が滅びかけた時に科学者がどこでもドアのような道具であるピンクの靄を生み出し、それを使って動物達を別の惑星へと移住させ、そこでの文明を発達させた。このことは動物たちにとっては神話として伝わっており、その科学者は神として祀られ、みんなその信仰心は強い。
地獄星
アニマル星との二連星で、アニマル星のすぐそばにある星。動物たちはこの星を「月」と呼んでいる。
かつて地球人型種族「ニムゲ」による文明が栄えていたが、文明の発達による環境破壊や核戦争で惑星は荒廃し、生き残った者達は衰退した生活水準となっている。自力での機械生成はままならず、古代のゴミ(ロストテクノロジー)をリサイクルして日用品から宇宙船まで賄っている。
現在では1000年の時を経て文明再建の目処が立っているが、「宇宙は人間のために存在する」と考える一部の過激派達が秘密犯罪結社「コックローチ団」(原作では「ニムゲ同盟」)を結成してアニマル惑星を侵略して乗っ取ろうとした。
余談
上記の通りメルヘンチックな世界観ではあるのだが、謎の靄の中を彷徨う冒頭、無人と化したアニマル惑星、そして地獄星や靄の中から現れるニムゲなど、言い知れぬ不気味さを感じるシーンが非常に多い作品でもある。
また物語中盤、ジャイアンが靄に入る事を嫌がるシーンで会話に紛れて奇妙な呻き声が混じっており、ファンの間では編集上のミス、あるいは怪奇現象ではないかと噂されている(のび太の声だという説もあるが、該当シーンでのび太の口は開いておらず、うめき声を発する理由も見当たらない)。