概要
備中神代駅(岡山県新見市)から備後落合駅(広島県庄原市)、三次駅(広島県三次市)を経て広島駅(広島県広島市南区)に至る国鉄→JR西日本の鉄道路線。総延長159.1km(営業キロ)。
かつては陰陽連絡線の一つとして木次線に直通する急行「ちどり」等が運行されていたが、中国自動車道等の道路整備、伯備線の特急増発・電化等で路線の性格が変化し、現在は備後落合駅と三次駅を境に運転系統がほぼ三分されている。
災害と復旧
2006年
2006(平成18)年7月19日、大雨により備後落合~比婆山間に土砂が流入し、備後落合~備後西城で長期的な運休が発生した。翌日よりバス代行輸送を実施し、翌年の4月1日に運転再開した。
2018年
2018(平成30)年7月7日の西日本豪雨により、芸備線は狩留家~白木山間の第1三篠川橋りょうの崩落等、土砂崩れや路盤流出など各地で甚大な被害を受け全線で運転を見合わせた。
7月23日に下深川~広島間、8月25日に狩留家~下深川間、27日に備中神代~東城間、31日に東城~備後落合間、10月4日に備後庄原~三次間、12月20日に備後落合~備後庄原間で運転を再開した。橋りょうが崩落した狩留家~白木山間を含む狩留家~三次間の復旧は年を跨ぐこととなる。
2019(平成31・令和元)年4月4日に中三田~三次間で朝夕時間帯のみ暫定的に運転を再開したが、7月25日~8月21日は夏季休暇として終日運休した。
その後10月23日、狩留家~中三田間も復旧し、ついに全線で運転再開を果たした。豪雨から1年3ヶ月後のことであった。
2020年
2020(令和2)年3月9日、東城~備後八幡間に土砂が流入し、快速備後落合行きがそこに突っ込み乗り上げ脱線、横転したため、4月28日まで東城~備後落合間で不通となった。横転した車両(キハ120 358)は分割して搬出され廃車となったが、幸い運転士にけがはなく、なんと乗客は1人も乗車していなかった。
利用状況
広島~三次間
広島~三次間で毎時1本程度が確保されており、途中の下深川駅、狩留家駅、志和口駅を起終点とした区間列車も多く設定されている。これらを含めると日中は毎時2本、平日朝ラッシュ時には最大4本が運転される。特にラッシュ時の混雑率はJR西日本管内で第1位をとったこともあり、通勤路線として機能している。
また、平日4往復、土休日上り6本、下り5本、快速「みよしライナー」が運転されている。
非電化路線であるため近年広島支社にみられる車両置き換えの流れから取り残されており、キハ40系列が中心となって活躍している。上りに2本存在する福塩線直通列車とその送り込み運用である下り2本は広島色のキハ120形が使用される。
三次~備後落合間
ここから一気に本数が減少し、1日10本以下になる。三次~塩町駅間では福塩線が乗り入れるが、こちらも6往復程度しか運転されていない。
広島方面からの接続はあまり考慮されておらず、2020年3月改正のダイヤでは初電(三次7時30分着)の接続列車が5時間半後の13時01分発である。終電にも広島18時05分発のみよしライナーに乗車しないと間に合わない。
車両は全列車が広島色のキハ120形で運転される。備後落合駅では後述の岡山色に加え、木次線の塗装を含めた3色のキハ120形の共演を見ることができる。
備後落合~備中神代間
三江線に匹敵するかそれ以上の過疎区間である。全ての列車が伯備線の新見駅を起終点とし、運行本数は2020年3月現在6往復であるが、半分は途中の東城止まりであるため東城~備後落合間は3往復で、この区間は平均通過人員9人/日という驚異的な数字を記録している。
車両は岡山色のキハ120形が中心となって運行されている。ただし、前述の東城~備後八幡間脱線事故に伴う代替車両として使用されているキハ120 357は浜田色のままである。
早朝に1本、下り方面に快速列車が設定されている。これに乗車し備後落合駅で普通列車に乗り継ぐと三次駅で快速「みよしライナー」に接続し、9時半に広島駅に着くことができる。
駅一覧
広島~三次駅間
駅名 | 快速 | 乗り換え路線 | 備考 |
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広島 | ● | ||
矢賀 | ● | ||
戸坂 | ● | ||
安芸矢口 | ● | ||
玖村 | ● | ||
下深川 | ● | ||
中深川 | | | ||
上深川 | | | ||
狩留家 | | | ||
白木山 | | | ||
中三田 | | | ||
上三田 | | | ||
志和口 | ● | ||
井原市 | | | ||
向原 | ● | ||
吉田口 | | | ||
甲立 | ● | ||
上川立 | | | ||
志和地 | | | ||
西三次 | | | ||
三次 | ● | 芸備線備後落合方面 | 三江線(廃線)起点駅 |