キングジョーⅡ
きょうかかいぞうされたきんぐじょー
概要
かつて地球侵略を目論んだペダン星人が使用していたスーパーロボット兵器・キングジョーの残骸を軍事兵器として再利用するために地球防衛軍が回収、依頼を受けた『新甲南重工』によってペダン星のテクノロジーを解析、修理+強化改造を施されたキングジョー。
対侵略者用のスーパーロボットとして量産される予定だったが、突如出現した1万5000年前のオーパーツ・ラハカムストーンの力で生まれた現場責任者のカネミツ社長の模造人間によって(勝手に)レスキュー用の平和利用目的のロボットに急遽変更されてしまった。
このラハカムストーンは、人の思念をコピーし具現化する(つまり願いを叶える)力を持ち、カネミツ社長の模造人間曰く「陸(おか)の人の総意が石を呼び寄せ地上に引き上げた」「あなたがたの考えを複写するコピー機である宇宙の仕組みを具現化したもの」(本作では、「宇宙はコピー機であり、良くも悪くも同じことを考えていると、その考えが物理的な形となって世界へ押し出される」とも語られている)。カネミツ社長の模造人間が生まれたのも、不仲だった彼の娘ハルカが「姿は同じでも心は正反対のお父さんがほしい」と願った結果である。ただ、この存在を知り集まった市民による願いで死人が出るという物騒な事態が起きたため、ラハカムストーンの周囲は封鎖される事になった。
疑念を抱いていたカジ参謀はカネミツ社長の模造人間を侵略者と思い込み、封鎖されたラハカムストーンの前へ不審に出入りしていた彼を問いただし、「キングジョーを使って世界中を破壊するつもりだろう」という疑念を抱いた結果、それをラハカムストーンはカジ参謀の模造人間という形でコピーし具現化させてしまう。この影響でキングジョーは暴走し、再びウルトラセブンと戦うことになってしまった。
ちなみにラハカムストーンは、錯乱したカジ参謀が「こんな石、なくなってしまえ!」と叫んだ結果消えてしまった。本物のカネミツ社長も無事に発見されたが、一連の事件がきっかけで家族との関係も改善し性格も丸くなったようだ。
また、ラハカムストーンには「昔、昔、人間は海から陸にあがった」と書かれていたが、それが何を意味するのかは、また別の話である。
外見・能力
体にモールドなどが施されたリアルロボット仕様の造形になっており、改造の影響からか、作動音が以前の「ワン・ツー・スリー、ワン・ツー・スリー…」と、聞こえていたものから「バディル、バディル」と聞こえるものに変わっている。
また、今回は自立的に作動でき、電子頭脳のプログラムを平和的なものに改良した上で世界トップクラスのプログラマー達が24時間体制で監視しているため危険はないとされていたが、ラハカムストーンの力の前には無力であった。
能力は以前と同じく4体のパーツへの分裂及び合体、目のような部分から発射される破壊光線「デスト・レイ」と変わっていないが、改造を施された結果、以前より分離・合体のスピードが比べ物にならないほど早くなっており、セブンの放った『ワイドショット』を分離して回避し、そのままセブンの背後に素早く回り込んで再合体するという荒技を披露してくれた。
宇宙金属の一種である『ペダニウム』で作られた装甲の堅さも健在で、足に『エメリウム光線』を受けてもダメージを受けたような素振りすら見せない。
ライトンR30爆弾という切り札のない状況でセブンを追い詰めるが、ライトンR30爆弾で損傷を負った箇所が残っている(損傷箇所を修復しなかった原因は不明だが、ペダニウムを地球の技術では再現できなかったか、元々戦闘用ロボとしての運用を想定していなかったためにそのまま放置されたかのどちらかだと思われる)のが弱点で、ウルトラ警備隊のアシストで反撃を許した隙に弱点へアイスラッガーによる集中攻撃を受けた後、『ウルトラノック戦法』で破壊された。(しかし、それでも何発もアイスラッガーを喰らわせたからかアイスラッガーが刃こぼれした)
初代キングジョーに続いて擬人化される。
デザインは、初代とは別のデザイナー(まめっち氏)が担当しており、その結果かなり趣の異なった外観となった。
初代が黒髪ロングの大和撫子のような容姿をしていたのに対し、こちらは金髪のフランス人形のような容姿が特徴。また、外部装甲が初代と比べてかなりゴツイのに対し、胸部装甲がやや小さめ。
さらに、原点の暴走ロボットという面を意識してか目からハイライトが無くなっており、どこか狂気を感じさせる表情になっているなど、結構作りが細かい。
仮にペダン星やサロメ星そっくりの地球の某防衛チームの戦闘機が擬人化してもこうなるのかもしれない。
漫画版では、第18話でガッツ星人に隠し撮りされた女子生徒の1人として写真のみ登場している。
ちなみに、講談社の漫画『ウルトラジャーニー』に登場するキングジョーは、同じくまめっち氏がデザインを手がけたこともあってか、キングジョーⅡと極めて酷似した姿をしている(モールドがやや簡略化されている、髪型が縦ロールではないなどの相違点はある)。
後のシリーズへの影響
分離して光線を回避し再合体という挙動は、『ウルトラマンマックス』や『ウルトラマンX』に登場したキングジョーも見せている。後者では無人で活動していた可能性も示唆されている。
『ウルトラマンR/B』第19話に登場したキングジョーは、「(作中では実現しなかったが)元々防衛軍のために建造されていた」「自立起動し外部からの力で暴走する」「装甲が割れた所を攻撃されて倒される」とキングジョーⅡと似た部分が多い。
『ウルトラマンZ』第9話にてウルトラマンゼットに倒されたキングジョーが、防衛チームストレイジに回収され、特空機3号キングジョーストレイジカスタムとして生まれ変わることになる。キングジョーⅡが、暴走することなく地球防衛軍の兵器として生まれ変わった「もしも」の姿が、形を変えて現実となったとも言えるかもしれない。とはいえ、キングジョーⅡの存在もあって当初はファンから、何かしらの要因で暴走するのでは?等の不安の声もあった。
その後は暴走したりその徴候を示唆させる描写はないものの、第21話にて明らかに人類には過ぎたる程の過剰戦力が新兵器として導入されたり、運用者であるストレイジひいてはその母体である防衛軍自体に何やら不穏な色が漂い始めるなど、雲行きが怪しくなりつつあったが、その後、件の新兵器を運用する為の新たな特空機が開発され、その懸念を現実にするスケープゴート役がそちらに移された事で、キングジョーストレイジカスタムはキングジョーⅡの二の舞になるような最悪のシナリオは避けられ、最後まで防衛チームの頼れる戦力として活躍しきる事ができたのだった…と思っていたら…
また、改造される前はこの機体の元の所持者である宇宙海賊バロッサ星人(元々はペダン星人から強奪したものだったが)が奪還するため基地に侵入したりと、一時は宇宙人から狙われる要因にもなった。
作品的な事情やOVという事もあり表立って扱われる事のない平成セブンだが、このキングジョーⅡに関するストーリーは、話が1話で完結しており本家セブンのキングジョー復活という平成セブンとしてはわかりやすいエピソードであり、また他のキングジョーの登場するマックス以降のシリーズは前後編や連続性の強いエピソード、話の中心ではない単純な敵といったキングジョー紹介として単体で扱うには難しい面がある為か「ウルトラマン列伝」「ウルトラマンZ応援配信」ではセブンの初登場回ではこのキングジョーⅡの登場回が選ばれている。