オーヴァーロード/テオス
おーゔぁーろーどておす
「あなただけではない、人間という、種そのものに、私は、裏切られたようだ。もう一度、最初からやり直しましょう。」
演:八木優希(誕生直後)、神木隆之介(幼年期)、穴井隆文(中間期)、羽緒レイ(青年期)
概要
ロード怪人(アンノウン、マラーク)の支配者にして創造神。梵字のような紋章(『仮面ライダーアギト超全集 上巻』p36にて確認可)が刻まれた右手から放つ衝撃波や、瞬間移動能力、アギトの力を奪う能力、天体をも動かしてしまう念力などを有している。
神様だけに外見上は、男性とも女性とも見える中性的な姿の青年の姿をしている(ただし声は非常に男性的)。
尚、オーヴァーロードとは「ロードを超える者」と言う意味であり、真名は「テオス」(θεός、ギリシャ語で「神」)とされる。
しかし、劇中でその呼び名が明かされる事はなく、終始「闇の力」、あるいは「闇の青年」「謎の青年」という名で通されていた(ファンの間では「ダミアン」とも。他には「黒神様」、ダミアンと合わせて「黒ダミ様」など)。
性質は穏やかで、人が人の命を奪うことを良しとしていないが、使徒の過失に対して非常に厳格な態度を見せたり、「人はただ人であればいい」と発言するなど上位存在であるがゆえの傲慢さが垣間見える事も(とはいえ、人類に対する愛は紛れもなく本物である。後述)。
その正体は宇宙開闢と同時に生まれた「闇」の力が具現化したもの。
彼は世界を創った後、自らの分身であるエルロード、そしてその部下として天使たるロード怪人を創り、更にその世界に住まう住人として、ロード怪人に似せて動物を、そして自身に似せて人間を創り、特に人間を自分の子供としてこよなく愛していた(『アギト超全集 下巻』p62では「ペットのように愛した」と書かれている)。
しかし、時が経つにつれて人類は「自分たちは神に似せて創られたのだから他の動物より偉い」と考えるようになり、家畜化するなど動物を過度に虐げ始めた。
この事態に怒ったのが、動物の元となったロード怪人=天使たち。「我々は人間を家畜として従えさせよう。さもなくば人間を滅ぼそう」と。
彼らは人類に宣戦布告し、以後40年に渡って繰り広げられる、人類と天使との全面戦争へと発展してしまった。
当初は圧倒的に天使軍が有利であったが、人類を不憫に思った7人のエルロードの一人・プロメス(光の力、火のエルとも)が地上に降り、とある女性と交わり、産まれた子がネフィリム(ギルス)となった事で状況は大きく変わってしまう。
プロメスが人類側に干渉した事で、人類が自分の愛する存在でなくなる事を嫌ったテオスは、自ら直接地上に赴きプロメスを打倒。
この結果、人類の敗北は決定的なものになり、戦いは天使軍の勝利に終わった。
※第35話にて水のエルが言うには「アギト」とは限りなく進化する力を指すらしく、テオスは「人類が自身と同等の存在になる事を恐れている」らしい。
そして天使達の長であるエルロードは、地上の全てをリセットすべく洪水を起こし、地上のあらゆるものを洗い流した。
これを悲しんだテオスは情けとして、『全人類、全動物の中から番を一組ずつ方舟(ノアの方舟?)に乗せて生き残らせる』と言う行動を起こす(第13話ではノアの箱舟の当事者であるような発言をしながら、折り紙で船を折っており、この時点で彼の正体が神だという伏線は張られていた)。
※劇中に登場するこれらの出来事を描いたと思わしきイコンには、アギトに覚醒したと思われる人物が描かれているが、詳細は不明(そもそもテオスはアギトの力を憎んでおり、そんな人物を生き残らせるはずはない。船に乗り込む段階で弾かれるはずであるが、後述の通り人間の中にアギトの力を持つものが紛れ込み、生き延びる事を暗示しているのかもしれない)。
ところが、プロメスは最後の力を振り絞り、人類に直接アギトの力を授けてしまった。
そればかりか、プロメスは時空を超え、遥か未来――西暦2001年へと降臨し、その場に偶然居合わせた人間=あかつき号の乗客の1人である沢木哲也(後の津上翔一)の持つアギトの力を強制的に引き出した(この時の余波に巻き込まれた他の搭乗客も、強制的に力を引き出されている)。
※沢木哲也は人類最初のネフィリムの子孫だった可能性が示唆されているが、詳細は不明。
その場に参じた水のエルは、プロメスに力を引き出された哲也を海へと叩き落とすのと同時に、他の乗客たちに警告を残して去っていった。
水のエル「お前たちもまた悪しき光を浴びた。あの男と同様、やがて人ではなくなる。だがそれまでは生きられるだろう。覚醒の前兆が訪れるまでは。ただしこの事は誰にも言ってはならない。決して。忘れるな。お前たちの時間は長くない。お前たちに未来はないのだ!」
エルロードは、かつて滅ぼしたと思っていた人類が未だ健在だった事を知り、テオスに「人類はもはやあなたが創った人類ではない。あなたに逆らうネフィリムなのだから滅ぼすべきだ」と進言するも、「勝手に人類と戦争を起こして私に逆らったのはお前たちも同じだ」とそれを諌められた為に一時矛を収める。その後テオスは遥か未来、人類が再び繁栄し、プロメスがもたらしたアギトの力が覚醒した時に備え、アギトの力に覚醒した人間を抹殺させるべくエルロードを放ち、自身も人間の進化に伴い、「人間」として現世に受肉・復活できるよう自らの遺伝子情報を、オーパーツに残し永い眠りに就いた。
劇中での主な活躍
第4話の終盤、三雲咲子が所属する研究機関により(本人たちは知らないがジャガーロードの手伝いもあって)オーパーツが解析され、咲子がそれに収められていた遺伝子情報(『アギト超全集上巻』P66では、「3万年前の遺伝子情報」とある)を元にDNAを合成して生み出した器となる肉体に宿り、現代に復活。
以後、アギト根絶のため、ロード怪人を放って活動を開始する。
一方で人類への愛は捨てきれておらず、アギトの不完全態であるギルスの力に覚醒し、苦しんでいた葦原涼を助けたり、アギトの力に覚醒しつつあったあかつき号事件の生存者の一人・三浦智子を自らの手で殺害した時は、いずれアギトになる存在とはいえ愛する人間を殺してしまった事に大きな精神的ショックを負っており、その後悔の念から素直に警察に逮捕され、精神病患者のふりをして警察病院の病室に引きこもり、アギトの根絶は配下の者たちに任せる事を選択した。
とはいえ、愛する人類の頼みにはアギト絡みの案件であっても甘い節があり、使徒として選んだ沢木哲也(「本物の津上」)の頼みを受けてアギトのマシントルネイダーにスライダーモードに可変する力を、沢木には自分に背く意図を見抜いた上でアギトの覚醒を促す力を与えた他、人間を知りたいという望みに対しては市民の意識と沢木の意識を同調させる事で叶えた。
結果として沢木は超能力者にアギトの力の覚醒を促したまではいいものの、あくまで「その力の使い方はその人次第」というスタンスを取ったため、アギトの力に溺れる人間も出てきてしまった。彼がアギトの力を懸念し、根絶しようとするのも頷けるというものである。
その後もアギトの進化は留まる事を知らず、アギトと同等の力を持つはずの水のエル(強化体)が敗れた際、アギトが最早エルロードですら手に負えない存在になりつつある事に危機感を覚え、ついに自ら直接行動に出る決意をする。
そしてアギト、ギルス、アナザーアギトからアギトの力を奪い、ただの人間へと戻す事に成功(しかしアギトの力を消し去る事まではできず、テオスは想像を絶する苦痛に顔を歪ませていた)。
しかし、人々を護るため再びアギトの力を求める翔一ら3人の奮闘の末、「ただの人間」だったはずの氷川誠の攻撃によって生まれた一瞬の隙を突かれ、さらに「ただの人間」に戻ったはずの翔一に殴られてアギトの力を手放すという予想外の事態に陥ってしまう。
この出来事にショックを受けた彼は、人類そのものに失望し、アギトだけではなく人類そのものを完全に滅ぼして一から世界をやり直そうと決断。
星座を動かして十字架型にし、動かされた星座を誕生星座に持つ人間にドッペルゲンガーを見せて自殺に追いやるという、想像を絶する手段で人類を絶滅させようとする。
しかし、その企みもアギト、ギルス、G3-Xの前に打ち砕かれ、光球となって天上界へ一時撤退しようとするが、アギト・シャイニングフォームの放った強化シャイニングライダーキックで肉体を破壊され、計画は失敗に終わった。
いつの頃かは定かではないが、一部の人間の中にアギトを恐れ、排除しようとする動きがある事を察していたらしく、天上界に戻る前に、協力者としていた「本物の津上翔一」の前に姿を現す。
そして「自分が手を下さなくても、人間はいずれ自らの手でアギトを滅ぼす」と神妙かつ諦念があるとも取れる面持で語るが、人間を信じる「本物の津上」に「あなたは人間を創りながら、人間の事を何も知らない。人はアギトを受け入れるだろう。人間の無限の可能性として……」と反論されたため、その結末を見届けると告げ、小さく笑みを浮かべながら人類の前より去っていった。その直後、テオスが与えた「本物の津上」の寿命も尽きた。
「では、見守ってみましょう。あなたの言葉が、正しいかどうか。――人間とは何なのか。もう一度。この目で。」
津上「ああ。きっと俺が、勝つさ!」
ちなみに、劇場版で真魚の見たビジョンでアギトと対峙し、手から放つ光で翔一=アギトを殺害しているが、これがなんだったのかは不明である(順当に考えれば未来の可能性のうちのバッドエンドを予知したというべきか)。
余談
モデルはおそらくYHVH。またプロメスの名前の由来がプロメテウスであることを考えると、プロメテウスに罰を与えたギリシャ神話の最高神ゼウスとも考えられる。
闇の力と呼称されて「光の力」と比較されているが、光の力を生み出したのも彼であることを考えると、属性としては混沌が近いのかもしれない。
ゲーム『仮面ライダー 正義の系譜』に登場するラスボス・邪眼は『テオスが現代に復活した影響で精神体も覚醒』と言う設定になっている(明確な時期は語られていない)
仮面ライダー図鑑でも、『謎の青年』あるいは『闇の力』の名義での紹介となっている。
なお、赤ん坊時代を演じた八木優希氏は女性であり、以降の成長体は全て男性が演じている。性別の存在しない彼(?)らしいとも言える。
幼少期を女性が演じ、成長した姿を男性が演じるという試みは後続作品でも行われており、桜井侑斗がそれに該当する。
関連タグ
アナザーアギト(2019):彼が阿鼻叫喚になるとネタにされる事態を引き起こしたアギト。
オルフェノク:テオスの危惧が実現したような存在。
タイコウチ:彼が成体になる際に観察していた生き物。タガメ名義で『仮面ライダー図鑑』にも何故か掲載されている(リンク先「た行」の項を参照)。
エラス:『騎士竜戦隊リュウソウジャー』登場怪人。こちらも自らの絶望により世界のリセットを目論み、暴走した創造主のラスボス繋り。
蛇遣い座のスタープリンセス:18年後のプリキュアにおけるラスボスで、世界の現状に絶望し消去することで一からやり直そうと企んだ者。最終的には今の現状に納得しそれを見守るという形で去っていったという点も共通。