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「あなただけではない。人間という種そのものに、私は裏切られたようだ。もう一度、最初からやり直しましょう」


演:八木優希(誕生直後)、神木隆之介(幼年期)、穴井隆文(中間期)、羽緒レイ(青年期)


概要編集

仮面ライダーアギト』に登場するキャラクターの1人。

人間と同じ姿をしているが、その正体はロード怪人(アンノウン、マラーク)の支配者にして創造神である。梵字のような紋章(『仮面ライダーアギト超全集 上巻』p36にて確認可)が刻まれた右手から放つ衝撃波や、瞬間移動能力、アギトの力を奪う能力、天体をも動かしてしまう念力などを有している。


神様だけに外見上は、男性とも女性とも見える中性的な姿の青年の姿をしている。ただし、声は非常に男性的。


性質は穏やかで、人が人の命を奪うことを良しとしていない。だが、使徒の過失に対して非常に厳格な態度を見せたり、「人はただ人であればいい」と発言するなど上位存在であるがゆえの傲慢さが垣間見えることもあるが、人類に対する愛は紛れもなく本物(後述)。



劇中での主な活躍編集

本編前半編集

第4話の終盤、警視庁・未確認生命体対策班オーパーツ研究局によって(本人たちは知らないがジャガーロードの手伝いもあって)オーパーツが解析され、三雲咲子がそれに収められていた遺伝子情報(『アギト超全集上巻』P66では「3万年前の遺伝子情報」)をもとにDNAを合成して生み出した器となる肉体に宿り、現代に復活。

以後、アギト根絶のため、ロード怪人を放って活動を開始する。


一方で人類への愛は捨てきれておらず、アギトの不完全態であるギルスの力に覚醒し、苦しんでいた葦原涼を助けたり、アギトの力に覚醒しつつあったあかつき号事件の生存者の一人・三浦智子を自らの手で殺害した際には、いずれアギトになる存在とはいえ愛する人間を殺してしまったことに大きな精神的ショックを負っており、その後悔の念から素直に警察に逮捕され、精神病患者のふりをして警察病院の病室に引きこもり、アギトの根絶は配下の者たちに任せることを選択した。


とはいえ、愛する人類の頼みにはアギト絡みの案件であっても甘い節があり、使徒として選んだ沢木哲也(本物の津上翔一)の頼みを受けてアギトのマシントルネイダーにスライダーモードに可変する力を、沢木には自分に背く意図を見抜いた上でアギトの覚醒を促す力を与えた他、人間を知りたいという望みに対しては市民の意識と沢木の意識を同調させることで叶えた。

結果として沢木は、超能力者にアギトの力の覚醒を促したまではいいものの、あくまで「その力の使い方はその人次第」というスタンスを取ったため、アギトの力に溺れる人間も出てきてしまった。彼がアギトの力を懸念し、根絶しようとするのも頷けるというものである。


第41・42話編集

光の力との対立からアギト誕生の経緯が描かれる。


闇の力と光の力は対立し後者が敗れるが、最後の力を振り絞り、人類に直接アギトの力を授けてしまった。そればかりか、光の力は時空を超え、遥か未来――西暦2000年へと降臨し、その場に偶然居合わせた人間=あかつき号の乗客の1人である沢木哲也(のちの津上翔一)の持つアギトの力を強制的に引き出した(このときの余波に巻き込まれた他の搭乗客も、強制的に力を引き出されている)。

その場に参じた水のエルは、光の力に力を引き出された哲也を海へと叩き落とすのと同時に、他の乗客たちに警告を残して去っていった。

「お前たちもまた、悪しき光を浴びた。あの男と同様、やがて人ではなくなる。だが、それまでは生きられるだろう。覚醒の前兆が訪れるまでは。ただし、このことは誰にも言ってはならない決して。忘れるな。お前たちの時間は長くない。お前たちに未来はないのだ!」


終盤編集

その後もアギトの進化は留まることを知らず、アギトと同等の力を持つはずの水のエル(強化体)が敗れた際、アギトがもはやエルロードですら手に負えない存在になりつつあることに危機感を覚え、ついに自ら直接行動に出る。アギト、ギルス、アナザーアギトからアギトの力を奪い、ただの人間へと戻すことに成功したが、アギトの力を消し去ることまではできず、闇の力は想像を絶する苦痛に顔を歪ませていた。しかし、人々を護るため再びアギトの力を求める翔一ら3人の奮闘の末、ただの人間だったはずの氷川誠の攻撃によって生まれた一瞬の隙を突かれ、さらにただの人間に戻ったはずの翔一に殴られてアギトの力を手放すという予想外の事態に陥ってしまう。

これは「自身が愛した人間が自身に牙を剥いた(これまでのアギトの反抗は「得た力を失いたくない」「このまま殺されたくないという防衛反応、というより子供の駄々とみなしていたらしいが、アギトの力を取り上げた=もう死の危険はなくかつ力を取り返せる展望もない、にもかかわらず殴りかかってきた=自分を敵とみなして排除しようとしている)」ことに他ならず、ショックを受けた彼は人類そのものに失望し、アギトだけではなく人類そのものを完全に滅ぼして一から世界をやり直そうと決断。星座を動かして十字架型にし、動かされた星座を誕生星座に持つ人間にドッペルゲンガーを見せて自殺に追いやるという、想像を絶する手段で人類を絶滅させようとする。

しかし、その企みもアギト、ギルス、G3-Xの前に打ち砕かれ、光球となって天上界へ一時撤退しようとするが、アギト・シャイニングフォームの放った強化シャイニングライダーキックで肉体を破壊され、計画は失敗に終わった。


その前後、時期は不明だが、一部の人間の中にアギトを恐れて排除しようとする動きがあることを察していたらしく、天上界に戻る前に協力者としていた沢木の前に姿を現す。そして「自分が手を下さなくても人間はいずれ自らの手でアギトを滅ぼす」と神妙かつ諦念があるとも取れる面持で語るが、人間を信じる沢木に

あなたは人間を創りながら、人間のことを何も知らない。人はアギトを受け入れるだろう。人間の無限の可能性として……

と反論されたため、その結末を見届けると告げて小さく笑みを浮かべながら、人類の前より去っていった。その直後、闇の力が与えた沢木の寿命も尽きた。


「では、見守ってみましょう。あなたの言葉が正しいかどうか。――人間とは何なのか。もう一度この目で」

沢木「ああ。きっと俺が…勝つさ!」


劇場版編集

真魚の見たビジョンでアギトと対峙し、手から放つ光で翔一=アギトを殺害しているが、これがなんだったのかは不明である(順当に考えれば未来の可能性のうちのバッドエンドを予知したというべきか)。


作中でのセリフ編集

「死ね。自らの手で」(第6話)

「そう、怖いんだね、僕が。いいよ、好きにして」(第9話)

「人が人を殺してはならない」(第18話)※ハイドロゾアロードの口を通して。


『仮面ライダーアギト ハイブリッドファイル』(メディアワークス)編集

裏設定的内容として以下の文が掲載されている。


元始にテオスありき。

テオス、光と闇を分かち、昼と夜を分けぬ。 天と地とを分かち、陸と海を分けぬ。

世界の創られしはこなり。

テオス次にエルを創り、マラークを創りぬ。

マラークをかたどりて動物を創り、己をかたどりて人間を創りぬ。

世界は楽園なりき。


やがて人間増え、地に満ちれり。

人間のいわく、

「我らテオスの形なり。されば、我らエルやマラークに勝るべし。

マラークの形なる動物ども、我ら家畜とし従えん」

マラークらのいわく、

「見よ、人間の動物どもを家畜とし従えしを。

我ら人間を家畜とし、従えん。さもなくば殺すべし」と。

ここにマラークと人間の戦い始まれり。

その数各々二億にして、戦い40年に及べり。


7人のエルの一人プロメス、人間を助けんと地にくだりて人間と交われり。

プロメスと人間の間に生まれし子供、これネフェリムなり。

戦いの挙げ句プロメスは殺され、マラーク勝利せり。

エルらのいわく、

「我ら大洪水を起こし、プロメスの子らも、彼らの従えし動物らも全て滅ぼし尽くさん」と。

即ち欺くなりて、水が地の表を40日に渡りて覆いたりき。


テオス深く悲しみ、人間と動物の1対ずつを方舟に乗せ、洪水を生き延びさせたまいけり。

40日を経てのち、水の枯れ、人間の生き残れるを見て、エルら怒りて言いけるは

「テオスよ、人間は汝に逆らう者。ならばすべて殺すべし。

彼ら、すでに汝の創りたまいし人間ならずして、ネフェリムなれば」


テオスの言いたまいけるは、

「エルどもよ、我が言葉に逆らいしは汝らもひとしからん。

人間の再び増え、地に満ちる日まで、

我は我と、汝らを封印せん而して、

人間が果たして我に逆らう者らなりや確かめるべし」

即ち欺くなりぬ。


この内容から、名前がオーヴァーロード/テオスであることが明かされている。

なお、オーヴァーロードとはロードを超える者と言う意味であり、真名は「テオス」(θεός、ギリシャ語で神)とされる。

しかし、劇中でその呼び名が明かされることはなく、終始「闇の力」、あるいは「闇の青年」「謎の青年」という名で通されていた。ファンの間ではダミアン黒神様、さらには黒ダミ様や、その想定外の事態に弱いメンタルの弱さから豆腐メンタルの神とも呼ばれていた。


その正体は、宇宙開闢と同時に生まれた闇の力が具現化したもの。

彼は世界を創った後、自らの分身であるエル、そしてその部下として天使たるロード怪人を創り、さらにその世界に住まう住人として、ロード怪人に似せて動物を、そして自身に似せて人間を創り、特に人間を我が子としてこよなく愛していた(『アギト超全集 下巻』p62では「ペットのように愛した」と書かれている)。


しかし、時が経つにつれて人類は「自分たちは神に似せて創られたのだから他の動物より偉い」と考えるようになり、家畜化するなど動物を過度に虐げ始めた。動物の元となったロード怪人=天使たちがこの事態に対し、

「我々は人間を家畜として従えさせよう。さもなくば人間を滅ぼそう」

と怒りを露わにした。

彼らは人類に宣戦布告し、以後40年に渡って繰り広げられる、人類と天使との全面戦争へと発展してしまった。

当初は圧倒的に天使軍が有利であったが、人類を不憫に思った7人のエルロードの1人・プロメスが地上に降り、とある女性と交わり、産まれた子がネフィリム(ギルス)となったことで状況は大きく変わってしまう。


プロメスが人類側に干渉したことで、人類が自分の愛する存在でなくなることを嫌ったテオスは、自ら直接地上に赴きプロメスを打倒。この結果、人類の敗北は決定的なものになり、戦いは天使軍の勝利に終わった。

※第35話にて水のエルが言うにはアギトとは限りなく進化する力を指すらしく、テオスは「人類が自身と同等の存在になることを恐れている」らしい(前述の通り、テオスが人類に向ける愛情は、本質的に言うと人間がペットに対して向けるそれに近いと言える)。


そして天使たちの長であるエルロードは、地上のすべてをリセットすべく洪水を起こし、地上のあらゆるものを洗い流した。これを悲しんだテオスは情けとして、「全人類、全動物のなかから番を一組ずつ方舟(ノアの方舟?)に乗せて生き残らせる」と言う行動を起こす(第13話でノアの箱舟の当事者であるような発言をしながら折り紙で船を折っており、この時点で彼の正体が神だという伏線は張られていた)。

※劇中に登場するこれらの出来事を描いたと思わしきイコンには、アギトに覚醒したと思われる人物が描かれているが、詳細は不明。そもそもテオスはアギトの力を憎んでおり、そんな人物を生き残らせるはずはない。船に乗り込む段階で弾かれるはずであるが、後述の通り人間の中にアギトの力を持つものが紛れ込み、生き延びることを暗示しているのかもしれない。もしくはこのイコンがOPにしか登場せずいつ頃制作されたのか不明なことや、G3と思しき青の戦士が描かれていることを考えると、最終回後にアギトとの共存の道を選んだ人類の子孫が一連の歴史を記したのだと解釈することもできる。


エルロードは、かつて滅ぼしたと思っていた人類が未だ健在だったことを知り、テオスに「人類はもはやあなたが創った人類ではない。あなたに逆らうネフィリムなのだから滅ぼすべきだ」と進言するも、「勝手に人類と戦争を起こして私に逆らったのはお前たちも同じだ」とそれを諌められたために一時矛を収める。その後テオスは遥か未来、人類が再び繁栄し、プロメスがもたらしたアギトの力が覚醒したときに備え、アギトの力に覚醒した人間を抹殺させるべくエルロードを放ち、自身も人間の進化に伴い、人間として現世に受肉・復活できるよう自らの遺伝子情報をオーパーツに残し永い眠りに就いた。


余談編集

モデルはおそらくYHVH。また、プロメスの名前の由来がプロメテウスであることを考えると、プロメテウスに罰を与えたギリシャ神話の最高神ゼウスとも考えられる。


闇の力と呼称されて光の力と比較されているが、光の力を生み出したのも彼であることを考えると、属性としては混沌が近いのかもしれない。


ゲーム『仮面ライダー 正義の系譜』に登場するラスボス邪眼「闇の力が現代に復活した影響で精神体も覚醒」と言う設定になっている(明確な時期は語られていない)。


仮面ライダー図鑑でも、「謎の青年」あるいは「闇の力」の名義での紹介となっている。


なお、赤ん坊時代を演じた八木優希は女性であり、以降の成長体はすべて男性が演じている。性別の存在しない彼(?)らしいとも言える。幼少期を女性が演じ、成長した姿を男性が演じるという試みは後続作品でも行われており、桜井侑斗がそれに該当する。


表記ゆれ編集

闇の力 オーヴァーロード/テオス オーヴァーロード 青年(仮面ライダーアギト)


関連タグ編集

仮面ライダーアギト アンノウン(仮面ライダーアギト)

正義の系譜 邪眼

 ラスボス 旧約聖書 


アナザーアギト(2019):彼が阿鼻叫喚になるとネタにされる事態を引き起こしたアギト。

オルフェノク:闇の力の危惧が実現したような存在。

タイコウチ:彼が成体になる際に観察していた生き物。タガメ名義で『仮面ライダー図鑑』にも何故か掲載されている


エラス:『騎士竜戦隊リュウソウジャー』登場怪人。こちらも自らの絶望により世界のリセットを目論み、暴走した創造主のラスボス繋り。

蛇遣い座のスタープリンセス:18年後のプリキュアにおけるラスボスで、世界の現状に絶望し消去することで一からやり直そうと企んだ者。最終的には今の現状に納得し、それを見守るという形で去っていったという点も共通。

アナザーディケイド:彼同様に失敗をしている人々を憂いており、自らの作った「失敗のない世界」に人々を閉じ込め世界を作り変えようとした者。

ベル:『オトナプリキュア』登場悪役。いずれもテオスと似た様な事を考えていた堕天使で最後に主人公たちの言葉を受けたことで未来を託す形で去った点も共通。

外部リンク編集

Web archive「仮面ライダーアギト」公式サイト

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