ゼルダ(ブレスオブザワイルド)
ぜるだ
「ハイラルの勇者、私を……覚えていますか?」
CV:嶋村侑
概要
ハイラル王国の王女にして英傑たちの長。100年前時点での年齢は16歳→17歳(厄災ガノン復活の日に誕生日を迎えた)。母の友人であるウルボザには「御ひい様」の愛称で呼ばれている。
現在は朽ち果てたハイラル城の中で、ただ一人厄災ガノンを封印し続けている。
その他のゼルダについてはこちらの記事を参照。
容姿・服装
ブレスオブザワイルド、厄災の黙示録(普段着) | ブレスオブザワイルド、厄災の黙示録(王女) |
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ゼルダ姫とミニガーディアンbyよこよこ | 姫bylulles |
ブレスオブザワイルド、厄災の黙示録(修行時) | ブレスオブザワイルド、厄災の黙示録(防寒着) |
雪が降っていますbyKiry Paw | |
ティアーズオブザキングダム(普段着) | ティアーズオブザキングダム(時の賢者) |
ゼルダ姫⚜️by白妙ぬん🕊 | ゼルダbyゴンザレス |
スカイウォードソードの時以上にこれまでのステレオタイプからイメージが一新されている。
金髪ロングヘアで、正装時以外はカチューシャ編み(クラウンブレイド)をしている。前髪は真ん中分けしており、おでこが広く出ている。また、目立つ特徴として眉が太いことも挙げられる(ただし本作の女性キャラとしてはそこまで珍しいレベルでもない)。
この眉毛が太いことがゼルダ姫の初公開時に話題になったことについて、制作陣は「すごく意外で、そんなに話題になるとは思っていなかった。眉毛がいつもより太くなっている理由は表情がつけやすいから。今回のゼルダ姫はかなり感情表現が豊かなのでそこに合ったデザインだと思っている。ゼルダ姫をデザインしたスタッフも彼女にものすごい愛をもっていて、その思いが表情からすごく伝わってくる」と語っている。
「ゼルダのアタリマエを見直す」というコンセプトの一環として、リンクの目がいつもキリッと力んでいるのは変という理由で釣り目から丸みを帯びた目へと変更されたのに合わせて、ゼルダの目もこれまでキリっとした切れ長の目が多かったのに対して柔らかいどんぐり眼へと変更された。
2019年公開の続編PVでは新しい髪型を披露しており、ショートカットになっている。ゼルダがはっきり分かる形で肩にすら届かないほど髪を短くするのは何気にシリーズ初。
新鮮さに加えロングよりも似合っていると感じる人が多かったのか、15秒足らずしか出てないのにpixiv上含め既に結構な数のイラストが描かれている。
服装は本作のゼルダにピンクが合わないということで、神々のトライフォースの私服からインスピレーションを得て青系統のデザインにされている。
それはリンクの服を青に変更すると決まった後の話だったが、たまたま二人に共通項ができたため、それを王室のロイヤルブルーという設定にしたところ色々な部分が繋がっていったとのこと。
全部で四種類の服装があり、英傑たちと同じ青い衣服、正装用の青いドレス、姫巫女用の白い装束そしてDLC限定で寒冷地用の白いコートがある。コート姿に関してはDLC「英傑たちの詩(バラッド)」にて、過去にリーバルに会いに行った時に描写されている。
普段着としてはレギンスを愛用。これまでのゼルダ姫のイメージからは逸脱した活動的なスタイルになった一方、下半身のラインが目立つようになったため、プレイヤーからは少々センシティブな視線を向けられたりもする。
ティアーズオブザ・キングダムに置いてはマントに隠れがちになったものの、時の賢者としての衣装がマーメイドスカートになっており美しいラインは健在である。
ちなみに英傑たちの青い服を仕立てたのはゼルダであり、ハイラル王家の象徴である「青」を基調としている。
後述の厄災の黙示録では、青い服、白い装束、コート姿を任意に変更できる(ゲームクリア後)。
性格
好奇心旺盛な性格で、幼い頃から遺物話に興味を抱くなど学者気質で、古代遺跡の調査や生物の研究などを行っている。
一方で女神の力に覚醒できないことから劣等感に苛まれており、本編では暗い面が目立ち、焦りとコンプレックスが刺激されたとはいえ最初はリンクにきつく当たるなどしていた。(詳細は後述)
しかし、本来は姫相応に礼儀正しく、優しく穏やかである。
また6歳の時に母が急死するという悲劇に見舞われながらも「王家の姫として気丈に振る舞うべし」という言葉を守り国葬や父と二人きりの際にも涙を見せないで毅然としたり、耐え難い寒さの中でも泉で祈り行をするなど幼い頃から頑張り屋でもあった。
経歴
100年前に滅びたハイラル王国最後の王女。
誕生の際王家の姫の習わしとして『ゼルダ』と名付けられた。
100年前は厄災ガノンの復活が迫りガーディアンや神獣の発掘及び実装準備がされている中、ゼルダは代々の姫君と同様に勇者と共にガノンを封じる役目にあった。
しかしゼルダがわずか6歳の頃に先代の巫女にして師になるはずだった母・王妃が病で急死し、口伝のみで代々継承されていた姫巫女の修行方法が途絶えてしまい、ゼルダの母は今際の際に「大丈夫、ゼルダ。貴女なら直ぐに出来る様になる」という励ましの言葉しか伝えられなかった。
そして7歳から修行を開始するも書物も存在しない正式な修行方法がわかるはずもなく、ゼルダは僅かな情報と文献を頼りに独学で修行をせざるを得なかった。
さらにゼルダにとって霊力を得てハイラルを守ることは、幼い頃から周囲に果たすべきと言われてきた王女としての「義務」でしかなかった。そんな心待ちに神の力が応える筈もなく、厄災復活が迫る中、断片的に判明している泉の禊修行を始めどれほど修行を重ねても一向に霊力に目覚めず、周囲からは「無才の姫」「役立たずの姫」などと陰口を叩かれるようになる。
そんな彼女にとって、最年少で自身の近衛騎士に選ばれ、マスターソードを引き抜き「勇者」の役目を背負った天才であるリンクの存在はコンプレックスの象徴であり、当初は護衛に任ぜられたリンクに対して「護衛なんて必要ない」と突き放した態度で接していた。
しかしイーガ団に襲われたところを助けられたことで想いを寄せるようになり、やがて自分の本音を話すなど心を開くようになった。しかしコンプレックスを消し去るには程遠く、リンクに対し「才能がないのに近衛の家に生まれたというだけで、騎士になることを強要されたらどうしていたか」と問うている。
リンクから返答はなかったものの「力も記憶も失っているのに退魔の剣が使えるというだけで厄災討伐を任され、自らの意思でやり遂げた」ことが万言を費やすよりも雄弁な答えであろう(皮肉にも後にゼルダはその様を見届け、リンクが真に優れているのは才能などではなく勇気であると悟る)。
その後は共にフィールドワークに出かけたり、自身の白馬との仲良くなり方を教えてもらったりと親交を深める。
霊力に目覚めない自分が少しでも役に立てたらと思い、古代遺跡などの研究方面に力を入れ、神獣やガーディアンの起動・操作方法を発見するなどの成果を得た。しかし、遺物をやや軽視していた父王から「好きなものに逃避している」と指摘され修行に専念すべく研究が禁じられるなど叱責を受け続け親子間でも溝が生じつつあった。
だが、父王も本心ではゼルダの苦労及び苦悩を理解し、何も教われなかったゼルダに重責を押し付けている負い目も感じており、最後の知恵の泉での修行がダメだったら、休養および遺物に封印の力を目覚めさせる方法がわかるかもしれないという望みもかねて再び研究の許可をしようと考えるなど、遺物に理解を示すようになる。
そうしてゼルダと話し合おうと前向きに検討し始めた矢先に、皮肉にも後述の厄災復活により、その機会は永久に失われてしまう。
そしてリンクや他の英傑たちが見守る中、唯一行ってなかった知恵の泉で修行を行うが、結局霊力に目覚めず、更にその直後にガノンが目覚めてしまい、神獣を司る英傑の仲間たちやリンクと共にガノン封印の戦いに挑んだ。
しかしガノンはハイラルが用意していたガーディアンや神獣を乗っ取り、逆にガーディアンにハイラル王国を攻撃させた。ガノンに乗っ取られた神獣の中にいたダルケル、ミファー、リーバル、ウルボザは殺され、ガーディアンたちの攻撃によって父王もハイラル王国の大勢の民達も犠牲となってしまった。
ゼルダとリンクは辛うじて生き延びたが、ガーディアンたちに追い詰められ、リンクはゼルダを守るために大量のガーディアンと戦うも多勢に無勢。殆ど瀕死となる。
リンクの危機を前にしてようやくゼルダの霊力は覚醒を迎え、右手に宿った聖なる力によりガーディアンたちに取り憑いたガノンの怨念を追い払う。だが既にリンクは絶命寸前であった。
悲しみに暮れるゼルダだったが、「回生の祠に運べば今なら助かる」と自分に語りかけるマスターソードの声を聞く。回生の祠は当時はろくに解析が終わってなかった古代の救命施設であり、マスターソードからも「代償に長い眠りにつき、目覚めた時には記憶を失っている」と言われた。
が、彼女は迷う事なく駆けつけたシーカー族たちに瀕死のリンクを回生の祠に運ぶよう指示する。ゼルダ自身は傷付いたマスターソードを元あったコログの森に安置し修復の眠りにつかせた後、ガノンを封じるために単身でハイラル城に向かった。
それ以降、いつ目覚めるかもわからないリンクを待ちながら、100年間荒廃したハイラル城の中でたった独りでガノンを封印し続けている。
あまりにも壮絶な使命を背負わされた彼女に、当時の彼女を知るインパ、プルア、ロベリー、デクの樹や、魂だけの存在となってしまったハイラル王や英傑たちは、リンクに「ゼルダを助けて欲しい」と伝えていた。
ガノンに内包される形で封印を維持していたが、リンクがハイラル城を訪れると同時に限界を迎え封印を破られてしまう。厄災ガノンはリンクによって退けられたが、復活への妄念から魔獣ガノンへと変貌。怨念による絶対的防御を獲得するが、内包されていたゼルダは最後の力でこれを破り、光の弓矢を授けてリンクを勝利に導いた。
同時に弱り、実体を失ったガノンから解放され、再び厄災と対峙。100年前は不完全な形でしか封印できなかったが、今度こそ完全な形で封印することに成功する。
こうして厄災はハイラルから姿を消した。
13枚のウツシエを見終えてからエンディングを迎えるとゼルダとの後日談が描かれる真エンドとなる。その際にマスターソードの声が聞こえなくなり、女神の力を失ってしまったことを語る。
しかしリンクと過ごすこれからの前には、そんなことは些細なものであった。コンプレックスを打ち払ったゼルダはリンクを連れ、新たな時代を迎えるハイラルを巡る冒険に出るのだった。
厄災の黙示録でのゼルダ
ブレスオブザワイルドの100年前のifを描く本作ではプレイアブルキャラクターとして登場。
歴史が変わったことで並行世界の出来事になったため、ブレスオブザワイルドのゼルダとは別人である。
ゼルダ無双のゼルダ姫とは異なり、こちらは元々非戦闘要員だったことから戦闘中の台詞は弱気を感じさせるものが窺える。
未来から来たという正体不明のガーディアンになぜか懐かれている。
第一章二話「王立古代研究所へ」では、インパの提案でプルアとロベリーに謎のガーディアンの解析を依頼しに行くことになる。その道中、突然起動した歩行型ガーディアンに襲われるが間一髪のところでリンクに助けられている。
だが魔物の群れとガーディアンに苦戦する仲間たちを見て、自らもシーカーストーンの力を使って戦列に加わる(謎のガーディアンのおかげでリンク以外のキャラもシーカーストーンが使えるようになった)。
ここからプレイアブルキャラクターとして使用可能になる。
ガーディアンの解析によって厄災ガノンが復活した直後の光景がウツシエとして判明し、絶対に厄災復活を阻止しなければならないと考えるようになる。しかし、霊力の覚醒を迎えることなく自身の誕生日に厄災ガノンが復活。
魔物の群れから追われる中ハイラル城から逃れると神獣に閉じ込められた英傑たちを未来から来た助っ人の手を借り救出に成功。ハテノ砦での戦いで封印の力が覚醒。さらに始まりの台地でハイラル王と再会し、ハイラルに住む全ての種族の人々を束ね厄災ガノンとの決戦に挑むことになる。
武器は「シーカーストーン」。ビタロックなどおなじみのシーカーアイテムを駆使して戦う。特定のアクションの後にキャラクターアクションを行うことで追撃が発動する。とある強攻撃ではマグネキャッチを使ってトロッコに乗り爆走する姿も。
ストーリー終盤には「光の弓矢」が使用可能になる。光の環を出現させた敵へは大ダメージを与えられる。キャラクターアクションで解放モードに変わり、すぐに強攻撃が放つことができる。
ただし発動中機動力が大幅に下がり、必殺技ゲージが常に減っていく。攻撃速度を上げれば無理に解放モードにする必要はないので、その辺りは戦術との相談となる。
DLC第一弾ではマスターバイクが武器として登場。ブレス本編に登場した者とは異なり「勇者のために造られた神獣」をプルアとロベリーが再現したもの。清楚なお姫様がバイクに乗って爆走するというこれまたキャラ崩壊気味な攻撃を披露する。機動力は高いが小回りが利き難いという欠点がある。
衣装は最初は英傑と同じ青い衣装で、中盤は巫女の白い衣装。以降は会話中の顔グラフィックはこれで固定される。
ストーリークリア後は衣装を選択可能になり、コートを着た冬服も選べるようになる。ただし会話中の顔グラフィックは変化せず巫女服のままとなる。また正装のドレス(王女服)姿もわずかに登場するが現状はムービー内限定。
ゲームクリア後のバトルチャレンジではゼルダ一人でライネル5人抜きをするものがあるので、ある程度鍛えておかないと苦戦を強いられる(これのクリアは真エンディングを見るためには必須となっている)。
ブレスオブザワイルドから数年後を描いた続編、ティアーズオブキングダムにも続投。
本作では髪の毛をボブカットに切り揃えているのが特徴。ハイラル復興を志す彼女は、各地の集落に直接赴いて交流していたようで、各村の人々には「ゼルダ様」「ゼルダ姫様」と慕われている。
ハイラルの南東にあるハテノ村の一角、前作でリンクがサクラダ工務店から購入した民家が、本作では彼女の住まいである。
村には彼女の指導で学校も建設されており、先生としても顔を出していた様子。
ハイラル城の地下から瘴気が漏れ出した事を聞き、リンクと共に調査に赴くところから物語は始まる。
禁忌とされるため王家の人間でも立ち入ってはならなかったその場所には、かつてハイラルにいた謎の民族「ゾナウ族」、そして神話の時代に巻き起こったという「封印戦争」についての記録が遺されていた。
やがて最奥に辿り着き、瘴気を噴き出す謎のミイラを発見。
だが突如そのミイラが眼前で復活を果たし、瘴気の攻撃を受けてしまう。
リンクが右腕とマスターソードを犠牲に庇った事で事なきを得たものの、彼を瘴気で衰弱させマスターソードも破壊されてしまい、直後、ミイラが起こした異変によりハイラル城は上昇し、床が崩れ始める。
リンクが手を伸ばすも届かず、ゼルダは地の底へと落ちていき……その半ばで、謎の黄金の光に包まれ、忽然と消え失せてしまった。
その後天空の遺跡で目覚めたリンクは、ゾナウ族にして初代ハイラル国王ラウルの魂から、ゼルダが彼の元で保護されていたという話を聞く。
その後リンクはゼルダと再会するも、彼女はなぜか一言も話さずリンクの前から姿を消してしまう。それでも後を追うリンクの手からマスターソードが消失し、どこかにいるゼルダの元へと届けられるのだった。
地上に戻ったリンクはハイラルの各地で異変が起きていることを知り、調査へと向かう。
しかし、どういうわけかその異変の裏に、ゼルダの姿が見え隠れして……。
他作品への登場
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
スピリッツで登場。重要人物なのでランクはACE級(☆☆☆)。憑依されているのはファイターで参戦している神々のトライフォースのゼルダ(青)。最初からゼルダは登場せず、英傑のウルボザ、ダルケル、ミファー、リーバルをイメージしたドンキーコング(黄色)、ファルコ(青)、インクリング(桃色)、ゼロスーツサムス(ショートパンツ・青色)が最初に相手になる(スピリッツでも登場している)。4体倒した後にリンクとゼルダが現れる。
灯火の星でゼルダ姫を仲間にするために必ず戦わなくてはいけない相手となる。
実はリンクに合わせてゼルダもブレスオブザワイルド版にする予定だったが桜井氏曰く、今までのスマブラのゼルダは「魔法力を使って戦う王女然としたキャラクター」と述べている。
理由としては原作ストーリーにあり、ブレスオブザワイルドのゼルダには「戦闘シーンがない(戦えない・戦わない)」設定があるのでスマブラのゼルダとコンセプトが大きくかけ離れている。ブレスオブザワイルドのゼルダは戦闘には向かないキャラクターと判断して没になったとのこと。
ネタバレ
※以下はティアーズオブザキングダムのゼルダに関するネタバレを含みます!
気が付くとゼルダは二人の人物に保護されていた。彼らは初代ハイラル国王ラウルとその妻ソニアといった。
ゼルダはハイラルの王女という身分を明かすが、ハイラルに王族が3人もいるのはおかしい話だった。その食い違いからゼルダは、自分が過去の時代……ハイラル建国の時代に来てしまったのだと悟る。
ひとまずゼルダは二人の遠い血縁者として城に住むことになった。
ラウルはゼルダが持つ秘石を見て信用してくれたが、ソニアの方は血の繋がりを感じ取って身内だと気づいていた。そう、この二人はゼルダの先祖でもあったのだ。
秘石は持つ者の力を倍加をさせるゾナウ族の秘宝。そしてラウルとソニアの子孫であるゼルダには、光と時を操る能力が備わっていた。ゼルダが時間を遡ってしまったのは秘石の力によるものだった。
ゼルダはラウルの姉ミネルを紹介される。
ゾナウ族でも知恵者である彼女なら元の時代へ戻れる方法がわかるかもしれないとのことだったが、ミネルでもよい手段は思いつかなかった。
「秘石を飲み込むと不老の龍となる」という話は聞けたが、引き換えに心を失ってしまう。自分の時代まで生きられてもそれでは意味がないとミネルは却下する。
ゼルダが時の能力を使いこなせるようになれば……とラウルの提案によりソニアに師事することとなった。
そんな中、ハイラルに不穏な影が忍び寄る。
ある日、ラウルの招聘に応じてゲルド族の王が謁見にやって来る。男はガノンドロフと名乗った。
ガノンドロフは一族揃ってラウルの臣下に加えてほしいと頭を下げる。ラウルもソニアも快く受け入れるが、ゼルダは黒い野心を感じ取らずにはいられなかった。何より「ガノンドロフ」という名前の響きには不安を覚えてしまうのだ。
そのことをラウルに話すが彼もガノンドロフの邪心は見抜いており、監視・制御のためにあえて迎え入れたという。そう言われては反論などできず、受け入れるしかなかった。
ソニアの下で時の力の使い方を学ぶ日々。それは平穏な日常でもあった。
ゼルダはラウルとソニアの前で未来のハイラルを救った剣士リンクのことを語る。鍛錬を続けて技を磨き、どんな時でも決してあきらめない。本当の強さを持った勇者。それがリンクだと。
興味を惹かれたラウルは「一度会ってみたい」と言い、ソニアは何かを察したようにゼルダに微笑んでいた。
そんな平穏な日常は突然終わりを告げる。
『ゼルダ』はソニアを呼び出すなり背後からナイフを投擲する。だがその凶刃はソニアを貫くことなく制止する。物陰から現れたゼルダが時の能力で阻止したからだ。
この『ゼルダ』はガノンドロフが生み出した操り人形であった。悔しそうに歯噛みする『ゼルダ』だが、次の瞬間には邪悪な笑みを残して消え去っていた。
危機は去ったのかと警戒を解くゼルダとソニア。直後、ソニアは呻き声を上げて倒れ込む。背後には秘石を手にしたガノンドロフが立っていた。
ソニアが持つ秘石を奪い取ったガノンは、邪悪な哄笑を上げる。そして醜い心が反映されたかのような鬼を想起させる姿へと変貌したのだった。
ラウルが駆け付けるも全ては手遅れ。ソニアは絶命し、ガノンドロフの力は既にラウルを上回っていた。
機転を利かせたゼルダがプルアパッドのワープ機能を用い、ラウルとソニアを連れて撤退する運びとなった。
その後、魔王と化したガノンドロフは無数の魔物たちを生み出しハイラルに対して総攻撃を仕掛ける。これが後世に語り継がれる封印戦争の幕開けであった。
対抗するべくラウルはリト族、ゴロン族、ゾーラ族、ゲルド族の中から実力者を選抜。賢者として秘石を与え戦力とした。更にミネルとゼルダも加わり、魔王討伐に向けて動き出す。
だがしかし、ゼルダにはわかっていた。ガノンドロフは倒せないと。
そう、ゼルダは気づいたのだ。現代のハイラル城で自分を襲った謎のミイラ。あれこそがガノンドロフだったのだと。魔王は滅ぼされることなく自分の時代まで生き延びていたのだと。
そのことをラウルに話すが、彼はハイラルの王として命を賭して戦う覚悟を決めていた。勝てなかったとしても、その時は勇者リンクに託すと答える。
そして全戦力をぶつけた決戦の日。
魔王の力は強大であり傷一つ付けることはできなかった。そこで賢者たちとゼルダが作ったわずかな隙を利用してラウルが肉薄。魔王の心臓に右腕を打ち込み、魔力を抜き取る形で封印を施したのだった。
引き換えにラウルは死亡し、封印されたガノンドロフはハイラル城の地下に秘匿されることとなった。
ラウルの遺言に従い、ゼルダは来るべき日に備えて動き出す。まずは賢者たちに「勇者リンクの力になってほしい」と約束を交わした。
しかし今のままではリンクでも勝てない。魔王を倒す手段を模索するゼルダの前に一振りの剣が現れる。朽ちて砕けた刃には見る影もないが、それは間違いなくリンクの相棒であるマスターソードであった。
ゼルダは悟る。マスターソードは復活するために時を駆けてここへやって来たのだと。同時に自身がこの時代にやってきた意味も。
ミネルは先の戦いで全身を瘴気に侵され死を待つばかりだった。そんな彼女にゼルダはマスターソードなら魔王にダメージを与えられるという事実を話す。
マスターソードが砕かれた時、破片が魔王の頬を傷つけたのをゼルダは見逃さなかった。マスターソードは確かに敗れた。しかし通じなかったわけではない。魔王と抗するには力が、強度が足りなかっただけに過ぎないのだ。
しかしミネルは、マスターソードを蘇らせる方法はないと落胆する。するとゼルダは恐ろしい提案をした。
その覚悟を受け、ミネルは死に行く肉体から魂を分離。プルアパッドに宿り、長い年月を過ごすこととなった。
残りの賢者たちもゼルダの覚悟を見届け、それぞれが来るべき日に向けて備えることに。
重大なネタバレ
※以下はティアーズオブザキングダムのゼルダに関する重大なネタバレを含みます! ゲームを未プレイな方、ストーリーをクリアしていない方は閲覧注意!
「リンク…
リンク…
貴方の剣 マスターソードは
魔王を滅する唯一の力
一度は魔王に敗れたけれど…
永い眠りがこの深い傷を癒し
今度こそ魔王に打ち勝てるように
…必ず 新たな力を吹き込んでみせる
貴方は最後の希望……
どうか…
この剣が未来の貴方に届きますように……」
率直に言えばハイラルの空を飛ぶ白龍の正体は、封印戦争から現代まで生き続けたゼルダである。
マスターソードは時間を掛ければ復活する。また聖なる力のある場所に置けば年月の分だけ強い剣となって蘇る。そのことをデクの樹から聞いていたゼルダは、一つの決意を固める。
それは秘石を飲み込んで自我無き龍と化し、悠久の時を生きて自身が持つ聖なる力でマスターソードをより強い剣として蘇らせるというものだった。
怖くないはずがない。恐ろしいに決まっている。それでもゼルダは秘石を飲み込んだ。ハイラルの未来のために。何よりリンクのために。
白龍となったゼルダは咆哮を上げながら飛翔。その瞬間、一粒の泪が溢れて零れ、飛び散り、ハイラルの各地に落ちた。
一人の女性の犠牲と泪によって築かれるハイラルの未来——ティアーズオブザキングダム。
すべては来るべき日に備え、勇者を魔王に勝たせるための犠牲だったのだ。
時は流れて現代。
多くの想いに支えられた退魔の勇者は、ついに魔王を追い詰める。
そこで魔王はハイラルを支配できぬなら滅ぼすと定め、禁じ手を用いて秘石を喰らって黒龍へと変貌。
変貌と同時に、巨大な邪龍の口にリンクも捕縛され、脱出しようと足掻く事しかできず劣勢を強いられる。
その時、空の彼方から最後の味方が駆け付ける。それは白き龍と化したゼルダであった。
最早ゼルダとしての自我も記憶もない。そんなものは龍化した時に失われたはず。
けれど、それでも。リンクのために奮闘する彼女は紛れもなくゼルダなのだ。
白龍に攻撃しようと黒龍が口を開けた瞬間、捕らえられていたリンクも大空に投げ出される形で脱出、黒龍の攻撃を間一髪で回避に成功していた白龍の頭に乗り、態勢を整えたところでハイラルを救うための最終決戦が始まる。
そして大空の死闘の末、リンクによって黒龍は背中から尾にかけて存在する瘴気溜まりのような弱点を破壊され、そして最後に額の秘石を貫かれ敗北。光の柱となりハイラルから消え去った。
次の瞬間、ラウルとソニアの霊体が現れリンクの右腕に手を添える。
光に包まれた白龍は、美しい少女へと姿を変える。そしてリンクの右腕もまた元通りに。
それは王族の魂が起こした奇跡だったのか――再会を喜ぶ勇者と姫の前では、そんなことはどうでもいいことだった。
※更なる余談
ここまで読んでもらえればわかる通り、現代に登場するゼルダ姫は全て偽者である。
各地の異変に見え隠れするゼルダはファントムガノンが化けた間者であり、ガノンドロフの操り人形として本体に情報を送っていた。
この他のゼルダは、イーガ団がリンクを騙すために化けた偽者である。
見分ける方法は簡単で、ゾナウの衣装がファントムガノン、英傑衣装がイーガ団である。
マスターソードは白龍の頭髪にくるまれており、引き抜くためにはがんばりゲージが2周分(がんばりの器5個分)が必要となる。
マスターソードは任意のタイミングで入手が可能であり、ストーリーを進めずに手に入れることもできれば、入手しないでラスボスまで来ることが出来る。
後者の場合は、ラスボス最終形態戦の直前に引き抜くイベントが発生する。
どんなタイミングで引き抜いてもゼルダの想いがリンクに届くシーンが描かれる。ラスボス最終形態戦の直前にこのイベントは一見の価値アリ。
ラスボス戦後、感動のエンディングとなるわけだが不覚にもスカートの中に目が行ったプレイヤーは少なくないと思われる。ゼルダ姫の数少ないサービス要素だが、残念ながら下着は見えない(下着のグラフィック自体がないようではいてないように見える)。
厄災の黙示録では修行時の巫女服のみスカートの中が見えるが、こちらは下半身と布地が一体化しているためやはり下着は見えない((ゲルド族の二人は見えるのに……)。
厄災の黙示録では「なぜ白いガーディアンが時間を移動できたのか?」という疑問が残ったままだった。描写からして元々にそういう能力があった、もしくは制作者であるゼルダの力が宿っていたとユーザーには推測されていたが、ティアキンを見るに後者の可能性が高い。
※もう一つの関連タグ
マリン(夢をみる島):ゼルダ姫のそっくりさん。怪我をしたリンクに「ムチャしちゃダメ!」と叱っており、ブレワイゼルダも同じ旨の台詞をリンクに告げている(ウツシエの記憶で確認可能)。またティアキンゼルダとも似通った展開がある。
かぢばあたるのコミカライズ版(ネタバレ注意)では、魔物の群れに襲われたところをリンクに助けられ恋心を抱くようになる。逆に著者の作品に登場するゼルダ姫は、序盤だけだがリンクを嫌っていた。
時の勇者:ティアキンゼルダのオマージュ元と思われる。
白いガーディアン:「厄災の黙示録」に登場する小型ガーディアン。こちらも過去の時間へと遡り歴史を変えるが……。
リルトの誓い:ラストバトルに登場するある人物がゼルダと似たような役回りを演じる。