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理不尽暴力ヒロインの編集履歴

2023-08-03 14:11:59 バージョン

理不尽暴力ヒロイン

りふじんぼうりょくひろいん

ライトノベルや漫画などに存在することがあるヒロインの属性の一つ。

概要

読んで字のごとく、他者に対してとても理不尽な理由で(あるいは「そもそも理由はない」が)暴力を振るうヒロインを指す。

ツンデレヤンデレの中の一類型としても見なされているが、複数の属性から成り立っており、簡単な説明は難しい。

ちなみに、好意を抱いていながら暴力を振るってくるヒロインに萌えを見いだす「ボコデレ」なるジャンルも開拓されたが、「暴力性に萌えを見いだす」点でドMホイホイなどと重なる部分が大きいため、それほど普及していない。また、ボコデレには「男性恐怖症などのっぴきならない事情で、本人としては暴力を振るいたいわけではないが反射的に手が出てしまう」キャラを指す目的で広まったため、単純な暴力性とは異なる。


「理不尽暴力ヒロイン」の表現は「何を以て『理不尽』とする」か、また「どの程度までを『暴力』とするか」は受け手によって印象が一定ではなく、キャラヘイトとして不快感を与えてしまう可能性もあるため、気軽に用いられるような属性ではない(これは吐き気を催す邪悪なども同様)。


故に、本記事ではこの属性に該当し得るキャラクター名や、そのようなキャラクターが登場する作品名、詳細な描写については基本的に記載せず、あくまでこの属性そのものの解説に留める扱いとする。


歴史的な考察

「敵役ではないが、主人公等に暴力を振るう」属性を持つキャラクターは決して珍しくはなく、昔から存在していた。

無論ヒロインに位置付けられるキャラにおいても多数存在し、そうではない「女性のお邪魔虫キャラ」等も含めると更に多い。


この「主人公その他に対し暴力を振るうヒロイン」に関しては、通常は対象の何らかの悪行への制裁、あるいは他者や自分を守るための咄嗟の防衛行動パターンが多かったとされる。

前者の例を挙げるとすると「スケベな主人公がヒロインにセクハラor浮気する→鉄拳制裁」が王道。こちらは「理不尽に酷い目に遭ってウケをとるポジション」的なものであり、『ドリフ大爆笑』など往年のコントによくあった演出を思い浮かべれば分かりやすいはず。

後者の場合も「とっさの防衛のため」となり(度を越していれば当然過剰防衛になるが)、筋は通っているので理不尽とはならない。

 

一方で2000年代後半ごろからのアニメライトノベルにおいては、特に理由が描かれない、あるいは身勝手で理解に苦しむ理由から暴力を振るう女性キャラも目立つようになった。まるで肉体言語である。

 

例えば「主人公が他の女性と仲良くしていたのが気に入らなかったから(=嫉妬)」・「ただの照れ隠しのつもり」等、ツンデレツンギレヤンデレなどに分類されるような「相手への好意が空回りした結果『暴力』の形で表現された」行動原理を持つキャラクターがいる一方で、酷い場合「ヒロイン本人の失態を主人公になすりつけるための暴力」もあるなど、好意が伴わないように見えるキャラクターもいる。


一応フォローしておくと、当該キャラも大抵は主人公に対し好意を持っている実態ははっきりしており、行動の根本にあるものが好意であるのには変わりない。

しかし、本人の性格が非常に短気であったり、ワガママであったりするため「やきもち」や「照れ隠し」などでは済まないレベルまで、暴力やその経緯がエスカレートしてしまっている。


特にハーレム系と呼ばれる「ヒロインが多数登場する形式の作品」においては、多少性格が変わったヒロインでないと、キャラクターが立ちにくい作劇の都合も挙げられ、極端なキャラ付けにされている作品も少なくない。他にもアニメ化などメディアミックスの段階で、ある程度キャラクターの詳細な描写が削られたせいで、本来明確で理解を得やすい理由による言動が「理不尽」に見えるものに改変されてしまう、逆に理不尽にしか見えないものだった言動が補足され、きちんと理由付けされる真逆の例もある。


結果的な変遷

一時期はこうしたキャラが登場する作品も多かったが、現在では様々な理由により衰退しつつある。以下にその理由として推測されるものを記述する。


1つ目としては、上述したような「短気でワガママで理不尽な性格」が、可愛いだけでは許されず嫌われるようになってきた点。

「ツンデレ」属性がブームになり、本質や魅力をろくに理解しないまま、安易に飛びつく輩が後を絶たない粗製濫造が横行した結果、より印象を強めようと内容が極端になっていき、冗談では済まない横暴さが際立つ描写が急増。

それに晒された読者層も「魅力的なキャラ」と「見た目だけのウザキャラ」を見分けられる様になっていった。


2つ目としては、決める時は決めるが普段はスケベだったりトラブルメーカーだったりな三枚目要素のある主人公が減り、読者や視聴者が感情移入し易い人格者優等生的な性格描写や、大人しい草食系なタイプが増えてきた点。

このため、三枚目な主人公ならば『ツッコミ役』『制裁担当』の形で筋の通っていた「ヒロインの横暴」が、純粋に理不尽なだけで目に余るものとなった。


他にもコンプライアンス上の問題や、ポリティカル・コレクトネスの観点から、メディアにおいて過剰な暴力描写自体があまり行われなくなった点が挙げられる。

結果、ブーム自体が収束を始め、新たな性格傾向のヒロインがもてはやされるようになった商業的背景な理由も大きい。

 

現在はこうした事情もあってか、新たに創作されるキャラはツンデレであってもワガママでは無かったり、攻撃的な態度も暴力行為などに走らない軽いもの(頭をはたく、お互いに頰をつねり合う等)にするなど、所謂「地に足の着いた」キャラとして描かれるケースも増えてきている。



……だが、近年になると新たに『フィジカル由来の暴力は振るわない代わりに、モラルハラスメント暴言に特化したDV洗脳bot』タイプとも評すべく、理不尽暴力ヒロインがにわかに出現し始めた。

表面的な言動はウザインメスガキ寄りで、本質的には主人公への想いと独占欲の発露なのだが、他の女性に主人公を奪われないようにする手段として「彼はどうしようもないダメな人であり、そんなダメな人を相手にしてあげる私に感謝して欲しい」とのイメージ操作に走り、公開処刑のようにひたすら主人公の尊厳を踏みにじるように詰る。

これにより、主人公は現実のDV被害者のように自己肯定感を磨耗させられ、更に生来持つ内外双方のポテンシャルを封印されるなども重なり、ヒロインのイメージ操作通りの『ダメな人』に追いやられてしまう。


創作上での扱い

この種のヒロインは、暴力行為が頻出してしまう難のある性格以外に、視聴者や読者から見ても自然に認識できる長所、あるいは暴力行為に至るまでの納得し得る設定をしっかり作り込まない限り、単なる人格破綻者にしか見えなくなる。

「暴力を振るう」時点ですでに好き嫌いが分かれる以上、創作でこの種のヒロインを登場させる場合は注意が必要となる。

そのためにマルチヒロイン作品で、理不尽暴力ヒロインが登場した場合、暴力の理由の解明と軟化イベントを兼ねて、真っ先に主人公と交流し親交を深めさせざるを得ず、看板ヒロインの空気化展開の固定化を招くなどのリスクをも秘めてしまう。

更に上記のイヴェントを実行しても、完全に暴力を取り上げたら個性が消失してしまうため、結局は物語が完結するまで暴力を振るわなければならず、初登場の悪いイメージの払拭が困難なのが現実である


その他、主人公がヒロインの暴力をしっかり咎めない、もしくは理不尽に思っても最終的には受け容れてしまう展開も、読者から叩かれる要因になり得る。

そうした意味においても、非常に扱いが難しい属性と評価せざるを得ない。


なお、理不尽暴力ヒロインに対するアンチテーゼ……よりはヘイト創作なのか、一時期小説家になろうカクヨム等の小説投稿サイトでは、『理不尽暴力ヒロインによる度重なる横暴に愛想が尽きてしまった(堪忍袋の緒が切れてしまった)主人公が完全に縁を切り、別のヒロインと出会って親密な関係になる』作品が流行っていた。ただし、これにも創作者側が理不尽暴力ヒロインの背景にあったはずの「理」を描かずに切り捨て、都合のいいキャラに乗り換えてしまっているだけの問題点もある。

また、上記のような展開もさじ加減を誤ってしまうと、主人公がタダのクズに成り下がる(=積年の恨みを晴らさんとばかりに、理不尽暴力ヒロインを執拗に詰る)ケースもあり、やはりか書く側にも読む側にも不便な存在である。



数少ない利点があるとすれば、理不尽暴力ヒロイン以外のヒロインの株を上げる役や、戦争やバトル物で敵幹部の凶悪さ・強大さを見せつける役で躊躇なく使えるぐらいであるが、それであっても不愉快になるユーザーがいる以上は、やはり安易に扱う属性ではないと思われる。


二次創作での扱い

もし二次創作でそのまま登場させたくば、極力露出を減らして腫れ物に触るように扱うか、さもなくば原作を無視した、聞き分け(と都合の両方)が良いキャラにでもするしかない。なんとも難儀であるが…。


……さて、ここまで示したのは、なるべく綺麗な活用法である

だが悲しいかな、ここまでヘイトを買うキャラである。散々殴られっぱなしで黙っていられようはずはない(何より暴力ヒロインならば暴力ヒロインらしく、扱ってあげなければならない)するとどうか?


まず同人誌なんかでは当然無事で済むはずはないお約束の展開だがチンピラ DQNに悪態を吐いて、集団でボコられて路地裏に連れ込まれ、以下略である)。

「相手がストイックに時間と労力と金と愛情をかけて築き上げたものをグチャグチャに崩壊させるんだ」「これはもうセックス以上の快楽だッ」

……そんな感じで溜飲を下げつつ、鬱憤晴らしに殴りたいのが人間の心理かも知れない


参照


関連項目

暴力 ヒロイン 理不尽 DV ツンギレ

負のご都合主義メアリー・スー:理不尽暴力ヒロインの暴力が事実上のお咎めなしで済むため、これらに該当する可能性が高い。


メインヒロイン(笑):メインヒロインらしからぬキャラクター性、扱いを受けるヒロインを指すが、こちらで表記される場合基本的に出番がない空気ヒロイン(ヒロイン候補が多すぎたり、ヒロインの能力が強すぎてフルスペックで活躍させたり、同行させると主人公が活躍するまでもなく事態が解決してしまうため負傷や別動隊等理由をつけて除け者にされる等)や、一応ヒロインポジだが「すぐゲロを吐く」「友達としての付き合いや、面は良いが彼女としてはアレな性格」「奇行に走りがち」等の女キャラを指す、この場合こんなのをヒロイン扱いしなければならないほどメインキャラに女が居ない事が多い。一応理不尽暴力ヒロインと呼ばれるようなキャラもこれに該当し易い(性格面はもちろん、ファンからの人気も伸び難いと思われる)。


ヤンデル:こちらはヤンデレの印象だけをなぞった「ただ猟奇的なだけ」の代物を指す。


高橋留美子:彼女の作品には伝統的に「主人公に激しい制裁を加えるヒロイン」が多い。日本のラブコメ漫画を代表する作家の1人でもあるため、ある意味でこの手の属性の走りとなったのかも知れない。とはいえこの被害を受ける主人公は大抵ドスケベであり、その制裁である方が多い(そうでなくても普段の行いが悪い)ので、理不尽より因果応報である。


カズマ(このすば):男女平等主義者を自称し、上記のような暴力行為があった際には全力で反撃すると公言している。関連・上条当麻(→男女平等パンチ


近江閃登:上記以上に、特に迷惑な行為をすれば容赦なく力を振るう(そして喰らった相手は大体失禁する)。


ジャイアン:男子なので「ヒロイン」ではないが「照れ隠しのつもりでついつい暴力を振るう」点では典型的なキャラ。ただしこれはアニメ版にて追加された設定で、原作ではそうでもなかったりする。


花園ゆりね:近年の暴力系ヒロインの成功例。主人公が明らかなクズなのと彼女へのお仕置き以外は非常に良識的な真人間であるため、暴力を振るう理由が成立している。


ベルトラン:元々、男性なのでジャイアン同様に「ヒロイン」ではないかも知れないが、暴力ヒロインが多いイメージが存在する女騎士で私的な理由(痴漢)に襲われたり、他人の言動に怒る)では決して剣を抜かないと、ある意味で珍しい人物。

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