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手榴弾の編集履歴

2023-08-12 19:59:42 バージョン

手榴弾

しゅりゅうだん

手榴弾とは、爆弾の一種。手投げ用の爆弾で、主に歩兵用の基本装備として用いられる。小型ながら威力はかなりのもの。

概要

手榴弾とは、携行型の爆弾の一種。

手で投げる(投擲する)ことを主眼とした小型の爆弾。擲弾(てきだん)、手投げ弾の類に属する。

(榴弾とは弾頭に火薬(爆薬)の詰まった砲弾のこと)

英語では『ハンド·グレネード』【Hand Grenade】という。

俗称·隠語などでは『イースターエッグ』とも呼ばれている。


構造

握り拳大の大きさで携行に適しており、小型かつ高威力であることから、ライフルマシンガンと並んで、陸上戦での基本兵装の一つに挙げられる。

構造はシンプルで、信管と呼ばれる起爆装置と爆薬によって構成されており、信管に付いている安全装置を外すことで、着火用の化学物質が爆薬に火を点け、爆発する。

安全装置の解除は、もっぱらピンコックを引き抜く方式になっている。

また、現用の手榴弾の多くは起爆装置を作動させるためのコックをピンで固定する方式がとられている。

多くの手榴弾が安全装置を外して数秒後に爆発する反応式である。そのほかにも、安全装置を外したあと、地面に落ちた衝撃で起爆する着地式も存在する。ただし、こちらは不発弾となる危険性が高く、現在ではほとんど製造されていない。

簡易式の地雷としても応用でき、安全装置に極細のワイヤーなどを結わえ付け、もう一方を地面に刺した棒などに括り、ワイヤーが引っ張られると起爆するといったものが多い。

兵士に限らず遺体は回収する事が殆どな事から遺体の下に安全装置を外した手榴弾を置き、動かしたらレバーが外れるといったにも使われる。

また、戦車を無力化する際にも有効とされ、外部から戦車の搭乗口や窓をこじ開けて投げ入れたり、キャタピラや砲身部分を爆破するなど、人対戦車における重要な武装ともなる。(もっとも、戦車にそれほどまでの近距離に迫れる状態は稀なのだが···)

ただ、市街戦などでは針金などで数個をまとめた手榴弾を用意し、伏兵が建物などの上から落としてトップアタックで爆破するなどの用法も行われた。そのため、市街戦では歩兵で建物内を掃討しておかないと思わぬ目に遭うこともあるのだが、その段階で…


手榴弾の殺傷半径は、お前のジャンプ力を一歩上回っている。 —— 不詳


種類

大きく分けて三つあり、爆発の衝撃波により狭い範囲の目標を殺傷する攻撃型(コンカッショングレネード)、爆発の衝撃に加えて破片や周囲の残骸を飛ばす事より攻撃する防御型(フラグメントグレネード)、そして発煙するだけのスモークグレネードや近年開発が進んでいるスタングレネードなどの殺傷を目的としないものである。

攻撃型と防御型は

  • 加害半径が狭く攻撃が同時に行なえる手榴弾
  • 加害半径が広く遮蔽物等による防御を必要とする手榴弾

と言った風に覚えると区別しやすい。

攻撃型·防御型で有名なものには、パイナップルの通称を持つMK2手榴弾ポテトマッシャー(ジャガイモ潰し器)と呼ばれる柄の付いたM24型柄付手榴弾レモンの別名を持つM26手榴弾リンゴ(アップル)のあだ名のあるM67破片手榴弾、スモークグレネードに似たスプレー型のMK3手榴弾などがある。

コンカッショングレネードは対フロッグマン用に水中へと投げ込むことで爆轟の圧力により殺傷するという使い方もある。(一種のダイナマイト漁である)


殺傷を目的にしないもの

スタングレネードは、強烈な爆発音と閃光で相手の視覚·聴覚·平衡感覚を奪うもので、相手を生かしたまま無力化することを目的とする。

音と閃光で無力化するため、至近距離ではケースから噴出した圧力波(ケース内では1立方センチメートル当たり約2.1トンにもなる)や内容物の燃焼によって発生した炎をもろに浴び、ある程度離れていても人によってはショック等により死亡する可能性があるために低殺傷兵器に分類される。

通常のスタングレネードは一度のみだが、複数回閃光を放つものもある(Valley Associates Energetic Materials Company製9-Bangなど)。

類似品には発煙弾(スモークグレネード)、催涙弾などに代表されるガス弾などが挙げられる。

対人用ではないためこちらの項目に入るが、鉄条網やバリケードの排除、機材等の焼却を目的とした焼夷手榴弾もある。

テルミット反応を用いたサーメートを使用したAN-M14/TH3焼夷手榴弾が有名。

白リン発煙弾のように副次的な効果として焼夷手榴弾として働くものもある。


この手の手榴弾は軍事目的以外にも、特に人質救出でも使われるため武器に縁が薄い日本でも使用されているところを見る機会がある。具体例として、西鉄バスジャック事件の突入時に犯人確保のため突入時にスタングレネードを投入、犯人確保に成功した。


一度起爆した手榴弾は···

前述の「反応式手榴弾」は起爆装置が作動した時点で、それを解除する方法が無いためM24型手榴弾などのピンを引き抜くだけで起爆する方式のものは、いくらピンを戻しても爆発してしまう。

残念だったなジャッキー···

ただし最近の主流はピンで起爆コックを留める方式のため、コックが外れる前にピンを戻せば起爆はしない。······といいつつもちょっと指の力が緩んだ程度でも簡単にコックは外れてしまうので、そんなことを考える前に出来るだけ遠くに投げたほうが身のためである。

特にスタングレネードでは相手に対処の暇を与えない為であったり遮るものの少ない空中で起爆しやすくするために短い時間で起爆する信管を用いているので、注意が必要である。

またアクション映画でよくみる「投げ返す」「蹴り返す」「打ち返す」は非常にキケンなので、鍛え抜かれたファッキン堅マラでない限り真似してはいけない。

最近では投げ返しを防ぐためにガスを噴出する勢いで地面を転がりまわる催涙ガスグレネード、空中に飛び上がるので遮蔽物による防御や投げ返しが難しい破片手榴弾も登場している。

防御型手りゅう弾の爆発では大小さまざまなエネルギーを持つ破片が発生し、それにより広範囲の殺傷を行うが、厚い物体を貫通するほどのエネルギーを持つものは数が少なくなるため、分厚いマットレスや人体等で覆うことで被害を大幅に抑えることが可能。

戦友を守るために自ら上に被さり、その生命と引き換えに周囲への被害を小さくした者も多くいる。


ピンを抜いた瞬間から、手榴弾は我々の仲間ではありません。 —— アメリカ陸軍 訓練教則


ちなみに···

映画漫画などのフィクションでは、安全ピンのリングを口に含み、歯で噛んで、または歯に引っ掛けて抜くという描写が結構あるが、ピンは安全のためにかなり固く固定されているので歯が欠けたり抜けたりする可能性が高い危険な行為だったりする(ピンがうまく外れなかった場合、全腕力をかけて一本の歯を引っ張るのと同じことになってしまう)。

こんな感じで
グッバイクリスマス

というのも、手榴弾を携行する方法のひとつとして、安全ピンのリングに直接ヒモを通してぶら下げるというもの。

(使用する時は直接手榴弾を引っ張って安全ピンごと引き抜き、そのまま投げる)


例えば映画「コマンドー」で島へ上陸後にメイトリクスが武装するシーンである。

いかにも危険そうな表現だが、本当ならそう簡単に安全ピンは抜けない

じゃなきゃ安全装置の意味がない

(トラップに使う時は一度引き抜いてから戻し、ピンの抜け防止をつぶして抜けやすくする)


こういった表現が出てきた背景にあるのは「わざわざ手榴弾を出さなくても、手にとってそのまま投げられるための現場の知恵」的な表現であったのだが、いかにもベテラン兵のような見栄えがするため前述した「投げ返し」などと同様に、よく使われる表現となった。

ある意味での様式美とでも言える。


ちなみにこれは現代の話であり、ベトナム戦争当時などはもっと抜け易かったという。

これが変わったのはジャングルでうっかり手榴弾を引っかけ、それに気づかず進んだためにピンがすっぽ抜け、暴発する』という事故が多く起こったからだ。

以来、ピンの改良に加えて収納するポーチにレバーを押さえる環を付けるなど、安全ピン以外にも暴発の可能性を減らす改良が行なわれ、そのような事故は激減している。


歴史

古来、戦闘といえば敵味方が隊列を組み、互いに密集した状態で行われていたが、小銃が戦場で多用されるようになった16~18世紀においても、それは変わらなかった。

(映画「パトリオット」などに描写がある)

これはまず、当時の小銃が未熟な技術で作られており、標的との距離が開くと威力・精度ともに減衰してしまうという事情がある。

当時、主に使用されていたマスケット銃の実用的な射程は、50m程度と非常に近かった。

これは現代の小銃とは比べ物にならない。バレル長も短く装薬数も少なく現代の性能の良い拳銃程度であった。


加えて黒色火薬の燃焼により生じる刺激性ガスと煙で視界が悪くなる、再装填と着火にも熟練した技術と手間がかかる・・・という武器だった。

これを補うために戦列を組み、「数撃ちゃあ当たる」と運用したのである。


密集する敵兵を一度に多数倒し、打撃を与えることができれば、戦況に影響を与える事ができる。

そこで生まれたのが「密集した敵をまとめてなぎ倒せる武器」、つまり手榴弾である。

鎌倉時代末期、元寇が使ったてつはうは爆発とともに鉄片をばら撒く原始的な手榴弾だったのではないかといわれている。


しかし、当時の手榴弾は「容器に火薬を詰め、導火線で起爆させる爆弾」。

扱いの難しいもので、保管から点火、投擲に至るまで、すべてに注意が必要な・・・そして事故を起こす可能性が高い・・・武器であった。

当然、これを扱う兵士にも高度な訓練や熟練した技術、心身の強靱さが求められ、そのため「敵陣に肉薄し手榴弾を投げ込む」ことを目的とする、『擲弾兵』なる兵種まで出現している。


しかし、後に武器の性能が上がり、互いに密集隊形を取る必要が無くなると、手榴弾は急速に廃れていく。

爆発の効果が及ぶ範囲には限りがあり、兵士同士の距離が離れれば、それだけ威力は薄くなる。

手榴弾が高価なことに変わりはなく、その割に散開した兵に与える効果はそれほどのものでは無くなったので、手榴弾は武器として急速に廃れていった。手榴弾は密集隊形の終焉と共に息絶えたのだった。


なお、手榴弾を使う兵種だった擲弾兵はその後、「敵陣に肉薄して手榴弾を投げ込む兵種」から、「精鋭兵」へと意味を変えて存続する。


かくして戦列歩兵の時代の終わりと共に、手榴弾は姿を消した・・・のだが。時代は手榴弾を黄泉の国から呼び戻し、再び活躍の場を与えることになる。

時は19世紀末から20世紀初頭。日露戦争第一次世界大戦において、戦場では防御陣地として、塹壕が張り巡らされるようになった。

その塹壕陣地攻略・制圧の武器として、再び手榴弾が武器として登場したのだ。

もちろん最初は爆薬(爆破工作兵用)と、ブラシの柄などを組み合わせた、威力こそ昔のそれとはケタ違いだが、構造は似たような単純なモノ(ブラシ爆弾)である。

これに導火線をつけ、塹壕の向こう側の相手へ投げつけたのだ。


当然ながら敵も時限爆破式であることは承知しており、手榴弾の処理がしやすいよう、塹壕内に手榴弾処理用の溝を掘る、被害が拡大しないよう長い直線を作らないなどの改良を施し、また「爆発前に拾い上げ、投げ返す」という対処法も生まれた。

これに対応し、時限式ではなく、触発式信管(すぐに爆発するもの)を取り付け投げ込むという使用法も生まれている。だが、この方法は投射時の事故が多く(たとえば投げる際に取り落とす)、その度に兵士が失われてしまった。

更に触発式信管の不発により爆発せず、しばらく経った後に突然起爆するなど、敵味方の区別無く被害をもたらすこともあった。

・・・1935年にイタリアで採用されたOTO M35型手榴弾はその不発率と誤作動率の高さにより赤い悪魔と呼ばれた。


手榴弾自体も改良・改善が行われ、「投げるまで爆発せず、かつ敵が投げ返す時間がない起爆時間」や「投げやすい形状」などについて研究が行われた。アメリカではボールのように投げられる円いもの、ドイツではブラシ爆弾に範をとったポテトマッシャー型の棒型手榴弾が開発されている。この時期の日本の手榴弾はペットボトルのような形をしているのが特徴である。

更に、投擲距離を伸ばすために小銃擲弾として空砲で手榴弾で撃ち出す器具も開発された。

小銃擲弾の代わりに手榴弾を撃ちだすアダプタも製作されている。

また、対応した設計の手榴弾のみとはいえ、八九式重擲弾筒のように手榴弾を使用できる迫撃砲も開発された。


戦後は米ソがどちらもボール型を採用したため世界的に丸いものが大勢を占めているが、中国ではしばらく柄付き手榴弾が生産されていた。


現代では基本的に耐久性や破片効果などから金属製の外殻が用いられているが、近年では軽量化の為にプラスチック外装が用いられているものも登場している。戦時中には陶器で作られたものもあった。

防御型手榴弾では内部に金属球やワイヤーなどが入れられている。


装甲擲弾兵

「擲弾兵」の名がエリート兵を表す呼び名になったのは前述のとおり。

ナチスドイツでは兵士にプロとしての自覚を促すため、敵をビビらせるため等の理由で歩兵にこの呼び名を採用した。

当時、既に擲弾兵は過去のものとなっているので、名前だけである。


擲弾兵に限らず、どの国でも「精兵を表す旧い呼び名」を採用することは多くあり、

竜騎兵部隊や槍騎兵部隊などがそれにあたる。

ロシアでは「狙撃兵部隊」と呼んでいるが、全員がスナイパーという訳ではない。念のため。


機械化部隊

一言でいえば、『歩兵装甲車を組み合わせた部隊』のことである。

アメリカ式なら「機械化歩兵部隊」、ドイツ式なら「装甲擲弾兵部隊」、ロシア式なら「自動車化狙撃兵部隊」と呼ばれている。なんだかサイボーグみたいだが別にそういうわけではない。


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