「道」というものは 自分で切り開くものだ
概要
「ジョジョの奇妙な冒険」第三部の副題。
連載当時の副題は「第三部 空条承太郎 ―未来への遺産―」であった。
週刊少年ジャンプ1989年16号-1992年19号連載。全152話。単行本では12巻-28巻に当たる。
主人公側であるジョースター家の血統を受け継ぐ者たちと、宿敵ディオ・ブランドーとの長年に渡る因縁の戦いの一つの決着を描いている。
承太郎一行がDIOがいるエジプトを目指してアジアを横断旅行しながら、その道中でDIOが放った刺客たちと戦っていくという、西遊記的なロードムービー活劇である。
第1部、第2部は5巻~7巻程度で完結していたが、この第3部から構想が大幅に膨らむようになり、連載は3年以上続くことになった。前半は東京を出発してエジプトに入るまでの旅を描いており、後半はエジプト国内の様々な地域を周りDIOのアジトを探すという構成。
シリーズを支える重要な要素であるスタンドという概念や「星の痣」といった設定も、この第3部から登場する。
所謂「ジャンプ黄金期」がピークに向かって発行部数がうなぎ登りにあった時期に連載されていたため、知名度と人気の高さは歴代シリーズ随一である。
よってファンならずとも『ジョジョ』といえばこの部を思い浮かべる人は非常に多く、ゲームやアニメ等の他メディアで扱われる機会も他の部に比べて多い。
シリーズ中最も「ジャンプ漫画らしい」描写と展開を意識しているが、同時にジョジョらしさも変わらず全開であり、スタンド同士の熾烈な激突やスリリングな駆け引き、ユーモア溢れるギャグの数々、個性豊かで魅力的なキャラクター、巨悪との壮絶なラストバトルなど、エピソード自体の完成度も極めて評価が高い。
ちなみに第2部は年老いたジョセフが日本に向かうシーンで終幕を迎えるが、これはそのまま第3部第1話の展開に繋がっており、シリーズ中でも前後の部の展開が密接に関連している特異な例である。
あらすじ
1987年、ジョースター家の宿敵であるDIOがジョナサン・ジョースターの肉体を乗っ取り蘇った!
その影響で、ジョナサンの孫ジョセフ・ジョースター、ジョセフの孫である空条承太郎に、突如スタンド能力が発現する。
承太郎の母、空条ホリィにもスタンドが発現するが、スタンドの悪影響に蝕まれた彼女は高熱に倒れ、もって後50日という危篤状態に陥ってしまう。
彼女を救うにはエジプトにいるであろうDIOを倒すしかない。
かくして、承太郎達はDIOのいるエジプトを目指し旅立った。
主要な登場人物
本作の主人公にして三代目ジョジョ。寡黙かつクールで冷静沈着だが、家族や仲間の危機は放っておけない性格。世間からは不良のレッテルを貼られているが、心には黄金の精神を宿している。圧倒的に頼りになる最強タイプの主人公。スタンドは極めて優れた精密動作性と豪快なパワーを誇るスタープラチナ。
- ジョセフ・ジョースター / ハーミットパープル(隠者の紫)
承太郎の祖父で第二部・戦闘潮流の主人公。言うなれば前作主人公、主人公を助ける先代枠。第3部以降では唯一の波紋使いでもある。年老いたもののお調子者のノリは変わらず、相変わらず抜け目のないトリックスター。承太郎にスタンドが発現したことを知り来日。スタンドは念写と茨による拘束が可能なハーミットパープル。
- モハメド・アヴドゥル / マジシャンズレッド(魔術師の赤)
ジョセフの友人でエジプト人の占い師。生まれながらのスタンド使いで、スタンドに関する知識と経験、更には旅先の文化事情にも詳しい。非常に真面目な堅物であるが、同時に熱くなりやすい性格。スタンドは自由自在に炎を飛ばす鳥人型のマジシャンズレッド。
- 花京院典明 / ハイエロファントグリーン(法皇の緑)
承太郎の通う学校に転校してきた高校生。冷静沈着、仲間の和を大切にする性格で洞察力が鋭い。スタンドを持っているが故に周囲から距離を取って過ごしていた。最初は肉の芽で洗脳されて敵として登場したが洗脳を解かれ、承太郎の仲間となる。スタンドは遠隔操作能力を持ち、エイリアンヒーローのような姿のハイエロファントグリーン。
- ジャン=ピエール・ポルナレフ / シルバーチャリオッツ(銀の戦車)
フランス出身のスタンド使い。三枚目枠。最初は敵として立ちはだかったが、戦闘後に洗脳を解かれて仲間となった。騎士道精神を持ち友情に厚いが、激情的で軽く女好きな性格のコメディー担当。スタンドはスピードに長け、鋭いレイピア捌きを武器とするシルバーチャリオッツ。
エジプト上陸後にスピードワゴン財団が連れてきたボストンテリアのスタンド使い。ニューヨークで野良犬の頂点に君臨していた。当初は戦いに参加しなかったがペット・ショップ戦以降からは仲間として一緒に行動した。スタンドは四脚の動物のような姿をした砂を操るザ・フール。
ジョースター家の宿敵である邪悪の化身。第一部・ファントムブラッドにてジョナサン・ジョースターと相打となり海の藻屑になったかと思われたがまだ生きており、ジョナサンの肉体を乗っ取って約100年もの間海底で眠りについていた。DIOが復活してスタンド能力を持ったことが、ジョースター家の人間がスタンドを発現させた原因である。何の縁もない国のはずだがなぜかエジプトから動こうとせず、ジョースター一行がエジプトへ向かうきっかけとなる。スタンドはスタープラチナと同等のパワーを持っているとされるザ・ワールド。
その他登場人物はスターダストクルセイダースの登場キャラクター一覧を参照
メディアミックス
ゲーム
- SFC版『ジョジョの奇妙な冒険』
RPGだが、ストーリーの超改変などあまりにもおかしい出来であるため黒歴史を一巡してネタゲー扱いされている。
- 『ジョジョの奇妙な冒険(未来への遺産)』
カプコンによって開発された格闘ゲームで、「三部ゲー」といえばこれを指す。システムの完成度が高く原作再現も緻密で、現在でも評価の高い作品として知られる。アーケード版がオリジナルで、後にプレイステーションにも移植されたが、出荷本数が少なかったため、中古にはプレミアがついている。
CDカセットブック
いわゆるドラマCD。全3巻。若本規夫がDIOを演じていることで有名。
OVA
A.P.P.P.により制作されたOVA。全13話。
1993-1994年に後半のエジプト編6話、2000-2002年に前半7話が作られた変則的な構成のシリーズとなっている。
その為前半7話はデジタル作画、後半6話はセル画による作画になっている。
エジプト編については、荒木氏の「アニメとして面白い作品を作ることにこだわってほしい」というオーダーを受け、原作再現よりも作画・演出の完成度が目立つ内容に仕上がっている(「「タンクローリーだッ!」が顕著な例)。
また全体的にコミカル抜きのシリアスな作風になっており、快活な冒険活劇としてよりおどろおどろしいホラー的な側面が目立った話もある(特に7話など)。
この他ストーリーの方も、尺に合わせてか一部改変されているため、ファンの間では賛否が分かれている。若い美女に変装しているエンヤ婆は必見。
本作を巡る問題
本作中にDIOがコーラン(原作ではタイトルの書いていない本)を読みながら部下にジョースター一行の始末を指示するシーンがあるが、これに「コーランは悪党が読むものというイメージを与えかねない」とイスラム教団体から苦情が寄せられたため、本作は回収・絶版されることになった。
実際のところは製作陣に他意はなく、アラビア語の資料が無かった事によりそれっぽい物を書き写したら、それがたまたまコーラン「雷電章」だったという。
しかし、当初はイスラム教圏でこの作品は問題視されていなかった。そもそも、海外向けの販売が行われていない。発端は違法アップロードされた本作品を勝手に見て勝手に怒った一人の暇人である。その者が「日本アニメがイスラム教をバカにしている」と数百のサイトに書き込んだところ、大半のムスリムは「うるせえ、日本のアニメなんかほっとけ」と却下したが、本作をよく知らない学者が「それは良くないな」と回答。これを共同通信が「世界のみなさーん!日本のアニメがイスラム教を愚弄してますよ!高名な学者も怒ってますよ!」と放火して回った。まんまと真に受けたイスラム教団体と集英社が遺憾のコメントを出し、前述の騒動に至る。
インターネットによる情報の発信と収集が容易になった現代社会の闇を浮き彫りにする事件とも言えるのである。
因みに同じ会社が制作した劇場版「ファントムブラッド」もOVAの絶版と同時にソフト化が見送られているが、こちらはこちらで映画化による尺短縮の煽りをモロに受けた作品となってしまった為ソフト化中止の口実に使われただけとも言われている。
小説
『ジョジョの奇妙な冒険:砂漠発地獄行』(著:関島眞頼)
『ジョジョの奇妙な冒険:熱き砂の墓標』(著:山口宏)
上記2作は1冊にまとめられ単行本として発売されている。
TVアニメ
さらに2015年冬には後半のエジプト編が放送。
1部2部のTVアニメはキャラクターのデザインがかなりリファインされているのに対し、この3部アニメはかなり原作の絵柄を再現したままアニメ化されている。ストーリーも原作再現に重きを置いており、またオリジナルのシーンは原作の穴を補完するようなものが多く、評価は概ね良い。
サブタイトル・敵
前期(タロット編)
1 | 悪霊にとりつかれた男 | アヴドゥル |
2 | 裁くのは誰だ!? | 花京院 |
3 | DIOの呪縛 | (特になし) |
4 | 灰の塔 | グレーフライ |
5 | 銀の戦車 | ポルナレフ |
6 | 暗青の月 | 偽テニール船長 |
7 | 力 | フォーエバー |
8 | 悪魔 | 呪いのデーボ |
9 | 黄の節制 | ラバーソール |
10 | 皇帝と吊られた男その1 | ホル・ホース&Jガイル |
11 | 皇帝と吊られた男その2 | ホル・ホース&Jガイル |
12 | 女帝 | ネーナ |
13 | 運命の車輪 | ズィー・ズィー |
14 | 正義その1 | エンヤ婆 |
15 | 正義その2 | エンヤ婆 |
16 | 恋人その1 | 鋼入りのダン |
17 | 恋人その2 | 鋼入りのダン |
18 | 太陽 | アラビア・ファッツ |
19 | 死神13その1 | マニッシュ・ボーイ |
20 | 死神13その2 | マニッシュ・ボーイ |
21 | 審判その1 | カメオ |
22 | 審判その2 | カメオ |
23 | 女教皇その1 | ミドラー |
24 | 女教皇その2 | ミドラー |
エジプト編
25 | 「愚者」のイギーと「ゲブ神」のンドゥールその1 | イギー、ンドゥール |
26 | 「愚者」のイギーと「ゲブ神」のンドゥールその2 | ンドゥール |
27 | 「クヌム神」のオインゴと「トト神」のボインゴ | オインゴ&ボインゴ |
28 | 「アヌビス神」その1 | アヌビス神 |
29 | 「アヌビス神」その2 | アヌビス神 |
30 | 「バステト女神」のマライアその1 | マライア |
31 | 「バステト女神」のマライアその2 | マライア |
32 | 「セト神」のアレッシーその1 | アレッシー |
33 | 「セト神」のアレッシーその2 | アレッシー |
34 | ダービー・ザ・ギャンブラーその1 | ダニエル・J・ダービー |
35 | ダービー・ザ・ギャンブラーその2 | ダニエル・J・ダービー |
36 | ホル・ホースとボインゴその1 | ホル・ホース&ボインゴ |
37 | ホル・ホースとボインゴその2 | ホル・ホース&ボインゴ |
38 | 地獄の門番ペット・ショップその1 | ペット・ショップ |
39 | 地獄の門番ペット・ショップその2 | ペット・ショップ |
40 | ダービー・ザ・プレイヤーその1 | テレンス・T・ダービー |
41 | ダービー・ザ・プレイヤーその2 | テレンス・T・ダービー |
42 | 亜空の瘴気ヴァニラ・アイスその1 | テレンス・T・ダービー、ケニーG、ヴァニラ・アイス |
43 | 亜空の瘴気ヴァニラ・アイスその2 | ヴァニラ・アイス |
44 | 亜空の瘴気ヴァニラ・アイスその3 | ヴァニラ・アイス、ヌケサク |
45 | DIOの世界その1 | DIO |
46 | DIOの世界その2 | DIO |
47 | DIOの世界その3 | DIO |
48 | 遥かなる旅路 さらば友よ | DIO |
スタッフ
原作 - 荒木飛呂彦
ディレクター - 津田尚克
シリーズディレクター - 鈴木健一
シリーズ構成 - 小林靖子
キャラクターデザイン・総作画監督 - 小美野雅彦
サブキャラクターデザイン・プロップデザイン - 町田真一
美術設定 - 青木薫、ソエジマヤスフミ
美術監督 - 吉原俊一郎
色彩設計 - 村田恵里子
撮影監督 - 山田和弘
編集 - 廣瀬清志
音響監督 - 岩浪美和
音楽 - 菅野祐悟
音楽制作 - ONE MUSIC
プロデューサー - 大森啓幸、森亮介、福田順、林俊安
製作協力 - 川瀬浩平
プロデュース協力 - 里見哲朗
アニメーションプロデューサー - 梶田浩司
ラインプロデューサー - 笠間寿高
アニメーション制作 - david_production
製作 - ジョジョの奇妙な冒険SC製作委員会(ワーナー・ホーム・ビデオ & デジタル・ディストリビューション、集英社、クロックワークス)
主題歌
OP(前期)
歌:橋本仁 / 作詞:藤林聖子 / 作曲:若林タカツグ / 編曲:ZENTA
ED(前期)
作詞・作曲:LIam sterberg / 歌・演奏:bangles
OP(エジプト編)
「ジョジョ その血の記憶~end of THE WORLD~」
歌:JO☆STARS~TOMMY,Coda,JIN~ / 作詞:藤林聖子 / 作曲:田中公平 / 編曲:田中公平、村瀬恭久
ED(エジプト編)
作曲:Pat Metheny / 演奏:Pat Metheny group
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