ヒグマ(ONEPIECE)
ひぐま
「八百万ベリーが俺の首にかかってる 第一級のおたずね者ってわけだ」
「56人殺したのさ てめェのように生意気な奴をな」
プロフィール
人物
性格
気に食わないことがあればすぐに暴れる粗暴な性格。また、自分に逆らう者は子供であろうと平然と殺そうとする残忍な人物である。
自分の危険性を見せつけるためか、常に自らの手配書を持ち歩いており名刺代わりに使っている。
その一方で、脅しつけるだけで不要な争いは避けたり、酒などの食料は客としてきちんと金を払って買おうとするなど、用心深い一面も見せる。
海賊を嘲笑っているが、これまで一度も海賊を見たことがないのだという。山賊団の頭なだけあり多数の部下を従えており、作中では最低でも10人は確認されている。
容姿
容姿は後ろに結った黒髪と、額の右側にある大きな十字の傷が特徴的。体型は「ヒグマ」の名前に反して細身で長身。
服装は名前の通り、赤いロングコート(アニメでは赤茶色)を着用し、白いシャツに黒のズボンと丸みを帯びた黒靴が標準衣装。
酒癖
酒や宴会が大好きで、一度に購入する酒樽は10個。
「ビン1本では寝酒にすらならない」と自称する程の酒豪で、酒がないと分かると別の町まで買い求めに行く程である。
戦闘能力
腰には刀を差しており、これを武器として戦う。
ちなみに右利きだが何故か刀を右腰に差している。
作中ではマキノの酒場のカウンターを切り伏せシャンクスを見下したシーンが印象的であり、この時の傷は現在もまだカウンターの上に残っている。
逃走の際は煙玉を使用し煙幕でその場から一瞬にして姿を消す。
活躍
フーシャ村にあるマキノの酒場へ手下達を引き連れ酒の買出しに向かうも、シャンクス率いる赤髪海賊団が店中の酒を全部飲み尽くしてしまった事実に怒り、シャンクスが差し出した未開栓のボトルも受け取るどころか、素手で殴り割った挙句に彼を「腑抜け」と罵りその場を後にする。
ちなみに、その時のシャンクスはヒグマ達を「応戦して殴る価値もない相手」と見なして、敢えて抵抗しなかった。
数日後、手下達と共に再び酒場を訪れシャンクス達の悪口をこぼしていた所に、幼少期の主人公モンキー・D・ルフィが突っかかってくる。これを返り討ちにし痛めつけた挙句殺そうとしたが、それを『友人への攻撃』とみなされ赤髪海賊団と対立。そしてラッキー・ルウに自身の部下を殺害されたのをきっかけに戦闘となった。
その結果、ベン・ベックマン1人に部下全員が敗れるが、悪あがきで煙玉で逃走し、ルフィを連れて海に出る。既に悪魔の実の1つであるゴムゴムの実を食べてカナヅチになっていた彼を海に落としヒグマは高笑いするが、その直後に現れた「近海の主」と呼ばれる海王類に襲われ乗っていた船ごと食べられてしまった。
なお、ルフィは駆けつけたシャンクスにより救出され難を逃れたが、代償としてシャンクスは左腕を失い、ルフィの心に大きな禍根を残すこととなる。
その後ルフィは祖父モンキー・D・ガープにより女山賊のカーリー・ダダンの下へ預けられるが、その際にヒグマ一味の顔を思い浮かべながら「おれ 山賊は大嫌いだ!」と抵抗している。因みにその10年後、ルフィがフーシャ村を出る際には「おれ 山賊は嫌いだけど お前らは大好きだ~!!!」と発言しダダンを泣かせている。
アニメ版での差異
第4話でアニメ化され、ルフィがゴムゴムの実を食べるタイミングがヒグマ達の来店中ではない、ヒグマ達によるルフィへの痛めつけ方が違うなどの違いがある。
『エピソードオブルフィ』ではルフィを海に落とす時に夕暮れまで時間が経過している。『エピソードオブ東の海』ではこれまでと異なり厳つい顔つきになっている。『伝説の記録!赤髪のシャンクス!』にも後者の映像を流用の形で登場。
第878話でもアニメ化され、全体的な描写は台詞も含め、原作やエピソードオブシリーズではなく第4話準拠になっている。
疑問点
ここまでの内容では、第1話で主人公やその憧れの人物を引き立てる為のただの噛ませ犬的なキャラクターだが、そんな彼には『ONE PIECE』が長期連載になるに連れて生まれた、数々の疑問点が存在する。
以下はその一例である。
- ルフィがゴム人間になった後にただの打撃で前歯をへし折っている。後の描写的に、本来ゴムに普通の打撃は効かない筈である。彼は一体どうやってルフィにただの打撃でダメージを与えたのだろうか?尚、同じ話でルフィに打撃が効かない事が明言されているため、ルフィの歯が折れたのは初期設定故の矛盾、とは考えにくい。
- ヒグマはマキノの酒場を訪れた際、初めて来店した様な反応を見せたり、「別の町に酒を探しに行く」等の話をしている。しかし後に判明したゴア王国は小さな島国であり、フーシャ村が辺境でそれ以外には王都とグレイターミナルしかない。海を越える事も一応考えられるが、ヒグマは山賊。後述の理由もあり海に出る事も考えづらい。彼は一体どこに行こうとしていたのだろうか?
- ヒグマが持ち歩いている自らの手配書だが、良く見るとデザインが後に出てくる海軍発行のものと異なる。シャンクスなど当時から海軍に懸賞金をかけられていた者達の手配書は今とデザインが変わらない為、デザインが現代までに変わった可能性も低い。さらに手配書にお馴染みの賞金がもらえる要件『DEAD OR ALIVE(生死問わず)』や『ONLY ALIVE(生捕りのみ)』の表記が一切ない。このことからドンキホーテ・ドフラミンゴがドレスローザでやった様にゴア国が独自で懸賞金をかけた説やルナーリア族のように、目撃しただけで懸賞金がもらえる説もある。この手配書はどこの組織によってどの様な目的で発行されたのであろうか?なお、2021年12月に公開された101巻発売記念CMでは何故かヒグマの手配書が一瞬登場し、こちらはデザインが海軍仕様のものになっていた。
- そもそも懸賞金が東の海の平均額より高い。その平均額というのも高々300万ベリーなので、800万ベリーもかかっていれば十分な強キャラであり、これはダダンの懸賞金780万ベリーも上回っている。前述の通り、ヒグマはフーシャ村への土地勘がないので土着といえる存在でもない。彼は一体どこでこのような懸賞金をかけられたのだろうか?
- ゴール・D・ロジャーが処刑され大海賊時代に突入して10年以上経っているにもかかわらずヒグマは海賊を一度も見たことがないと発言している。長年、山に篭っていた可能性も考えられるが、上記の通りゴア王国は狭く、ヒグマ自身、自分の縄張りへの土地勘がなく成立は難しい。またすぐ近くのグレイターミナルはブルージャム海賊団が根城にしており、本当に海賊を見る機会がなかったのかは謎である。そもそも山賊なのに縄張りへの土地勘がないと言うのもおかしな話である。もし最近この辺りにヒグマが来たとしたらヒグマは元々どこにいたのだろうか?
- ヒグマが拠点にするゴア王国はあのロックス海賊団を止めた海軍の英雄モンキー・D・ガープの故郷の近くであり、しかもそのガープ が不定期に帰ってきているような島であり、手を出す悪人は殆どいない。懸賞金の近いダダンはガープに尻尾を振る事で活動を見逃してもらっており、ブルージャム海賊団はゴア王国の貴族に賄賂を渡したり彼等の裏仕事を引き受ける事を条件に活動している。ヒグマはこの様な新世界の海賊ですら尻尾を巻いて逃げ出すような地でどの様に悪事を行っていたのか?
- シャンクスの当時の懸賞金額は10億4000万である。いくら山賊とはいえそんな四皇最高幹部級の大物海賊の顔と名前がわからないなんて有り得るだろうか?同じ山賊のダダンやフーシャ村の住人は世界経済新聞を読む程度には情報に通じているが…?
- 当時、既にミホークとライバルであり、後の四皇となるシャンクスや、フーズ・フーらCP9からゴムゴムの実を強奪した赤髪海賊団幹部達の目の前から何故ヒグマはただの煙玉1つで逃げ切れたのか?そもそも四皇並みとなれば移動速度などの基礎体力もずば抜けているはず。何故追いつかれなかったのか?また、シャンクスもそれだけの力を持ちながら何故ヒグマへ先制攻撃などを行わなかったのだろうか?
- シャンクスが近海の主を追い払った力は後に「覇王色の覇気」と判明したが、そのシャンクスと対峙したヒグマやその部下達は何故気絶しなかったのか?仮にシャンクスが覇気を使っていなかったとしたら何故使わなかったのか?また他にも後にシャンクスは鍛え抜かれた見聞色の覇気で少し先の未来を見る事が出来る事が判明している。当時まだこの技術を習得していなかった可能性も考えられるが、当時のシャンクスと現在ほぼ同じ懸賞金のカタクリは既に習得している。何故シャンクスはこの時、この力を使わなかったのか?
- ヒグマが海に逃亡した際に使用したボードには帆もオールもエンジンも推進力になる物が何一つ確認出来ない。そこは近海の主などが泳ぐ沖合であり、ヒグマはどうやってこの距離をその様なボートで出てきたのだろうか?作画ミスの可能性も考えられるものの、同じく1話でヒグマが破壊した筈の酒場の扉が直っている作画ミスに対してはSBSで尾田先生は理由を解答しているが、こちらは今現在何も触れられていない状態である。
- ヒグマはルフィを殺そうとした際、何故わざわざ海にルフィを投げ込んだのか?ルフィを殺す手段は刀で首を斬るなりゴムゴムの力を知らないにしてもそのまま殴り続けるなど他にもあり、もしルフィが泳げたらそのまま逃げられてしまう可能性もある。ヒグマは悪魔の実を食べた者がカナヅチになる事を知っていたのだろうか?
- ヒグマのビブルカード(公式のキャラクターブック)には他の死亡したキャラと違い享年の表記がない。その為「実は死亡していないのではないか?」と言う考察もある。誤表記の可能性も捨てきれないがビブルカードは非常に誤表記が多く内容に誤りがあった際には公式サイトで細かく修正点が記載されているものの、今現在ヒグマの年齢欄に享年がついていないのはそのままである。
この様に話が進み新たな事実が明かされる度に、ヒグマ本人は第1話にしか登場していないにもかかわらず、自動的に謎が深まるキャラクターとなってしまった。
そして普段、単行本のSBSというコーナーで作中の疑問点や矛盾点に付いての質問に答えている尾田栄一郎先生だが、ヒグマ関連に付いては殆ど答えていないのである(答えたのは上記のヒグマが破壊した筈なのに後のページでは直っていた扉などあまりヒグマ本人に関係ない質問である)。
同様に、マニアックなキャラクターが登場することで有名なスピンオフ作品『恋するワンピース』でも、ヒグマに関する話題は露骨なほどに触れられていない。
これらの要素からネット上では「実は強キャラだった説」が一部で唱えられ…
- シャンクスに向けて言った「56人殺した」と言う発言を拡大解釈してシャンクス並=四皇レベルを56人殺し、東の海の主力海賊を全滅させ最弱の海に仕立て上げた「六十皇を四皇にした五十六皇殺し」説。なお、当時のシャンクスは四皇ではなく、懸賞金が10億4000万ベリーで(百獣海賊団の大看板ジャック、ビッグ・マム海賊団のスイート三将星カタクリと同格)だと判明し、四皇レベルから四皇の幹部クラスを56人殺したと格落ちしたが、逆にある意味、可能性を捨てきれない数字となった。
- ヒグマを漢字表記にすると「緋熊」。これは後に出てきた「色+動物の名前」が定石の海軍本部大将たちの異名にも当てはまる。また山賊なのに「ウチと一戦やりたきゃ軍艦でも引っ張ってくるんだな」とベン・ベックマンに煽られた事から実は「元海軍大将の緋熊」説。またこれまでに熊を異名に持つ海軍大将もいない(挙げるなら犬、キジ、猿、虎、牛。他には大将ではないが兎や豚や馬もいる)。他には後述のSWORD隊長説と併せて秘熊説もある。またREDのムビチケ前売券の付属グッズの中に「シャンクスべあ」なるものがあるため、緋熊説がさらに注目されている。
- 海軍本部機密特殊部隊「SWORD」の隊員X・ドレークやコビーは顔に十字型の傷を付けておりヒグマも同じ傷がある事から「ヒグマ、SWORDの隊員、または当時の隊長」説。後に明かされたSWORDの特徴として「海軍の許可なく四皇を始めとした海賊達に戦闘を仕掛けられ、その他あらゆる命令を無視して自由に動ける」と説明された。そして実際に、土地勘のないゴア王国で自由に山賊を行い、後の四皇であるシャンクスに戦闘を仕掛けたヒグマはこれに当てはまるという見方も出来る。
- 「56人殺し=ゴムゴム」「懸賞金800万ベリー=嘘八百、800年前のジョイボーイの罪」という数字の語呂合わせから跳躍させたシャンクスと暗号によるやり取りの上でゴムゴムの実を回収しに来た「世界政府の関係者」説。
- 「シャンクス=SUN X、ヒグマ=日熊」でシャンクスとヒグマは「太陽の神"ニカ"に関係する一族」説。
- ロード歴史の本文(ポーネグリフ)最後の一つの在処を知ると思われる「火ノ傷の男の正体が顔に傷があるヒグマ」説。実際に動物の方のヒグマは火を恐れない事から火熊とも表記され、言葉遊びが好きなこの漫画では、その可能性も捨てきれない。
- 神の騎士団のメンバーの1人のシルエットが彼に酷似しており、もしかすると同一人物なのかもしれない。
以上の様な少し近そうな説から、逆に『とんでもない怪物だったのではないか?』とのぶっ飛んだ考察まで行われるようになったのである。
これらの考察が当たる日は来るのか? 今後の展開に期待したい。
なお第1話でヒグマがバーの扉を蹴破る際「ほほう…これが海賊って輩かい…、初めて見たぜ」と述べている、そのため56人の中に海賊は含まれていないとされる。