概要
心理学のシャドウを由来としたペルソナシリーズに登場する敵。
いわゆるダンジョンエネミーでもあり、キャラクターの側面でもある。
特に「ペルソナ3」以降はシャドウとペルソナは鏡合わせの存在とされている。
心理学用語のシャドウの定義に沿うタイプは後述の「2」と「4」である。
シリーズにおけるシャドウの概要
女神異聞録ペルソナ(PERSONA)
女神転生シリーズ同様に悪魔として登場する。種族は外道。
というのも、女神異聞録〜ペルソナ2までの作品はまだ『真・女神転生』シリーズの要素が強く、従来のシリーズに登場する悪魔、学校の怪談の妖怪たち、ゾンビなどが敵悪魔として登場する為で、シャドウが全体を通しての敵という図式は確立されていなかったのである。
ペルソナ2
罪と罰の両方で、人類の負の側面たるニャルラトホテプにより具現化されて登場する、もう一人の主人公たち。
罪では「事件の陰にいる5人組のテロリスト」という噂とそれを打ち消す為の噂が衝突した結果として生まれた多重存在、罰ではニャルラトホテプの仕掛けるゲームの駒として召喚され、自立的な意思を持ちつつも与えられた設定に沿って活動している。
いずれのシャドウも外面的な特徴として、血の様に赤い眼と「リバースペルソナ」という本体の固有ペルソナと対になるペルソナを持つ。
その性格や人物像はいずれも、召喚主に倣うかのように冷笑的かつ攻撃的であり、容赦なく本体の瑕疵を抉り出し、彼らが目を逸らし続けていた過ちの認知と清算を迫る。
タイトルが示す通りに主人公たちの「罪」を暴き「罰」を求める彼らは、その言動からは極めて想像しがたいが、ある意味で本体の「良心の呵責」を具現化した存在とも言えるかもしれない。
また、このシャドウたちは本体のみならず、その親しい者にまで精神攻撃の牙を向けてくるため、本体と影の相対に居合わせた者たちも、親しい者の影を受け入れられるか否かという試練を受けることになる。
他に、他者に対する恐怖心や罪悪感が実体化した「メタル」もまた、自分の中にある他者のイメージをまとったシャドウの一種と言える。
ペルソナ3
ある1日と次の1日の狭間にある特殊な時間「影時間」に堕ちた人間の精神を喰らう怪物。
シャドウに精神を喰らわれた者は影人間になる。
また基本的に影時間以外に姿を現すことはない上、影時間を認識できる人間は数が限られるため、ペルソナ使いたち以外に存在を知る者はいない。
ペルソナも本質的にはシャドウと同一の存在で、ペルソナ使いの制御下から離れればシャドウと化す。
12体の大型シャドウという、シャドウの中でも別格のものがいて、ストーリーにおいて非常に重要な存在。
本作で野良エネミー=シャドウという図式が確立しており、野良シャドウや大型エネミーはアルカナを反映した個体が多く、例えば「砲座」であればアルカナが『戦車』であるので現代式の戦車型をしているといった具合(全ての個体がアルカナと外見が符合しているわけではない)。
代表的なシャドウは『魔術師』のアルカナを持つハンドの亜種である「宝物の手」シリーズや『死神』のアルカナを持ち、理不尽な強さを誇る「刈り取る者」。前者はいわゆるはぐれメタルポジションであり、倒すと監禁アイテムがゲットできる。
これらの野良シャドウは名前を変えて『ペルソナ4』でも登場するが、『ペルソナ5』では野良シャドウが後述の仕様になった為に『刈り取る者』以外はリストラされてしまった。
ペルソナ4シリーズ
「テレビの中の世界」に存在する怪物たち。
成長の過程で作られた「抑圧されたもう一人の自分」。普段自分が意識していない、抑圧している、あるいは目をそらしているコンプレックスや悩み、負の側面が形を持った存在。
ほんの一瞬過ぎってはそのまま消えてしまう程本人にとっても重要ではなく、ありふれ過ぎていて共有できる事で見た目が似たり寄ったりになり、それ故抑圧されず薄くなり弱い、誰の影なのか特定できないテレビの中を徘徊するだけの一般的なシャドウと、テレビの中の世界に落とされた人間から誕生する強力なシャドウの2種類が存在する。
ゲーム的に言うと前者が雑魚敵、後者がボス敵であり、目が金色になっているのがオリジナルとの差異である(これは次回作でも受け継がれた)。
『ペルソナ3』同様にアルカナに対応した野良シャドウが存在するが、デザインや名称が異なる。
「強力なシャドウ」たちはそれぞれ自分の内面を反映した空間をテレビの中の世界に作り出し、その中にこもっている。この様子が「マヨナカテレビ」に映ることも。
生まれたときは生みの親である人間とまったく同じ容姿で、自分を生み出したその人間の抑圧した感情・コンプレックス(約1名のみ勘違いと対人恐怖が原因で生じた妄想)をひけらかすような態度を取る(マヨナカテレビによって誇張されている面もあるが)。
生みの親がこれに反発し「相手もまた自分である」ことを否定する、つまり"お前なんか私じゃない"等と突き放し、同一性を拒絶するとそれを肯定、冒頭の台詞を以って「私こそが本物の私である、偽物は死ね」と主張、その側面を強調した、奇抜な姿の怪物となり襲いかかってくる。(露悪的、極端、醜悪とも言えるほど強調してひけらかしてくるのはコレが理由で、否定させたいのである。)
これにより生みの親は命の危機に晒されることになるが、シャドウを自分の側面として認め、受け入れることができれば、シャドウはペルソナ=もう一人の自分へ変化、ペルソナ使いとして覚醒できる。
前作同様、シャドウとペルソナは根本的に同一の存在なのである。
なお、開き直った場合はどうなるのかは不明。
『P4U2』でも敵キャラとしてシャドウが登場。シャドウを受け入れ、ペルソナ使いになった筈の主人公たちと敵対する事に。相変わらず、自分のオリジナルへの皮肉は健在である。
また、当作にゲスト出演している『P3』のキャラクターたちにも(P4版の)シャドウが用意されている。
彼らはなんと、シャドウでありながらオリジナルと同様にペルソナを召喚する事まで出来てしまう。
『P4』シリーズでの立ち位置は『2』での設定に回帰したものと解釈でき、『P4U』ではなんと「リバースペルソナ」の設定も復活している。
ペルソナ5シリーズ
「パレス」や「メメントス」、「ジェイル」を形作る「認知世界」に現れる異形の者達。
作中で見かけるシャドウの殆どは存在を歪められ、パレスの防衛機構となっており、戦闘時には従来作における「悪魔」の姿をとって襲いかかる(後述するパレスの主が変身する姿は従来作の悪魔とは全く異なる姿をしている)。
しかし、主人公との交渉によって本当の名前(=その「悪魔」の名前)を思い出すことで、主人公のペルソナとなり、力を貸してくれるようになる。なお、仲間にする前の状態ではその悪魔を連想させる仮の名前が表示される。
よって本作での野良シャドウの位置付けは「女神異聞録」時代に回帰したと言える。
『4』までの「手」に対応するシャドウとして装飾品に宿った霊のような「宝魔」が存在しており、倒すと高い経験値とドロップ金が獲得できる他、素材用のペルソナとして仲間にする事もできる。
シャドウはパレスやジェイルのモチーフとなった場所に相応しい職業(例:騎士など)や動物(例:犬など)、メカ(例:ヘリコプターなど)の姿を取っており、総じて仮面を付けているのが特徴で、主人公たちがこれを剥がすと上記の通りに本来の姿と口調を取り戻す(『P5S』では従来作のようにそのままの姿で戦闘を行うことも)。一方でメメントスにいる一般個体はサキエルを思わせる姿をしており、怪盗団を襲う事には消極的。こちらはモルガナカーで轢くと起き上がり、戦闘に突入する。
それとは別に、「パレスの主」や依頼でのターゲットなど個人個人の「シャドウ」も存在している(パレスの主が認知世界に飛んでシャドウに会う事も出来る模様)。
P4とは違って歪んだ自己認知の具現化であり、抑圧された感情ではなく認知によって歪んだ心を表す存在である。(要は「こうに決まってる、こうに違いない」という決めつけや「こうで無ければならない」という思い込み。NPCに当たる現実世界の人物を基に作られた「認知存在」も認知世界に存在するのもこの為である。)
オタカラを盗む際にはほぼ確実に対決せねばならないが、歪んだとは言え心の一部なので、殺してしまうと現実世界の本人は廃人と化してしまう。
なので主人公たち心の怪盗団はこのシャドウを殺さないよう注意しながら戦闘を行っている。
だがシャドウを殺して人間を廃人にし、現実世界で利益を得ようとする不届き者も存在しているようで……。
ちなみに4同様、ペルソナもまたシャドウの同類であるらしい。
モルガナ曰く、ペルソナ使いはパレスを持たないのは、それは自分の心の本音(=シャドウのことか)を制御できているかららしい。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
参戦PVではマリオ、ドンキーコング、サムス、リンク、フォックス、カービィ、ネスの姿を取って登場。
原作ではモルガナカーの変形に大衆の認知が影響しているとされるので彼らが人々の心の海に存在していたとしても不思議ではない。
ジョーカーの勝ちあがり乱闘では様々なキャラクターのカラバリが「シャドウ」の扱いで登場する。
シリーズにおける代表的なシャドウ
ペルソナ2
- シャドウ・舞耶
- シャドウ・ゆきの
- シャドウ・栄吉
- シャドウ・ギンコ
- シャドウ・達哉
- シャドウ・うらら
- シャドウ・克哉
- シャドウ・パオフゥ