「さぁ、検索を始めよう」
概要
『仮面ライダーW』に登場する、地球の情報を有したデータベース。
フィリップの脳内に存在し、果てしなく広がる白い空間に無数の本棚が並んでいる(メイン画像参照)。
フィリップが己の精神世界に意識を潜らせている(検索中モード)状態で、知りたい事柄とそれを絞り込み特定するためのキーワードを唱えて検索すると、「本棚」に記録されたそれの情報を「本」という形で知ることができる。
キーワードを唱えることで本棚は移動を始め、キーワードが増えるごとに本が減少し、最終的に1冊に辿り着く。
そしてフィリップはその中身を徹底的に洗い出し、莫大な情報を事務所のホワイトボードに書き起こしていく。
文字通り「地球の全て」と言っていいほど膨大な知識量を有し、その範囲は一般常識から概念、一個人の情報、果てはリアルタイムの事象にも及ぶ。ちなみに本の形で現れるのは、それがフィリップにとって一番認識しやすい形だから。
ただしあまりに知識量が膨大なためフィリップ一人の脳で管理するのは限界があり、聞き込み等で情報を仕入れ、適切かつ具体的なキーワードを複数見つけ出さなければ核心に迫るような本を絞りこむことはできない。そもそもフィリップが閲覧できるレベルにも上限がある。
また、個人に関する本を検索しても、(少なくともフィリップが閲覧できる範囲では)該当者の大まかなプロフィールや行動履歴、身体情報くらいしか分からず、本だけで犯人を特定することはできない。動機や心情といった「心の中」を検索できない欠点もある。
一応、既に使用されているガイアメモリが分かっている場合は該当者の身体情報からメモリとの適合率が測定できるが、当然ながらメモリと容疑者の双方が絞り込めていなければできず、できたとしても参考程度にしかならない(適合率はあくまでそのメモリの力をどの程度引き出せるかの指標であって、適合率が低い人間もメモリ自体は普通に使えるため)。
中身が全て破かれたように削除されていたり、時には情報主の都合等で施錠されて閲覧できなくなることや、より上位の権限を持つ者や情報主の都合で閲覧規制をかけられることもあるため、万能というわけではない。「ヘブンズトルネード」に関しては依頼者への接触に伴い、情報が開示されており、条件を満たせば閲覧できる情報もあるらしい(ゲームでいうところのイベント解禁用のフラグが成立するようなもの?)。
あくまでもその時点で地球に存在する情報しか検索できないため、アイデアは存在しているがまだ実現はされていない技術などについても、本自体はあっても中身は見ることができない。また、一度はダブルとアクセルでは打倒不可能という結果が出た敵であっても、新たな技を会得した結果打ち倒すことが出来たケースもある。
また地球の本棚に記載されている情報はあくまでも、この世界の中の事象や概念だけなので、当然ながらこの世ではない別世界の情報や、そこでの行動履歴は一切記載されず、本を絞り込めてもページが空白となる。(このことから、時間が基準となって記憶されていることがわかる)
地球が知り得ない地球外生命体の事も検索できないのだろうか…?
検索中は現実のフィリップの動きは止まるが、会話は可能。一種の精神世界であるためか、条件さえ揃えば他者の介入も可能である。
第12話ではフィリップが該当者の生体コネクタに触れることで、精神のみの怪人を地球の本棚に呼び出した。
第16話にてファングジョーカー変身時にフィリップが暴走した際は本棚が倒壊・炎上する光景を翔太郎が垣間見ており、翔太郎は空間に突入した後本に埋もれていたフィリップを見つけ出している(これによりファングジョーカーの暴走が止まり、以降制御できるようになる)。
『ビギンズナイト』では、鳴海荘吉がスカルメモリを発動して、使用者の生死を曖昧な状態にするスカルメモリの特性を利用してガイアタワーに接触することで、本棚に介入している(前のタブー・ドーパントとの戦いでエネルギーを消耗していたこともあってか、介入後メモリは消滅した)。
以上の事例から、ガイアメモリなどの力で精神が肉体と離れた、あるいは生と死が曖昧になった状態でフィリップと接触すれば空間に入れるようである。
劇中では長らく、ミュージアムや園咲家(ミュージアムと関わらない表向きの情報であれば入手可能)、フィリップ自身の情報に対してロックが施されており、フリーズ(本棚の移動が停止しそのまま全てが砕け散る)や本が破り取られている等で検索・閲覧できないようになっていた。
本来はフィリップ専用の特殊能力だが、第41話以降は園咲若菜もクレイドールエクストリームへの進化により使用可能となった(介入自体は第40話で成功している)。このため、本棚の中でクレイドール・ドーパントに変身してフィリップを攻撃したり、フィリップが検索しようとした本を取り上げて検索できないようにしたり等の検索妨害が行われた。
若菜の本棚とのシンクロ率はフィリップを上回っているため、単純な干渉力や本棚の中での影響力は若菜が勝る(このため彼女は本棚の中でドーパントに変身したり、本を奪ったり、逆に閲覧規制を解除したりできる)。そこでフィリップは、自身のシンクロ率をあえて下げることで辛うじて妨害を切り抜けた。
なぜフィリップがこの能力を持っているのかは、作中長らく謎に包まれていた。
しかし物語終盤、ミュージアムの計画の最終段階移行に伴い若菜が本棚のロックを解除したことで、その真相が明らかとなる。
その他
あくまでこの空間にある本はフィリップの解釈によってそのような形を取っているにすぎないのだが、稀にお遊びとして実在の書籍が置いてある事がある。
『MOVIE大戦2010』ではレイモンド・チャンドラーの「長いお別れ」(表紙デザインは「ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集」のもの)が、ハイパーバトルビデオの後日談『ガイアメモリ大図鑑』ではなぜかてれびくんが置いてあった。
他作品において
『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』にて、ウォズがフータロスについて検索する際久々に登場(原典のBGMも使用されている)。
しかし何の前触れもなく唐突に使用され、その後もこれについて特に触れられることもなかった為、何故ウォズが地球の記憶に潜れたのかは不明。
ただ、『ジオウ』に登場する未来人達はファイズフォンの系列機、キャプテンゴーストやキャッスルドランのイミテーションといった「歴代平成ライダーのツールやアイテムのオマージュ品」を本編で度々使っているため、今回の本棚もあくまで模造品なのかもしれない。
さらに踏み込むと、ウォズはジオウ世界において、歴史の観測・管理・編纂者を名乗り活動してきた「クォーツァー」という集団の一員であり、さらに本編でも飛流やソウゴによってジオウ世界の歴史が改変された際も、彼だけは(改変者当人や別世界からの旅人でもないのに)改変前からの記憶をそのまま持ち越していたりなどしていたため、そうした特異点的要素も影響していた可能性もある。
本家『W』と異なり、キーワード一つだけで正解に行きつけた点もこの説の補強に繋がるといえる(メタ的に言うと、『FOREVER』にはフィリップ役の菅田将暉の登場が検討されていたとのことなので、今回の本棚のシーンはその名残であると思われる)。
余談
ファイナルステージでは(本人曰く「特別に」)Wに変身したまま使用していた。
正統続編『風都探偵』にも勿論登場しているが、やはり大量の本棚を描くのは手間がかかるらしく、作画担当の佐藤まさきからは「アシスタント泣かせ」と称されている(参考ツイート)。
8代後の作品『仮面ライダービルド』では、第42話にて桐生戦兎が葛城巧と会話した際の脳内世界が真っ白な空間に無数のドアと数式が浮かんでいるというものであったため、「フィリップいそう」との反応が一部視聴者の間で上がった。
関連タグ
通信衛星ゼア、通信衛星アーク、通信衛星ウィア:令和1作目の仮面ライダーにおける、電子版地球の本棚的存在。
全知全能の書:令和2作品目の仮面ライダーにおける、地球の本棚的存在。ただし、こちらは世界の始まりから終わりまで記されており、情報が増えていく地球の本棚とは非て似なる。
Google/Wikipedia/pixiv(pixiv百科事典):現実における地球の本棚といった存在。特にpixiv百科事典が一番性質が近い。
五十鈴大智:地球の本棚の存在を知ったら喉から手が出る程欲しがりそうな人物。
根源の渦:型月作品群における世界の発端とされる場所。フィリップはこの作品における根源接続者の部類に入るのではないかと言われている。