概要
この記事は多大なネタバレを含みます。未試聴の方は注意。 |
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アニメ『ひろがるスカイ!プリキュア』に登場する敵対勢力。「暗黒の世界」とされており、何らかの目的で不思議な力を持つスカイランドのプリンセス・エルの誘拐を目論む。
本編開始当初は全てが謎に包まれた勢力として描かれており、劇中で『アンダーグ帝国』の名前をプリキュア側が知ったのさえ第12話と遅めであった。
第16話での虹ヶ丘ヨヨの調査によると、スカイランドとアンダーグ帝国はいわば「光と影」であり正反対の2つの国は大昔に戦って以来、交わることなくやり過ごしてきた経緯があるとされ、エルの保護者な存在・一番星の予言によれば「スカイランドを滅ぼす元凶」とされている。
ただ、大昔に起こった出来事であるため現代のスカイランド側にアンダーグ帝国の詳細を知る者はいない様子。
弱者はその存在すら許されない完全実力主義な弱肉強食の世界であるようで、事実カバトンは失態続きによって帝国から処刑されかけ、バッタモンダーは処刑を恐れて身を隠していた。
上記の思想は徹底的であるのだが、実力者の自己研鑽は良いものの、弱者はどれだけ研鑽を積んで実力を上げても 「力なき者の努力は見苦しい」と一蹴、正当に評価しない歪さも散見されており、この「個々の先天性の資質・素質だけ重視し、後天的な要素を頭ごなしに否定する」姿勢から、アンダーグ帝国が掲げる思想は『弱肉強食』よりも『優生思想』のように見える。
300年前に当時の皇帝であるカイザーが「スカイランドを叩き潰さないと連中はいつかトンネルを掘って我らを攻めてくる」と語っていたため、「アンダーグ帝国はスカイランドと物理的に地続きであるらしい」と判明した(おそらくスカイランドの地下にあると思われる)。
なお、アンダーグ帝国の内部は所々に水晶が生えた薄暗い洞窟といった内装な模様。
スキアヘッド曰く、アンダーグ帝国の住民達は帝国の最奥に漂う〈アンダーグ・エナジーの海〉から誕生する存在で、幹部達は「アンダーグ・エナジー」と呼ばれる闇のエネルギーを宿し、ランボーグ等の怪物を誕生させたり、世界を超える転移門を開く力等を持っている。
なお、アンダーグ帝国の内部は所々に水晶が生えた薄暗い洞窟といった内装な模様。
構成員
上層部
カイゼリン・アンダーグ(声:本田貴子/内田真礼〈幼少期〉) |
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アンダーグ帝国の支配者。エルの誘拐を企むが、元来争いを好まない性格。第49話で黒幕の正体を知り改心した。 |
スキアヘッド(声︰宮本充) |
カイゼリン・アンダーグの教育係。ミノトンの後任として第31話から登場。第47話でプリキュアを道連れに自爆したが……??? |
刺客
カイゼリン・アンダーグに仕える手下達。何らかの目的で不思議な力を持つスカイランドのプリンセス・エルを誘拐する使命を与えられている。
カバトン(声:間宮康弘) |
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アンダーグ帝国の暴れん坊。最初にエル誘拐の任務に就く。第12話でキュアスカイに危機を救われ改心した。 |
バッタモンダー(声:KENN) |
アンダーグ帝国のひねくれ者。カバトンの後任として第14話から登場。第43話でキュアプリズムの新技で改心した。 |
ミノトン(声:酒井敬幸) |
アンダーグ帝国の武人。バッタモンダーの後任として第25話から登場。第33話で敗北を認めて脱退。 |
過去の人物
カイザー・アンダーグ(声:武虎) |
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300年前におけるアンダーグ帝国の支配者で、カイゼリンの父親。キュアノーブルと和平を結ぶも、ある人物により暗殺される。 |
怪物
ランボーグ(声:相馬康一) |
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アンダーグ帝国の刺客達が使役する怪物。1つの無機物に『アンダーグ・エナジー』を注ぎ込んで召喚される。 |
キョーボーグ(声:相馬康一) |
第34話から登場する、スキアヘッドに召喚される強力な怪物。2つの無機物を素体にして召喚される。 |
以下、第48話以降のネタバレ注意
黒幕とその怪物
ダークヘッド(声︰宮本充) |
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アンダーグ・エナジーの化身で、スキアヘッドの正体。本作の元凶。第49話でキュアスカイに憑依するが、敗北して消滅。 |
ダイジャーグ(声︰宮本充) |
ダークヘッドの残留思念とアンダーグ・エナジーの海が融合した蛇の怪物。最終話でキラキラエナジーと化して浄化された。 |
残党
幹部の登場期間
本作は前作のブンドル団と同様、メイン格として動く敵幹部が定期的に交代するタイプで、かつ幹部の人員が少ないため、1名の幹部が長期にわたって登場するのが特徴。
- 第1〜12話→カバトン
- 第14〜23話→バッタモンダー
- 第25〜33話→ミノトン
- 第34〜43話→スキアヘッド
- 第44~48話→カイゼリン・アンダーグ
- 第49話以降〜→最終決戦
プリンセス・エルを狙う刺客、なのだが……?
作中ではエルの誘拐のみを目的としていたため、刺客達は1人ずつ送り込まれては連続出動しているようだが、刺客達はエルを誘拐するためなら市街地への被害や、スカイランド王家を脅迫も辞さない恐ろしい敵として描写されている。
また、人間界の襲撃に関してはプリキュアをおびき出す手段として多用されている他、バッタモンダーに至っては趣味で破壊活動を行っている。
ただ、プライドを拗らせて「エルの誘拐」よりも「プリキュアを倒して屈辱を晴らす」という私用を優先して行動していた冷酷な復讐鬼・バッタモンダーや、エルを捕まえてくるよう命令は受けながらも、騎士道精神を重んじる武人気質であるため、『最強』とうたわれる自分の相手に相応しいプリキュアと戦うことしか能がない脳筋な戦闘狂(バーサーカー)・ミノトンより、先鋒であるはずのカバトンが一番組織の目的に忠実に働いていた感はある。
後述する悪役会議が無い点からも、いまいち統率が取れていない敵勢力である。
ただし仮に悪役会議があったとしても、これまでに登場しているメンバーはいずれも「自分こそが一番強い存在である」と自負・誇示しており、しかも互いの性格上相性が非常に悪いため、会議の場がまとまらずむしろ互いを見下し合ったり仲間割れを起こしたりしていた可能性が非常に高い(実際、悪役会議が描かれたビョーゲンズは幹部同士の仲が悪かった)。
『スカイランドを滅ぼす元凶』とされているが、帝国は中盤以降「エルの誘拐」ではなく「プリキュアの抹殺」を視野に入れたため、プリキュアが不在のスカイランドをわざわざ襲う利点はない都合上、ソラシド市を始めとした人間界とは対照的に仮初の平和を保っており滅びの運命とは程遠い様にも見えたが、遂に痺れを切らしたカイゼリン自らがスカイランドに出陣した。
刺客達の人間界での扱い
カバトンは人外ながらソラシド市の一般市民から姿を隠そうとはしておらず、それどころか2話目にしてバーガーショップ襲撃を決行している。
これ程市民に迷惑を被らせているのだが、第5話では(一応変装している状態で)何故かカバトンがおでん屋店主にプリキュアに対する愚痴を語っていた。その後もバレバレの古典的な変装でソラシド市に出没しているが、何故かソラシド市民には怪しまれていない。
これらの点から、第1話時点にて『迷惑系キュアチューバー』と周囲から見られたり、おでん屋店主と普通に会話したり、第12話ではおでん屋店主から心配されていたりと、彼から「着ぐるみを着たおじさん」と見なされているかもしれない。
第14話から登場したバッタモンダーは人間に近い容姿であるが、よく見ると肌色が薄紫色であり耳が尖ってる上、前髪の一部が触角のように感情に連動している風に見えるため、やはり人間ではないようだ。
見た目は人間に近いため変装しなかったが、あまり何度も建設中のビルの鉄骨の上で作戦を練っていたため、第21話では作業員に咎められていた。その後第34話では、人前で偽名を名乗って暮らしていた。
第25話から登場するミノトンはカバトン同様に人外であり、第26話では変装していた……が、何故か真夏の炎天下にもかかわらず厚着で変装していた。しかし、第31話では特に変装せず堂々とスポーツジムに通っていた。
この時の描写から、周りの人達も薄々彼らが人外の存在であるとの認識をしている様だが、深く追及しないようにしている模様。
アンダーグ帝国の構成員達は必ずしも獣人の姿をしているわけではないようだが、3人そろって額に黒い結晶を備えているため、それが帝国民(あるいは幹部)の証なのかもしれない。
戦闘による影響
前作ではデリシャスフィールドをローズマリーが展開すれば、料理の味が不味くなる等の被害だけで街が破壊されたりは無かったが、今作では一般人がいる場所で普通に襲撃して来るため、現実への物理的被害がある。
ただし、ランボーグが浄化されればキラキラエナジーによって自然と修復されるようである(プリキュアシリーズ恒例の「謎修復」が今作品では復活した形。これらは不自然さから基本的にプリキュアが第三者に目撃されない作品に多く見られるが、人間が関わってくる『ドキドキ!プリキュア』以降でも確認されるようになった)。
伝説の真相
「はるか昔、スカイランドが闇の世界の魔物に攻め込まれ、絶望的な戦いが始まった際に当時のスカイランドの姫が『ヒーローが現れて青い空と皆の笑顔を取り戻してくれますように』と祈ったところ、その祈りに答えるように勇敢な戦士・プリキュアが現れ、魔物達を打ち払いスカイランドを救った」と現代のスカイランドでも既に忘れ去られた伝説がある。
第44話にてこの「闇の世界の魔物」がカイザー率いる300年前当時のアンダーグ帝国で、勇敢な戦士・プリキュアも当時のスカイランドを治めていた王女・「プリンセス・エルレイン」が祈りによって力を得たキュアノーブルである事が明かされた。
さらに第45話にて「愛娘・カイゼリンの決死の行動により「争いが生むのは涙だけ」と知ったカイザーがアンダーグ帝国とスカイランドに和平をもたらした」という事実が描かれた。
つまり、物語開始以前に一度プリキュア側と敵組織が和解していたのである。歴代シリーズで最終的にプリキュアと敵組織と和解するパターンは何度かあったが、物語開始以前に一度プリキュアと敵組織が和解しているのは、今作が初である。
しかし、300年後の現代では当時和解のきっかけとなったカイゼリンは、アンダーグ帝国の支配者としてかつての父親のようにスカイランドを攻めるようになってしまった。何故、一度和解を果たしたにもかかわらず、アンダーグ帝国が再びスカイランドを襲うようになってしまったのか?
その理由は第49話でスキアヘッドがカイザーを謀殺し、彼女に偽りの記憶を植え付けていた事が判明した。
余談
名前の由来は地下・地中・地底を意味する「アンダーグラウンド」をもじったもの、あるいは「暗とダーク」に掛けたものだと思われる。
また、幹部を演じた声優の一部は過去作でプリキュアの家族を演じていた。よく間違えられるが、アンダーク帝国ではないので注意。
プリキュアシリーズ初の女性幹部が1人もいない構成の敵勢力となったが、女帝・カイゼリンがその枠を担っている模様。また、本編開始時点で既に故人となっている固有名持ちの敵キャラクターが出てくるのも本作が初となる。
トロピカル〜ジュ!プリキュアの悪役・あとまわしの魔女たち以来2年ぶりとなるラスボス以外全員改心する結末となったが、加えてラスボス(ダークヘッド本人)殲滅エンド(ただし裏ボスのダイジャーグは明確な消滅描写が無いので厳密には消息不明)なのはプリキュア史上初となる。
「悪役会議」の不在
『ひろがるスカイ!プリキュア』では、従来のプリキュアシリーズや他のヒーロー作品ではお馴染みの悪役がアジトで会議をするシーン=「悪役会議」のシーンが存在せず、黒幕を除くメンバー全員がその場に勢揃いしたのも最終話が最初で最後(ゆえにカバトンはアンダーグ帝国に帰らず、おでん屋で愚痴をこぼしたりしていた)。
これについては、アニメージュ2023年6月号のシリーズ構成金月龍之介氏のインタビュー内容によると、それは意図的な演出であるらしく、曰く “視聴者が本当に楽しんでいるのか分からない悪役会議を描くよりもプリキュアの出番を増やした方が良い” との方向に舵を切った旨が語られている。
悪役会議の不在は「アンダーグ帝国の実態が視聴者にとっても詳細がわからない」演出と化している。この点は、本作の視聴体験に大きな影響を与えている。
従来作では「プリキュア達は敵の事情がわからなかったとしても、視聴者側はある程度は知っている」のが基本であり、視聴者側がプリキュア達の知らない事柄を知っている「神の視点」で作品を視聴していた。
しかし本作は本作のテーマでもある「知れば広がる世界」、前作から引き継がれる謎解き要素をコンセプトに、この「神の視点」が排除されているため、視聴者とプリキュア達とは同じ立場に置かれていたが、最終クールからアンダーグ帝国側の内情や環境が徐々に明かされ始め、同時にプリキュア達も本格的に彼等と向き合い始める火蓋が切って落とされた。
グッズ化
『ひろがるスカイ!プリキュア ミニアクリルスタンド6弾』にて、カバトン、バッタモンダー、ミノトン、スキアヘッドの四人のアクリルスタンドがグッズ化されている。
関連イラスト
関連タグ
幻影帝国:名前に「帝国」を冠し、女ボスの側近として暗躍する黒幕が存在される敵組織繋がり。女ボスと三幹部が黒幕たるラスボスに利用されていた点が共通する。
キラキラルをうばう存在:黒幕以外の構成員全員が最終的に改心した敵対勢力繋がり。ただし、黒幕はラスボスの座を自身の抜け殻に奪われて分身共々消息を絶ってしまう。