概要
最終回(HDリマスター版では第49話)「最後の力」にてシン・アスカの乗るデスティニーと対峙するアスラン・ザラのインフィニットジャスティス。
アロンダイトとフラッシュエッジ2を破壊され近接戦能力を失い、頭に血が上っていたシンは「M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲」を放つも防がれる。
アスランは
「過去に囚われたまま戦うのはやめるんだ!そんなことをしても何も戻りはしない!なのに未来まで殺す気か、お前は!」 と叫ぶ。
母・レノアを失ったことで復讐鬼に変わり果てた父・パトリックの暴走と悲惨な末路、アカデミー時代の同期だったニコル・アマルフィの死によるキラ・ヤマトとの死闘に代表されるように、これはアスランが過去から学んだ繰り返してはならない教訓であり、シンにも自分と同じ轍を踏ませないようにする発言だった。
一方、シンの脳裏には様々な記憶がよぎる。
ステラ・ルーシェとの悲恋、妹のマユ・アスカとの絆、そして仲間達、「戦うべき時には戦うべきだ」と言った過去の自分、「敵って……誰だよ?」と言うアスラン、「それは弱さだ。それでは何も守れない」と言うレイ・ザ・バレル。
これまで見てきたものやギルバート・デュランダルの言葉、そしてアスランの先程の言葉から苦悩するシンだったが、デスティニープラン実行導入のため戦うと決めた身。シンは迷いに迷って目線の定まらない自分の心を振り切るかのように光の翼を展開しパルマフィオキーナでインフィニットジャスティスに迫る。だがそこに、2人を静観していたがアスランの上記の言葉で間違いを確信したルナマリア・ホークのフォースインパルスがシンを止めるべく割って入った。
ルナマリア「シン、もうやめて!アスランも!」
しかし、精神的負荷で限界寸前だったシンの目にはインパルスがフリーダムに見えてしまっていた。
シン「うわあああ!!ステラ!マユ!」 ※
「やめろぉぉぉぉぉッ!」
※TVSP「選ばれた未来」及びHDリマスター版で追加された台詞
錯乱してインパルスに突撃するデスティニーを見たアスランのインフィニットジャスティスはビームキャリーシールドでパルマフィオキーナを受け止め、インパルスを庇う。
そしてアスランは
「この、馬鹿野郎!」
とデスティニーを跳ね飛ばし、ビームサーベルを振り下ろす。デスティニーは両手のパルマフィオキーナで受け止めるが耐え切れず両腕が暴発(ここで両翼も破壊されている)。さらにトドメとしてグリフォンビームブレイドで右脚を斬り飛ばした。
大半の武装と両手、両翼と右脚を破壊されたデスティニーはコントロールを失い月面に叩きつけられる。
それを追っていったインパルスを見届けると、アスランはメサイアへ向かっていくのだった。
THE EDGE
アスランを主人公とした久織ちまき氏の「機動戦士ガンダムSEED DESTINY THE EDGE」では、ルナマリアがアスランと戦わない・インフィニットジャスティスがデスティニーとの戦闘で損傷する点以外は原作と変わらないが、レクイエムを使ってオーブを滅ぼすべくシンはデスティニーでアスランの前に立ちはだかり、叫ぶ。
アスラン「お前は一体何を守ってるつもりだ!?後ろにあるものをよく見ろ!あれは人でも国でもない!従わない者を焼き尽くすための兵器なんだぞ!」
シン「黙れ!!裏切り者がっ!!世界はもう変わらなきゃならないんだ…だからオーブは撃たなきゃならないんだ!!」
アスラン「な…(次の照準はやはりオーブなのか!)」
シン「戦争ばかりで…人の命を弄ぶヤツがいて…!こんな世界はもう終わらせるべきなんだよ!!」
アスラン「ふざけるな!!そのためにオーブの国民は犠牲になれと!?お前が欲しかったのは本当にそんな『力』か!?」
シン「俺だって!!守りたかったさ、俺の『力』で全てを!だけど…俺が撃ってるのは敵じゃないって、撃つのは奪うことだって…『力』で解決出来ることなんて何もないって!!アンタが俺に言い続けてきたんじゃないか!!」
アスラン(シン……俺は…お前を絶望させていたのか?)
戦闘の最中に、シンを絶望させ、短慮と盲目に追い込んでしまった原因の一つが己にあった事実に愕然としながらも、アスランはシンを絶望から救い出そうとジャスティスの片腕を失いながらも足掻き続ける。
アスラン「こんな風に力を使ってしまったら…お前は永遠に【力の呪縛】から逃れられなくなるんだぞ!!」
シンに決定的な過ちを犯させないためにも、アスランが出来ることは、発射直前にまで迫ったレクイエムを破壊することだった。
追ってくるデスティニーのアロンダイトを奪い、シンを縛ろうとする【力】の呪縛を、
アスラン「シン……よく見ろ!!こんな『力』に…縋るんじゃないっ!!」
そう叫びながら、アロンダイトを投擲しシンの眼前で破壊した。
シン「あ…ああ…っ、よくも…よくもやったなぁ…アンタって人はぁっ!!」
だが、自らを否定された絶望が、シンを決定的に錯乱させてしまう…。
ルナマリア「シン!!やめて!!」
シン「!?」
ルナマリア「もう…終わったのよ!!だからもう…」
そこに、ルナマリアが駆るフォースインパルスが駆け付ける。
原作と違い、妹のメイリンの説得を受けたことで自分達の過ちに気づいたのか、彼女はシンを止めようとする。
シン「う…うわあああッ!」
ルナマリア「え…」
シン「来るなァッ!!」
だが……原作と同様にインパルスが大切な人を奪った元凶であるフリーダムと重なって見えてしまったシンは、拒絶に満ちた悲痛な叫びを上げながらデスティニーのパルマフィルキオーナを光らせ、インパルスに突撃しようとする。
アスラン「馬鹿野郎ッ!」
シンに【仲間殺し】という咎を背負わせないために、アスランはジャスティスのグリフォンビームブレイドを展開した左足での蹴りで、デスティニーの左腕を斬り飛ばす。
月面へと落下していくデスティニーを助けに向かうインパルスと、月面に不時着したミネルバを見たアスランは、
アスラン(出来るようになったのは こんなことばかりだ…っ)
説得の流れは違えど、TV版と同様に結局【力】でシンを止めざるを得なかった事実に、苦々しい表情を浮かべるしかなかった……。
余談
このシーンは多くの視聴者の印象に残り、後に発売されたHGCEインフィニットジャスティスガンダムのボックスアートには、このシーンを彷彿とさせるイラストが描かれている。
対戦ゲーム「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス」では、「お前が欲しかったのは…」と共に決着時のボイスに採用されたが(後の作品以降ではデスティニーを撃破した時の台詞にも採用されている)、演じた石田彰の声がかなり熱血気味になっており、一部のユーザーからネタ扱いされている(ニコニコ動画でそのボイスを使用した音MADが作られるほど)。
「ガンダム無双シリーズ」で無双2と無双3は、プレイヤーのアスランが機体のHPが残り少ない状態かパイロットスキル「ハイテンション」を装備した状態でSP攻撃を仕掛けると種割れ+顔カットインと共に叫ぶ。真・無双の場合はパイロットレベル30で〇ボタン長押しをするとSP攻撃2を仕掛ける同時に叫ぶ。
「俺にも出来る事がっ!!」
「このバカ野郎っ!!」
「お前を討つ!!」
さらにプレイヤーが負けてしまうと、味方部隊にいるアスランが思いっきり責めてくるというゲームオーバー台詞がある(無双3は敵として出てる時でも発言することもある)。
「このバカ野郎……!
敗北条件、ちゃんと確認してないのか!?」
関連タグ
アスラン・ザラ:言った側
シン・アスカ:言われた側