貴族の令嬢メアリ・アルバートは始業式の最中、この世界が前世でプレイした乙女ゲームであり自分はそのゲームに出てくるキャラクターであることを思い出す。
ゲームでのメアリは悪役で、主人公に嫌がらせや妨害工作をした後にしっぺ返しをくらい没落する、まさに典型的な悪役令嬢の没落コースを辿っていた。
となれば、ここは「そんな人生冗談じゃない!」と没落を回避…しない!
いっそ開き直って没落コースを突き進むのみ!最後にギャフンと言わされるのはこの私!
従者のアディを巻き込んだ、目指せ没落な一年間。
果たしてメアリはゲームの通りに没落できるのか!?
概要
角川ビーンズ文庫より書籍化、B's-LOG COMICS・フロースコミックよりコミック化されている。
既刊はそれぞれ、書籍版が8巻、コミック版が5巻。
「悪役令嬢転生もの」の作品で、「主人公が前世の記憶を取り戻し、この世界が前世の自分がプレイしていた『乙女ゲーム』の世界であること、自身は最終的に破滅する悪役令嬢であることに気が付く」ところまでは他の作品と共通しているが、「主人公が自身の没落を迎えようと積極的に行動する」点が異なる。
しかし、ゲームの本来のヒロインに嫌われるために主人公の取った行動が裏目になって逆に友好を深めてしまったり、むしろ主人公が周囲に振り回されてしまうなど全体的に明るい作風で、登場人物らのテンポの良い掛け合いも魅力的なラブコメディとなっている。
あらすじ
聖カレリア学園の始業式の最中、ふとした切っ掛けで、メアリ・アルバートは「この世界は自身が生前にプレイしていた乙女ゲーム『ドキドキラブ学園~恋する乙女と思い出の王子~』の世界であること、自身は最終的に破滅する悪役令嬢であること」に気が付いてしまう。
自身の従者アディにそのことを打ち明けるが、当然信じてはもらえない。
しかしメアリは決心する。「悪役令嬢に生まれたからには没落コースを突っ切るのが道理!」
そして本来のゲームの主人公であるアリシアに嫌われるため、転校早々校内で迷い困っている彼女に嫌味を言いに向かうのだが……
「……私、悪役っぽかったかしら」
「いや、単なる親切な人ですね」
主要な登場人物
ネタバレ防止のため小説家になろう版の第一章までに登場するキャラクターを紹介する。
本作の主人公。王家に次ぐ権威を持つ貴族アルバート家の娘。(メイン画像左側の女性)
詳細は個別記事にて。
- アディ
メアリに仕える従者。(メイン画像右側の男性)
メアリよりも5歳年上なのだが、メアリの付き人として聖カレリア学園に入学することを特別に許可されている。
メアリのことを「お嬢」と呼び、まるで彼女を主人と思っていないようなフランクな態度を取っているが、誰よりもメアリのことを慕っている。乙女ゲームや悪役令嬢の話を切り出したメアリの「前向きな没落」に向けた計画に不承不承ながらも従い、メアリの目論見通りアルバート家が没落して彼女が遠方へ追放されたとしても一緒についていくことを約束している。
メアリの父親を非常に尊敬しており、メアリの言う事には反論しても父親の言う事には二の句を継がず従うため、メアリからは「ヒエラルキーがおかしい」「お父様に対する尊敬の一部を私に向けてほしい」と小言を言われている。
- アリシア
聖カレリア学園に転校してきた美少女。実は赤子の頃に誘拐され行方不明になっていた現国王の一人娘であり正真正銘の王女で、彼女は自身の出自を知らず孤児院で暮らしていた。
非常に図太い性格の持ち主で、メアリはゲームの設定の通りにアリシアに暴言を吐いたりちょっかいを掛けようとするのだが、そのメアリの言動の数々を「親切にしてくれている」「貴族のマナーや知識を教えてくれている」と曲解し、メアリのことを親友だと認識している。尤も、メアリも悪態はつくものの結果的には世話を焼いている為、お互い様であるが。
自身が王女と知ってからは気兼ねなくメアリの元へ遊びに行っており、ニワトリが鳴くころにはアルバート家に居たり、メアリへのボディタッチが多いなど、事あるごとにメアリから注意されているのだが全く気にしていない。メアリを見かける度にメアリがダメージを受ける程の体当たりで抱き着いてくるため、メアリからは大型犬のように思われている。
パトリックに惹かれ、当初は身分の違いに気後れしていたものの、メアリやアディの叱咤激励に後押しされ恋仲となる。
- パトリック・ダイス
聖カレリア学園の生徒会長。メアリやアディとは旧知の仲。
王家に次ぐと言われるアルバート家にも匹敵する歴史ある貴族ダイス家の出身で、文武両道・眉目秀麗な正に「理想の王子様」を体現した人物。
公の場ではいかにも名門貴族の子息として振舞っているが、本当は気さくで陽気な性格の持ち主で、メアリとは非常に砕けた態度で接しており、メアリもまたパトリックのことを信頼している。アディの従者らしからぬ言動を咎めることもなく、作中でも数少ない「変わり者の令嬢メアリ」と対等に話が出来る貴族。
作中ではアリシアと恋仲になり、メアリたちはそれを後押ししている。
『ドキドキラブ学園~恋する乙女と思い出の王子~』
本作の世界のモデルになった、メアリの前世の世界で発売されていた乙女ゲーム。
主人公アリシアが貴族の通う聖カレリア学園に転校することとなり、そこで悪役令嬢メアリを筆頭に様々な嫌がらせを受けながらも想い人との恋を成就させ、さらには自身の出自についても明らかになる作品。
続編とファンディスクが販売されており、グッズ販売やアニメ化などマルチメディア化されていた人気作だった。
略称は「ドラ学」。
関連タグ
自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。 ・・・ 悪役令嬢が破滅を望んでいる作品。
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった… ・・・ 本来のゲームの主人公とも仲良くしてしまう作品。
外部リンク
小説家になろう版 完結済