概要
『艦隊これくしょん -艦これ-』の戦闘、殊に昼戦後の夜戦においては、一定の装備の組み合わせで派手なカットイン攻撃が発動し、相手に大きなダメージを与えることがある。
主に敵(深海棲艦)側の重巡リ級・重巡ネ級が使用し、大和型だろうがアイオワ級だろうが此方の艦娘を容赦無くワンパン大破に追い込んでくる為、提督の間ではみんなのトラウマレベルに恐れられている。
発動の際に発せられるSE「シャッシャッシャッドーン」を印象付けたのが、かの悪名高い2013年秋季イベント『決戦!鉄底海峡を抜けて!』のE-4「アイアンボトムサウンド」である。
提督達は夜戦マスを通過するたび敵の「シャッシャッシャッドーン」発動に怯え、無情なる「シャッシャッシャッドーン」によって泣く泣く撤退を強いられ、運良く「シャッシャッシャッドーン」を免れたとて無慈悲にも羅針盤の気まぐれに弾き返されていた。
もう少し細かく説明すると、13秋イベント「決戦!鉄底海峡を抜けて!」で恐怖の代名詞として語られていたのには複雑で複合的な理由がある。
- まずシステム面として、現在では「攻撃を誘引してしまうが相手の夜戦カットイン率を大幅に下げる探照灯」「カットイン率を下げる効果は探照灯に劣るが、誘引効果がないため特定艦娘への集中打を防げる照明弾」「有無を言わさぬ連続攻撃で先に相手を半壊させるビッグセブンや金剛型の特殊砲撃」と、夜戦における大破対策となりうる手段は複数存在するが、この当時にそんな生ぬるい仕様はなかった。
- また、提督たちの意識もこれを助長していた。
- まず背景として、知っておくべきなのが轟沈周りの仕様と、その解明の変遷である。艦娘の轟沈フラグが立つ条件は『大破状態で進撃し、次の戦闘を開始すること』である。これ以降、同出撃内において敵艦から痛打を受ければ艦娘は轟沈してしまう。ダメコンを使用すれば1つにつき1回だけフラグを打ち消すことができるが、再び大破進撃を敢行すれば再びフラグが立つので艦娘は海の底へ沈んでしまう。ただし、運営側もここは配慮しているようで艦娘は『轟沈ストッパー』『中破ストッパー』等と呼ばれる仕様を持っている。これは、一撃で体力を削り取られるような攻撃を受けると割合ダメージに化け、中破~ギリギリ大破程度のダメージで踏みとどまるシステムである。この結果、「シャッシャッシャッドーン!」を受けても、そのあまりにも高い火力故に実は中破で止まる可能性も高い。追撃さえ受けなければ大丈夫というケースがほとんどなのだ。しかしながら、この仕様が明確に説明されたことはなく、サービス開始当初は『中破以上の損害を負った上での進撃、もしくは夜戦突入。あるいは疲労状態での出撃』であるとみられていた。その後徐々に『夜戦突入は問題ない』『疲労状態での出撃も無関係』と検証が進み、丁度『中破進撃は問題なく、大破進撃のみが轟沈を招く』と結論付けられたのがこのイベントのころである。
- さて、夜戦マスが集中して撤退を余儀なくされ、何とか突破しても羅針盤に振り回され、運よくボスまで到達しても夜戦のみで終わる(当時に『払暁戦』という概念はなく、夜戦スタートのボス戦で昼戦に移行するには『相手を削りすぎないこと』というプレイヤー泣かせの仕様があった。調子よく敵艦隊を削れば削るほど、とどめを刺させてもらえなくなるのである)ケースがありながら、攻め手を休めればゲージ回復によりこれまでの出撃が無駄になってしまう、とプレイヤー不利の要素が奇跡的にかみ合って絶望を振りまいたイベントであった。このことから一部の提督たちが編み出したのが『捨て艦戦法』である。ボスに鎮座する陸上型には当時の駆逐艦では太刀打ちができなかったため、ルート固定に要する駆逐艦には拾ったばかりのコモン艦など轟沈しても差し支えない艦娘を編成し、轟沈を厭わず進撃してせめて夜戦における大破撤退のリスクを軽減しようという戦法である。
- 当然ながらこれに反発する提督は多く、掲示板では日夜激しい論争が繰り広げられていた。そんな中、動画・イラストサイトでもたくさんの作品が投稿され盛んに喧伝されたのが『中破撤退』である。(捨て艦で検索するとpixivでも多数の作品が投稿されていた事が偲ばれる)上述のように『中破撤退がセーフ』であることが判明したころからさほど時間が経過しておらず、そもそも『念のため』の措置を含めて中破撤退を励行する提督はまだ多かった。そんな中、捨て艦を問題視する流れの中で中破撤退が叫ばれたので「中破はセーフ」を広める流れは完全に失われ、もし『大破しなきゃセーフ』などと口にしようものなら鬼畜生の如く罵られていた時期だったのである。
- さて、上述の通り夜戦カットインは運が良ければ大破せずに止まる。そう、中破で。この流れでは救済措置が何の意味もなさず、『発動=撤退確定』という恐怖のSEとして『シャッシャッシャッドーン』が強く印象に残ったのだ。(一応回避という目はあったがなにぶん命中補正も高いので……)
現在でも、通常海域の5-3「第一次サーモン海戦(サブ島沖夜戦)」においてその脅威を目の当たりにすることができる。
逆に味方側(つまりプレイヤー側)は、発動率が艦娘の『運』の値に依存しており、かつ発動率が不安定である(『運』の値が限界値で、カットイン率を上昇させる探照灯・照明弾・熟練見張員込みだったとしても確実に発動するとは限らない)事も相俟って、カットイン攻撃が発動する装備の組み合わせはあまり好まれない。
そもそも雑魚敵との道中での夜戦や、深海棲艦よりも耐久値・装甲に劣る艦娘が相手になる演習において、夜戦カットイン装備は殆どのケースで火力過剰(最大の耐久値・装甲を持つ武蔵改二ですらも、増設バルジが無ければ軽巡や重巡の夜戦連撃でノックアウト可能)であり、むしろ不安定さが仇となるケースも少なくない為、ボス敵との決戦でもない限り雪風やウォースパイト級の『運』の持ち主ですらカットイン装備が敬遠される、あるいは夜戦カットイン装備にする必要性が薄いのが実情である。
「敵に回せば無条件で恐ろしいものの、味方にするにはかなり不安定でピーキー」なゲームシステムの典型例だが、これは深海棲艦側と艦娘側では『運』のステータスに大きな開きがあり、『運』の値が艦娘よりも高めに設定されている深海棲艦側はカットイン発動装備だとカットインを常用してくるが、艦娘側は一部の艦娘を除き『運』の値がそれほど高くなく、大抵ダメージ期待値が「夜間2連続射撃(連撃)」(火力は劣るも発動率が高い)の方が上になってしまうという事情もある。
(「『運』の低い艦娘にカットイン装備」は、期間限定イベント海域の高難易度ステージ攻略の沼要素の一つである)
ちなみに、最も威力補正が高くなる魚雷カットインが連撃のダメージ期待値を上回る目安は『運』50以上であると言われている。
勿論初期値でこれを上回る艦娘は少なく、大多数の艦娘はまるゆ・海防艦による補強が必要となる。なお、伊168・大井など『運』の上限が49以下になってしまう艦娘もいるが、あくまで期待値上の話なのでそのレベルにもなれば愛が試される所だろう。
余談
現状、夜戦カットインには
の6種類が存在する。
このうち、実際にSEが「シャッシャッシャッドーン」となるのは「主砲カットイン」か「主砲・副砲カットイン」である。
使用者は戦艦ル級elite、戦艦タ級elite、輸送ワ級flagshipなど。『決戦!鉄底海峡を抜けて!』開催当時は弾着観測射撃が実装されておらず、戦艦ル級・戦艦タ級のflagshipも「シャッシャッシャッドーン」型カットインになっていた(現在は連撃に変更)。
前述した重巡リ級・重巡ネ級は主砲・魚雷のカットインだが、これをSEで表すと「シャッシャップシュードーン」という感じになる。
なお、敵として見れば主砲・魚雷カットインは発動率が他のカットインと比べて高く、探照灯・照明弾ありでも容赦無くかっ飛ばしてきて非常に面倒だが、こちらが使うには威力が相対的に低くなりがちで中途半端である(有効活用できるのが『運』の初期値・スロット数・火力面から考えて妙高改二・青葉改・プリンツ・オイゲン改くらいしかいないのも一因である)。