ディオナ(MS)
でぃおな
富野由悠季原作・長谷川裕一作画の漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場する、木星帝国製のモビルスーツ(MS)。型式番号:EMS-08。
木星モビルスーツ群の基本形であるバタラ(EMS-06)を改変したバリエーション機のひとつ。
細身のボディ、盛り上がった胸部、長い足など、人間の女性を連想させるフォルムを持つ。頭部には同じく女性の彫刻のような「顔」を持つが、これは完全に飾りであり、帽子状のパーツの中にモノアイがある。背面にはエレバド同様の4基のシェルフ・ノズルを持つ。
本機は実戦を想定していない完全なプロパガンダ・コマーシャル用の機体であり、固定装備は防御用のビームシールドを含めて全く無く、手持ち火器としてビームライフルを保持するのみである。
ただし、資源の限られている木星圏において戦闘に全く運用価値の無いモビルスーツを造る事など無く、機体のスペック自体は指揮官機としても運用される高機動型のエレバドと同等となっており、搭乗するパイロットの技量次第では、十分な戦闘力も発揮可能となっている。
劇中での活躍
テテニス・ドゥガチ(=ベルナデット・ブリエット)がエレゴレラに搭乗して出撃(実際にはバイオコンピュータによる自動操縦機)する際、「総統閣下の御令嬢自らが精鋭ニュータイプ部隊を率いてご出陣」との演出でエレゴレラの護衛機として登場した。パイロットは女性兵士で固められており(後年のゲーム作品では男性の木星一般兵であることも)、「太刀持ち」役でエレゴレラの使うヒートナギナタを保持した機体もいた。
実際にはニュータイプというのはハッタリで戦意は低く、突如乱入してきたトビア・アロナクスのクロスボーンガンダムX3にたじろぐばかりで簡単に蹴散らされている。
続編『鋼鉄の7人』に登場した、ディオナの改修機。アンヘル(Ángel)はスペイン語で天使を意味する。パイロットはエウロペ・ドゥガチ。
ディオナから全高は変わっていないが、新造の小型MS「アラナ」用のSサイズフレームを部分的に組み込み機体の軽量化に成功している。相変わらず固定武装はないが、作中ではビームライフルおよびクロスボーン・ガンダムX1フルクロスから借り受けたピーコック・スマッシャーを使用する場面があることから、ゲーム作品での登場の際はそれらが武装とされる場合が多い。
劇中での活躍
作中ではエウロペ・ドゥガチが木星帝国からの逃亡に用い、トビア達に救助されたことでブラックロー運送の手に渡る。その後サナリィで改造を受け、背部のシェルフ・ノズルが翼を思わせる形状の大型スラスターに換装された。
「鋼鉄の7人作戦」発動時には、母船イカロス(スピードキング)に連結されてイカロスのコントロールユニット及び指揮官機としての役割を担う。その後イカロスから分離して、背部にマウントされた武器コンテナから予備武装を味方機に補給。
最終的にはコンテナも分離し、X1フルクロスと共にコロニーレーザー「シンヴァツ」の破壊に成功するが、長時間の戦闘と被弾の蓄積で機体が限界を迎え、最後はトビアをかばってシンヴァツの爆発と共に消滅した。