概要
フジテレビ制作の紀行クイズ番組『なるほど!ザ・ワールド』中期から出演したホストキャラクター。
赤い口紅を引いた白塗りの顔の上半分を仮面で隠し、終始無言を貫く謎のマジシャン。
衣装
もれなく視線を惹き付ける印象の強い独特の衣装に身を包んでいるが、番組終了までに2回のモデルチェンジが施されており、各種メディアを通じて最も広く知られている赤を基調とした姿は1回目のモデルチェンジ時のものである。
出演当初の衣装はスペードを象った金細工のワンポイントアクセサリーを着けた黒無地のロークラウンハット、白と水色の市松模様をあしらったバンディットマスク、白のスタンドカラーシャツに赤の蝶ネクタイ、黒のカマーバンドとフォーマルパンツという格好であり、目を惹く存在ではあるが共演する芸能人の華やぎを殺さない程度に抑えられたものであった。
ところが、表情を崩さなければ声すら発せず、それでいて華麗な手捌きで担当コーナーのホストを淡々とこなす姿が視聴者の心を鷲掴み、瞬く間に高まった予想外の人気に着目した制作陣がトランプマンを番組の顔として売り出す方針を決定し、金のリボンにスペード、ハート、クラブ、ダイヤをあしらった金地のロークラウンハット、赤のスパンコールで彩られた金縁バタフライマスク、襟と袖口に金糸の刺繍を施したエポレット付きのレッドタキシードとプリーツシャツ、上衣と揃えのリボンタイとカマーバンド、パンツという極めて豪奢な衣装に一新した。
番組後期には帽子とタキシードの布地を黒に切り替え、装飾の一部を改変したシックなブラックタイプも登場し、時々に応じて赤と黒の衣装を使い分けるようになった他、番組終了後の営業活動では個人で新調したロイヤルブルータイプを含めた3種類の衣装を使い分けている。
ちなみにごくわずかにではあるが、出演中に喋ったことがある。
その際は周りの出演者たちも驚愕していた。
正体
絶対無言というキャラクター設定もあって、トランプマンとして出演した番組内でその素性が明かされた事は未だに無く、外見的特徴から「トランプマン=タモリ説」が最有力とされた時期もあったが、タモリの冠番組『笑っていいとも!』で2人が生放送の現場に同時に存在する姿を披露して全くの別人であると証明した。
しかし、赤塚不二夫と親密に付き合えるほど痛快な洒落を好むタモリはこの噂を否定するどころか逆手に取り、後に自らトランプマンに扮して同番組に出演するというギャグに転換し、1992年秋に回答者として出演した『'92なるほど!ザ・秋の祭典スペシャル』では敗者復活戦に臨んだ際に「彼とは親戚」と述べて現場の笑いを誘った。
トランプマン
マジックショップ『株式会社 東京マジック』代表取締役社長を務めるプロマジシャンの星野徹義(ほしの てつよし)。
数々の世界級マジック大会で披露した精妙なテーブルマジック、中でも最も得意とするカードマジックで話題を呼び、1990年にアメリカの権威ある新聞『The New York Times』に紹介された経歴を持つ。
『超魔術』と銘打ったニューウェーブマジックで一時代を築いたMr.マリックとの競演を果たし、『なるほど!ザ・ワールド』終了以降も数々のテレビ番組にゲスト出演する一方、従来の本人名義のマジック教本監修に加えてトランプマン名義の教本、マジックグッズ、映像作品を展開し、現在もマジックショップ経営とマジックショーの企画、運営、出演を続けている。
トランプマン2号
イベント企画会社『株式会社 HASカンパニー』に所属するプロマジシャンの中島弘幸(なかじま ひろゆき)。
星野演じるトランプマンの代演者として1990年8月28日に同番組に初出演し、翌年に星野が経営する『東京マジック』に入社する。入社当初から音楽コンサートのマジック監修、世界級マジック大会への参加、トランプマングッズの企画販売、テレビ番組用のオリジナルマジック開発など海外や裏方で八面六臂の活動を展開していたが、番組側の事情で海外に出張する運びとなった星野に代わって番組内の専任コーナーを担当するもう1人のトランプマン『トランプマン2号』を襲名する。
さらに、翌年には新機軸を打ち出した番組の意向でトランプマンに敵対する悪のマジシャン『ジョーカーマン』に始まり、本人名義による各局番組ゲスト、『笑っていいとも!』の月曜日サブレギュラー『寿司仮面』などでテレビ出演を重ねたが、番組制作側と自身が抱くマジックに対する意見の食い違いに悩んだ末に『なるほど!ザ・ワールド』終了とほぼ同時期に退社し、フリーランスを経て本業のマジシャンとその理論や技術を応用した心理学講演活動を続けている。
市販のマジックグッズとマジック教本を使って独学で修めた基礎にトランプマン時代の豊富な経験を組み合わせ、イリュージョンを含めた大小様々のマジックをこなすものの、プロマジシャンを目指す若者の発掘と育成のための広告塔としてテレビ出演を快諾する星野と違い、退社以降はエンターテインメントとしてのマジックを極めるために豪華客船や駐日大使館主催のマジックショーを専門に活動している。