独立公益会社(公社)であるメトロポリタン・トランジット・オーソリティー(MTA)が運営しニューヨークで運行されている地下鉄。
路線網はマンハッタンを中心に市南西部にあるスタテンアイランドを除くニューヨーク市内ほぼ全域にわたって伸びており、総延長距離はなんと1355km!そりゃあどっかの和菓子屋の娘でアイドルも迷子になるわけだ。
特徴
日本の地下鉄と異なり、路線名と運転系統が一致しないことが多い。営業案内や日常会話では日本の都電や市電などのように、もっぱら運転系統が重視されている。2014年3月現在は24の系統が設定されているが、路線名称としては34路線が存在する。
各系統は運転区間や停車駅によって急行、各駅停車、シャトルの3種類に分類される。各系統の独立性は高く、例えば7系統と42丁目シャトル、J系統とZ系統のように、全く同じ区間を走行する場合でも停車駅が違うため別々の系統として扱われることがある。
急行運転を行う区間では複々線または複線+1線が用意されており、急行系統と各駅停車系統が接続を取ったり、通過待ちを行ったりということはない。
24時間運転を行っているのも大きな特徴で、これは世界的に見てもシカゴとニューヨークの2箇所のみ。ただし夜間運休する系統や、各駅停車が運休して急行が代替として各駅に停車する区間も存在するため、深夜帯に利用するのは治安以外の面でも注意が必要。
衛生面について
ニューヨークの地下鉄はお世辞にも綺麗とは言えず、テヘランやモスクワ以前にベルリンやロンドンの地下鉄と比較しても汚い。ネズミや浮浪者が多く、更に強姦も多発しているので汚いと言われても文句は言えない。更に落書きも多いので要注意。
かつて世界屈指の危険な地下鉄といわれた1980年代と比べれば、観光客も利用できるほどに改善はされたが、対策として日本のデザイナーによるステンレス車の導入を要した。この車両の設計は衛生面や軽犯罪防止の観点で行われたものであり、デザイン自体がこのような目的に特化したことは、当時の状況を推し量るに十分なものであった(車内が明るい・落書きを消しやすい・掃除がしやすい・窃盗をやりにくいなど)。
汚さで言えばパリの地下鉄と良い勝負が出来るかもしれない。
運賃
運賃は均一制で、NY地下鉄自体が長い為、長距離で利用すれば安上がりにある。
一方で基準が安くない為、短距離で利用すると鬼のように高いに運賃になる。
運賃は1回券で2.75ドルとなっている。
車両
最近まですべての車両は非常時を除き車両間の貫通路の通り抜けが禁止だったがR211A形では初めて幌付きの貫通路が設置された
またR68Aを最初に日本製車両が続々登場しており、川崎車輌の電車が数多く在籍する
以下に代表的な車両を記す
・R30
セントルイス・カー・カンパニー製の電車
紅い車体から「レッド・バード・」と呼ばれていた
映画「ジョーカー」でジョーカーがサラリーマンを殺害したのはこの電車
・R32
ニューヨーク市地下鉄初のステンレス製電車
かなり長く活躍していたが最近やっと引退
引退直前にこの車両を置き換える予定の新車がポンコツすぎることが判明して呼び戻されたりと散々だった
製造はセントルイス・カー・カンパニー
映画「ジョーカー」でジョーカーが警察からの逃走手段にしたほか、「ファイナルデスティネーション3」のラストシーンでは脱線して車体が真っ二つになり、メン・イン・ブラック2では巨大エイリアンに食われて先頭だけになったりとロクな目に遭っていない
・R40S
無理やり流線型にしました感満載な電車、SはスラントのSらしい
平顔のR40Mも存在する
・R44・R46
似た見た目の電車、最近まで割といろんなBディビジョン(大型車線区)で走っていた、R211に置き換えられる予定
R44はスタンテンアイランド鉄道へ左遷された
共にセントルイス・カー・カンパニー製、R46は同社が最後に製造した電車だった
・R68
両運転台で1両単位で動かせる電車、アルストム製
導入当初不具合を連発しレモン(=ボロ車、欠陥車という意味のスラング)と呼ばれた
・R68A
アルストム製のR68を元に川崎重工で製造した車両
同社初のニューヨーク市地下鉄向きの電車だった
故障するまでの走行距離が倍以上になったと喜ばれたようだ
老朽化により置き換えが進む
・R110A・R110B
それぞれAディビジョ(小型車線区)、Bディビジョン(大型車線区)向けに作られたNTT(ニュー・テクノロジー・トレイン)の試作車
自動放送やVVVFインバータ制御の試験を行ったようだ
R110Aは川重、Bはボンバルディア製だった
Aは1993年に落成、5両で試験的に営業を行っていたが1998年頃に故障が元で火災を起こし車庫で長年保管されたのち、自走するための機器を取り外され移動式のポンプとなった
改造が行われなかった車両は現在も293丁目車庫で静態保存中
R110Bは9両編成で1989年に落成し1993年から試験営業を開始、A系統で運行されていた
しかし1996年故障が元で爆発、火災事故を起こし、3両が全損焼け残った6車両のみで運行していた
1999年に試験終了に伴い廃車
その後は編成を解除されMTAの訓練施設やニューヨーク消防庁。ニューヨーク市警で火災・テロの訓練施設として使用されているようだ
207丁目車庫では両端の先頭車2両が静態保存されている
Bで初めて搭載された乗務員への非常通報装置はその後全車両の標準装備となっているほか、Aでテストされた自動放送やLED式の案内パネルもその後登場した車両に装備されたことから目立たなかったもののかなりニューヨーク市地下鉄に大きな功績を残した車両といえるだろう
・R142・R142A
ボンバルディアトランスポーテーション製の電車
量産車としては初のNTT(ニュー・テクノロジー・トレイン)である
それまでの車両にない機構(自動放送など)を取り入れたかなり気合の入った車両
デザインは日本人が手掛けた
Aディビジョン向きで車体が短い、急カーブを身をよじりながら曲がる姿や、高架線上を走る姿は必見
R142Aは川崎重工製となっているが、後述の理由で数を減らしている
映画「サブウェイ124激突」でハイジャックされたのはR142と思われる
・R188
R142Aからの改造車
今までは打ち子式ATSを使用していたがCBTCに改造されることになった際にR142Aから改番された
このためR142Aは数が減っている
・R143
Bディビジョン向きの川重製電車
割といろんな線区で見る主力車両の一つ
・R160A、R160B
Aはアルストム、Bはシーメンス及び川重製である
R143を元にしている
・R179
ボンバルディアトランスポーテーション製の電車
車体はR160を元にしている
R68同様故障頻発によりレモンと呼ばれているがこちらは内容が尋常ではない
まず走行中にドアが開く故障を起こし全車運用離脱、1度置き換えるつもりだったR32を呼び戻す羽目になった
その不具合が収束し無事に置き換えが完了したと思ったら今度は走行中に連結器が故障し編成が分離する事故が発生即座に全車運用を離脱した
後者については下手すれば大事故につながる重大な故障である
現在不具合は収束したが今でもレモンと呼ばれており、その呼び名を元にコラ画像が作られるなど散々
この車両を最後にボンバルディアはアルストムに吸収されてしまった
・R211A
川重製の新車、吊り目ライトにドア横のインジケーターなどが目を引く近未来的な車両
ニューヨーク市地下鉄初の幌付き貫通路が装備された(量産先行車にはない)
R44・R46などを置き換える予定だそうだ
余談
すべての車両は頭に「R」と付いているが、これが何を意味するのかはニューヨーク市交通局すら分かっていない
初めてRが付いたのは市有化後最初に製造されたR1型なのだが、何せ90年以上前で資料が残っていないようだ
Rollingstock(鉄道車両)を意味するとかRapid Transit(高速交通)の略だとか色々説はあるが深層は闇の中だ
また車両に記されている4桁の車号は管理番号でしかなく、形式名とは全く一致していない
関連項目
地下鉄 東京メトロ 都営地下鉄 OsakaMetro 名古屋市営地下鉄 モスクワ・メトロ テヘラン・メトロ 上海地下鉄 北京地下鉄 ロンドン地下鉄 ベルリン地下鉄 パリメトロ