アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の第4話に登場した悪役「魔女」の一体である。
真名はH.N.Elly(Kirsten)。公式での名前の読み方は不明。
ファンからはよく「H.N.」が略されて「Elly(エリー)」か「Kirsten(キルステン)」と称される。
概要
公式ガイドブックには「引きこもりの女の子→本当の私はどこへだって行ける。子供の頃みたいに。 外の世界への妬みと憧れ」と書かれている資料が載っている。
「ひきこもり」と書かれているように、パソコンのCRTモニターのようなハコの中にツインテールだけを出して閉じこもっている。
自らが企図した集団自殺の邪魔をした鹿目まどかを結界に閉じ込め、巴マミの映像を映し出してトラウマを刺激し、精神的に追い詰める。しかし魔法少女となった美樹さやかが結界内に乱入してきたことで状況は一変、さやか・まどか・マミの映像を映し出すことで彼女の動揺を誘おうとするも、美樹さやかには通じず、高速の斬撃で使い魔や結界内のオブジェごとずたずたにされ、最後には急降下による加速の勢いも足した刺突により、ハコを貫かれた上に地面に叩きつけられて倒される。
なお、ハコを貫かれ地面に縫い付けられたときには球体関節人形の姿の本体が飛び出し、倒された際には大量の血のようなものを噴き出していた。
魔女にしては珍しく、結界を自分の意思で部分的に顕現させ、手下を結界の外に出し、付近にいる人間を結界内に引きずりこんだりするなど、結界の外に対して能動的に干渉することが多い。
また、結界に引きずり込む時には、手下によって体を文字通りばらばらにしてテレビの中に運び込むようだ。
本体であるパソコンの筐体に文字を出したり、笑い声をあげたり、意思表示ができたりもする。
魔女の結界
青い水中のような円柱状の空間であり、周りには輪状になっているメリーゴーラウンドがある。
メリーゴーラウンドの木馬はドット絵であり、木馬の代わりにテレビが上下していたりする。
メリーゴーラウンドには一定間隔で棒があり、その様はフィルムのようにも見て取れる。
エリーが倒された際にはメリーゴーラウンドがばらばらになり、ゆっくりと落下していった。
結界に取り込まれた鹿目まどかは色トレスで描かれ、輪郭線がないが美樹さやかが攻撃すると鹿目まどかの輪郭線が戻った。
使い魔
この魔女の出現時、奇妙な声らしきものが聞こえるシーンがある。
これは当初魔女の声とされていたが、公式ガイドブックの設定資料によれば使い魔の声である。
詳しくはハコの魔女の手下の記事参照。
この魔女の使い魔はDaniyyel+Jenniferと男女一人ずつと思われる名称となっている。
引きこもりの少女に物を運んでくる男女、即ち両親のことかも知れない。
メッセージ
彼女が隠れたモニターの中に、まどか文字でメッセージが表示されている。
これはドイツ語になっており、解読すると以下のようになる。
Ich mag keine Narren.(私は愚か者が嫌い)
Ich will nicht arbeiten.(働きたくないでござる)
前者はファウストのメフィストフェレスの台詞。後者は引きこもりのお約束である。
劇場版で追加されたカットにはチャット風の画面が登場し、ここには
●ELLY
HALL. NICE TO MEET.
○ELLY
HALL.
MEIN NAME IST ELLY < ' v ' > (私の名前はEllyです)
と書かれている。○は実際には三日月のマーク。
魔女の口づけ
TV版では、CRTの中に向かい合う天使の意匠だった。
劇場版では、CRTの両脇にツインテールが飛び出した意匠に変更されている。
別作品での登場
魔法少女まどか☆マギカポータブル
本編を基にしたまどかルートでは本編同様さやかに倒され、さやかルートでは本編同様魔法少女になったばかりのさやかに倒される。
杏子ルートでは過去の回想に登場、契約したばかりの杏子に倒される。
ほむらルートでは、本編同様に(本編は夜に対しこちらでは夕方)廃工場内で集団自殺を図ろうとさせるもほむらに止められ、まどかを避難させた後に結界内に侵入、このとき展開によってマミやさやかが援軍に来ることがある。
謎の魔女結界3番目、愚者の結界10層目にも登場。
The_different_story
中巻に登場。
本編同様志筑仁美を魔女の口づけで結界に誘い込もうとするが、巴マミのティロ・フィナーレで撃破される。
この際、美樹さやかは仁美の様子に感づいているものの、気のせいであるとして放置してしまう。そこから生まれた罪悪感が、さやかの今後を左右することになる。
また、上巻には彼女のシルエットとよく似たツインテール・リボンを持つ魔法少女が登場するが、彼女は別の魔女に変化したことが中巻で語られたため、無関係。
劇場版
オープニングでカットが一部追加された。
ドアが開き、チャット風の画面が描かれ、歩くEllyのシルエットが描かれる。
マギアレコード
2021年6月21日、まどか10周年を記念した新イベント『殲滅戦 魔女たちのパラドクス』でついにボスユニットとしてデビュー。攻撃はディスプレイから現れる使い魔に任せている。
ストーリー内では人間達を操ることで大型タンクローリーを中央区のピュエラケアの拠点まで運び、集団自殺を謀る。
『Homecoming』では一連の事件の犯人として登場。果てなしのミラーズを介して神浜市に侵入し、梨花、さな、このみ、妹猫を拾った少女を捕らえ杏子の固有魔法を悪用し、3日前の杏子の出来事をなぞらえた夢の中に閉じ込め、衰弱させようとする。
また杏子のドッペルの力まで奪っており、攻撃を先読みして回避するどころか、ティロ・フィナーレを直撃しても無傷でいられる程強化された。
しかし杏子の願いが叶った後の父の言葉で救われた人の存在を知り、過去の自分を受け入れドッペルをモノにした杏子によって倒された。
アニメ第2期では、第1話でグリーフシードが登場。ほむらがさやかのソウルジェムを浄化するために使用した。
余談
「H.N.Elly」という名前が「ハンドルネーム:エリー」と読めること、引きこもりであること、
PCの画面を思わせるモニタと共に出現すること、Daniyyel+Jenniferが「片翼の天使」の姿をしていること
(絵理シナリオに同名の分岐ルートが存在する)などから、
アイドルマスターDSの水谷絵理を元ネタにしたのではないか、という意見がある。
ただし、相違点として、
- 「エリー」のつづりは「Elly」でなく「Ellie」である。
- 絵理のパソコンは同型の液晶ディスプレイ2基のデュアルモニタで、CRT(ブラウン管)ではない。
……という点がある。
また、「魔女化前はネットアイドルであった、またはそれを目指していた」という説もある。
↓魔女化する前のEllyの想像図(水谷絵理コス)。
関連イラスト
関連タグ
H.N.Elly(Kirsten) Daniyyel+Jennifer
毬子あやか:この魔女の魔法少女時代の姿ではないかと言われていたが、自然体のドッペルの登場で否定された。
ドッペル(マギアレコード):命名法則から憧憬のドッペルと導き出せる。