パラケルススとは、15世紀末から16世紀中期に活躍したスイス出身の医師・錬金術師である。
概要
本名は、"テオフラストゥス・フィリップス・アウレオールス・ボンバストゥス・フォン・ホーエンハイム"
【Theophrastus Philippus Aureolus Bombastus von Hohenheim】
スイスのアインジーデルンで生まれ、医師であった父・ウィルヘルムから自然哲学を教わりながら育つ。
その後、講師・研修者として在学していた大学を出奔し、ヨーロッパ各地を遍歴しながら医療研究に没頭していき、いつしか"古代ローマの大医師ケルススを超えた者"という意味を込めて『パラケルスス』を名乗るようになったという。
言行録
医師として以上に錬金術師として、とりわけ賢者の石とホムンクルスの伝承について、多くの伝説を残している。
ニコラ・フラメルやサン・ジェルマンと並び、賢者の石の錬成の数少ない成功者の一人とされており、彼はアゾット剣(パラケルススの魔法剣)と呼ばれる短刀を所持しており、その柄の中に賢者の石を忍ばせ、旅先で病気やけがで苦しむ人々にであうと、これを用いてたちどころに治癒して見せたといわれている。
またホムンクルスの精製にも成功し、その方法やホムンクルスとの交流も残されている。
四大元素に精霊が宿るという『四大精霊』に関する論もパラケルススが大成している。
そのほかにも水銀、硫黄、塩からこれら元素が発生するとする『三元論』も表している。
ただ他者に徹底して反骨するへそ曲がりな人物だったらしく、大学では教授たちとの舌戦が絶えず、旅先では口論を起こし、優れた論文には粗を探して問い詰めるなど、とかく諍いを起こす問題人物としても知られている。
弟子をして「学者としては天才、人間としては三流」と苦言させた。
こうした言行から、彼を魔術師として見る向きもあり、「悪魔を使役できた」「アゾット剣に悪魔を住まわせている」といった伝承も存在する。
自然哲学や医学に関する書籍を多く残しており、後世に大きな影響を与えている。
その一方、ノストラダムスとも因縁があり、パラケルススが講じた錬金術理論が当時の医学にも強い影響を及ぼしていた結果、ノストラダムスの講じた「衛生管理によるペスト予防」の促進に大きな障害となって立ちはだかった。
ノストラダムスとは他にも「砂糖論争」を繰り広げたこともあり、予後の滋養のために砂糖を使ったジャムを開発したノストラダムスに対し、パラケルススは三元論を基に「砂糖は塩と硫黄の取りすぎで体のバランスを崩す」と真っ向から否定している。
フィクションの関連人物
パラケルスス本人、あるいはその子孫が多くのフィクション作品に登場する。以下はその一例。
名前のみ引用されることもあるが、その場合も含め多くが錬金術に関連するキャラクターとして描かれている。
- アウレオルス=イザード(『とある魔術の禁書目録』)
- パラケルススの末裔で、彼もまた錬金術師。
- ヴァン・ホーエンハイム(『鋼の錬金術師』)
- パラケルススの本名が名前の由来。自分の血から偶然生み出されたホムンクルスに血のお礼として教えを受け知識を得た錬金術師で、名付け親もそのホムンクルス。本来は「テオフラストゥス・ボンパストゥス…」とパラケルススまんまの名前を付けようとしていたが、当時ただの名無しの奴隷でしかなかったホーエンハイムに長いとクレームを入れられ「あ、長過ぎて覚えられないか、君バカだから」と煽られこの名前になった。
- パラケルスス(『イリスのアトリエ エターナルマナ2』)
- 真紅のアゾットを作り出した古代の錬金術士。その技術を以って「最高の錬金術士」と伝えられる。
- パラケルスス(ラヴヘブン)(『ラヴヘブン』)
- 乙女パズルゲームの攻略キャラクター。異世界を危機から救うため、主人公によって召喚された。
- パラケルスス(ダーケストダンジョン)
ホラーRPGシリーズ「ダーケストダンジョン」に登場するヒーローの一人であるペスト医師のデフォルトネーム。ちなみに女性。
下が落ちぶれる前の姿