ウラ「戻るべき狼鬼の肉体を失いし、迷える一千年の邪気よ。新たなるオルグとして蘇るでおじゃる!」
概要
物語中盤より姿を現した、オルグを形作る邪気の一つ。元は大神月麿ことシロガネが、「闇狼の面」を介してその身に取り込んだものであり、ある意味ではシロガネと並ぶもう一つの「狼鬼の正体」とも言える存在である。
かつてのオルグの王であった、百鬼丸を倒すための手段として用いただけあって、その強さは邪気の中でも桁違いと言えるもので、1,000年の時を経て現代に蘇ってからの、狼鬼の高い実力もまたこの邪気に由来しているといっても過言ではない。
その強さたるや、ガオキングストライカーによってガオハンターイビルが打ち破られ、それに伴い闇狼の面が破壊されシロガネが邪気の影響を脱しながらも、千年の邪気自体は消滅することなくなおもしぶとく残存していた、という辺りにも如実に表れている。
言い換えるならば、狼鬼の事実上の退場と前後して存在が明らかにされた千年の邪気は、彼に代わる物語中盤の新たな難敵、ガオレンジャーにとって乗り越えるべき障害に他ならず、実際にウラからも憎きシロガネ(=ガオシルバー)打倒のための、格好の道具としてその後も利用され続けることとなる。
また、千年の邪気はシロガネの身体から解き放たれた後、「戦いを重ねれば重ねるほどに強さを増す」という厄介な性質までも現すようになっており、それは即ち、千年の邪気そのものを根絶しない限りはさらに強力な、ガオレンジャーにも手の負えない存在へと成長していくことをも意味するものであった。
こうした性質や経緯ゆえに、(自身の意思とは裏腹に)千年の邪気という脅威を現代に持ち込み、ガオレンジャーや人々に本来なら無用の危害を与える格好となってしまったシルバーにとって、千年の邪気が存在し続けることは彼にある種の「十字架」を背負わせることをも意味し、ガオの戦士としての力と姿を取り戻してなおしばらくの間、ガオレンジャーとの間に埋めがたい距離感を生じさせることにも繋がったのである。
真の目的
前述の通り、シロガネから分離した後の千年の邪気はウラの手中に収まり、手始めに闇狼の面と泥人形を媒体として狼鬼としての姿を回復。かつてはシロガネと3体の魔獣(パワーアニマル)達に分散していた邪気も、一つに結集したことで往時以上の強さを得ており、ウラの忠実な走狗としてガオシルバーやガオレンジャーを窮地に追い込んでみせた。
そして死闘の末に闇狼の面が完全破壊され、狼鬼としての姿を失ってなお残存したままの千年の邪気は、別の器物を媒体に度々オルグ魔人としての姿を現すのみならず、その一部をヤバイバとツエツエに宿らせ彼等を強化せしめるなど、規格外な面を示し続けた。
ガオレンジャーも新たな技や百獣武装をもってこれに対抗していったが、戦いの度に自分達やパワーアニマルの受けるダメージも文字通り手痛いものに他ならず、オルグを倒しても「熟成」して千年の邪気は現存したまま強大化してしまう為、完全に消耗の一途を辿るのみならず敵に塩を送るも同然であった。
こうした、血を吐きながら続ける悲しいマラソンも同然な状況が繰り広げられる中、それに歯止めをかける格好となったのが、邪気を封じる力の持ち主であるガオディアスの参戦である。ガオディアスが百獣武装したガオキング クロスホーンの手により、滅びつつあった墓石オルグから抜け出ようとしていた千年の邪気も封印され、長きに亘る因縁にもこれでようやく終止符が打たれるに至ったように見えた。
しかし、それでもシルバーが「封印されただけで消滅したわけじゃない」と語る通り、千年の邪気は現存した状態なのは変わらず、彼も警戒を緩めなかった。
もちろんウラも、ここまで手塩にかけて「熟成」させてきた千年の邪気を諦めるつもりは毛頭なく、封印されていた邪気と満月とが重なった影響でガオウルフの心が乱れたのを利用し、その間隙を突いてシルバーを罠にかけ捕らえると、彼の身体に再度邪気を注ぎ込み、以前よりも強大な狼鬼へと変貌させようと目論む。
そんなウラの思惑に対し、シルバーも囚われの身ながら必死の抵抗に及び、再びその身体を乗っ取らんとする千年の邪気との間で壮絶なせめぎ合いが展開される中、最後に勝利を収めたのは・・・強い意志で邪気をはねのけたシルバーであった。これによりシルバーは千年の邪気と完全に袂別、ウラの目論見も敢え無く潰えたかに思われたのだが・・・。
「この時を待っていたでおじゃる!!」
「千年の邪気よ!今こそ麿の体内に!!」
この言と共に、行き場を失った千年の邪気をその身に取り込んだのは、他でもないウラ自身であった。そもそもここまで千年の邪気を「熟成」させ続けてきたのも、そして狼鬼を現代に蘇らせたのも全てはこの日のための遠大な仕込みであり、取り込んだ千年の邪気の働きによってウラは「この世で一番美しい究極の体」を得るという、真の悲願を達成したのである。
熟成に熟成を重ねてきた千年の邪気の強大な力は、ウラの持つ元来の力と相俟って最早手の付けられないまでの域にまで達しており、利用され続けてきたことへの怒りに燃えるシルバーを一蹴、レッド達の繰り出した破邪百獣剣までも退けるだけに飽き足らず、その圧倒的なまでの強さをもってレッドとシルバー以外の4人を難なく死に追いやり、一時はガオレンジャーを壊滅寸前にまで追い込んでみせた。
しかし、絶体絶命の状況にあってなお不屈の闘志を示したレッドと、黄泉の国にありながらもこれを助けようとする4人の強い思いが、ファルコンサモナーとガオファルコンという新たな力を呼び起こし、さらに死したはずの4人までも蘇るという「奇跡」が発生。
かくして再度5人揃ったガオレンジャーと、ガオファルコンの登場により誕生した新たな精霊王・ガオイカロスとの戦いの末にウラは完敗を喫し、しぶとく残存し続けてきた千年の邪気もここに完全消滅の時を迎えたのであった。
狼鬼の復活以来、実に1クールあまりに亘って展開されてきた「千年の邪気」にまつわる一連のエピソードに決着がついたことで、『ガオレンジャー』の物語もまた新たな局面を迎えることとなるのである・・・。
関連タグ
オルグ(百獣戦隊ガオレンジャー) 狼鬼 ハイネスデューク_ウラ
無限連鎖カード:『救急戦隊ゴーゴーファイブ』に登場するアイテムの一つ。厳密な原理や効果は異なるものの、これを取り込んで生み出された敵怪人を強化し、さらにそれが倒されてもカードそのものは残存し、より強力な敵怪人を生み出すことができるという点で、千年の邪気と近似したものとなっている