概要
古典古代から中世ヨーロッパへの移行期。範囲は諸説あるが、最も広く見て3世紀から8世紀にあたり、中世前期(5世紀から10世紀)と重なる時代区分である。
古代地中海世界を支配したローマ帝国は、最盛期であった五賢帝の時代が終わると軍人皇帝の乱立で混乱し(3世紀の危機)、帝国を4分割(テトラルキア)を経てラウェンナを首都とする西ローマ帝国と、コンスタンティノープルを首都とする東ローマ帝国が分立する。
西方ではゲルマン人などの「蛮族」の侵入により古代ローマの支配体制は崩壊し、都市部には人がいなくなり、5世紀に入ると古代ローマの本土であったイタリア半島もゲルマン人の王たちに支配されるようになった。西ヨーロッパでは歴史記録が欠損し、後世から暗黒時代と呼ばれる。
東ローマ帝国は527年に即位したユスティニアヌス1世の下、ローマを含むイタリア全土を回復したが、蛮族支配下のイタリアでは古代の秩序がすっかり崩壊しており、ユスティニアヌスの征服事業は儚いものとなった。
768年にフランク王国国王に就任したカール1世は、積極的に征服事業を展開して混乱した西欧諸国を平定し、800年にローマ皇帝の初代神聖ローマ帝国皇帝に就任、「カール大帝」と称えられた。彼の帝国が後のフランス、ドイツ、オーストリア、イタリア、ベネルクス諸国の母体となった。