概要
南口から出れば歩いてすぐだが、北口から出た場合、塚口駅付近の踏切の位置の都合上、結構な遠回りになるので注意したい。
スクリーンは4つ。1階にTHEATER 4、地下1階が待合室、地下2階にTHEATER 1〜3の3つのスクリーンがある。収容人数は4スクリーン合計で484人。
なお、いずれのスクリーンも3D上映には対応していない。
歴史
1953年12月に前身となる塚口劇場が開館。当時は第一劇場、第二劇場、第三劇場の3スクリーンだった。
その後、第一劇場は塚口東映に改称し、東映作品の封切館になっていた。
1978年に塚口駅前の再開発に伴い、塚口さんさんタウン内に塚口サンサン劇場として再開館する。
以降は主に近隣の住民を顧客にした、東映系映画や春休みのアニメ映画を上映する地域密着型の所謂「町の映画館」として発展していく。
しかし、そんな「町の映画館」にも時代の変化の波は容赦なく押し寄せてくる。
2008年に2駅先の西宮北口駅の目の前に出来た大型ショッピングモール「西宮ガーデンズ」に「TOHOシネマズ 西宮OS」が併設。それまで映画館が無かった西宮市にとって待望とも言える大手シネコンの参入だったのだが、これにより西宮からの客足が大きく減ることに。
加えてイオンモール伊丹内の「TOHOシネマズ 伊丹」、尼崎駅前の「MOVIXあまがさき」、梅田のシネコンの存在もあり、大手シネコンに包囲されるという状況ができあがった。
さらに2010年になるとブロック・ブッキングの仕組みの様変わりが上映作品に影響を及ぼすようになる。
これが一気に重なったことで経営にも差し障りが出る様になる。
その打開策としてセカンド上映を開始する。セカンド上映を始めた当初は手探りで上映作品の選定をしていたものの、その中で繁華街に行けない近隣住民のニーズを掘り起こすようになった。
そんな流れの中、2011年11月に『電人ザボーガー』を上映することを決める。
しかし、同作はデジタルで制作されていたのだが、当時のサンサン劇場はデジタル映写機を導入しておらず、このままでは上映ができないという事態に。
そこに試写用の35ミリフィルムが1本存在することが判明し、それを手配してもらって上映へと漕ぎつけた。
しかもこの35ミリ版ザボーガーは初号を含めて日本で数回しか上映されていないという非常に貴重なものだったのである。
デジタル映写機がない、という窮地から一転して「全国でただ1館、ザボーガーがフィルムで観られる映画館」という独自性が生まれ、これが全国的に話題を呼び、県外からも多くの観客を呼び込む大盛況であった。
以降はTHEATER 1でミニシアター系作品を上映したり、企画上映にも力を入れて行くことになる。
2013年の『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』上映時には初めてマサラ上映を行い、クラッカー、紙吹雪、踊りなどで参加しながら映画を鑑賞するスタイルが人気を得た。
2015年に『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を上映した際には立川シネマシティが重低音専用の高性能サブウーハーを使用して、音響を最強にした『極上爆音上映』というスタイルの上映をしたことを聞きつけるとライブハウスからサブウーハーを借りて「Screaming MAD 上映」と称した音響強化マサラ上映を決行し、これが好評を博す。
2016年には『ガールズ&パンツァー劇場版』を上映。
この時「塚口戦車道」と銘打って
- 岩浪美和らガルパンの音響班を招いて音響調整をしてもらう。
- 大洗まいわい市場から多数のグッズを取り寄せ、劇場売店がさながら大洗物産に。
- ダンボールで戦車を作成し、待合室に展示。
という力を入れた企画を立て、これも好評を博した。
その後、劇場の改修工事を行い、THEATER 4に大型スピーカーを常設して「重低音ウーファー上映」などの音響にこだわる上映を増やしている。
現在は封切館で見逃した佳作やミニシアター作品の上映、過去の映画のリバイバル上映、応援上映、マサラ上映、特別音響上映などにより、地域密着という形を残してながらも日本全国から、わざわざ人が押し寄せる映画館へと成長。
関西一円や遠隔地からも観客を集めている。
特徴
前述の通り、音響と企画にこだわった映画館であることだろう。
2015年からウーハーを用いた爆音上映を行なっている。
その爆音の凄まじさは劇場版ガルパンの上映において戦車の砲撃の度に空気が震えていた。いや真面目に。
実際、ガルパンを上映していた際に
- 3軒先の銀行に重低音が届いていた。
- 劇場の上に入っているダイエー3階の床が震えた。
- カール自走臼砲の砲撃シーンでは上下左右隣接するすべての建物の壁と床が揺れた。
- これら音響による揺れを周辺住民は当初、道路工事だと誤認しており、苦情は0。
など音響の凄さを物語るエピソードがいくつも残っている。
音響のレベルの高さは「東のシネマシティ、西のサンサン劇場」と評されるほど。
企画上映はマサラ上映やメインとなる作品に合わせて複数の関連作品を同時上映したりと様々な映画の楽しみ方を提供している。
また、映画以外にも
- 劇場全てを使った脱出ゲーム。
- 音響調整に再び岩浪氏を招聘してガールズ&パンツァーのTVシリーズ全12話を一挙上映。
- コロナ禍によって多くの花火大会が中止になる中、映画館のスクリーンと音響機材を使って花火大会の記録映像を上映するというバーチャル花火大会。好評だったため、翌2021年にも開催された。
- シン・エヴァンゲリオン劇場版:||の上映に先駆けて庵野秀明監督作品の上映企画が行われ、その一環としてふしぎの海のナディアの5話×2セット、合計10話のセレクション上映。ナディアが映画館で上映されるのは恐らく史上初。
など、映画への作品愛と「軽いノリで悪ノリ」をモットーに創意工夫に溢れた企画を行なっている。
後、トイレがめっちゃ綺麗。いやマジで。これは実際に自分の目で確かめて欲しい。
上映ラインナップ
一言で言うならカオス。
- 話題の新作映画(ただし二番館という性質上、他の映画館から少し遅れて上映することが多い。)
- 名作のリバイバル上映
- ミニシアター作品
- マイナーな海外作品
- 各種特別上映
など、様々なジャンル、時代の作品がごった煮にされて上映されている。
「鬼滅の刃無限列車編」、「劇場版PUIPUIモルカー」、「電人ザボーガー」、「サイコ・ゴアマン」、「サスペリアPART2/紅い深淵」、「ゼイラム」、「閃光のハサウェイ」、「逆襲のシャア」を同じ日に上映する映画館なんて日本広しといえどここくらいだろう。
こんなこともあり常連客であっても次に何を上映するかは全く予想がつかない。
それら各作品を一部の例外を除き、上映期間を1、2週間で区切り、入れ替えて上映するスタイルをとっており、週ごとに上映作品とスケジュールが目まぐるしく変化する。
そのため、Twitterや公式サイトで上映作品と上映期間をチェックし、観たい作品があればチャンスを逃さない様にしたい。