CV:氷上恭子
概要
アニメ新世紀エヴァンゲリオンを題材にしたゲーム新世紀エヴァンゲリオン 2nd Impressionのオリジナル登場人物にしてメインヒロイン。
本編で語られなかった日常と出来事を補完するキャラクターでもある。
ごく普通?の女の子だが、使徒との戦いが繰り広げられる第三新東京市という世界で数奇な運命に巻き込まれる……かもしれない。
特徴
公式設定で生年月日や血液型は明かされていないが、他の登場人物と同様に担当声優と同じなら2002年1月11日生まれで血液型はA型と思われる。
背中の半ばで切りそろえた黒髪ストレートのロングヘアーと、フレームレスの眼鏡(遠視)と垂れ目、左顎の艶黒子が特徴で、外見イメージは洞木ヒカリの担当声優である岩男潤子の当時の外見がモデル。
目が他キャラと比較してやや小さい(眼鏡をかけてる時は遠視レンズの影響で同じくらいのサイズ)ため、眼鏡を外すと大人っぽい表情になる。
やや猫背気味で背の高さはシンジとほぼ同じ(少し低い)。一見、細身で小柄・華奢な印象を受けるがどちらかと言えばグラマーな方らしい。
攻略本やオリジナルカードダス、「新世紀エヴァンゲリオン2nd Impression」サポートファイル(SATURN FAN付録)に掲載されていた情報や絵コンテに書かれた設定補や製作者インタビューによれば『肉感的でスタイルが良い』『二の腕が太い』『眼鏡をはずすと相当な美少女』『意図せず周囲を惑わす小悪魔系美人』としてデザインされたとのこと。
もっとも、サポートファイルはゲーム本編にないオリジナルのカットなどがあり(これはこれで貴重な資料ではあるが)、マユミの眼鏡が近視用と書いてあるなど、没案や初期設定も入り交じっている可能性があるため全てを鵜呑みにはできない点に注意。
生い立ち・性格
TVアニメ本編の15話と16話の間の時期に、国連技術者である養父の転勤に伴って、期間限定(1週間から1か月以内?)で碇シンジの通う第壱中学校2年A組に転入してきた転校生である。
脚本がエヴァ16話の脚本を担当した山口宏氏であり、使徒との戦いが激化する直前にわざわざ2年A組に転校してきたことと、その特異な生い立ちから(おそらく)彼女もまたエヴァのパイロット候補だったと思われる。
外見・内面だけでなく生い立ちもシンジに似ているところがあり、幼少時(6歳)、彼女の目の前で実母は実父に殺害されている。その後、母の葬式の時にも泣くでもなく本を読み続け、参列者から親が親ならと呆れられるというエピソードがある。
義父との関係は不明。
「謝り癖がある」「本が好き」「いつも俯き気味」という特徴があるため、内気で大人しい人物と一見思えるが……。
暇があればいつも本を読むほど本が好きだが、実際は、知識を求めるためというよりシンジのS-DATと同じく、煩わしい世界から己を切り離して自分の世界に閉じこもるための道具であり、ビブリオマニアのように本に固執しているわけではない。
嫌なことをはっきり嫌だと言って断れる芯の強さがあり、本当はかなり気が強い。後述になるが、必要に迫られれば他人に自分を殺せと訴え、それが拒絶されれば躊躇なく投身自殺ができるくらいの覚悟をもっている。
他人を見る目はかなり辛辣で、一方的に関わりを持とうとする無神経な人、下品な人、見た目がこうだから中身もこうだと勝手に決めつける人が嫌い。それに相当するケンスケとトウジは苦手・嫌いな人物となる。実際にゲーム中で無神経な選択肢や強引なお願いをすると、嫌悪の表情を浮かべてかなり強い言葉で拒絶されて、そこでルートが分岐してしまう。
もっとも「面倒だから喋るのは嫌い」というくらいに内向的な性格であることは間違いない。
とは言え社交的に振舞えないわけではないため、穏やかな物腰でごく普通に他人と会話できる。しかし、モノローグ中ではトウジとケンスケをはっきり下品・嫌いと言うなど内面はかなり毒舌。かなりの人間嫌いで男嫌い、なにより自分が嫌いと言えるかもしれない。
作中で助けられたからでもあるが、彼女の想像する男性像とはまるで違うシンジを意識するようになり、交流が深まると共に次第に彼に惹かれていく。ゲーム中では明確にはされないが、シンジと少し会話しただけで顔を真っ赤にし、それが収まるまで物陰で深呼吸をする姿が描かれている。
シンジを前にすると普通の女の子のような反応を見せる自身の変化に戸惑いつつ、モノローグの中で「何度も裏切られたから期待しない」と自制しようとする。しかし、最後に「でも、私、泣いてるの?」と呟くなど、シンジへの恋心を断ち切ろうとしつつも、それができないでいる様子が窺える。
その他
・庵野氏がデザイン、設定など制作に関わっていない最初のキャラクター(キャラクターデザインは高木弘樹氏)であり、共通項も多く、真希波・マリ・イラストリアスのプロトタイプのようなキャラクターと言える。
厳密には霧島マナの方が先にデザインされていたが、鋼鉄のガールフレンドはゲームのクオリティアップのための発売延期を繰り返したため、結果としてマユミが最初のキャラクターとなった。
・いつも本を持っているという設定の為か、立ちポーズでは自分を抱きしめるように胸の前で腕組みしていることが多い。
・名前の由来は村上龍の小説『愛と幻想のファシズム』の登場人物である『山岸良治』から。
ゲーム「2nd Impression」では…
選択により物語が変化するこのゲームでは、アスカルート、レイルート、その他ルートに進んだ場合はほとんど彼女は登場せず、エンディングで転校したことがそっけなく語られるだけで終わる。
当然ながらマユミルートの場合はメインヒロインとして出番が多く、図書室での出会いに始まり、使徒からの救出、何気ない日常の会話、地球防衛バンドのボーカル選出など彼女とのイベントが多く描かれる。本編中には語られないエンディングの一枚絵での描写のみになるが、クラスメイトのみんなと前夜祭のパーティーをしたり、アスカが二人の関係に嫉妬するほど二人の関係は深まっていく。
最終的には彼女を反面教師としてシンジが自分を見つめ直し、『人を守りたい』、『誰かのための役に立ちたい』、『何があっても死んじゃダメだ』と本編ではなかなか見られなかった前向きで強い決意を持たせる存在となる。
この先ゲームのネタバレ注意
だが、それ故に使徒から重要な人物として認識されたのか、胎内に使徒のコアを隠されてしまう。
文化発表会当日に再出現した使徒(幼体)はサナギを経て羽化。弱点(コア)を持たない虚像のような身体を持つ成体となり、エヴァ三体の攻撃をものともせず一方的に蹂躙する。
兼ねてから自らの身に起きていた異変……胎内に別の何かが潜んでいる感覚に苦しみ、戦いの最中にその正体に気づいたマユミはシンジに『私の中に使徒がいる、だから私を殺して』と訴える。躊躇するシンジに『他人に迷惑をかけるのも、かけられるのも嫌。そんな自分が嫌だから。このままじゃもっともっと自分が嫌いになる』と泣き縋る彼女だが、そんな彼女にシンジは『死んじゃったら、好きも嫌いもないじゃないか。(中略)僕にはエヴァに乗るしかないんだから、やるよ』と返し、再び使徒との戦いに赴く。
だが使徒には歯が立たず零号機と弐号機は大破、そのまま初号機も倒されそうになったその時、マユミは『嫌なの。自分の心を覗くのも覗かれるのも。(中略)自分も嫌なの』と呟き、投身自殺を図る。
間一髪でシンジは彼女を救出、このままマユミにコアを残したままにして再び自殺されては危険と判断したのか使徒はコアを本体に戻し、弱点(コア)を持ち、普通に攻撃を受ける実体になってしまう。
飛び降りたショックで意識をなくしたマユミに『どうして死のうとするんだよ。生きていれば、明日はいつも、明日なんだからさ。だから、逃げちゃダメなんだ』と泣くようにシンジは呟き、マユミを安全な場所に避難させて使徒との戦いを再開。既に不死身という特性をなくした使徒は敵ではなく、そのまま殲滅される。
使徒が殲滅された翌日。
また転校するマユミを、新箱根湯本駅までシンジとヒカリが見送りに来ていた。
この時、マユミとの好感度が最大かそれ未満かでエンディングは分岐する。
好感度が最大値未満だと、「似た者同士は良い友人になれても良い恋人にはなれない。シンジ君と似てない方が良かった」と遠回しの告白をされるエンド。
好感度が最大だと、「似てるから思ったんです。私もシンジ君みたいに頑張れるかもしれないって」と前向きに語り、別れ際に眼鏡を外して素顔を見せてくれるエンドとなる。
TrueEndは後者の方で、テーマ曲「君が君に生まれた理由」が流れる特殊エンディングとなる。
いずれにしろ、朴念仁のシンジはマユミの本心に気づくことなく、「また会えるといいですね」という彼女の言葉に「また、きっと会えるよ」と応えて閉幕となるのだった。
二次創作の山岸マユミについて
ゲーム未プレイ勢の作品によく見受けられるが、気味が悪いくらいに丁寧な言葉遣いだったり、もはや別人レベルのお嬢様言葉(「私(わたくし)」、「~ですわ」等)で話すなどする作品が少なくない。中には完全に割り切って、生い立ちも性格も完全に別物で、名前と大まかな外見しか一致しない作品もあったりする。
シンジ(や他の登場人物)が彼女と積極的に交流を持とうとする作品でない場合、そのままの性格だと物語に関わらせるのが困難なためか、多少活発な性格になるか、極端に気弱でなにかとシンジ達を頼る子犬のような性格になる傾向が強い。また本編とはまるで異なるエキセントリックな性格(妄想癖、ヤンデレ等)にされる例もある。
セガサターンのみがプラットホームであるため知名度的にマイナーな彼女は、外見と内面の説明が必要なうえ物語に絡ませるのに不向きな性格の為か、短編の登場は少なく、中・長編の作品に出演するのが中心のキャラクターである。登場する場合は、本編通りの性格だと、シンジ達と交流を持つ過程が丁寧に作られることになるため、エタるものも多いが重要な役回りを持つことが多い。
中の人ネタというわけではないだろうが、アスカやカヲルと仲が良かったり、同じゲームキャラということで霧島マナとは、両者が一緒に登場する学園エヴァ作品だとたいてい親友になっている。
余談として、LASやLRSで完結する作品の場合、相田ケンスケの最終回発情期の相手にされることがある。マユミの諸々の設定や、本編設定のケンスケの女性の好みからすると一番あり得ない組み合わせなのだが。
補足
・設定に記述したマユミのモノローグだが、本編16話の使徒と同様に彼女に寄生した使徒が接触してきたと思われる。
・リツコが明確にシンジのクラスの転校生として認識している描写がある。
・版権がガイナックスでもカラーでもなく、セガにあるためその後の派生作品に登場する機会は望めないらしい。ただし、ガイナックス制作のアニメこれが私のご主人様にアスカ達と一緒にぬいぐるみが登場している。
・エンディングの一枚絵からは、容量などの都合で本編に入れられずにゲーム中で語り切れなかった子供たちや大人達(リツコとミサト、オペレーター3人組)の交流やイベントがあったことが語られる。
・作中に登場するオリジナル使徒のデザインは前田真宏氏が担当している。
・ヱヴァンゲリヲン新劇場版との関連を匂わせるセリフや使徒のデザイン画が存在する。
※:新劇場版「第7の使徒」を思わせるコンパスの様な形状の使徒のラフスケッチ、アスカの訓練時代を彷彿させるポリゴンビューワー、マユミのモノローグとシンジ・ゲンドウのモノローグの内容の共通点、「さよならは別れの言葉じゃなくて再び会うまでの遠い約束」というコメントなど。
・製作スタッフが同一ということもあり、ドリームキャスト専用ゲームである「アキハバラ電脳組 パタpies」にゲストキャラとして登場している。