曖昧さ回避
妖怪の山魈
中国神話に登場する一本足で黒い体毛に覆われた山に棲む妖怪、あるいは樹の精霊の一種。
地域によっては山の神とされる事もある。
足ばかりではなく、手も一本しかない鬼の様な姿をした人面の怪物ともいわれ、猿のような体の背は高く、民家の戸口を五本の指を使って穴を開けてしまう程の怪力の持ち主であるとされることもある。
総じて豹よりも素早く、虎を引き裂くほどの怪力を持つ山界の覇王なのである。
また夜中に人里へ下りてきてしばしば人を襲う事もあるとされ、熟した瓜のような色の顔を持ち、目はらんらんと光り、大きく鋭い盆のような口を持つと記述されている文献もあり、人の名を知るとその人物を付け狙って殺すという。
さらに山精や山鬼と同一視されるからか、蟹を好物としているという特徴も知られる。
なおその寿命は非常に長く、木に化けるともされる。
古代中国の地理書『山海経』の「海内経」に記述される、長い唇で顔を覆いながら笑う毛むくじゃらの人食い巨人「赣巨人(カンキョジン)」が原型であると言われ、「狒々(ヒヒ)」とも混同される。
また『国語』の「魯語」に掲載される、越人が一本足の神「夔(キ)」のことを指す名だとされる「山𤢖(サンソウ)」とも同一視され、その他の伝承では一本足のひでり神「魃(バツ)」とも関連するといわれる。
広東省・広西省の辺りでは山中のどこにでもいる魍魎の一種であり、踵が後ろ向きになった一本脚の怪物であるとされ、妖怪としては珍しく男女の別がある。
その場合、男性は“山公”と呼ばれ、人に出会うと必ずお金をせびって来るといわれており、女性は“山姑”と呼ばれ、こちらは必ず白粉をねだって来るといわれる。
大木の枝の上に巣をつくり、木で囲いを作って食糧を貯えるなど、かなり人間に近い生活を送っており、彼らの要求に応えてやると旅の安全を約束してくれるとされている。
創作での扱い
中国妖怪軍団のボスチーの手下で、中国武将のような鎧を着た三本角の小鬼である。
身体は小さいが怪力で、身軽に宙を舞いながら手にした三椏の矛で攻撃する。また皮膚も非常に硬く猫娘の爪でも歯が立たなかった。
なお元々は名無しのモブ妖怪だったが、3期鬼太郎の映画『最強妖怪軍団!日本上陸!!』で他の仲間と共に名前が付けられた。ちなみに、3期以外の作品では単にツノの多い鬼として描かれている。
- 女神転生シリーズ
初出は『ソウルハッカーズ』で、種族は樹木の精という伝承を元にした”妖樹”。
詳細は →妖樹サンショウ