…じゃなくて奇跡の妖精。
『ラァァ~ンスゥゥゥ~』
概要
トランプ国王の心を元に戻すべく、キュアハートはキングジコチューの体内への突入を決意する。
キングジコチューの体内には口から入るしか手段がない。そのサポートとして陽動役を引き受けたキュアロゼッタがロゼッタバルーンを発動させると、キングジコチューにも引けを取らない大きさの巨人が出現した!
・・・しかしそれは超巨大なランスであった。
「ラ~ンス~」と雄叫び(?)を上げ、ズシンズシンと地響きを立てながらキングジコチューに挑む姿は、大貝町の市街地と我々の腹筋を破壊した。
(本作ではジコチューが破壊したものは浄化されると復元する設定になっているが、明らかにランスが壊してるものは大丈夫なんだろうか…→しっかり直ってました…49話終盤で)
ランス本人が巨大化した…と、当初は思われたが正体は巨大な分身。ロゼッタがラブリーパッドを使って操っている(『オフィシャルコンプリートブック』には「ランス型巨大人形」という表記もある)。当のランスはラブリーコミューンの姿でロゼッタの腰にぶらさがっており、本人も「ビ、ビックリでランスぅ…」とドン引きしていた。
しかし元が元だけに、グルグルパンチを繰り出そうとしても、頭を押さえられただけでキングジコチューに届かず、ビームもパフッと不発。おまけに本人同様、耳も弱かった。
シャルル+ラケル+ダビィ「「「耳は! 耳はダメ~!!」」」
もっとも、耳をかじられている間に、ロゼッタはハートたちに突入を指示していため、この一連の流れはプリキュア側の意図通りと言える。
実際、キュアハートたちが体内に入ってからの巨大ランスは本気を出して戦い出す。
キュアロゼッタのアクションを再現できるようで、巨大なヌイグルミという見た目からは考えられないような超絶機動をみせ、本格的な怪獣大決戦の様相となる。
仁王立ちでキングジコチューのビームを受け止めつづけ、超巨大サイズのロゼッタリフレクションでビームを跳ね返し、更にリフレクションを囮にしてのアクロバティックなジャンピング頭突きでキングジコチューを転倒させた。
その転倒の地響きで、キングジコチュー体内の免疫システムであるジコチュー細胞たちが気を取られた隙に、それらと激闘をくり広げていたハートに国王の魂を救うチャンスを与えることになった。
見てくれはアレであるが、実質ロゼッタ単身でキングジコチューと戦い、周囲への被害を防いでいたわけであり、やっている事自体は、それぞれ単身でキングジコチュー体内のジコチューやジコチュー細胞の群れを引き受けていたキュアハート、キュアダイヤモンド、キュアソードに比肩する。
最終決戦においては十二分な役割を果たしたと言えよう。
プリキュアシリーズ各作品の最終決戦は基本的に第三者をフェードアウトした形で行われ(それまで主人公の住む街が主戦場となっていたのが、終盤に入って敵組織が唐突に地球規模の大侵攻を行うパターンか、プリキュア側が敵地に乗り込んで戦うパターンが主流)、内容もギャグを挟む余地がないものが通例であったが、本作においては、敵のラスボスが地球侵攻の最初の橋頭堡を主人公の本拠地に定め、攻防戦の様子が全世界に中継されているリアルな展開の中で、作戦とは言えギャグにしか見えない行為に及んだという意味では、プリキュアシリーズでなくても非常に希な最終決戦である。
ネタとして
最終決戦というシリアスなシチュエーションの中でインパクトが強すぎたせいか、以下のようなネタ絵が飛び出している。
ダビィもまた、犠牲になった・・・
お前もか!!
余談
プリキュアが巨大な何かを召喚して攻撃させる技はこれが初めてではない。例えば『ハートキャッチプリキュア』にはプリキュア・ハートキャッチ・オーケストラや無限シルエットがある。しかし『ハトプリ』の2つは神々しさがあるのに対して、こちらは完全なネタにしか見えないのが現状(もっとも『ハトプリ』の方も鉄拳制裁にこだわっているのでどっこいどっこいだが)。
しかも『ハトプリ』の方は4人揃わないと出来ない技(無限シルエットに至っては融合技)なのに対し、巨大ランスはキュアロゼッタ単独で召喚できている。
もっとも、こちらはロゼッタバルーンというランダムな技の効果であるため、自由に召喚できない…はず。
そして、第48話と同じ2014年1月19日に放送された『題名のない音楽会』のテーマがゴジラを始めとする数々の東宝特撮映画の楽曲を手がけた「伊福部昭生誕100周年記念」だったことから、狙ってやったんじゃないか!?と言う推測もちらほらと。
なお、この日『ドキプリ』の前に放送されたニチアサ各番組では衝撃的な展開が立て続けに起きており、巨大ランスは「1月19日ショック」のトリを飾るとともに、各番組がもたらした鬱屈した空気を一掃することになった。
…もっとも、ランスの由来が由来なので、仮に召喚方法を間違っていたならばそれこそ狂気のおもむくままに暴れ回ってシャレにならない大惨事を招いていたのかも知れない。