怒りの鬼神ガイ
いかりのきじんがい
「アシュ」と呼ばれる高等生物の一体。
唐獅子を彷彿とさせる容貌、それに緑を基調とした体色が外見上の特徴である。「闘魂」(たたかいだましい)という魂をその身に宿しており、それにより並々ならぬ残虐性と闘争本能、そして武器を創造する能力とを持ち合わせている。
戦闘においてもこの闘魂の特性、そして明晰な頭脳と屈強な肉体を活かし、肉弾戦やバズーカ砲を駆使した砲撃を得意としており、初見で闇のヤイバをも圧倒するなど、まさしく戦いの天才と呼ぶに相応しい実力を発揮する。
アシュの大半が「百鬼界」へと追放される中で、ヒョウガらと共にそれを免れた数少ない一体でもあり、再び地上にアシュの時代をもたらすべく現代に至るまで活動を続け、その過程で彼等を監視する使命を帯びた高丘家の一人・漢人を死に追いやっている。
こうした経緯から、彼を父に持つ高丘映士からは仇敵と認識される一方、ガイ自身は映士のことを「高丘のぉ」と呼んで終始侮ると共に、激しい敵意を示している。映士に限らず、基本的に下等生物と看做している人間への姿勢は一貫して侮蔑的なものであり、作中においても相手を見下すような軽薄な物言いや素振りに走ることがしばしばである。
ヒョウガと共に、百鬼界に追放されていた同胞達を現世に呼び戻すべく、「百鬼鏡」なるプレシャスを探し求めていたガイは、ダークシャドウとボウケンジャーが百鬼鏡を巡って争奪戦を繰り広げているのを知るや、両者の前に姿を現し高い実力をもって圧倒するも、そこへ映士が乱入してくるのを察し、鏡の奪回を後回しにする形でその場を後にしてしまう。
結局、百鬼鏡はボウケンジャーの手に渡ったかに思われたものの、彼等と邂逅した映士が密かにこれをくすねており、これを餌に誘き寄せられたガイとヒョウガは映士の仕掛けた罠によって拘束の憂き目に遭ってしまう。が、それを知ったボウケンジャーが映士と揉めている間に、改めて鏡を回収しようとしたイエローが罠を解いてしまったため、自由の身となったガイとヒョウガは彼女を気絶させ、その際手首のブレスレットを一瞥して何かを察したのか、鏡と菜月を手にしたまま姿をくらました。
「これは!? 選ばれた者の証。ぬははははは、ついでに最高の生け贄が見つかったぜぇ!」
ガイ達は「選ばれた者」である菜月を利用し、百鬼鏡を通して同胞達を地上へと戻そうと画策しており、彼等の手で菜月の血が注がれた鏡は思惑通り地上と百鬼界を繋ぎ、そこから同胞の一人であるレイを呼び戻すことに成功する。
ここまでは首尾よく行ったガイ達の目論見だが、レイに続けてさらなる同胞達を呼び戻そうとしたところで、またしても乱入に及んだボウケンジャー、そして映士によって菜月を救い出された上、鏡も変身したイエローに奪われた末に映士の手で割られてしまったため、これ以上の同胞達の呼び戻しを阻まれる結果に終わってしまう。
この顛末に、動揺と怒りを隠せないガイ達であったがそれだけに終わらず、隙を突いてのデュアルクラッシャーによる攻撃でヒョウガまでも喪う格好となり、残された2人はその場からの撤退を余儀なくされた。
その後、ヒョウガを死に追いやったボウケンジャーへの復讐を遂げ、無念を晴らさんとすべく、ガイ達はとある神社からプレシャス「兵の弓」を掘り出すと、これを用いての連続ビル爆破でボウケンジャーをおびき出し、レイの術でレッドこと明石にかつてのトレジャーハンター仲間達の姿を見せることで、彼の中に眠る過去のトラウマを抉り苦しめてみせた。
しかしその卑劣な策も、あろうことか明石が自力で術の影響下から脱したことで失敗に終わり、ガイ達もまたそれに動揺して姿を現すことを見越した、映士の術中にはまっていたことを思い知らされることとなる。結果、再びボウケンジャーそして映士と干戈を交えるガイ達であったが、ここでも圧倒的な実力の差を見せ付けながらも、彼等の「冒険の力」にまたしても動揺させられ、デュアルクラッシャーのコンビネーションクラッシュを経て映士の錫杖による攻撃で、致命傷を受けるに至った。
最後の手段とばかりにレイと共に肉体を捨てて巨大化するも、アルティメットダイボウケンの機動力に翻弄された末、アルティメットブラスターによってまとめて吹き飛ばされ、その魂もまた映士の手で魂滅させられたのであった。
かくして、地上から消え去ったかに見えたアシュの脅威であったが、事はまだ終わっておらず、アシュの類まれなる生命力に目を付けたガジャの働きにより、ガイは新たなる姿を得て復活するのである・・・。
デザインは篠原保が担当。デザインモチーフには龍星王(『五星戦隊ダイレンジャー』)が採用されている。