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概要編集

 重野なおきによる4コマ漫画。奥州の独眼竜と称される伊達政宗と、竜の右目の名で親しまれる側近・片倉景綱の破天荒な生きざまを描いたギャグあり涙ありの歴史漫画である。

 本作は『信長の忍び』と同一世界線を舞台としており、『信忍』のセルフパロディギャグマンガ『戦国雀王のぶながさん』に先行登場した政宗と景綱をほぼそのまま流用している。『信忍』は1560~70年代が舞台なのでまだ政宗は出ていないが、徳川家康が「将来畏れることになる人物」として背景に1コマだけ登場していたことがある。


 なお、本作は判型こそ『信忍』やそのスピンオフである『軍師黒田官兵衛伝』『真田魂』と同じだが、ヤングアニマル白泉社)系列で連載中のそれらとは異なりリイド社の『コミック乱ツインズ』(連載開始の2012年~2016年8月までは今は亡き『コミック乱ツインズ 戦国武将伝』)に掲載されているため、書店で探す時には注意が必要。


あらすじ編集

 時は戦国。100年に渡る戦乱により世は乱れ、室町幕府は既に何の機能も果たしてはいなかった。ここ奥州(東北)もその宿命からは逃れられず、盗賊が跋扈し民草はいつ終わるとも知れぬ戦いに巻き込まれて行った。

 そんな最中、奥州探題として名高い伊達家に、一人の少年が生まれた。梵天丸と名付けられたその少年は、病で失った右目と引き換えに、掛け替えのない仲間を得る。その男の名は、片倉小十郎。やがて伊達政宗、片倉景綱と名乗ることとなるその男たちは、奥州の地に大いなる革新を齎していくのだった…主に料理研究とSMプレイで…。


主要人物編集

伊達家編集

伊達政宗編集

本作の主人公。もともとは気弱で引っ込み思案な少年だったが、病で腫れた右目を景綱が切り落としたのを契機に豪胆かつ破天荒な男へと変わっていく。愛姫が料理に失敗したのをきっかけに極度のグルメとなり、お菓子御馳走を作るのが大好きな料理オタクと化す。

片倉景綱編集

政宗の参謀で、輝宗から託された若殿を星一徹ばりに鍛え上げる鬼教官。知勇に優れているが、抜け目が無く、事あるごとに政宗をいじり倒すドS野郎。しかし心の奥底では政宗に忠誠を誓っており、政宗もそのことを信じている。

喜多編集

景綱の腹違いの姉で政宗の養母であり初Hの相手でもある女性。母親からあまり愛されなかった政宗を「斬り落とした目玉を食べられる」と称する程溺愛している。アイデアマンで頭の回転が速いが婚期には恵まれない。実はアラフォー

愛姫編集

政宗の正室。坂上田村麻呂直系の子孫であることを鼻にかけまくっていたお転婆姫だが、景綱の奇策がきっかけで政宗と仲を取り持たれた。気風が良く、芯が強いが、まだ若いため感情に流されやすすぎるところもある。

やっち編集

伊達家臣・矢内重定の娘(矢内御前)。家人とはぐれて追い剥ぎに追われていたところを景綱に救われたことで彼に一目惚れし、丸森城・金山城の戦いの後に景綱と結婚する。

卓越した物真似とボディランゲージの技術を持ち、懐妊時、政宗に子が生まれないことを憚った景綱から「生まれた子が男子の場合は殺害する」と告げられ、伝言及び書信による他言を禁止されたためにこの両者を駆使して喜多に伝え、この結果政宗が景綱の説得に動いて事なきを得た。そして程なく嫡男・重綱を産む。

マゾヒズムの傾向があり、その意味でも景綱と相性はいいのだが政宗からは「嫌な似合い方だ」と呆れられている。

伊達輝宗編集

政宗の。おっとりした性格で鬼嫁・義姫にデレデレ。

義姫編集

政宗の。かなりキツい性格で巨乳。政宗を冷遇している。

伊達成実編集

政宗の従弟で槍の達人。「決して下がらない」性質を持つ毛虫百足が大好きな虫オタク。かなり単純な性格で、景綱からはいいように扱われている。

遠藤基信編集

伊達家臣。智謀に長けており、輝宗の知恵袋として活躍する。また、人事にも長けており景綱の才覚を見出して政宗の傅役に抜擢している。

自身が輝宗によって重臣に抜擢された恩義から輝宗個人に忠誠を誓っていたところがあり、粟之巣の変の後、景綱と左月斎に後事を託し輝宗の墓前で殉死する。

鬼庭左月斎編集

伊達家臣。武の面で伊達家を支えてきた猛将ではあるが、政宗初陣の頃には老齢であり戦場でも重い鎧を身につけなくなっている。

喜多の実父ではあるのだが、かつて男児が生まれなかったことを理由に喜多の母と離縁しているため、彼女に自身の存在を否定されるほど親子仲は険悪。彼自身は喜多との和解を模索していたもののなかなかタイミングをつかめないでいたが、基信に遺言で念押しされたこともあり、人取橋の戦いに出陣する直前になって喜多に謝罪しようやく和解する。人取橋の戦いで伊達軍が窮地に陥ると前線に出て佐竹軍を一身に引き受けつつ奮戦し、討死する。

口車に乗せられやすい人物で、政宗の右目を摘出した件で景綱の切腹を主張した際、彼から切腹の手本を見せてほしいと言われ、その勢いで本当に切腹しかけたことがある。

鬼庭綱元編集

左月斎の子で喜多の異母弟。長寿の家系である鬼庭家に生まれたことから、長生きであることを自慢にしている。政宗や愛姫に対するツッコミ役としても活躍する。

世瀬蔵人編集

伊達家に使える忍び集団・黒脛巾組の頭領。

伊達小次郎編集

政宗の同母弟で、幼名は「竺丸」。大柄な体格で武芸にも長けるが、穏和な性格で争い事は苦手とする。母が自身を伊達家当主にしようと画策するのとは裏腹に兄を敬愛している。

芦名家当主・亀若丸の死去により後継者として迎える案が出るとそれを承諾したものの、話は流れ佐竹義広が迎えられている。

大内定綱編集

陸奥国小浜城を本拠とする小領主・大内家の当主。伊達家、芦名家両家の代替わりに際して伊達家に付くことを考えると、政宗の元を訪れ傘下に加わることを表明するが、小浜城に戻ると芦名家重臣の脅しや自身の家臣からの反発を受けて再度芦名に就く。裏切り行為に怒った政宗によって支城の小手森城を撫で斬りにされると家臣たちも恐怖で離れてしまい、単身二本松城へ逃げる。しかし逃げた先で畠山家が伊達家へ降伏する条件として自身の首級が要るという意見があることを聞くと出奔し、野に下る。

その後、大崎合戦にて芦名家の先陣として伊達領に攻め込むが、成実より再び伊達家へ引き込む案が出ると芦名家中では冷遇されていたこともあり再び政宗に降る。

猪苗代盛国編集

元・芦名家重臣。彦姫を慕っており、亀若丸死後の後継者問題では彦姫と縁の深い伊達小次郎を推すも、自身の後継者問題をまとめられないことを金上盛備に指摘された上で却下される。彦姫が死去すると、芦名家に未練は無いとして自身の治める猪苗代城ごと伊達家に寝返る。


最上家編集

最上義光編集

義姫の兄で政宗の叔父。敵国・最上の領主で、をこよなく愛する食べ専グルメ武将。策略家でありながら筋骨隆々の肉体を持ち、190㎏のを持ち上げる程の怪力を持つ。腹黒い男だが、妹のことは結構大事に思っている。内政にも長けており、政宗にとって最大のライバルとも言える。

氏家守棟編集

最上家臣。義光の側近として仕えているが、義光の鮭好きやシスコン具合にはやや呆れ気味の表情を見せている。


芦名家編集

彦姫編集

輝宗の妹にして芦名家当主・亀若丸の母。生まれて間もない亀若丸に代わって当主代理を務める。伊達家から嫁いだ身ではあるものの、政宗が芦名を攻める準備を始めると亀若丸を守ることを使命として徹底抗戦の姿勢を見せている。

亀若丸の死やそれに伴う後継者問題による心労から病に倒れ、天正16年に死去している。

金上盛備編集

芦名家重臣筆頭。当主が交代して幼少であることから、最高権力者として芦名家を支える。檜原の戦いでは自ら指揮せず戦略を指示するだけで伊達軍を追い払う実力を見せるが、子供をあやすことだけは苦手としている。

芦名義広編集

佐竹義重の次男。亀若丸の死に伴い芦名家の後継者として迎えられると、彦姫の娘・小杉山御台を娶り当主に就く。かなりの緊張体質。

父からは芦名家を操るために送り込まれているが、自身は優秀な兄・義宣に対するコンプレックスから「芦名家を強くして父や兄を見返す」という野心を抱いている。


佐竹家編集

佐竹義重編集

常陸国を治める戦国大名・佐竹家当主にして「鬼義重」の異名を持つ猛将。伊達成実と同じく、毛虫の前立てを付けた兜を愛用する。

他家に対して一歩前の考えを持って動いており、人取橋の戦いでは佐竹家の強さを知らしめるために参戦し、芦名家の後継者問題では芦名を取り込むべく義広を送り込んでいる。

小野崎義昌編集

義重の叔父にして軍師。黒脛巾組・大林坊俊海が佐竹に忍び込み流言を流していることを見破ったものの、始末する前に恨みを買っていた家僕に刺殺されてしまう。


豊臣家編集

豊臣秀吉編集

本能寺の変より7年間で、畿内、北陸、西国までを纏め上げた天下人。

本作では、本能寺の変における秀吉黒幕説は否定されている。


その他編集

田村清顕編集

陸奥国三春城を本拠とする戦国大名・田村家当主にして愛姫の父。

軍事においては名将と呼ぶに相応しい実力を誇るが政治には弱く、奥州最大の勢力・芦名家ら五家と敵対し窮地に陥る。その打開策として政宗と愛姫の婚姻と伊達家の同盟を打診するが、当時11歳の娘を嫁がせることに自ら異論を出している。天正14年に病死。

畠山義継編集

陸奥国二本松城を本拠とする小大名・畠山家当主。大内定綱とは親類にして盟友であり、小手森城の戦いでは大内に援軍を出していた。定綱が二本松城に逃げ込むと、自領を小手森城の二の舞いにしたくないという思いから政宗に降伏の使者を出すも許されなかったため、輝宗の仲介を受けて許されることになるが、条件として大名として存続が危うくなるほどに領地を削られたことに不満を抱く。

不満を持ちつつも輝宗の元へ謝辞を述べに訪れると、輝宗の説得によって「政宗に賭けることは出来ないが輝宗に賭けることはできる」と忠誠を誓った矢先、自身を暗殺するという噂を聞いたことから輝宗を拉致し、粟之巣の変を引き起こしてしまう。最後は同行した家臣を皆殺しにされ、自身も瀕死のなか這って逃げるが政宗に止めを刺された。

大崎義隆編集

陸奥国大崎地方を治める戦国大名で伊達包囲網の一角。政宗がいない伊達軍に滅ぼされるなんでみじめと嘆くネガティブな性格。


関連項目編集

重野なおき 四コマ


信長の忍び


戦国時代


創作戦国 安土桃山時代 東北勢

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