予告
仮面ライダー龍騎、最終回。
「この戦いに、正義はない」
「そうだ、戦え。」
「うおおおおおおお!」
「そこにあるのは純粋な願いだけである。」
前後のストーリー
概要
『仮面ライダー龍騎』第50話(最終話)のサブタイトル。2003年1月19日放送。
城戸真司が死亡し、王蛇とゾルダも死んだことで最後のライダーとなった秋山蓮/仮面ライダーナイトと今作のラスボスである仮面ライダーオーディンの決着。
そして新しく作られた「ライダーもモンスターもいない世界」を描く。
ストーリー
大量に出現したレイドラグーン相手に、城戸と蓮は龍騎とナイトに変身し立ち向かうが、逃げ遅れた親子をかばった龍騎は重傷を負い、城戸は蓮に後を託し死亡した。
北岡法律事務所では吾郎が北岡に令子とのデートに着ていく服を選ばせていた。しかし余命いくばくもない北岡は浅倉と決着をつけようとする。椅子から立ち上がっても体の力が抜ける。目も見えなくなっているのか晴天なのに天気が悪いという。
蓮のもとに神崎士郎が現れて、最後のライダーとしてオーディンと決着をつけさせるという。城戸の最期の言葉が脳裏に浮かんだ蓮は、城戸が最後に信じるものを見つけたように自分も信じるものがあると最後の戦いに向かう。
浅倉は廃倉庫の中に潜伏していた。機動隊が周囲を包囲する。近くのガラス片にゾルダが映っているのを見た浅倉は王蛇に変身し、ミラーワールドでゾルダと戦い始めた。
旧神崎家を訪れた蓮の前に神崎が現れる。オーディンは量産型かという蓮に対し実体のない自分の代わりと神崎は説明する。ナイトに変身した蓮はミラーワールドで不敵に佇むオーディンと対峙。
別の場所では王蛇とゾルダの戦いが続いていた。ベノサーベルがゾルダを切り付け、マグナギガの砲撃が王蛇に炸裂。
ダークレイダーのダークトルネードをオーディンは瞬間移動で難なくかわした。ゴルトセイバーがナイトサバイブに容赦なく炸裂する。
神崎家の一室では、神崎の頭上に黒い羽根が舞い降りていた。もうすぐ優衣に新しい命を与えられると。
花鶏では優衣の誕生パーティーの準備が進められていた。しかしどこにもいない優衣。沙奈子はかつて士郎がアメリカの親戚に連れられて行くときに大騒ぎになったことを思い出していた。
過去の士郎は「20回目の誕生日に優衣は消えちゃう」と言っていた。なぜかそのことを信じられたという沙奈子はバースデーケーキとプレゼントの箱を見つめる。
倉庫でのゾルダと王蛇の戦い。ファイナルベントとユナイトベントが交互に使われ、ゾルダにはマグナギガ、王蛇にはベノスネーカー、メタルゲラス、エビルダイバーが現れジェノサイダーへと合体した。
ゾルダはエンドオブワールドを発動しようとするが、ジェノサイダーの毒液を浴びてしまう。ゾルダの手からマグナバイザーが落ちる。勝利を確信した王蛇はファイナルベントを発動しドゥームズデイを発動。ゾルダはマグナバイザーを拾い上げるが王蛇のキックが炸裂しマグナギガがジェノサイダー胴体のブラックホールの中に吸収された。
ゾルダは倒れ、動かなくなる。王蛇はゆっくりとゾルダに近づく。
レストラン。北岡と待ち合わせをしていた令子は窓の外に振る白い雪を見ていた。
ゾルダに接近した王蛇。しかしそのゾルダは北岡ではなく吾郎だった。狂ったように雄叫びを上げる王蛇。吾郎は最後まで北岡をいたわりながら絶命した。
北岡法律事務所ではソファの上で北岡が永遠の眠りについていた。
レストランでは令子が北岡を待ち続けている。
浅倉は倉庫の外に現れた。機動隊の銃があちこちに向けられる。地面に落ちていた鉄パイプを拾い上げ、浅倉は狂ったように突撃していく。機動隊の銃が浅倉を蜂の巣にしていく。倒れる浅倉の手から鉄パイプが落っこち、空しい音を立てる。
ナイトとオーディンの戦いは依然としてオーディンが優勢。オーディンはファイナルベントを発動し、エターナルカオスが発動。
神崎家。士郎が、優衣の言葉を思い出す。
「私はいらない……!」
「お前は……きっと拒む……拒み続ける……また駄目なのか優衣っ……!!また……!!」
黒い羽が降りしきる。
士郎が絶叫する。それと同時に神崎家のガラスが一斉に砕け散った。
ダメージによってサバイブ化が解けたナイトがオーディンの異変に気付く。オーディンは苦しみ始め、体が消滅し始めた。
「最後の、ライダーは………お前だ……」
そしてオーディンは完全に消滅した。
ナイトは膝をつき大きく息を吐く。するとそこにまばゆい光を放つ光の玉が出現した。
新しい命。ナイトの脳裏に優衣と城戸の姿が浮かぶ。それに手を伸ばすナイト。
OREジャーナルの編集室では、大久保大介がパソコンに記事を書き続けていた。
『以上が、原因不明の失踪事件の真相であり、仮面ライダーと名乗る人間たちの、戦いの真実である』
街中。ビルのガラスが一斉に砕け散り、歩いている人々に振ってくる。
そして街そのものがガラスが割れるようにひび割れ、次々と砕け散っていく。
『この戦いに正義は……ない』
傷ついた体に鞭打ち、小川恵里の眠る病室を訪れた蓮。
蓮は胸に下げていた恵里の指輪の付いたペンダントを引きちぎった。
『そこにあるのは……純粋な願いだけである……』
眠り続けていた恵里が目を覚ます。
自分の指に、蓮が預かっていた指輪がはめられているのに気づく。
病室の片隅に、目を閉じた蓮がもたれかかっている。
恵里「蓮……そんなとこで寝てると……風邪ひいちゃうよ……?」
蓮はもう目覚めなかった。
『その是非を問える者は……』
神崎家では士郎が苦悩の表情を浮かべていた。鏡の欠片の中に優衣の姿を見る。
士郎「優衣……」
優衣「お兄ちゃん……また繰り返すの……?」
士郎「お前に……命を与えるために……」
優衣「もう……終わりにしよ……?」
士郎「お前を……失いたくない……」
優衣が悲しげに、首を横に振る。いつしか士郎はの姿は優衣と別れた頃の幼い姿に戻っている。
士郎「俺を1人にしないで……」
優衣「私はここにいる……お兄ちゃんのそばにいる……新しい命なんかなくても……絵を描いてた時みたいに……ただ願えば……」
鏡の中から優衣が消える。
士郎の隣に、同じく幼い姿となった優衣が現れる。
優衣「お兄ちゃん……」
士郎「優衣……」
鏡の中に、大人の士郎の姿。そして鏡の中に、神崎、城戸、浅倉、蓮、北岡、蓮、優衣の姿が次々に浮かぶ。
無邪気に絵を描いている幼き日の士郎と優衣。そこへ大人になった二人が現れ、一緒に絵を描き始める。
描いているのは、ミラーモンスターではなくみんなが楽しく暮らしている様子の絵。
楽しげに笑い合いつつ、4人が絵を描き続ける。
無人と化した部屋に、ただ1枚、士郎と優衣の2人を描いた絵だけが飾られている……
そして
OREジャーナルでは皆があわただしく仕事をしていた。大久保はクレームに対応し、奈々子はパソコンでホームページの社員募集の項目を作っている。
そこに遅刻してきた城戸真司が現れた。遅刻の罰として金色のカニの取材に行ってくるよう命令される。
ガス欠を起こしたスクーターを押しながら道を進む城戸。横断歩道で止まっている車の中に吾郎、隣には自分の写真が掲載された新聞記事に見惚れている北岡がいた。
裁判所で北岡は報道陣に取り囲まれた。令子が必死に北岡にコメントを求める。
街を歩き続ける城戸だったが、わき道から自転車が飛び出してスクーターを倒してしまった。
謝罪するのは気の弱そうな学生、かつての仮面ライダータイガ/東條悟。
城戸に謝罪する東條。そんな城戸に道端の占い師が声をかけてきた。今日の運勢は最悪。
スクーターを止め、彼に手相を見てもらうことになったが、歩いてきたかつての仮面ライダー王蛇/浅倉威にスクーターを蹴り飛ばされた。
慌てて城戸がスクーターを起こすもヘッドライトが見事に折れていた。
「俺の占いは当たる」
スクーターを押しながら真司が歩き続け、花鶏の前を通りかかる。
「何なんだよ、今日は一体……? ここ、サテンだよな……?」
妙な懐かしさを覚えた城戸は店の前に停まっているバイクの横に、並べてスクーターを止める。
そして玄関をくぐろうとする──が、おずおずと後ずさりする。
「な、何だよ!?」
ちょうど店から出て来たのは──秋山蓮。
城戸が横へよけようとするが、蓮もそちらへのけようとし、通せんぼになってしまう。
慌てて反対側へ避ける真司。しかし蓮もそちらへ避け、立ち往生を繰り返す。
「どけ」
「どけって……あんたこそ!」
依然、立ち往生を繰り返す2人。
蓮が城戸の胸倉をつかみ、強引によけさせる。
憮然として睨み合いつつ、城戸は玄関のドアへ手をかけ、蓮はバイクに跨る。
ふと、「あいつ、どこかで……」といった面持ちで互いを振り返り、目が合う。
花鶏の店内。
沙奈子が静かに紅茶を入れていると、城戸が飛び込んでくる。
真司「コーヒーください! コーヒー」
沙奈子「コーヒーはない。紅茶だけ」
真司「へ? あ、あの……じゃあ、それを下さい……」
カウンターに座る城戸。
自分の紅茶を啜りつつ、沙奈子が無言で城戸を見詰めめている。バツが悪そうに、城戸が愛想笑いで間を取り繕う。
「ハハ……いやぁ~いい店っすね……お姉さん……紅茶を……ハハ、お紅茶を……」
沙奈子の脇に写真立てがあった。その中の写真には幼い優衣と士郎の2人が、仲良く微笑んでいた──。
内容についての考察(※劇場版のネタバレ注意)
最終回で真司たちは突如復活しているのだが、これについて視聴者側の考察で「タイムベントで巻き戻した説」、「優衣と士郎が今までとは別の新しい世界を創造した説」の2つが提唱されている。
なおネット上ではタイムベント説が広まっているものの、その説の場合は終盤の優衣がループを繰り返すのに否定的な回答を行っており流れが不自然、絵を描き続ける優衣たちの描写の謎が残る、サブタイトルの「新しい命」が巻き戻す説だと微妙に適切な表現ではないなどの矛盾が発生するため恐らくタイムベント説の可能性は低いと思われる。
(※また当時の公式サイトのあらすじ(webアーカイブ)でも、タイムベント説を肯定する文章などは特に記載されていない。)
更なる考察
恐らくは優衣と士郎が最初から新しい世界を創造した説が解釈として正しいと思われる。
これまでのストーリーでは優衣たちの描いた絵が具現化してミラーモンスターを生み出すことが描写されており、今度はその絵の具現化を正しい方向に使ったという内容がこのストーリーの重要な点だろう(優衣たちが絵を描く→新しい世界を創造と流れが繋がっているため。)
しかしそうなると真司たちと同じ存在が生まれ変わったという意味で「新しい命」なのか、今まで見てきた真司たちとは全く別の存在が生まれたという意味で「新しい命」なのか、というまた新たな謎も生まれてくる。
自然な流れとしては絵が具現化した可能性を示唆しているためやはり新世界の真司たちは全く別の存在、更に言うとミラーモンスターのような存在という可能性があるのだが....
(ネタバレになるが、この解釈の場合だとミラーモンスターを肯定した結末とも捉えることができ、リュウガという真司に似た存在のミラーモンスターを消滅させており、否定した結末とも言える劇場版とも対になっている。)
また謎として、元の世界は残っているのかという部分もある。残っていない場合はそのまま創造の際に消え去ったと考えられる。
元の世界が残った説の場合、絵を描いた後に一瞬だけ出てくる神崎邸のシーンがあるがそちらが「現実の世界」であり、それとは別に優衣たちが生み出した「新しい世界」の2つが同時に存在している、とも考えられる。
....上記のように様々な解釈が可能な最終回であるが、色々と劇中の描写を見て考察してみるのも面白いかもしれない。
関連タグ
その他、この最終回から分岐するとされる仮面ライダー龍騎の未来
ルート(A):仮面ライダージオウ&RIDERTIME_仮面ライダー龍騎
ルート(B):仮面ライダーギーツ×仮面ライダーリバイスMOVIEバトルロワイヤル
ルート(C):仮面ライダーアウトサイダーズ
(※上記の脚本家は龍騎の最終回を書いた小林靖子氏ではないため、それぞれの脚本家が解釈したものとして見るのが正しいかと思われる。)
新番組予告
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1月26日、朝8時スタート!