概要
正式名称『天下無双 江田島平八伝』。集英社『Ohスーパージャンプ』にて2010年8月号まで連載された。単行本は全10巻。
第二次世界大戦中に大活躍した江田島平八の生涯を描いたトンデモ大河ロマン漫画。
訳の分からない熱血と勢いで押し通す作風は相変わらずだが、実在(=実名)の人物が絡むと言う宮下あきら作品としては珍しいアプローチが成されている。
魁!!男塾からの派生作品ではあるが、魁や同時期連載の暁!!男塾などの設定とは明らかな矛盾も(圧倒的すぎるくらい)多く、整合性もへったくれもないが、男塾ではよくあることなので気にしてはいけない。
後に続編として、男塾シリーズ第4部にあたる『真!!男塾』が連載された。
主要登場人物
主人公。破天荒っぷりはこの頃から相当な物であったが、その才能はすさまじく田舎育ちの山猿といった風でありながら、上京後、寺崎に引き取られてから凄まじい勢いで知識を付け11歳で東大に入学、恩師寺崎と山本五十六元帥に日本の運命を背負う男と期待をかけられ大戦中は海軍の影の部隊「天下無双隊」隊長となり戦禍に飛び込んでいく。
森田 幸子
平八が愛した同郷の少女。広島に落とされた原爆で・・・。
民明書房の代表取締役。
寺崎 将人
日本軍の科学者。平八の才能を目覚めさせる。
中国からの留学生。平八の親友となる。
伊佐 武光
後の藤堂兵衛。平八打倒のために手を掛けるだけでなく幸子との略奪婚も企てた。
富樫 源造
天下無双隊
大豪院 鐘鬼
大豪院邪鬼の父親。江田島海軍兵学校別科筆頭でかなりの巨漢で威圧感満々。
廣庵
元日本海軍で、東郷平八郎元帥の参謀。
虎丸 竜太
虎丸龍次の父親。刑務所の「獄悔房」に投獄されていた(奇しくも、後に息子も男塾地下の同名の房にて同じような仕掛けの牢の中に半年間収監されている)。
露呂 小夜子
天下無双隊の紅一点。平八に惚れている。
その他
帝国陸軍特別機動部隊「羅漢」隊長。居合い抜きの達人。
剣 情太郎
剣桃太郎の父親。終戦後、平八と同期に政治家になる。彼が巻いていたハチマキは後に息子の桃太郎、孫の獅子丸、そして平八の息子の魁へと受け継がれた。
フリッツ・シュタイナー
ヒトラーユーゲント団長。張の使う神拳寺の秘奥義で操られた平八に小便をかけられ激怒する。しかし平八が切腹で水に流そうとした事で水に流す(儀式用模造刀のため失敗するも、その男気を見せた事で彼の事を認めた)。
実はヒトラーの隠し子であり、帰国後、その狂気と非情性を知った事により暗殺を決意するも失敗に終わり、平八がドイツに来る3日前に国家反逆者として処刑される。
平八と共に撮影した記念写真の裏に遺書を隠しており、平八にヒトラー暗殺を依頼する。
ハンス・ゲーリング
ナチス親衛隊の空軍大佐。平八に顔を殴られてターミネーター風のサイボーグとなって幾度も追い回す復讐鬼と化す。
ナチス崩壊後は右手をマシンガン、左手をペンチアームに改造して天下無双号を襲撃、そのまま平八に広島への原爆投下を伝えて殺害しようとするも、平八の手で右手のマシンガンを口の中に撃ち込まれた事で死亡する。
カレン
MI6の女スパイ。シベリア鉄道に無賃乗車した平八に対し、媚薬とハニートラップにより濃縮ウラン235の入ったケースの暗証番号を吐かせようとするも、平八には思い人が居たため失敗。
その後部下と共に客車を切り離して撒こうとするも、平八の脚力で追いつかれそうになり、直接拳銃で撃ち殺そうとしたが、そのまま部下諸共ドイツ兵に射殺された。
実在人物
毛沢東 - 平八を凌駕する中国拳法の達人であり、自軍の兵士全ての顔を覚え骨相学にも通じ、後に平八とは奇妙な友情を築く。民明書房的な意味で破格の扱いをされている。
アンネ・フランク - アンネの日記の作者。名前のみ登場。平八が目的のウラン235を奪取してオランダに着いた際にペーターから彼女の日記を託される。後に彼女の日記は平八から民明丸の手に渡され、日記は世界中に発刊された。
アドルフ・ヒトラー - 第三帝国の総統。原子爆弾の製造方法を把握している平八を、ウラン235の提供及び原子爆弾の共同開発という理由でドイツに誘い、あわよくば製造させて殺害しようと目論んでいた。シュタイナーの意志を継いだ平八によって殺されるが、実は100人以上の影武者がいる。作中では平八が殺した人物こそ本物のヒトラーの可能性が示唆されるが、仮にそうであってもヒトラーの意志を継ぎ、演じる影武者がいる限り第三帝国は盤石であるとされ、実質「全員が本物にして影武者」「一個人ではなく第三帝国の不滅の魂そのもの」となっていた。結局ソ連によるベルリン陥落の時、第三帝国崩壊と悟った事で全員自殺した。