概要
アニメ『遊戯王ARC-V』の沢渡シンゴ×セレナのNLカップリング。
「ンゴセレ」とも呼ばれ、こちらのタグでの記事が先立って作られている。
どちらか一方のタグが使用されることが多かったことから、概略の記載を兼ねて今回「沢セレ」での記事作成を行った。
沢渡とセレナは、遊矢達と共にランサーズに選ばれた二人である。
当初好戦的な二人は勝手な言動・行動が多く、又、共に独善的な思考の持ち主であった。
自惚れが強いお調子者ながらもセレナには紳士な振舞いに徹する沢渡と、戦士としての自負心と世間知らずさによる猪突猛進な傾向のあるセレナは、"騎士と姫君(あるいは姫騎士)"のような性質の関係性である。又、自分勝手という点で似た者同士な性格である点や、夫婦漫才のような二人の掛け合いを楽しむこともできる。
以下の項目では、アニメの時系列(公式配信の特別予告映像(漫才フェイズ)・超熱血!デュエル塾を含める)に沿った二人の概略を記述する。
出会いとランサーズ選出・シンクロ次元序盤から中盤
沢渡は第2話終盤(第1話から放送のOP1にて初めての顔出し)から、セレナは第38話(同放送回から画像を部分的に変更したOP2にて初めての顔出し)より登場したキャラクターである。
二人の出会いは第48話にて、セレナを連れ戻すためにスタンダード次元に現れたオベリスク・フォース対セレナ・黒咲・月影のデュエルに沢渡が乱入した場面である。しかし、この時まだ沢渡はセレナの名前も素性も知らず、第49話まで彼女を柊柚子と勘違いしていた。
第49話にて零児の口から、彼女が柚子ではない旨が語られる。
さらに第50話にて、セレナが自分の名前と「アカデミアのデュエリスト」という素性が明かす。
この時、沢渡が激昂し「アカデミア!?ってことは敵じゃねえかよ!」「なんで敵がいんだよ。それも柊柚子の格好で!」「お前スパイか!?柚子のふりしてなんか探ろうとしてんだろ!」とセレナに詰め寄る場面がある。
この時の沢渡からすればセレナは"次元侵攻を行う異世界から来た正体不明の人物"であり、"彼女の出現と同時に安否不明となった柚子の衣服を身に着けて現れた柚子と同じ顔の人物"である。このことからセレナに不信感を持つ方が自然であると言える(そして沢渡の懸念通り、実際にスパイは侵入していた)。セレナも沢渡からの疑いを向けられた際に、黙って受け入れている。
このように出会った直後の第一印象は互いに良いとは言えない。しかしセレナから事情を聞き、共にランサーズの一員として選ばれた後は、沢渡もセレナへの不信感を口にすることはなくなった。
第53話でレオ・コーポレーション社長室から、沢渡とセレナを含めた計9人のランサーズが集まり、シンクロ次元に次元移動する。
第55話でシンクロ次元コモンズ居住区に到着するも、その場に居たのは遊矢・零羅・沢渡・セレナの4人のみであり他のメンバーは行方不明となる。到着直後セキュリティに包囲され、沢渡とセレナは遊矢の制止も聞かず彼らとデュエルを始めてしまう。後に5月30日放送の特別予告映像では、遊矢がこの時の沢渡とセレナの行動にを振り返って「二人共自分勝手すぎるよ!」と戒めている。(尚、その苦言をしても二人の行動は全く改まることはなかった)
その後、セキュリティとのデュエルで苦境に追い詰められた所をクロウ達に救出され、4人はそのままクロウ宅に厄介になる。
しかし第58話にて、身を隠し続ける状況に苛立つセレナは家主のクロウに悪態をつき、自分で柚子の情報を探すと言い残しクロウ宅を出ていってしまう。
さらにセレナに続いて沢渡も零児達の手がかりを探すと言ってクロウ宅を出てしまった。
他人の家に善意で厄介になっていながらこの態度であったためか、クロウ宅の子供達からは「怖い姉ちゃんと俺様!の兄ちゃん(第59話より)」と呼ばれていた。
その後沢渡とセレナはそれぞれ別行動を取り始めたのかと思いきや、第59話で一緒に行動していたことが判明する。
クロウ宅を出て以降いつから二人行動していたかは不明だが、第59話にてクロウが零羅に「ここに来て3日になるけど」と話しかけたこと逆算すると、沢渡とセレナは二人行動を丸一日以上していたと考えられる。その間セレナは8人のデュエリスト(いずれも一般市民)と一人でデュエルをし、沢渡はずっとそれを見守っていたととれる発言を沢渡がしている。
このことから、沢渡がクロウ宅を出たのはセレナに単独行動をさせないためだったとも考えられている。
だが結局二人の行動はセキュリティとロジェにより捕捉されており、二人はクロウ宅に戻った所を遊矢とクロウ、シンジもろともに捕縛され収容所に送られることとなった(零羅は寸前に月影が逃がしたため無事であった)。
第60話にて、収容所に送られた5人の内セレナのみがロジェの思惑により特別房に入れられ、以降セレナは第63話でデニスに救出されるまで離れ離れになる。
第63話で、遊矢・沢渡・クロウ・シンジ・セレナに徳松長次郎・デイモンと、同じく収容所送りになっていた権現坂・黒咲・デニスの計10人は収容所を脱出したものの、途中で発見され再捕縛される。だが、収容所に護送される寸前に行政評議会(そして零児)の手によりそれを免れ、フレンドシップカップへの出場を命じられることになる。
以降、行政評議会の保護という名目の個別での軟禁を受けることとなる。このため、沢渡とセレナの間に会話や行動が一切無くなってしまう。又、この間互いに思いをはせる場面も存在しない。
さらに、フレンドシップカップでの敗退者は強制的に地下収容所に収容される条件であったため、第72話終盤から第73話にて沢渡が敗退により地下収容所送りにされている。
さて第58話・第59話よりも先んじて放送された5月16日分の特別予告映像にて、沢渡はセレナに向かって「遠慮するなよ。パパの力でお前も俺と同じトップスに入れてやってもいいんだぜ?」と発言している。無論これは沢渡の冗談ではあるが、暗にセレナを特別扱いすることで彼女に良い所を見せようとしている意図が示されている。尚、当のセレナには「結構だ。お前のくだらない話はもう飽きた」とすげなく断られている。
この回の発言をきっかけにして、沢渡がセレナに特別な感情を抱いているのでは?という予測がされ始め、沢セレ(ンゴセレ)というカップリングが口に出されるようになった。
これに続けて、本編第58話の沢渡の行動と第59話での二人行動によって、よりこの二人が注目されるようになったと言える。
又、5月30日・6月6日・6月20日の特別予告映像でも、沢渡とセレナの力関係が推察できるような会話をしている。
内容は沢渡が尊大に自画自賛した台詞に対し、セレナが彼を小馬鹿するといったものである。尚、沢渡に対してのみセレナはかなり辛辣な言葉を投げかけるが、中には「お情けでペンデュラムだけを使えるようになった奴にそんな事を言われる筋合いはない」(6月6日分より)といった後の展開のことを考えると非常に興味深い冗談を発言している。
一方で、本編では第59話以降沢渡とセレナは物理的に接触することがほとんど出来ず、互いに思いを馳せる場面も挿入されることはなかった。さらに沢渡が地下収容所送りになったことにより、二人の物理的距離がより遠くなったことで、関係の進展は暗礁に乗り上げていた。
しかし、2015年10月4日に放送された第76話により、沢セレ(ンゴセレ)がにわかに湧き立つことになる。
ED4のキス未遂とシンクロ次元終盤
第76話にてOPとEDの曲と映像が一新される。この回より放送された第4期ED「Speaking」に合わせた映像の中で、”沢渡がセレナの寝姿に見惚れてキスを迫り、寝ぼけたセレナにより顔面に一撃食らう”場面が挿入された。
このEDではそれ以外の場面でも沢渡とセレナがワンセットのように扱われた。これまで本編での沢渡からセレナへの特別感情は描かれていなかったことから、この描写は驚愕を持って受け止められた。このEDの印象は相当強かったと言え、後に沢渡役の担当声優が対談の際にこの場面について言及している程である。(詳しくは後述する)
そのため、この二人のカップリング作品はEDの場面を元にした二次創作が多く見られる。又、本記事よりも先んじて作成された「ンゴセレ」の記事は、このEDをきっかけとして作られている。
無論、就寝中の相手に手を出そうとする行為は全く褒められないことである。
しかしこれまで第58話・第59話を除けば特別予告映像で仄めかされるのみであった、沢渡からセレナへの特別感情の描写が色濃くされ表されたことで、沢セレ(ンゴセレ)に興味を抱く視聴者は一気に増えたと言える。
一方で、沢渡からセレナへの恋愛感情を本編でも今後描写すると仮定した場合、”セレナを融合次元に連れ戻そうとするユーリと沢渡が対峙する”のではないかという懸念意見が多く見られるようになったのも、このED放送以降である。
元々この予測は、5月16日分の特別予告映像が放送された直後から散見したものであった。当時すでに各次元の遊矢シリーズと柚子シリーズが一対の存在である可能性は示唆されていたため、セレナと一対の存在であり且つ敵対組織側のユーリとの対峙は必至とされたからである。加えて沢渡はすでに第3・4話と第31・32話で遊矢、第7話でユート、第72話でユーゴとデュエルを行っていたため(しかもいずれも敗北している)、ユーリとも対峙する(そして敗北して果てる)と見られていた。
沢セレ(ンゴセレ)の作品群には、この予測を踏まえた沢渡とユーリの対峙を描写した二次創作作品も多い。
尚、この予測は杞憂に終わった。
一方、第76話放送後の『超熱血!デュエル塾』の「講義27 超熱血!フレンドシップカップ2回戦開始!!」に於いて、フレンドシップカップ一回戦での沢渡vsユーゴ戦を振り返っている。
この際セレナが「互いに持てる力を振り絞ったデュエルで、見ごたえのある闘いだった。あの沢渡という男、少し見直したぞ。」(45/62)と発言している。
これはセレナが、これまで辛辣な態度で小馬鹿にしていた沢渡という人物を初めて認めた発言である。又、これまで結果至上主義であったセレナが敗北した側である沢渡のデュエルを認める発言をしたことは、セレナのデュエルに対する心境の変化を表していると言える。
第86話にて、先の第85話でユーゴに敗北したセレナは地下収容所に向かうが、その最中セキュリティにより神経ガスを嗅がされ拘束される。零羅と月影の助けもあり、脱出したもののオベリスク・フォースの強襲に遭い危機に陥る。
一方、第91話で沢渡は権現坂・徳松長次郎と共に地下収容所を脱走し、月影から聞かされた現状の情報を頼りにセレナ・零羅そして先に交戦する遊矢のもとに向かう。
しかし沢渡達の到着が間に合わず、第92話にセレナはバレットの手により融合次元に送還されてしまう。
以降沢渡とセレナは第114話まで再会できなかった。しかし後述する第114話のセレナはすでにパラサイト・フュージョナーによる洗脳を受け正気ではなかった。
このことから沢渡とセレナはシンクロ次元の行政評議会(第63話)で会ったのを最後に、永久に再会することはなかったとも言える。
第93話にて沢渡・権現坂・徳松長次郎が遊矢・月影・零羅達と合流する。この際遊矢達と共に居た素良(この時点で沢渡は素良がアカデミアと決別したことを知らない)に対し、沢渡が激昂する場面があるが遊矢の説明により半信半疑ながらも素良を信用した。
沢渡は、柚子がセルゲイに攫われたことと共にセレナが融合次元に強制送還されたことを知る。
その後第99話にて、ロジェの引き起こした次元移動装置の暴走に巻き込まれ、沢渡は遊矢・権現坂・黒咲と共にエクシーズ次元へと転送される。このエクシーズ次元編に於いて、セレナの動向は一切描写されず、沢渡を含めた4人もセレナについて言及してはいない。
さて融合次元編での二人を記述する前に、セレナが一時退場してから再登場するまでの間のランサーズ(及び彼らの味方側)のセレナへの言及について記しておく。本筋から離れることをご了承願いたい。
セレナが安否不明となったこの期間に於いて「ランサーズの中でセレナの名前を口にしている者が沢渡しかいなくなった」という言説がある。
この言説に基づいて、沢渡からセレナへの特別感情を表しているという解釈がされているが、同時に「沢渡以外のランサーズはセレナに対して情が薄いのではないか?」という批判意見が出ることもしばしばあった。
この言説を確かめるため、セレナが強制送還された第92話から再会する第114話までの間のみでセレナに関する話題をした人物とその内容を集めてみた。
確認してみると、沢渡は第93話で「セレナも強制送還…。」と発言し、さらに第113話では融合次元で再会したデニスに対して「ついでにセレナの居場所も吐いてもらうぜ!」と発言していた。確かにこれら発言にはセレナの安否を気遣う沢渡の意思が見られる。
しかしランサーズ(及び彼らの味方側)のセレナへの言及は沢渡しかしなかったという言説は間違いである。
第99話にて、素良がセレナを守りきれなかったことを悔やむ発言をしている。
又、遊矢は第95話でクロウ宅の子供達に対しセレナがアカデミアに連れ戻されたことを語っており、続けて権現坂が「セレナは俺たちランサーズが必ず救い出す。」と述べている。
第100話の遊矢の回想に於いては、「アカデミアの2人とも」と素良と一纏めではあるものの、デュエルでわかりあえた仲間の括りとしてセレナを思い出している。(そもそも第93話の沢渡の発言は遊矢からの状況説明を受けてのものであるため、この場面でも話題に上がっている)
第106話では融合次元に於いて柚子がユーゴとの再会直後に、セレナがアカデミアに送還された旨を説明している。
さらに第112話では、ユーゴがリンの名前と共にセレナの名前も口にしている。
以上、計8回(描写はないが第93話で遊矢が沢渡達にした説明を回数に含めれば9回)が安否不明になったセレナに関する発言の全てである。
これを見ると沢渡しかセレナのことを言及していないということはなく、発言した回数は遊矢が一番多いということがわかる。又、第114話以降遊矢や柚子、零児もセレナについて言及している。
それにもかかわらず「ランサーズの中でセレナの名前を口にしている者が沢渡しかいない」という言説が浮上した理由は、推測ではあるが3つの可能性を指摘できる。
1つ目は、柚子に関する発言の方が多かったことから比較的少なく感じられたためである。
実際に、柚子が第92話でセルゲイに攫われた直後から融合次元で再会する第112話までの柚子に関する発言回数は、遊矢だけで39回である。
比較するとその差は歴然としているが、第1話から登場した主人公の幼馴染でもあるメインヒロインの柚子と、中途で登場したセレナでは登場人物達との関係の広さや深さの違いから言及の回数に差が出るのはやむを得ぬこととも言える。
2つ目は、沢渡がセレナに関する発言したタイミングである。
沢渡がセレナの名前を発言したタイミングは、どちらも"会話の切れ間"であり且つ"遊矢達が柚子あるいは他の事象の方に目が向けられている時"であった。一方、他の登場人物達がセレナの名前を発言する際は"会話の流れの中"というタイミングである。このため、より聞き流されにくいタイミングで発言した沢渡の印象が強く残ったと考えられる。又、第92話までは動けなくなったセレナを守ることに遊矢達の焦点が集中していたにもかかわらず、セレナが一時退場した直後に柚子の救出に展開が移行してしまったため、切り替えの早さに対する疑問と共に、そのタイミングでセレナに関する発言をした沢渡の印象が大きくなったと言える。
3つ目は、沢渡はセレナに特別な感情を抱いているという先入観による錯覚である。
この先入観は単に沢セレ(ンゴセレ)を愛好していた者達が持っていただけでなく、先述したED4の放送により視聴者の中で顕著になっていたと考えられる。つまりこれまでの展開により「沢渡はセレナに特別な感情を抱いている(ように見える)」という先入観があったことから、セレナの話を沢渡しかしていないという錯覚を起こしていたということである。
以上のことにより「ランサーズの中でセレナの名前を口にしている者が沢渡しかいなくなった」という言説は間違いであると言える。
しかしこれまで自分勝手な性格の人物として描かれていた沢渡が、誰に促されたわけでもなく消えたセレナのことを口にしたことにより、セレナの安否を本気で心配していたのは紛れもない事実と言える。
特別予告映像から窺えるセレナの沢渡に対する印象を総括すると、"デュエルが弱い、態度だけ大きい軽薄な男"といったものであるが、その相手から安否を心配し続けられたのはセレナにとって皮肉なものであろう。
融合次元での再会と最終話
セレナが再び沢渡の前に現れるのは融合次元編に入った第114話である。
第114話終盤にて、遊勝を追いかけるために船を探していた遊矢・権現坂・沢渡・柚子の前にセレナが単身で現れ、彼女が調達をしたというキャプテン・ソロの船に4人を乗せる。
第115話にて、再会したセレナの「私もランサーズの一員だ。」という言葉に対し、沢渡は喜びを表した。しかしその直後セレナは柚子を拘束し、本性を表したソロの部下達によって沢渡と権現坂は拘束されてしまう。
柚子と共にアカデミアへと戻るヘリコプターに乗り込むセレナに向かって沢渡は「騙したのか」と言いつつセレナの名前を叫ぶも、セレナは「騙されるほうがおろかなのだ。」と冷たく言い放ち去っていった。
これが沢渡が見たセレナの最後の姿となった。
後にセレナは洗脳を受け正気ではなかったことが判明するが、この時点ではまだわかっていなかった。そのため初対面でセレナをスパイと疑っていた沢渡は、この裏切りを受けてセレナに怒りをぶつける可能性はあったが、直後に沢渡が口にしたのはソロに対する憤りだけであった。
115話終盤に遊矢は、何か理由があってセレナは柚子を攫ったのだという自分の考えを口にしており、沢渡はその言葉を黙って聞いていた。このことから、沢渡も遊矢と同じ考えであったと推察できる。沢渡が当初スパイとも疑っていたセレナに対して、信頼を置いているということがわかる。
アカデミアに乗り込んだ後、第120話でクロウに庇われる形でデュエルディスクを破壊された沢渡は負傷した権現坂を介抱するため、第122話では遊矢を単独で先に行かせている。
この放送回まで沢セレ(ンゴセレ)愛好者の間では、「洗脳されたセレナを沢渡がデュエルで救うのでは?」と予測されていたが、この段階でその予測も潰えている。
尚、セレナ及び黒咲瑠璃・リンを洗脳していたパラサイト・フュージョナーはデュエルの勝敗に関わらず取り除くことができないことが判明している。(第117話・第119話・第124話・第125話より)
そのためたとえ沢渡がセレナとのデュエルで勝利したとしても、彼女は正気に戻らなかったと考えられる。
第134話にて、セレナはプロフェッサーの造った統合次元アークファイブの発生装置の中で融解させられ、先に融解した柚子・瑠璃・リン共々装置内に転送される。
そしてズァーク戦を経て、統合しかけた次元は再び4つに分裂し、沢渡を含めたスタンダード次元の住人はペンデュラム次元の住人として復活を果たす。
しかし彼らの記憶には、ランサーズや次元戦争そしてセレナを含めた柚子シリーズに関する記憶が意図的に蓋をされていた。
そのため遊矢が柚子の記憶を失っていたことと同様に、沢渡もセレナの記憶を完全に失っていたと言える。
第141話にて零児がランサーズの記憶をよみがえらせるために舞網チャンピオンシップを再開し、遊矢・権現坂・沢渡が集められる。この段階で零児を含めた赤馬一家・遊勝・月影は記憶を全て取り戻していたようだが、どのように取り戻したかは不明である。
第141話の時点で沢渡達はランサーズの結成までの記憶が蘇っていたようだが、第142話にて柊修造の言葉をきっかけにして柚子の記憶を取り戻す。
ランサーズの記憶が蘇った段階で、"同行した少女(セレナ)が居た"記憶から柚子の記憶まで一気に取り戻すものではないかと思えるが、これに関しては念入りに記憶を封じられ"同行した少女"がどのような存在だったかまでは認識できないようにされていたと推察する他ない。
とにかく第142話までに、沢渡を含めたランサーズがセレナの記憶を取り戻したと言える。
問題はここから最終話までである。
第142話で権現坂に敗北した沢渡は、その後第146話から最終話(第148話)まで遊矢のデュエルを観客席で観戦している。この間沢渡は一度もセレナの名前を口に出すことはなかった。
そして第148話にて、セレナの幻影が一瞬現れた後柚子が復活したことに対しても何も言うことはなく、再会を喜び合う遊矢と柚子の二人を沢渡は微笑みながら見つめているだけであった。
尚、沢渡はセレナが融解されて装置に転送されたことも、柚子と統合されたことも最後まで知らされていないと考えられる。
沢渡は、自分のデュエルの勝敗に関係なく我を通す性格である。
例を挙げると第47話にて舞網チャンピオンシップで敗退したにもかかわらず、零児のもとに遊矢のデュエルを見せろと直談判しに行った場面がある。これがきっかけで沢渡は敗者復活戦を行うこととなり、結果としてランサーズ入りを果たしている。
そんな性格の彼がデュエルに敗退したからという理由で、セレナの行方を探すこともなくその安否すら口にしないというのは解せない話である。
沢セレ(ンゴセレ)愛好者の間でもそのことを残念がる声は多かった。
しかし推測であるがほぼ確信を持って言えるのは、沢渡がセレナを探すために自分で行動をしていた場合、待っている結末は第145話の黒咲と同じであるということである。
そのように考えると、寧ろやらなくて幸いだったと言えるかもしれない。
尚、最終回で復活した柚子の中に他3人の人格が同居した状態であるかは不明である。
"第134話でセレナは死んだ"とするか、"柚子の中でセレナは生きている"とするかは視聴者側の意見は分かれている。
沢セレ(ンゴセレ)の二次創作作品でも両意見に基づいた作品(あるいはどちらとも取れる作品)がそれぞれ作られている。
又、"柚子シリーズが4人それぞれの肉体に戻った"というif設定に基づく作品も存在する。
アニメ『遊戯王ARC-V』が現在までに販売している公式グッズ等での扱いは、各次元の遊矢シリーズと柚子シリーズがペアとして表されている。セレナは融合次元のペアであるユーリと共に描かれており、今後発売される関連商品でも同様であると考えられる。
このため沢渡とセレナが隣り合って表される公式展開は、今後一切ないと考えていいだろう。
結局沢渡がセレナに対して特別な感情を抱いていたかは不明である。
しかし当初は共に身勝手だった二人が、沢渡は消えたセレナを最後まで心配し、セレナは沢渡のデュエルを見て彼を見直すようになっていたように、互いの存在はそれぞれに影響し合うようになったということは紛れもない事実である。
二人が互いに対して最後に抱いたその思いを伝えることは叶わなかったが、その思いが存在したことがなかったことには決してならないだろう。
余談
2017年1月10日発売の『オトメディア』2月号にて、アニメ監督と沢渡役の担当声優との対談記事が掲載された。この中で担当声優がED4について触れ、あの場面はどういう意味だったのかと質問している。その質問に対する監督との受け答えは以下の通りである。
監督「寝起きにセレナを見たら、「綺麗に見えちゃった!」みたいな感じかな。」
声優「じゃあ、沢渡はセレナに特別な想いがあるわけではないんですね。」
監督「そうそう。でも、沢渡とセレナはいい関係だよね。ボケとツッコミみたいな感じで。」
(『オトメディア』2017年2月号より抜粋)
このようにED4に於けるキス未遂に関しては、監督は沢渡からセレナへの特別感情を否定している。(ただし、いい関係の二人であることは監督も認める所である模様)
勿論、この発言をどのように受け取るかの判断は自由である。